2013年12月31日火曜日

2013年MLBを彩った10人のスター選手

2013年も終わりを迎えようとしているが、一年の締めくくりとしてこの2013年シーズンを彩った10傑を個人的に選出してみようと思う。
いずれも2013年の顔と言える選手であり、地域の枠を越えて全米を沸かせた選手ばかりだ。

☆ミゲル・カブレラ(タイガース)
2012年三冠王で、2013年は三冠こそならなかったものの2年連続となるMVPを獲得。
文句なしの現役最強の打者であり、MLB全体の顔になりつつある。




☆クリス・デイビス(オリオールズ)
2012年に33本塁打のブレイク、そして2013年は53本塁打の大ブレイクでカブレラを抑えての二冠王に輝いた。
後半に入って失速してしまったがオールスター前までで37本塁打を記録するなど前半に限っては怪物そのもの。
カブレラと違って完璧な打者というわけではないがパワーに特化した彼は今後も本塁打王争いに顔を出すことが多くなるだろう。




☆マイク・トラウト(エンジェルス)
2012年のセンセーショナルな活躍で一躍スターになったトラウトは2013年さらに洗練された打撃をみせMVP投票2位の大活躍で正真正銘のスーパースターになった。
これでまだ22歳。
今後もMLBの顔として十数年君臨していくはずだ。




☆マックス・シャーザー(タイガース)
ポテンシャルは一級品ながらなかなか一段上のステージに上がることができなかったシャーザーは2012年にリーグ2位の231三振を奪うと2013年は29歳にしてさらに進化し21勝をあげサイ・ヤング賞の栄冠を手にした。
この活躍が本物なのか否かは来季以降を見る必要があるが、とにかく2013年を代表する先発投手だったことは間違いない。




☆上原浩二(レッドソックス)
ダルビッシュ、岩隈、黒田などの日本人先発投手の活躍も目立ったが、やはり最も印象的な活躍を見せたのは上原だろう。
歴史的なレギュラーシーズンを過ごしクローザーに定着後はまさに無敵。
その勢いのままポストシーズンでも好打者たちを圧倒しワールドシリーズ優勝まで勝ち取ってしまった。
日本人という枠組みを超えて2013年のリリーフで最高の活躍と言っていいはずだ。




☆クレイトン・カーショウ(ドジャース)
レジェンドへとの道をひた走りつつあるカーショウはただでさえ圧倒的だったパフォーマンスをさらに一段上げ防御率1点台の世界へ。
ナ・リーグ、また投手有利の本拠地という要素を考えても彼が現在最高の先発投手であるということに異論をはさむ余地はない。





☆アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
弱小だったパイレーツをプレーオフにまで押し上げた立役者であり、初のMVPも獲得した。
守備も大きく改善され、より隙のない選手へと成長しつつある。




☆ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
上記のスター選手たちと比べるとまだ全米での知名度はそれほど高くないかもしれない。
しかし彼が2013年に残した成績は上記選手たちと比べても遜色はなく、今後間違いなくその名は知れ渡っていくはずだ。
メジャーデビューから順調に成長し2013年は二冠を制覇した。
2013年においてナ・リーグ最高の選手がマッカッチェンならナ・リーグ最高の打者はゴールドシュミットだったと言って間違いない。




☆ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)
2012年はトラウトが新人離れした活躍でMVP争いにも顔を出し一気に知名度を上げた。
そして2013年はこのフェルナンデスが新人離れした活躍でサイ・ヤング賞争いに顔を出しスター街道に足を踏み入れた。
まだ21歳のである彼はすでに怪物じみた完成度を誇っている。
多くのキューバ人選手が活躍した2013年だったが、その中でも彼の活躍ぶりは飛びぬけていた。
怪我さえしなければカーショウの牙城を崩してサイ・ヤング賞を獲得することも難しくはないだろう。




☆ヤシエル・プイグ(ドジャース)
彼の出現はMLBファンにとって大きな衝撃だった。
ワールドシリーズ制覇を目指す全米屈指の人気球団ドジャースが苦しむ中さっそうと登場し地区優勝の立役者にまでなったのだ。
いきなりスターになってしまった新人ならではの問題もある。
プレー面だけでなく私生活でも先日無謀運転で逮捕されるなど将来を危うくさせる要素がたしかにあるのだ。
しかし2013年に見せた輝きがMLBにおいて最高クラスだったことは確かだ。



2014年も面白いMLBであることを祈って2013年を終えたいと思う。
いつも見てくださっているみなさん、よいお年を。

2013年12月28日土曜日

メジャーの〇〇自慢を探せ! 〈球速編〉

これは身体能力、技術、体格に秀でたトッププレイヤーが集まるMLBの中でも飛びぬけた1ツールを持つ選手たちをピックアップしていく企画だ。
今回は球速編で、メジャーで活躍する速球自慢たちを紹介する。
キーワードは”最速101mph超え”だ。

☆アロルディス・チャプマン(レッズ)
人類最速の男チャプマンはキャリアにおいて最速105.1mph(約169km)をたたき出しており、今季の平均球速は98.4mph(約158km)だった。
これでも制球を重視しており、2011年までの四球率7点台という状態からは大分改善されている。
ちなみにチェンジアップでも平均93.7mph(約151km)と並みの投手より速い。
毎年先発転向の案が出ているが本人がクローザーを希望していることもあって、今後も100mph超えの速球で試合を締めるシーンを何度も見ることになるだろう。





☆ケルビン・ヘレーラ(ロイヤルズ)
最速102.8mph(約166km)、平均97.2mph(約156km)の速球を178cmと投手としては小さな身体から投げ込む。
制球も悪くはなく、これだけの快速球にチェンジアップの組み合わせはなかなか凶悪。





☆ヨーダノ・ベンチュラ(ロイヤルズ)
今季デビューしたばかりの剛腕先発投手で、今季はわずか3試合の先発ながら平均球速は97.1mph(約156km)をたたき出しており、最速では101.9mph(約164km)を計測した。
まだ22歳で今後の成長に期待だが、体格的には先発投手としては小さめなのが気がかり。





☆ブルース・ロンドン(タイガース)
今季デビューしたばかりの23歳でいかにも重い速球を投げ込んできそうな体格が特徴的。
開幕前にはタイガースの新クローザーになることも期待されていたが結局本格的にメジャーに定着したのは後半戦になってから。
チームはネイサンと契約したためまたしばらくはクローザーの地位はお預けだが平均97.9mph(約158km)、最速102.8mph(約166km)を計測した速球は非常に魅力的で、制球難は愛嬌としてとらえるしかないだろう。





☆ネイト・ジョーンズ(ホワイトソックス)
ジョーンズはホワイトソックスの剛腕投手で、デビューした2012年から2年連続で65試合70イニング以上を投げている頼れるリリーフだ。
特徴的な投球フォームから平均97.7mph(約157km)、最速101.1mph(約163km)の2シームを投げこんでくる。
2013年は制球がよくなり奪三振率も向上。
これだけの速球に切れ味鋭いスライダーも持ち合わせている点が厄介だ。
27歳ともう若手とは言えないが近い内に知名度を上げてくるはずだ。





☆カルロス・マルチネス(カージナルス)
今季デビューしたばかりでポストシーズンでも何度も登板した22歳のトッププロスペクトで、今季はリリーフとして仕事を果たした。
先発に専念すれば球速は抑え気味になるだろうが今季の平均球速は97.6mph(約157km)で最速は101.3mph(約163km)と剛球投手の看板に偽りはない。
小柄な剛球投手ということでペドロ・マルチネスとも比較される逸材だけに来季はカージナルスの育成手腕が問われる。




2013年12月27日金曜日

マリナーズ 2014年優勝するために必要なのは?

エルズベリー、マッキャン、ベルトランといったFA市場の目玉野手を揃って獲得したヤンキースと並んでこのオフの主役となっているマリナーズ。
しかしスターがおらずとも的確な補強で強いチームを作り上げるアスレチックス、弱点を見事補強したレンジャーズなどが揃うア・リーグ西地区は東地区に次ぐ激戦区であり、補強したマリナーズでもこの中で優勝を勝ち取るのはまだまだ難しい。
今回はマリナーズが優勝するために補強すべきポイントを探していこう。

”野手”
カノーを獲得したことで文句なしの主軸を手に入れることに成功し、打線の核は出来上がった。
また新たに獲得した30本級のパワーを持つハートと2年連続20本塁打以上でさらなる成長も期待できるシーガーでカノーをサポートすることができる。
しかし問題は彼らに続く打者、あるいは彼らの前に出塁する打者がいないことだ。
シアトルにやってきてからなんだかんだで毎年15本以上打っているスモークは毎年期待を裏切っているし、スピードとパワーを兼ね備えているはずのソーンダースも低打率に喘いでいる。
全米2位のアックリーもいつまだたってもブレイクしてくれず、再契約したグティエレスは毎年怪我でまともに試合に出られない。
当然ズニーノ、フランクリン、ミラーの2年目組には過度な期待は禁物だ。

要するに主軸は見栄えのいいものが揃ってもそれ以外で一定の活躍を期待できる選手が少ないのがこのチームの打線の最大の欠点なのだ。
せめて出塁能力が高くスピードもある選手を1,2番に置くことができれば話は変わってくるのだが、アックリー、ソーンダース、フランクリン、ミラーのうち誰かがブレイクしない限りは難しいだろう。
若手が多いチームの常で、本来計算できないはずの実績が少ない選手をレギュラーとして多く起用する以上、若手のブレイク頼りとなってしまう側面が強い。
彼らがブレイクせずにここまで引きずってきたのが昨年までのマリナーズやロイヤルズで、2013年のロイヤルズはある程度実績ある選手を複数加えることで躍進を遂げた。
マリナーズも補強はしているが、来季優勝を見据えるためには少なくとも得点力を平均以上に持ってこなければレンジャーズやアスレチックスには競り勝てない。
そのためには若手のブレイクには過度な期待をせずにさらなる補強をする必要があるが、現在FA市場に残っている有望な野手はネルソン・クルーズくらいしかおらず、彼にしても薬物で出場停止になった地雷物件だ。
年齢的にも若くなく手を出すのは危険ため、結局のところ現実的に考えれば現状の戦力で若手のブレイクに期待するしかない。
若手が数人好成績を残せばリーグ上位の得点力になるだろうが、現状のままではせいぜい平均レベルの打線にすぎない。


”投手”
打線よりも重要なのがこの投手の方だ。
マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドはリーグ有数のピッチャーズパークとして知られている。
昨オフに改修工事が入りフェンスの位置が変わったことで多少改善はされ、マリナーズ打線はリーグ2位の本塁打数を叩きだした。
しかしパークファクターで見ても相変わらず投手に有利で(本塁打もやはり出にくい)、地理的な湿度の問題でボールが飛びにくい以上この傾向は今後もあまり変わらないだろう。
本拠地がピッチャーズパークである以上、本拠地の特性に逆らわぬチーム作りをする方がいいのだが、マリナーズは投手力に大きな問題がある。

まずは先発ローテーションだが、ヘルナンデスと岩隈という2大エースは好調なら共にサイ・ヤング賞争いができるほどの力がある。
問題は3番手以降一気に実力が落ちることで、現時点では残り3枠はラミレス、パクストン、ウォーカーが担う可能性が高い。
しかし怪我がなければある程度が見込めるラミレスはともかくパクストンとウォーカーはまだローテーションの軸として計算するには実績がなさすぎる。
ウォーカーはサイ・ヤング賞級のポテンシャルを持っているためブレイクすればそれこそ新人王を狙えるだろうがパクストンとともにまだメジャーでは未知数な面が大きいため戦力として計算するには心もとない。
マイナーには両選手とともに3羽ガラスと評されたドラフト全体2位のハルツェンも控えており、来季にはメジャーデビューするだろう。
しかし計算できないことには変わりなく上位進出のためには少なくとも3番手までは実績ある投手で固めておく必要がある。
幸いにもFA市場には有力な先発投手が数多く残っている。
サンタナ、ガーザ、ヒメネスはいずれも3番手としては十分すぎる実力を持っており、当然獲得にはかなりの資金が必要になる。
特にガーザは獲得してもドラフト権を失う必要がないため狙っている球団はかなり多いはずだ。
多くの有力球団が田中のポスティングに注目している今は彼らを獲得する大きなチャンスであり、1人獲得できれば優勝の可能性も大きく跳ね上がる。
あるいはトレードの噂が絶えないプライスをハルツェン、パクストンなどのプロスペクトを駒にして獲得するという手も有力だ。
ウォーカーだけは是非とも手元に残しておきたいところだがそれ以外ならある程度までは放出しても問題ない。
いずれにしても有力な先発投手をもう一人獲得することは必須で、これができなければマリナーズは西地区の3番手止まりになってしまう可能性が高い。

リリーフも穴はあるが先発よりはまだマシで、今季終盤にクローザーになったファークァーや途中までクローザーだったウィルヘルムセン、左のファーブッシュ、1年目にして結果を残したメディナはまではある程度計算できる。
ただ先発が盤石ではない以上リリーフには信頼できる投手が5人は欲しいところ。
その5人目として有力なのが剛球投手のプライアーで、制球さえある程度まとまれば一気にブレイクしてくる可能性が高い。
とは言え、それでも完璧とは程遠いのは間違いないため少しばかりの補強はする必要がある。
安価でとれるのならオリオールズと契約にこぎつけながらメディカルチェックで引っかかったバルフォアやオリオールズ移籍後思うような結果を残せなかったK-RODといったキワモノに手をだしていみるのもいいかもしれない。
しかし先発ローテ補強の方が急務であり、そちらが補強できれば余剰人員をリリーフに回すこともできる。
あくまでリリーフ強化はセカンドオプションだ。


”総括”
結局のところ大きな補強をしたとは言え一気に優勝候補と言われるだけのチームにはまだなれていない。
本拠地の特性を考えれば投手力強化が最優先で、優勝候補になるためには有力な先発投手獲得が必要な状態だ。
面白い若手が複数いるため彼らがブレイクしてくれるのであれば面白いが今後の動向次第ではトレードの駒になる選手も出てくるかもしれない。
個人的に今後マリナーズが獲得すべき選手だと思うのはサンタナ、K-RODの二人だが、プライスを獲得できるのならその方がいいだろう。



2013年12月26日木曜日

イケメンメジャーリーガー特集

今回は選手の実績や実力など全く関係がない、単純にハンサムなメジャーリーガーを探していこうという企画だ。
こういう感覚は往々にして人の価値観に左右されるため、あくまで私自身がかっこいいと感じる選出なのでもしかすると「これがイケメン・・・?」と感じる方もいるかもしれないがそこはご了承願いたい。

☆CJ・ウィルソン(エンジェルス)

ハリウッドスターだと言われても違和感がないMLBを代表するハンサム。投手としての実力も折り紙つきで、まさに非の打ち所がない。

☆ジョシュ・レディック(アスレチックス)










日本開幕戦で来日したこともあるイケメン外野手。今季はヒゲを伸ばしていたためわかりづらかったが、ヒゲがなければ女性人気がかなり高そうな正統派イケメンだ。

☆コール・ハメルズ(フィリーズ)














ハンサムという言葉がよく似合いそうなフィリーズのエース。彼の夫人もまた美人として有名だ。

☆デビッド・ライト(メッツ)










WBCでの活躍で”キャプテン・アメリカ”の通り名もついてMLBを代表する三塁手。その笑顔とたくましい身体は男が憧れるハンサムだ。

☆ダスティン・アックリー(マリナーズ)














ヒゲがよく似合っておりもはや風格すら感じられるがこれでもまだ25歳の若手。全米2位指名の実力はまだ発揮できていないが外野手としてプレーすることになる来季は本領発揮か。

☆AJ・ピアジンスキー(レッドソックス)








MLBで最も嫌われている選手。こんな顔をしておきながらプロレス好きの武闘派というのもまたえげつない。

☆デレク・ジーター(ヤンキース)











言わずと知れたニューヨークの貴公子。年をとるにつれセクシーさにも磨きがかかってきた。まさに”ホット”な男で独身を謳歌するプレイボーイとしても有名。





2013年12月22日日曜日

FA市場最後の大物野手シンス・チューがレンジャーズと長期大型契約

レッズからFAになっていた31歳の韓国人外野手シンス・チューがレンジャーズと契約したことが発表された。
契約内容は7年130Mドルと報道されており、このオフの大型契約ではカノー、エルズベリーに次ぐ規模のものとなった。
レンジャーズの外野では若手のレオニス・マーティン、シーズン途中にトレードで加入したアレックス・リオスのレギュラーはほぼ確定しているが、ネルソン・クルーズがFAとなったことで空いた外野の一角にチューが入ることになるだろう。
過去の守備経験から見てもセンターにマーティン、ライトにリオス、レフトにチューという形になる可能性が高い。

チューは現在アジア人メジャーリーガーの中では最も能力の高い野手であり、過去に20本塁打20盗塁を3度達成している走攻守に優れた外野手だ。
ただ守備に関しては近年パフォーマンスが悪化しているため、今では守備面でウリにできるのは肩だけかもしれない。
それでもレフトでなら再び守備でも輝くことができるだろう。

打撃に関してはレギュラーに定着した2008年以降で打率.280 出塁率.370 OPS.810を下回ったのは2011年だけであり、この年は怪我の影響で満足なパフォーマンスを発揮することができなかったことを考えると近年はほとんど高いレベルで安定しており、特に出塁能力の高さはMLB全体でみても随一だ。
スピードはそこまで飛び抜けているわけではないが、20盗塁する力はもっており出塁能力の高さと合わせてリードオフマンとするには理想的なタイプの打者だ。
もちろん長打力もあるため打者に有利なアーリントンの性質を考えても20本塁打40二塁打を計算していいはずだ。
気になるのはここ2年左投手を極端に苦手としている点だが、これはもうほとんどの左打者の常であり諦めるしかないだろう。
キンズラーを失った攻撃面の穴はほぼ完全に埋まったと考えていい上に、今まで出塁能力の高い選手がそれほどいなかったレンジャーズとしてはチューとフィルダーという出塁マシーンを二人も加えられたことは朗報だろう。
チューは怪我のリスクも低くはないが、そこはDHのいるア・リーグのことで休養なども挟めばなんとかなるだろう。
問題は7年間彼が金額に見合うパフォーマンスを続けられるのかということだが、これは難しいだろう。
元々頑丈ではない選手だけに35歳あたりからガクッと成績が落ちてきてもおかしくない。
しかし最初の4年近くを2013年と同じ程度の活躍ぶりで過ごすことができるのならばトータルとしての収支はそう悪くはないだろう。
とにかく怪我をしないことが重要で、今季打線が湿りがちだったレンジャーズとしては得点力が大幅にアップしたことは間違いない。
同僚のダルビッシュもその恩恵を受けることは多いだろう。

また興味深いのは、レンジャーズが多国籍軍になっていっているという点だ。
主力の国籍をみてみると、
シンス・チュー 韓国
ダルビッシュ有 日本
レオニス・マーティン キューバ
ホアキム・ソリア メキシコ
ジオバニー・ソト プエルトリコ
エルビス・アンドラス ベネズエラ
エイドリアン・ベルトレ ドミニカ
ジュリクソン・プロファー オランダ
プリンス・フィルダー アメリカ
と野球が盛んなあらゆる国の選手が集まっている。
来季のラインナップ予想をしてみると

1 LF シンス・チュー(韓国)
2 SS エルビス・アンドラス(ベネズエラ)
3 3B エイドリアン・ベルトレ(ドミニカ)
4 1B プリンス・フィルダー(アメリカ)
5 RF アレックス・リオス(アメリカ)*プエルトリコ系
6 DH ミッチ・モアランド(アメリカ)
7 2B ジュリクソン・プロファー(オランダ)*キュラソー島
8 C  ジオバニー・ソト(プエルトリコ)
9 CF レオニス・マーティン(キューバ)
P  ダルビッシュ有(日本)

となんと内野だけでも実に5ヶ国が揃い、エースのダルビッシュも含めたレギュラー10人では8ヶ国が揃うのだ。
これほどグローバルなチームは国際化が進むMLBと言えども中々なく、非常に興味深い。
これだけの陣容を揃えたレンジャーズには来季大いに期待したい。
プホルス、ハミルトンなどが復活すればまだまだわからないエンジェルス、補強を繰り返し勝負にでているマリナーズ、盤石の投手陣を作り上げつつあるアスレチックス、そして攻守に充実度が増したレンジャーズとア・リーグ西地区はアストロズ以外の4チームが混戦模様でかなり面白い地区になりつつある。
来季最も注目される地区であることは間違いないだろう。






2013年12月21日土曜日

楽天イーグルスがケビン・ユーキリスを獲得

楽天イーグルスがメジャーリーガーのケビン・ユーキリスを獲得することが発表された。
契約内容は4Mドルに出来高が1Mと日本の基準ではかなり高額なものになっている。
この条件が高いか安いかは別にしてユーキリスがどういう選手なのかを見ていこう。
彼はMLBファンならば当然知っているはずの知名度が高い選手だ。
数年間にわたりレッドソックスの主力打者であり続け、映画にもなった『マネー・ボール』でもその存在は言及された。

彼の特徴はなんといってもその選球眼。
選球眼の重要性は言うまでもない。
優秀な打者でも3割強しかヒットを打つことができない中で、残りの7割のうちいくつアウトを減らせるかというのはこの選球眼にかかっているのだ。
打率3割でも選球眼がなく早打ちで出塁率が3割3分しかない打者ならば6割7分は凡退してしまうことになるが、打率2割5分でも出塁率が3割7分ある選球眼のいい選手ならば凡退は6割3分ですむ。
どれだけ凡退しないかという重要なツールが選球眼なのだ。
低打率でも出塁能力の高さとパワーで多大な貢献をしているという点では、今年の楽天ではこちらも元メジャーの大物であるアンドルー・ジョーンズの名前が挙がる。
AJは今季の打率.243 26本塁打 164三振と当たれば飛ぶだけの大砲に見えるが、四球を非常に多く選ぶために出塁率.391と高水準で他のほとんどの打者より凡退していないということになる。

そしてメジャーでの実績のあり方は違えど同じく出塁能力の高さに定評があるのがユーキリスである。
ただし彼は選球眼という一つのツールだけに絞ればAJよりも上で、MLB全体で見ても5本指に入るというレベルだった。
全盛期の彼は打率3割 40二塁打 20本塁打 出塁率4割という好打者で、MLB通算で打率.281 出塁率.382 OPS.861を記録している。
明らかに衰えてしまった今でもその選球眼だけはまだまだ一流の域にある。
近年メジャーではやっていけなくなり日本にやってきた実績ある野手たち(AJ、ロペス、マギーなど)の活躍ぶりを見るに、ユーキリスも日本ではある程度の復活は見込めるのではないかと思う。
問題なのは怪我の多さと、今季悩まされた腰の状態だ。
もし万全ならば来季は打率2割8分 20本塁打 出塁率4割 OPS8割5分前後は期待していいのではないかと思うが、怪我の状態次第では全く活躍できずに終わる可能性もある。
非常にリスキーな賭けではあるが近年の楽天の大物獲得傾向は日本人ファンにとってはなかなか面白いものであることは間違いない。




2013年12月19日木曜日

新たなスターに?ブレイク候補生 〈第三弾〉

第三弾は24~26歳のまだ伸びしろがある若手たちをピックアップする。

☆マット・アダムズ(25)
3試合しか出ていない2013年以外はマイナーでは未だに打率3割を切ったことがなく、マイナー通算成績打率.318 OPS.927と安定して好成績を残している。
メジャーデビューを果たした2012年はほとんど持ち味を発揮することができなかったものの本格的なメジャーシーズンとなった今季はシーズン途中でアレン・クレイグが離脱し出番がまわってくるなど幸運にも恵まれ17本塁打に加えOPS.800超えも記録した。
左投手を苦手としていたものの、フルシーズンレギュラーとしてプレーすれば30本塁打近く打つポテンシャルがあることを証明したことは間違いない。
体格的にもホームランバッターとしていつブレイクしてもおかしくはない。





☆ジェイソン・キプニス(26)
キプニスは既にMLBにおいて一定の地位を確立している二塁手の一人だ。
総合力を考えればリーグでも5本指に入るといっていいだろう。
しかし彼にはさらなるブレイクができるのではないかと思う。
デビューは2011年で、そこで高いポテンシャルを発揮すると初のフルシーズンとなった翌年は152試合に出場し14本塁打&31盗塁を記録した。
そして迎えた2013年は順当な成長を見せ走塁面での貢献度を維持したまま打撃成績を大幅に向上させたが、打率が向上させたことと同時に二塁打を大幅に増加させたことを評価したい。
二塁手というポジションを考えても将来的には殿堂入り候補にもなっているクレイグ・ビジオと似たようなタイプの選手になれるのではないだろうか。
ポテンシャルとしては3割30本30盗塁を記録できるものを持っており、来季はひとまず3割40二塁打20本30盗塁に期待したいところだ。
それができればリーグ最高の二塁手の一人になることができるだろう。





☆アンソニー・リゾー(24)
将来の主砲候補としてマイナーで活躍していたリゾーは2011年にAAAで大ブレイクし向かうところ敵なしという状態に。
しかしメジャー昇格するとペトコパークにも苦しみ芳しい成績は残せず翌年カブスがトレードで獲得することとなった。
2012年もAAAではさらに圧倒的な活躍をみせ、満を持して昇格すると87試合で15本塁打と今度はメジャーでも好成績を残すことに成功した。
初のフルシーズンとなった今季は30本塁打も期待されたが後半の失速もあってそこまでの活躍はできず低打率で23本塁打とまずまずで終わった。
しかしリーグ5位の40二塁打を放つなどやはり高いポテンシャルはみせることができた。
左投手に非常に苦しんでおり、おそらくこの弱点はそう簡単には克服できないが来季以降きっかけさえあれば本塁打王争いに絡んでくる可能性は低くない。





☆ウィルソン・ラモス(26)
過去には拉致された経験もあるベネズエラ人捕手がついに開化の予感。
今季序盤はカート・スズキがいたこともあって出番に恵まれなかったが本格的に正捕手となった7月から調子が上がり特に本塁打が大幅に増えた。
波が多くまだまだ課題も多いがこれが大ブレイクの兆しならば20本塁打以上を打てる強打の捕手として台頭できるはずだ。





☆クリス・デイビス(26)
クリス・デイビスといってもア・リーグの本塁打王ではない。
ファーストネームがCではなくKから始まる彼は強打の外野手として期待されてきた。
メジャーデビューこそ遅かったもののようやくメジャーに昇格した2013年は56試合で11本塁打と強打っぷりを見せつけた。
これを受けてブルワーズは青木をロイヤルズへトレードすることでブラウン、ゴメス、デイビスという強打の外野陣を形成することに成功した。
デイビスは来季最もブレイクを期待されている外野手の一人だと言っていいだろう。





☆アレックス・カッブ(26)
今季はメジャデビューから3年目にして防御率2点台。
相変わらずの制球の良さに加え奪三振率も向上させ怪我がなければ規定投球回に到達し最優秀防御率も狙えたかもしれなかった。
球威はそれほどではないものの非常に効果的なチェンジアップを投げこむ。
とにかく怪我にさえ気をつければ来季は優秀な2,3番手級の成績を期待できるはずだ。


2013年12月17日火曜日

田中のメジャー移籍が決定的に FA投手市場も動き出す?

MLB、NPB間で新ポスティング制度が締結され、これでこの問題は一応の解決を見たことになる。
この問題の中心にいたのは今オフメジャー挑戦の可能性が取り沙汰されていた田中将大とその所属球団楽天だ。
今季24勝0敗という圧倒的なパフォーマンスで歴史的シーズンを送った田中はその実力をMLB球団からも高く評価されており、従来のポスティングシステムならばポスティングフィーがダルビッシュと同等(50Mドル程度)かそれ以上になること間違いなしだった。
しかし今回締結された新制度では上限が20Mドルまでとなり、選手側はその上限に達した球団全てと交渉できるようになった。
そのため選手側としては移籍球団をある程度選べる上に契約内容の向上も見込めるようになった反面、所属球団としてはどんな選手でも上限が決まってしまっているためポスティングでの収入が従来低くなってしまったわけだ。
ビジネス的観点で見れば、この20Mドルを得ることとその選手が残留することでチームが得られるであろう収入を天秤にかけて考えるべきであり、今回の楽天はまさにそうだった。
楽天側は当初田中のメジャー移籍を容認する姿勢を見せていたものの、新制度が固まってくると難色を見せるようになった。
それもそのはず50億円はくだらないと思っていたものが約20億円まで下がってしまったからだ。
実際田中を放出してしまうと楽天が来季も優勝する可能性は大きく下がってしまう。
そう考えると楽天側の動きも当然のものに思える。
しかし今回どうやら楽天三木谷社長は田中の夢を尊重することにしたようで、メジャー移籍を容認するという。

これによってMLB球団の動きも変わってくる。
今オフのFA市場は、カノーなどの大物野手たちが積極的な動きを見せた反面投手の動きは低調だった。
サンタナ、ヒメネス、ガーザ、バーネットなどの2,3番手クラス以上の先発投手がまだ大きな動きを見せていないのだ。
これはおそらく田中の影響だろうと思う。
田中は年齢的にも市場価値が彼らよりも高く、今オフのFA市場(正確には田中はFAではないが)でも1,2を争う人気銘柄だ。
もちろんMLBでの実績はないが、ダルビッシュ、黒田、岩隈といった先駆者たちのパフォーマンスから、田中も適応できればエース級の活躍をするであろうことが容易に想像できる。
上限が20Mドルに定まったことで(しかもポスティングフィーはぜいたく税に含まれない)先発投手を必要とする球団はこぞって手を挙げるはずだ。
おそらくヤンキースやレンジャーズなどは特に本腰を入れてくるだろう。
そうなれば交渉権を落札できなかった球団、あるいは交渉の末見込みなしと判断した球団が上記の先発投手たちの獲得へと走ることになる。
まずは田中のメジャー移籍表明とポスティング落札の行方を楽しみにしたい。


新たなスターに?ブレイク候補生 〈第二弾〉

第二弾はデビューしてそれほど時間が経っていない選手を中心に紹介する。

☆ソニー・グレイ(24)
2011年ドラフトで1巡目全体18位指名されてアスレチックスに入団し、その後順調に成長を続けついに2013年にデビューした。
2012年まではそれほど奪三振力も高くなく制球も、まずまずといった感じだったがAAAでスタートした2013年には奪三振力が大幅に向上した。
身長は低いのだが小さな身体から平均93mph前後の速球と鋭く落ちるカーブを武器に初のプレーオフでも堂々とした投球を見せた。
来季は2,3番手クラスのパフォーマンスを期待していいだろう。




☆トレバー・ロゼンタール(23)
2012年にメジャーデビューすると最速100mphを越える豪腕で打者をねじ伏せ存在感を見せつけた。
フルシーズン1年目となった2013年はさらにパフォーマンスを向上させ、球速の方でも101mphを計測した。
ポストシーズンでは完全に守護神となり、11.2回を4安打18奪三振3四球という圧巻の内容で4セーブをあげチームに大いに貢献している。
日本では上原ばかりが話題になったワールドシリーズだったが、カージナルスの側にも怪物的クローザーがいたのだ。
彼の凄いところはこれだけの剛球を持ちながら制球も悪くないところで、こういう投手は毎年安定して活躍する可能性が高い。
来季はいきなり40セーブしたとしても誰も驚かないだろう。




☆マーティン・ペレス(22)
ペレスは常にレンジャーズ傘下で最高の投手という評価を得てきた。
ベネズエラ出身でチェンジアップをウィニングショットとする左腕としてヨハン・サンタナとも比較されていたのだ(身長など体格的な面でもほとんど変わらない)。
しかし近年そんな評価は徐々に落ち始め、2012年にはメジャーデビューを果たしたもののAAAとメジャー両方でのパフォーマンスが芳しくなかったことで拍車がかかった。
しかし今季はマイナーで安定した投球をみせ5月にメジャー昇格すると悪くない投球を続け後半戦は完全にローテーションに定着してみせた。
まだまだ課題はあるもののレンジャーズはこれを受けて4年12.5Mドル(3年のオプション付き)の長期契約を結ぶなどその期待度はかなり高い。
来季は開幕から先発ローテーション入りするはずで、ダルビッシュ、ホランドに続く3番手として活躍できるか期待だ。




☆ゲリット・コール(23)
コールに関しては説明するまでもない。
2011年全体1位指名投手であり、最速101mphの稀代の豪腕だ。
先発投手としての球速は現在のMLBで5本指に入るレベルであり、そのポテンシャルはバーランダー級。
ここまで特に大きな壁にぶつかることなく順調に道を歩んでおり、それぞれのレベルに適応する能力が非常に高い。
今季メジャーデビューしてしばらくはあまり奪三振が伸びなかったのだが、終盤になってくると12奪三振も記録するなどパフォーマンンスが大きく向上していた。
驚くべきはその制球力の高さであり、球威と制球を両立させている点が彼が偉大な投手になる可能性を示唆している。
今後数年でMLBを代表する先発投手になる可能性は非常に高い。




☆ビリー・ハミルトン(23)
ハミルトンに関しては他に一つ記事を作っているため、詳しくはそちらを参照してもらいたい。
異次元のスピードスター ビリー・ハミルトン”←記事はこちら
とにかく彼は速いの一言。
現役では唯一100盗塁を狙える選手だろう。




☆トニー・シングラニ(24)
彼に関してもハミルトン同様過去に記事にしたことがあるので参照してもらいたいのだが、彼の特徴はなんといっても速球ゴリ押しスタイル。
新人王レースに躍り出たナ・リーグの奪三振マシーン”←記事はこちら
投球割合の80%は4シームであり、しかもMLB平均より少し上程度と特別速いわけでもない。
それでも速球とたまに投げる変化球のコンビネーションだけで三振を量産してしまう。
どこまでこのスタイルを続けていけるのかというところに興味がわいてしまう不思議な投手だ。




☆マイケル・ワカ(22)
ポストシーズンでの活躍ぶりで一躍全国区となったルーキーだが、1巡目全体19位指名と決してポット出の投手ではない。
長身から投げ下ろす93mph前後の速球とチェンジアップのコンビネーションで奪三振力が高く制球も悪くない。
カージナルスには同じく長身でリーグを代表する先発投手のウェインライトという手本になる選手もおり、この若さでワールドシリーズまで経験しただけあって来季の期待度も非常に高い。


2013年12月15日日曜日

新たなスターに?来季ブレイク候補生 〈第一弾〉

今回は知名度はそれほど高くないものの来季ブレイクしそうな20代の選手をピックアップしていく。
もしかすると来季いきなりタイトル争いに絡んだりする選手がこの中から出るかもしれないの要注目だ!

☆アンドリュー・キャッシュナー(27)
2011年までカブスでプレーし、トレードで翌年からパドレスでプレーしている剛球投手。
とにかくその魅力は速球で、こういう投手にありがちな制球難も持ち合わせていたのだが今季は主に先発としてプレーしたことで制球が安定。
反面奪三振力は落ちてしまったが先発投手としての安定感はかなり向上した。
今季最後の7登板で7連続QS&7イニングと抜群のパフォーマンスで1安打完封勝利した試合もあった。
ペトコパークに助けられている側面もあるが、来季は200イニング&二桁勝利&防御率3点台とエース級の投球が期待できる。





☆タイソン・ロス(26)
こちらも同じくトレードされパドレスでプレーしている投手。
アスレチックスでは期待されながらもそれに見合う成績を残すことはできなかったが、投手有利のペトコパークへ来たことでパフォーマンスは一気に向上。
独特のフォームから投じられる94mph前後の速球とウィニングショットになったスライダーで三振をとりまくる。
来季は開幕からローテーションに定着し、キャッシュナー同様200イニング&防御率3点台を期待していいだろう。





☆エリック・ホズマー(24)
2011年にメジャーデビューして好成績を残し、大いに期待されながらも2012年は酷い成績に終わった。
それでもやはりポテンシャルは流石のもので、2013年も序盤不調ながら6月に入ってから徐々に盛り返し終わってみれば初の打率3割とOPS.800越えを記録。
守備も向上しロイヤルズ躍進の立役者にもなった。
6月以降はほとんど好不調がなく、これはついに本物になったと考えていいのではないだろうか。
3割20本100打点はもちろんのこと、いきなり首位打者争いをするようになったとしても不思議ではない。





☆ダニー・ファークァー(26)
イチローとのトレードでマリナーズへやってきた当時はそれほど期待されておらず、2012年もメジャーでプレーすることはなかった。
その期待度が低いまま2013年を迎え、5月に昇格したもののそれなりに打たれていた。
しかし8月に入りウィルヘルムセンの代わりにクローザーになるとパフォーマンスは一変し、防御率2点台に失敗は2度だけという好投を見せた。
奪三振力と被本塁打の少なさは特筆もので、それがFIPなどにもあらわれている。
来季勝負をかけるマリナーズのクローザー候補の一人であり、今後大化けする可能性もある。





☆ネイサン・イオバルディ(23)
ドジャース時代から将来のエース候補と見込まれていた剛速球投手。
マーリンズへ移籍してからは先発ローテーションの一角としてプレーしているが、特筆すべきはやはり平均96mphにも達する剛速球。
スピードの割に奪三振力に乏しいのが玉に瑕だが、被本塁打が少なくもう少し制球が安定してくれば一気に化ける可能性がある。
怪我にさえ気をつければ数年後はフェルナンデスとともにマーリンズのダブルエースとして君臨していてもおかしくないだろう。





☆ブランドン・ベルト(25)
マイナーでの驚異的な活躍から満を持してデビューしたものの伸び悩んでいる印象があったが、今季は150試合に出場し39二塁打、17本塁打を放つなどブレイクの兆しを見せている。
AT&Tパークは左打者に本塁打が出づらいという性質上本塁打がある程度少なくなるのは仕方なく、その証拠に今季はホームで6本塁打に対してアウェイでは倍近い11本塁打を放っている。
マイナー時代から選球眼がいいためこのまま成長して40二塁打、20本塁打を打つ中距離打者になれれば最終的にOPS.900も超えてくるようになるはずだ。
理想系はジョーイ・ボットーのような打者か。
この2年間常に成長し続けているため、来季が非常に楽しみでもある。





☆イバン・ノバ(26)
サバシアは不調、黒田も高齢と軸になる投手のパフォーマンスが落ちてきている中、ヤンキースの次代のエースとして名乗りを上げたのがノバだ。
元々あまり評価が高くなく、2011年には16勝したがその実力には懐疑的な意見も多く翌年案の定防御率5点台と不調に陥った。
今季もスタートダッシュには失敗したものの、中盤あたりからパフォーマンスが安定し始めオールスター以降に関してはエース級の活躍を見せていた。
今までとは違う点は奪三振が多く四球や被本塁打は少ないという好投手の条件が揃ったことだ。
2度の完封を記録するなどはまった時の投球は侮れず、来季のヤンキースの投手の中で最も期待できる。




2013年12月12日木曜日

本気になったマリナーズがさらなる補強に着手

来季にかけるマリナーズの本気度はロビンソン・カノーを10年契約で獲得したことからも伺える。
既にこのオフの主役の1チームとなってなお、このチームはまだ補強の手を緩めるつもりはないようだ。
まずはブルワーズからFAになっていたコリー・ハートを1年6Mドル(出来高を含めれば最大7Mドル)で獲得した。
ハートは怪我が少なくない選手で、2013年は全休したため市場価値が下がっていたが直近3年連続で25本塁打&OPS.840以上という実績が示す通り怪我さえなければ30本前後を打つ主軸として期待できる選手だ。
一塁と外野を守ることができ、場面によって使い分けができるという点も素晴らしい。
年齢的にも31歳と悪くなく、これだけの選手を格安で獲得できたのは怪我が多いとは言え予想外だった。
マリナーズとしては是非とも欲しかった右打ちの強打の外野手だっただけに、まさにドンピシャの補強と言える。

またトレードでこちらも一塁と外野を守ることができる左打ちのローガン・モリソンを獲得した。
あまり層が厚いとは言えない外野を補強したということなのだろうが、トレード要員として放出したのがカーター・キャップスだったためにこちらは個人的には少々不可解なトレードだ。
キャップスは2年目の今季も好成績は残せていないものの23歳で100mph越えの速球を投じることができる将来のクローザー候補でもあった。
対して獲得したモリソンは低打率でパワーも特筆すべきほどではないない選手。
26歳と比較的若いが、マリナーズはリリーフもそれほど強力とは言い難いため、どうせ若い選手に賭けるならばキャップスの方がよかったのではないだろうか。
似たようなタイプで24歳のプライアーが使えそうな目処が立ったのでキャップスの方を放出したということなのだろうが、個人的にはどうせトレードの駒として使うなら複数絡めてもっと大物がとれたのではないかとも思う。
まあ決まってしまったものは仕方ないので両選手の活躍を願いたいのだが、いよいよ来季のマリナーズの陣容が楽しみになってきたのも事実。
これで現状予想されるラインナップは
C  マイク・ズニーノ
1B コリー・ハート
2B ロビンソン・カノー
3B カイル・シーガー
SS ニック・フランクリンorブラッド・ミラー
LF ローガン・モリソン
CF ダスティン・アックリー
RF マイケル・ソーンダース
DH ジャスティン・スモークorヘスス・モンテロ
といったところだが、ズニーノフランクリン、ミラーといった若い選手はプライス獲得が実現すればトレードされる可能性も高い。
今オフのマリナーズを見るにまだまだ動きはありそうで、その動向から目を離せない。

本塁上のタックルに関するルールが改正

2011年からMLBが引きずってきた問題に一つの決着がついた。
きっかけになったのは2011年5月25日のジャイアンツ対マーリンズの試合。
2010年に正捕手として定着し新人王も獲得したジャイアンツの期待の星バスター・ポージーが本塁上でのクロスプレーにより重傷を負い、一時は選手生命さえも危ぶまれた。
幸運にも2012年にはそんな大怪我から見事復活し、首位打者、オールスター最多得票、MVP、カムバック賞、ワールドチャンピオンとMLBを席捲し、名実ともにスーパースターへと名乗りを上げたのだ。
しかし、これだけの才能がたったのワンプレーで潰れてしまいかねなかったという可能性に加え、少なくとも2012年は全休するほどの重傷を負ったという事実から、アメリカではこの”本塁上でのクロスプレー”について物議を醸した。

このことに関する話題は日本でも事欠かない。
日本対アメリカの高校生同士での試合で行われたタックルや、NPBにおける外国人選手のタックルなどファンの間でも何度も議論が行われてきたはずだ。
アメリカ人というのは基本的に接触プレーを好む気質があり、だからこそアメフトがあれだけの人気を誇り、バスケやアイスホッケーを含む4大スポーツと呼ばれている。
そういうギリギリのせめぎ合いを楽しむアメリカ人としてはクロスプレーというのもエンターテインメントの一つであり、ランナーをブロックする、あるいはタックルで点をもぎ取るシーンは楽しみの一つでもあった。
しかしMLBを代表するスター選手や、そうなる可能性を秘めた若手選手などが不必要なワンプレーのために選手生命を絶たれるようなことがあれば、それはMLB全体の損失にほかならない。
クロスプレーがなくなって面白みが減ったとしても、スター選手が何人も消えていくことを考えれば随分とマシだろう。
今回MLBは本塁上でのクロスプレーをなくすことを投票で決定した。
これが選手会で承認されれば来季から適用されることになる。
少しのあいだはファンも選手も戸惑うことが少なくないだろうが、それも全てはMLBの利益を守るためのものだ。
MLB機構は常に前を向いて進歩している。
それを感じさせてくれるこの英断を、私は一ファンとして歓迎したい。

2013年12月11日水曜日

エンジェルス、ダイヤモンドバックス、ホワイトソックス間で三角トレードが成立

ウィンターミーティングに入り恒例の三角トレードが早速成立した。

タイラー・スキャッグス、ヘクター・サンティアゴ ⇒ エンジェルス

マーク・トランボ ⇒ ダイヤモンドバックス

アダム・イートン ⇒ ホワイトソックス

以前から噂が出ていたトランボをエンジェルスが放出し、ダイヤモンドバックスとホワイトソックスからそれぞれ若い投手を獲得した形になった。
ダイヤモンドバックスはイートンとスキャッグスという若いプロスペクトを放出して長距離砲のトランボを、ホワイソックスはサンティアゴを放出し若い外野手を獲得。

エンジェルスが放出したトランボは2011年にルーキーイヤーで29本塁打を放ち翌年は32本、そして今季は34本とそのパワーには疑いがない選手。
しかし現在27歳で打撃の粗さにはあまり改善が見られなかったため、放出の可能性は何度も取り沙汰されてきた。
一体誰とトレードするのかと注目されてきたが、今回は左の先発投手を二人を獲得することになった。

まずホワイトソックスから獲得したヘクター・サンティアゴはもうすぐ26歳になる左腕だ。
2011年にメジャーデビューを果たし翌12年には主にリリーフとしてまずまずの活躍ぶりを見せた。
今季は先発登板の試合数が増え、まずまずの好投を見せていた。
彼は92mph前後の動く速球を軸にチェンジアップやカーブを織り交ぜていく投球スタイルなのだが、三振を多くとれる反面四球もかなり多いという弱点がある。
四球で自滅してしまうこともあり、三振も四球も多いという点ではCJ・ウィルソンとは少し似ているかもしれない。
また打者有利なホワイトソックスでプレーしていたため、エンジェルスに移籍することで成績自体は改善される可能性は高いと思われる。
先発ローテーションで使っていくのならば来季は180回 防御率3.60くらいを期待していいのではないだろうか。
左のバルガスがぬけた分をしっかり埋められたというのは朗報だ。

もう一人のダイヤモンドバックスから獲得した22歳のタイラー・スキャッグスは、以前エンジェルスがドラフト1巡目指名しエンジェルスのマイナーでプレーしていた投手だ。
しかしダン・ヘイレンが絡んだトレードの際にダイヤモンドバックスに移籍し、2012年ダイヤモンドバックスでメジャーデビューを果たした。
球威はないが大きく変化するカーブが武器で、奪三振力も高い。
来季はローテーションの5番手を担う可能性もあり、若いプロスペクトだけあって期待したい。

これでエンジェルスの先発ローテーションはJ・ウィーバー、CJ・ウィルソン、G・リチャーズ、H・サンティアゴ、T・スキャッグスとある程度固めることができた。
年齢的にも若返りできたという点は大きく評価したい。
しかし気になるのはやはり打線の軸だったトランボを失ったこと。
これで20本塁打を期待できるのはトラウト、プホルス、ハミルトンの3人しかいなくなってしまった(しかもプホルスとハミルトンは来季どれくらいの成績を残せるのか予想もつかない)。
投手の将来性が高まった反面打線が弱体化してしまった感は否めず、今後強打者の補強はあるのか、それともカルホーンなど既存の選手のブレイクに期待するのか注目だ。


さて続いてトランボを獲得したダイヤモンドバックスに目を向けてみよう。
ダイヤモンドバックスはこのトレードで最も出血を少なく済ませたチームである。
外野手のイートンは確かに将来有望な選手ではあったが、怪我でパフォーマンスを落としていた上に他にAJ・ポロックやアルフレッド・マーテなどの若い外野手が複数いるため代わりを探すのは簡単だ。
スキャッグスが抜けた投手にしてもチャールズ・ブルワーやジーク・スプロールなどの若手がまだいる上に先発ローテーションは埋まっていたためあまりダメージはない。
そればかりかトランボを獲得したことでゴールドシュミットの後ろにおいて彼をサポートする体制が出来上がった。
30本を打てる打者が二人並ぶのはやはり相手チームにとっては大いに脅威になるだろう。


最後にイートンを獲得したホワイトソックスだが、サンティアゴ放出のダメージは小さくはない。
セール、キンターナとともに三本柱となる予定だったサンティアゴが抜けたことで、ダンクスやリエンゾなど信頼するには物足りない投手に頼るしかなくなってしまったからだ。
しかしラミレス、デアザくらいしかスピードのある選手がいない状況で若いスピードスターが欲しかったという事情もあってイートン獲得に踏み切った。
しかしこれでイートン、デアザ、ビシエド、ガルシアと外野手候補が4人になっているため、ホワイトソックスがどういう起用法を見せるのかに注目したい。

2013年12月10日火曜日

ロイ・ハラデイ引退 3監督が殿堂入り

2000年代最高の投手の一人ロイ・ハラデイが引退を表明した。
36歳と引退するにはまだ早いようにも思えるが、2013年は防御率6.82、自慢の制球力もBB/9が5.23にまで落ち込むなどパフォーマンスの低下は明らかだった。
ブルージェイズでキャリアをスタートさせたハラデイは1998年にメジャーデビュー。
2002年には19勝を記録して一気に名を上げ、翌03年には22勝で最多勝も獲得し初のサイ・ヤング賞も受賞した。
その後怪我もありながら2006年から6年連続220イニング以上を記録するなどMLB最高のイニングイーターとして活躍し、フィリーズへ移籍した2010年には21勝で再び最多勝とサイ・ヤング賞を獲得した。
16年のキャリアで積み上げた成績は203勝105敗 防御率3.38 2749.1回 2117奪三振 67完投 20完封 WHIP1.18と超一流。
獲得したタイトルは最多勝2回 サイ・ヤング賞2回 オールスター8度と一時代を築き上げた投手でもあった。
彼の優れた点は、分業制がしっかりしており球数制限もあるMLBにおいて飛びぬけた完投数を誇ったことやキャリア中盤までを強豪揃いのア・リーグ東地区において過ごした点だ。
2000年代後半は間違いないくMLB最高の先発投手であり、時代を代表する選手の一人だったと言える。
残念ながらギリギリ200勝と勝数が少ないため投票による殿堂入りは難しそうだが、これ以上晩節を汚さずに引退するという決断はプロフェッショナルに徹していたハラデイらしい。
彼はキャリアの多くを過ごしたトロント・ブルージェイズと1日契約を交わし、最後をブルージェイズの選手として終える予定だ。




ハラデイ引退と同時にもう一つ大きなニュースがあった。
それがトニー・ラルーサ、ボビー・コックス、ジョー・トーリの3監督の殿堂入りだ。
ラルーサは2728勝2365敗で勝利数歴代3位、コックスは2504勝2001敗で歴代4位、2326勝1997敗で歴代5位といずれもMLB史に名を残す名将揃い。
1月には選手の殿堂入りも発表されるが、グレッグ・マダックスとトム・グラビンが選出されコックスとブレーブス勢3人同時殿堂入りができるか注目だ。

2013年12月9日月曜日

2013年版オールMLBチームを選ぼう!

現在シーズンが白熱しているNBAでは、オールNBA1stチーム、オールNBA2ndチーム、オールNBA3rdチームというアワードがある。
日本のプロ野球で言うならベストナインがオールNBA1stチームに値するが、NBAにはそれが3rdまで存在するのが特徴だ。
NPBやMLBにはないこのアワードを、今回は私の独断と偏見でオールMLB1stチームから3rdチームまで選出してみようと思う。
もちろん参考にするのは2013年のパフォーマンスのみで、過去の実績は全く考慮しない。
選出するのは野手がDHを含めた9ポジション、投手はスターター、セットアッパー、クローザーの3ポジションの合計12選手ずつだ。

オールMLB1stチーム

SP クレイトン・カーショウ(ドジャース)
16勝9敗 防御率1.83 236.0回 232奪三振 WHIP0.92

SU マーク・メランソン(パイレーツ)
3勝2敗 16セーブ 26ホールド 防御率1.39 71.0回 70奪三振 WHIP0.96

CL クレイグ・キンブレル(ブレーブス)
4勝3敗 50セーブ 0ホールド 防御率1.21 67.0回 98奪三振 WHIP0.88

C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
136試合 打率.319 12本塁打 80打点 出塁率.359 OPS.836 3盗塁

1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
160試合 打率.302 36本塁打 125打点 出塁率.401 OPS.952 15盗塁

2B ロビンソン・カノー(ヤンキース)
160試合 打率.314 27本塁打 107打点 出塁率.383 OPS.899 7盗塁

3B ミゲル・カブレラ(タイガース)
148試合 打率.348 44本塁打 137打点 出塁率.442 OPS1.078 3盗塁

SS トロイ・トゥロウィツキ(ロッキーズ)
126試合 打率.312 25本塁打 82打点 出塁率.391 OPS.931 1盗塁

LF マット・ホリデイ(カージナルス)
141試合 打率.300 22本塁打 94打点 出塁率.389 OPS.879 6盗塁

CF マイク・トラウト(エンジェルス)
157試合 打率.323 27本塁打 97打点 出塁率.432 OPS.988 33盗塁

RF ジェイソン・ワース(ナショナルズ)
129試合 打率.318 25本塁打 82打点 出塁率.398 OPS.931 10盗塁

DH デビッド・オルティズ(レッドソックス)
137試合 打率.309 30本塁打 103打点 出塁率.395 OPS.959 4盗塁


オールMLB2ndチーム

SP マックス・シャーザー(タイガース)
21勝3敗 防御率2.90 214.1回 240奪三振 WHIP0.97

SU デビッド・ロバートソン(ヤンキース)
5勝1敗 3セーブ 33ホールド 防御率2.04 66.1回 77奪三振 WHIP1.04

CL グレッグ・ホランド(ロイヤルズ)
2勝1敗 47セーブ 0ホールド 防御率1.21 67.0回 103奪三振 WHIP0.87

C  バスター・ポージー(ジャイアンツ)
148試合 打率.294 15本塁打 72打点 出塁率.371 OPS.821 2盗塁

1B クリス・デイビス(オリオールズ)
160試合 打率.286 53本塁打 138打点 出塁率.370 OPS1.004 4盗塁

2B マット・カーペンター(カージナルス)
157試合 打率.318 11本塁打 78打点 出塁率.392 OPS.873 3盗塁

3B エイドリアン・ベルトレ(アスレチックス)
161試合 打率.315 30本塁打 92打点 出塁率.371 OPS.880 1盗塁

SS イアン・デズモンド(ナショナルズ)
158試合 打率.280 20本塁打 80打点 出塁率.331 OPS.784 21盗塁

LF ジャスティン・アップトン(ブレーブス)
149試合 打率.263 27本塁打 70打点 出塁率.354 OPS.818 8盗塁

CF アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
157試合 打率.317 21本塁打 84打点 出塁率.404 OPS.911 27盗塁

RF マイケル・カダイヤー(ロッキーズ)
130試合 打率.331 20本塁打 84打点 出塁率.389 OPS.919 10盗塁

DH ビクター・マルチネス(タイガース)
159試合 打率.301 14本塁打 83打点 出塁率.355 OPS.785 0盗塁


オールMLB3rdチーム

SP アダム・ウェインライト(カージナルス)
19勝9敗 防御率2.94 241.2回 219奪三振 WHIP1.07

SU タナー・シェパーズ(レンジャーズ)
6勝2敗 1セーブ 27ホールド 防御率1.88 76.2回 59奪三振 WHIP1.07

CL 上原浩二(レッドソックス)
4勝1敗 21セーブ 13ホールド 防御率1.09 74.1回 101奪三振 WHIP0.57

C  ジョー・マウアー(ツインズ)
113試合 打率.324 11本塁打 47打点 出塁率.404 OPS.880 0盗塁

1B ジョーイ・ボットー(レッズ)
162試合 打率.305 24本塁打 73打点 出塁率.435 OPS.926 6盗塁

2B ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)
160試合 打率.301 9本塁打 84打点 出塁率.372 OPS.787 17盗塁

3B ジョシュ・ドナルドソン(アスレチックス)
158試合 打率.301 24本塁打 93打点 出塁率.384 OPS.883 5盗塁

SS アンドレルトン・シモンズ(ブレーブス)
157試合 打率.248 17本塁打 59打点 出塁率.296 OPS.692 6盗塁

LF スターリング・マーテ(パイレーツ)
135試合 打率.280 12本塁打 35打点 出塁率.343 OPS.784 41盗塁

CF カルロス・ゴメス(ブルワーズ)
147試合 打率.284 24本塁打 73打点 出塁率.338 OPS.843 40盗塁

RF ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ)
118試合 打率.259 28本塁打 73打点 出塁率.358 OPS.856 7盗塁

DH ビリー・バトラー(ロイヤルズ)
162試合 打率.289 15本塁打 82打点 出塁率.374 OPS.787 0盗塁


総合WAR(fWARを使用)で見ると1stチームが65.7、2ndチームが54.8、3rdチームが57.3という結果になっている。
案外攻守のバランスが最もとれていて強いのは3rdチームなのかもしれない。

2013年12月7日土曜日

注目のロビンソン・カノーがマリナーズと10年契約に合意

今オフ最も注目されていたロビンソン・カノーがついにニューヨークから離れてプレーすることを決断した。
移籍先はマリナーズで契約内容は10年240MドルとMLB史上3番目に大きな契約となる。
カノーは当初10年300Mドルの史上最高契約を希望していたが流石にそれはヤンキースに受け入れられず、お互いある程度歩みよってはいたが熱心に彼を欲しがっていたマリナーズがついに年がの強打者を手に入れることになった。
マリナーズはプリンス・フィルダーやジョシュ・ハミルトンがFAになった際も興味を示していたがチームの弱さや打者に不利な本拠地の性質から強打者にはやや敬遠されがちなチームだった。
しかし今季はフェンスの位置を手前にもってきた効果かチーム本塁打数はリーグ2位にまで激増し、本塁打が出ない球場ではなくなったということを印象づけた。
特に左のラウル・イバニエスやカイル・シーガーなどが多く本塁打を放っており、左打者にはそれほど不利な球場ではなくなりつつある。
カノーの打力があればセーフコ・フィールドでも3割25本塁打近い数字を毎年残していくことができるだろう。
これでマリナーズは念願の主砲を手に入れたことになるが現時点で予想される内野のラインナップとしては1Bジャスティン・スモーク、2Bカノー、3Bシーガー、SSニック・フランクリンとなるはずだ。
有望株のフランクリンはデビューイヤーとなった今季は主に2Bでプレーしていたが、カノーの加入によりSSへと戻ることが濃厚となる。
今季終盤SSでプレーしていたブラッド・ミラーとはポジション争いになるかもしれない。
マリナーズはその陣容を見てもわかる通りかなり若手主体のチームで、カノーが加入してもなおレギュラーは20代の選手が多い。
ここから右で強打の外野手などを補強しない限りは、打線は来季カノーが期待通りの結果を残せるか、フランクリン、マイク・ズニーノ、アブラハム・アルモンテ、スモーク、ジャスティン・アックリーなどの若手野手がブレイクできるかどうかにかかってくる。
彼らが揃ってブレイクするのならば打線は非常に強力なものになることは間違いないし、誰もブレイクできなければ今季と変わらず本塁打だけ多く得点効率があまり良くない打線になってしまうはずだ。
長年得点力不足に喘いでいたが、これを機に変わることができるのかかなり注目のチームだ。

加えてマリナーズは投手も楽しみなチームだ。
フェリックス・ヘルナンデスと岩隈久志という2人の大エースがおり、どちらもサイ・ヤング賞級の成績を期待できる。
今季はこの二人以外あまり機能しなかったのが現状なのだが、投手の方も来季は若手にかなり期待できる。
デビューしたばかりのジェームズ・パクストン、タイワン・ウォーカーの二人は今季かなりの好投を見せており来季の先発ローテーションを担う可能性が高く、最後の枠も制球力の高いエラスモ・ラミレスが入ることになるだろう。
彼が期待通りの活躍をすれば一転非常に強力な先発ローテーションにもなりうる。
リリーフにも期待の若手がおり、終盤クローザーに定着したダニー・ファークァーやスティーブン・プライヤーやカーター・キャップスといった若手の豪腕投手もブレイクイヤーとなる可能性が高い。
他にも若いながら結果を残しつつある投手が複数おり、将来性は非常に豊かだ。

あくまで野手、投手ともに期待通りにブレイクすればという前提だが、アストロズ以外はどこにも優勝の目があるア・リーグ西地区においてマリナーズにも来季プレーオフ進出の可能性は出てきたと言えよう。
そのためにはまず今回新たに加入するカノーが期待通り活躍することは必要不可欠であり、彼がヤンキースで培った勝利のメンタリティをマリナーズに持ち込むことができれば、地区優勝というのもそれほど遠い目標ではなくなるはずだ。
マリナーズとカノーにとって重要なのは最初の5年間。
この5年のうちマリナーズが地区優勝を決めワールドシリーズ進出することができれば、残りの5年間は度外視しても成功と言っていい契約となるだろう。

また、カノーを失ったヤンキースは大幅に得点力が落ちることは間違いない。
なにせ彼はチームで最も安定していた打者であり、チームにおける存在の大きさという点ではタイガースにおけるミゲル・カブレラをもしのぐといっても過言ではない選手だった。
ヤンキースはすでに二塁手候補としてケリー・ジョンソンに白羽の矢を立てているが、来季は長打力と内野守備に苦しむことは間違いないだろう。



黒田がヤンキースと1年契約で合意 グランダーソンはメッツへ移籍

日本人メジャーリーガー黒田博樹の去就が決定した。
多方の予想通りヤンキースとの再契約で、16Mドルに0.25Mドルのイニングボーナス付きの1年契約だ。
2013年は15Mドルの契約だったため、約1Mドル上がったことになる。
今季はの活躍ぶりは周知の通り年間通してエース級であり、サバシアが不調の中粘り強く投げたためかなり妥当な契約となった。
高齢ながら近年は毎年1年契約を結んでいくあたり黒田らしさがよく出ている。
力の出るうちにいつか広島に戻りたいという発言もしているが、それはまだ先の話になりそうだ。
今季終盤に不調に陥ったためやはり年齢による体力の低下は隠せないのかもしれないが、それでも来季もその優れた投球術である程度の結果を残してくれるだろう。
高額ながら1年契約のためリスクも低く、球団としてはかなりありがたい存在だ。
黒田残留が決まり来季のヤンキース先発ローテーションもある程度固まった。
CC・サバシア、黒田博樹、イバン・ノバ、マイケル・ピネダの4人はほぼ確定で、ここにアダム・ウォーレンデビッド・フェルプス、ビダル・ヌノなどいずれもメジャー経験が浅い投手で最後の椅子を争うことになる。
FA市場にはまだ30歳前後の好投手も残っているため、あるいはそこから投手を補強しウォーレン、フェルプス、ヌノを全てリリーフに回すという手もある。
サバシアとピネダが復活し黒田が例年に近い活躍をし、ノバが今季ブレイクした通りの実力を発揮できればヤンキースローテーションは案外強力なものが出来上がるはずだ。
後はリリーフを確固たるものにするのも重要だろう。


ヤンキースからFAになっていたグランダーソンはヤンキースがエルズベリーを獲得したことにより再契約の線がなくなり、来季は同じニューヨークのメッツでプレーすることになった。
契約内容は4年60Mドルとある程度予想されていた通りになり、メッツとしては念願の外野で左の強打者を手に入れたことになる。
今季のメッツで20本塁打した打者はマーロン・バードただ一人であり、そのバードも移籍してしまったためチームにおいて強打者と言えるのはデビッド・ライトくらいしかいなくなっていたため、過去に2年連続40本塁打しているグランダーソンの存在は心強い。
これでアイク・デイビスが期待通りのブレイクしてくれればいいのだが、そう簡単にはいかないだろう。
ただグランダーソンもそう手放しで期待できるわけではない。
怪我によって2013年は61試合7本塁打で終わり、2年連続40本塁打も左の強打者に有利なヤンキースタジアムだったからこそ達成できた数字でもある。
本塁打数はある程度減りフルシーズンで30本塁打前後におさまってしまう可能性は高い。
また守備もよくないため、使い方も少し考えたいところ。
しかし投手陣が整備され始め、ライトがいる間になんとか優勝しておきたいメッツも漸く攻めに転じ始めたということか。
ナ・リーグ東地区はブレーブスやナショナルズといった強豪がいるため来季のプレーオフ進出の可能性はあまり高くないが、トラビス・ダナウドやザック・ウィーラーなど若手がしっかりブレイクすれば
案外ダークホース的存在になるのかもしれない。

2013年12月6日金曜日

青木宣親がトレード 新天地はロイヤルズに

活発になってきているトレードが今日もまたMLBで行われた。
ロイヤルズーブルワーズ間で交わされたトレードの対象となったのは日本人メジャーリーガー青木宣親だ。
青木に関しては以前からトレードの噂が飛び交っていた。
所属しているブルワーズがまたもや低迷し始めたことや、ブルワーズの外野がそれなりに充実していたためだ。
ブルワーズの陣容としてはレフトがライアン・ブラウン、センターがカルロス・ゴメス、ライトが青木というものだったが、期待されていた有望株のクリス・デイビスやカレブ・キンドルが2013年に昇格しそれぞれ一年目としては上々の成績を残していたため(特にデイビスは136打数11本塁打とかなりのパワーを発揮)、ブルワーズとしては30歳を越えている青木がトレード候補になるのも仕方ないことだった。
またライトにおける守備力は高いものがあるが、打撃優先ポジションとしては長打力に乏しく打力自体はMLBの平均的な外野手レベルに収まっていた点も踏まえて、やはり青木がこの先もブルワーズでやっていくのは厳しかっただろう。
そのため彼を欲しがるチームも少なくはなく、様々なチームが獲得候補としているという噂も出ていた。
特にタイガースなど外野事情が芳しくなく、守備力とスピードが欲しいチームなどはぴったりだったかもしれない(有望株のニック・カステラノス次第ではあったが)。

しかし今回青木がトレードされたのはロイヤルズ。
今絶賛成長中のチームだ。
交換要員となったのは左投手のウィル・スミス(24)で、有名なハリウッド俳優と同じ名前を持つ彼は2012年にメジャーデビューしローテーションに定着するも防御率5.32と内容が良くなく、2013年はマイナーも経てリリーフとして再びメジャーのマウンドを踏んだ。
リリーフになってからは投球内容が劇的に改善され、被本塁打の多さだけがネックだが中々の好投手として期待はされていた。
とにかく投手が苦しいロイヤルズとしては左ということもあって、そういった部分に期待して獲得に踏み切ったのだろう。

青木は来季からロイヤルズでプレーすることになるわけだが、実際のところロイヤルズも外野事情は苦しく、完全に固定されているのレフトのアレックス・ゴードンだけで後は数人でやり繰りするという状況だった。
青木の加入によりおそらくライトは彼で固定されるはずで、センターをロレンゾ・ケイン、デビッド・ラフ、ジャスティン・マクスウェルなどの若手で競争することになるだろう。
あるいは青木がセンターを守る可能性もなくはない。

ここでロイヤルズがどういった特徴を持つチームなのか少し見てみよう。
ロイヤルズはここ30年近くポストシーズン進出がないいわゆる弱小球団だ。
しかし近年負け続けた時代にドラフトで好選手を次々と獲得し、有力選手もトレードなどで放出することで若手有望株の数はMLB屈指のものとなっていたため、ここ数年はいずれ黄金時代が来るチームだと言われていた。
そしてようやく花開いたがのが今季で、有望株ウィル・マイヤーズを放出し獲得したジェームズ・シールズを筆頭に強力な投手陣を作り上げ10年ぶり勝率5割越えを記録するなど来季はプレーオフ進出の可能性も低くはない。
2013年ロイヤルズの特徴は強力な投手陣と守備力の高さ(3選手がGG賞を受賞)だったが、逆マネーボールとも言える出塁率と長打力の低さがプレーオフ進出を逃した要因にもなった。
そのため今オフは元ロイヤルズのカルロス・ベルトラン獲得の有力候補だと言われていたのだが、外野を埋めるために青木を獲得したのは少々意外だった。
青木の獲得でロイヤルズは自慢の守備とスピードをさらに強化した上で弱点の出塁率の低さを少々改善することに成功した。
少なくともこれで出塁率の低いリードオフマンに悩むことはなくなるだろう。
しかしもう一つの課題、長打力についてはまだまだ改善されたとは言い難い。
今季20本塁打を放ったのはゴードンのみで、来季20本塁打以上が期待できそうな打者はゴードン、ビリー・バトラー、エリック・ホズマーくらいしかおらず、後は将来は40本塁打を打つと期待されていたマイク・ムースタカスのブレイクを待つばかりだ。
そのためロイヤルズの補強はまだこれでは終わらないはずで、妥当タイガース、プレーオフ進出を目指しさらなら補強を展開してくるはずだ。
また青木は若い選手が多いこのチームの中ではベテランといってもいい年齢のため、その経験が必要とされる場面も出てくるだろう。
青木には今季MLB初のプレーオフと3割を同時に達成し、是非ともロイヤルズをプレーオフに導いた立役者の一人になってもらいたいものである。

2013年12月4日水曜日

ヤンキースが再び大物を獲得!エルズベリーとの7年契約に合意

先日FA市場の目玉選手だったブライアン・マキャンを獲得し、外野手の補強も望んでいたヤンキースがエルズベリーとの契約にこぎつけた。
契約内容は7年総額153Mドル(オプションも含めれば8年169Mドル)で、これは似たタイプだったカール・クロフォードの7年142Mドルの契約を大きく上回ることになった。
レッドソックスからヤンキースへ、という禁断の移籍がまたしても実現したことになるが、これによってヤンキースの2014年シーズン外野の陣容がある程度固まり、現時点ではLFブレット・ガードナー、CFジャコビー・エルズベリー、RFアルフォンゾ・ソリアーノとなることが濃厚だ。
そのためイチローは控え、あるいはトレードに出される可能性が非常に高くなった。
ヤンキースは当初獲得候補とされていたカルロス・ベルトラン争奪戦からは撤退することになりそうで、ベルトランは候補に挙げられているロイヤルズ、レンジャーズ、マリナーズのうちのどれかと契約することになるだろう。

エルズベリーに対する7年153Mドルという契約は非常にハイリスクだ。
彼の今季の成績を見れば走攻守に優れた外野手で価値が高いことはわかるが、なにせ彼はレギュラー定着後の6年間で682試合にしか出場していないのだ。
健康にシーズンを過ごせれば150試合前後に出場しハイパフォーマンスを披露するが、怪我が多く下手をすれば全休のシーズンすら出てくるようになるかもしれない。
2011年並みのパフォーマンスが期待できるなら妥当なところだが、今は長打力もそこまで多くは望めない。
彼を獲得するにはこれくらいの契約は必要だったとは言え、ヤンキースはこのハイリスクな賭けに勝てるのだろうか。

チームはロビンソン・カノーとの契約問題にも揺れていたが、これで今オフのヤンキースの意思がはっきりと示された。
どうやらヤンキースは年俸削減を諦め来季再び優勝を目指して戦うつもりのようだ。
この調子ならさらにカノーや黒田とも再契約し、新たな三塁手候補をも獲得することになるかもしれない。
もはや高齢化は避けられない状況となり、これからもこれまでと同じ負のスパイラルに陥り続けることになるだろう。
それでもヤンンキースは今優勝することを選択したのだ。
残る補強ポジションは二塁手、三塁手、DHの3つ。
もしかするとヤンキースは今オフ、2008年オフのサバシア、テシェイラ、バーネット同時補強に匹敵する大型補強をやってのけることになるのかもしれない。


2つのビッグトレードが成立!

MLBで大物選手が動くビッグトレードが二つ成立した。
一つはアスレチックスとオリオールズの間のトレード。

ジム・ジョンソン ⇔ ジェマイル・ウィークス + 後日発表選手


アスレチックスは先日スコット・カズミアーと2年22Mドルの契約を交わしたことでFA市場に出ている今季エース級の活躍をしたバートロ・コロンとの再契約はなくなったものと見られていた。
他にもクローザーとして大活躍をしたグラント・バルフォアも同じくFA市場に出ていたが、2年連続で防御率2点台&50セーブを記録しているジョンソンを獲得したことでバルフォアとの再契約の可能性も低くなった。
これでアスレチックスは投手陣に空いた穴をしっかりと埋めたことになる。
ジョンソンは今季好不調の波が激しく、セーブ失敗を9度記録している点は気になるが、彼をクローザーとして固定することで再度ライアン・クックとショーン・ドゥーリトルの左右のセットアッパー体制をしけるのは大きなメリットだ。
放出したウィークスも、二塁にはカヤスポや先日獲得したニック・プントなどがいることで構想外になっており、大きな痛手にはならなそうだ。
今回もビリー・ビーンGMはうまくリスクの低いトレードをやってのけたことになる。

対するオリオールズはジョンソンを失いウィークスを獲得したわけだが、これは結構な痛手になるだろう。
代わりのクローザーは今季セットアッパーだったトミー・ハンターやダレン・オデイが務めるのか、新たなクローザー候補を獲得するのかはわからないが、投手力に問題があるオリオールズにとってジョンソンのぬけた穴は小さくない。
見返りとして獲得したウィークス自体はチームの補強ポイントとしては間違っておらず、若い二塁手を欲していたオリオールズにとっては欲しい選手ではあったはずだ。
すでに十分な長打力を持ち合わせているオリオールズにとって欲しいのはスピードと出塁能力に長けた二塁手だったが、ウィークスはこの点をある程度満たしている。
しかし今季はアスレチックスで出場機会に恵まれず、シーズンのほとんどをAAAで過ごした。
AAAでの成績も突出しているわけではなく、2012年はメジャーで結果を残せなかったこともあってオリオールズでレギュラーとしてどの程度やれるのかは未知数だ。
そういう意味ではこのトレードはかなりギャンブル性が高く、後日発表でどういった選手を獲得するのかも重要になってくるだろう。
とは言えオリオールズにはジョナサン・スコープという二塁手のプロスペクトもいる。
もしウィークスがうまく機能しなければスコープにレギュラーのチャンスが回ってくることになるだろう。


もう一つ成立したビッグトレードは、タイガースとナショナルズ間でのもの。

ダグ・フィスター ⇔ イアン・クロル + スティーブ・ロンバルドージー + ロビー・レイ


ナショナルズはスティーブン・ストラスバーグ、ジオ・ゴンザレス、ジョーダン・ジマーマンというリーグ屈指の三本柱を擁しているが、4番手だったダン・ヘイレンがFAになりドジャースと契約したことで、4番手以降に信頼のおける投手を欲していた。
来季の4番手以降の候補としてはロス・デトワイラー、タナー・ロアーク、テイラー・ジョーダンらの中から探すという形になっていた。
そういった状況の中で実績があり優秀な2,3番手クラスの実力があるフィスターを獲得したことで、4番手までを実績ある若い投手で固めることができ、5番手を上記3人の中から探し当てればよくなった。
ストラスバーグ、ゴンザレス、ジマーマン、フィスターはいずれも2,3番手クラス以上の実力を持っており、この時点でかなり豪華なものだ。
さらに5番手投手がある程度活躍できるのなら、今季のタイガース先発ローテーションと同じくらいのパフォーマンスを期待できることになる。
また5番手を固定することができれば他の先発候補の投手をリリーフにまわすことができ、一抹の不安があったリリーフも充実させることができる。
放出したロンバルドージーはユーティリティプレイヤーだったが長打力と出塁能力が低く、貴重な左のリリーフだったクロルもフィスターの交換要員としては特に惜しくはない。
プロスペクトのレイは奪三振力がウリの左の先発投手だったが、ナショナルズは投手が揃っている上にマイナーにはルーカス・ジオリト、AJ・コール、マット・パークといったプロスペクトがいるため痛手にはならないだろう。
この補強の効果は大きく、ナショナルズはリーグ優勝の最有力候補に躍り出たといっても過言ではない。

一方のタイガースは今季強力な先発ローテーションを作り上げた立役者を一人放出する結果になってしまった。
来季の先発ローテーションはこれでジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、アニバル・サンチェス、リック・ポーセロに加えてもう一人という形になるだろう。
200回を投げるフィスターのぬけた穴は大きいが、5番手として今季6試合に先発したホゼ・アルバレスかリリーフとして好投したドリュー・スマイリーを使うことができれば、右偏重だった先発ローテに一人左投手を加えることができる。
クロルを獲得したのは左のリリーフを一人先発にまわす分の穴埋めということだろうか。
リリーフ全体としては未だ弱点のままだがそれも今後補強していくことだろう。
またタイガースは左投手のプロスペクトが不足していた点を考えればレイを獲得したことも納得で、ロンバルドージーも便利屋的に使っていくことになるだろう。
加えて、フィスターを放出したのには経済的な要因もあったはずだ。
先日タイガースはフィルダーとキンズラーのトレードで契約内容のダウングレードを図ったばかりだが、長期契約しているバーランダー、サンチェスに加え今後FAになるシャーザー、ミゲル・カブレラといった面々に契約延長を申し出ることを考えると現時点であまり長期契約を抱え込んでおくのは得策ではない。
その点フィスターの優先順位はタイガース内では低く、来季30歳になり調停権もあるため今までのように安価で使うことも難しくなる。
先日のフィルダーのトレードからも伺えるように、どうやらタイガースは長期的な視点を持ち合わせているようで今回のトレードもその一端だろう。
タイガースは主力を保持しつつ若い選手たちも育てるという理想的なチームを作り上げようとしているようだ。
この作戦がうまくいくかどうかは、まずは来季が始まってみればよくわかるはずだ。



2013年12月3日火曜日

2013年各チームから選ぶそれぞれのMVP

2013年、ワールドシリーズを制したレッドソックスやついにプレーオフ出場を果たしたパイレーツのように歓喜に沸いたチームもあれば、アストロズやマーリンズのように100敗してファンにため息をつかせたチームもあった。
しかし下位に沈みチームとしてはいいとこなしに見えるようなチームにも孤軍奮闘した選手というものがいるものだ。
今回はデータなどからその活躍ぶりを測り、それぞれのチームMVPを探していく。


クリス・デイビス(ボルチモア・オリオールズ)
その強打でMLBを沸かせ、本塁打と打点の二冠も獲得した。2年目のマチャドも攻守に渡って大きく活躍したが、やはりMVPはデイビスで文句なしだろう。

デビッド・オルティズ(ボストン・レッドソックス)
走攻守に渡って活躍したエルズベリー、変わらぬリーダーシップを発揮し攻守に素晴らしいパフォーマンスを発揮したペドロイア、リリーフとして歴史的シーズンを過ごした上原などもいたが、やはり最もふさわしいのはオルティズだ。DH専任のためほとんど打撃だけの活躍だが、ワールドシリーズの鬼神ぶりも含めて彼がいなければワールドシリーズ制覇はなかっただろう。

ロビンソン・カノ(ニューヨーク・ヤンキース)
シーズンを通して安定して活躍し続けたカノ以外にはチームMVPにふさわしい選手は見当たらない。黒田も終盤の失速がなければ、という惜しい内容だった。

エバン・ロンゴリア(タンパベイ・レイズ)
中盤に調子を落としてしまったものの、プライスやムーアが怪我で離脱し打線でも他に核となる選手がいない中160試合に出場し攻守で大きく貢献した。リーダーシップなど数字に現れない部分も評価すべきだろう。

エドウィン・エンカーナシオン(トロント・ブルージェイズ)
大型補強の甲斐なく最下位にまで沈んでしまったチームの中で昨季同様の活躍を見せた数少ない選手だ。バティスタの怪我もあった中でもはや主砲としての地位を確立したのは間違いない。

クリス・セール(シカゴ・ホワイトソックス)
これぞ孤軍奮闘。強打がウリだった打線は機能せず、リリーフも不安定だった中で負け越しこそしたが投球内容はサイ・ヤング賞級のパフォーマンスだった。来季以降もサイ・ヤング賞レースに毎度顔を出す存在になるだろう。

ジェイソン・キプニス(クリーブランド・インディアンス)
ずば抜けているわけではないものの非常にバランスのいい活躍でプレーオフ進出の立役者となった。2年連続30盗塁に加え打撃は明らかに成長を見せており、地味ながらリーグ有数の二塁手へとなりつつある。さらに成長すれば3割30本30盗塁のトリプルスリーも視野に入れることができるだろう。

ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)
言うまでもなくリーグMVPに輝いたカブレラがチームMVP。打率の一冠に終わったものの打撃の内容では三冠王に輝いた昨季を上回った。投手ではサイ・ヤング賞に輝いたシャーザーも素晴らしい活躍だったが、他にフィルダー以外20本塁打を打った選手がいなかった打線の中での存在感を考えるとやはりカブレラに軍配をあげたい。

ジェームズ・シールズ(カンザスシティ・ロイヤルズ)
移籍初年度にして期待されたエースの重責を見事に果たしてチームを勝ち越しにまで導いた。投球回数はリーグ1位と相変わらずのワークホースぶりで、ロイヤルズに足りなかったものをしっかり埋めた形になった。

ジョー・マウアー(ミネソタ・ツインズ)
113試合出場と相変わらず怪我に悩まされたが打撃も変わらぬ高水準で、守備でも盗塁阻止率4割越えなど貢献した。来季から1塁手へとコンバートすることが決まったが、怪我なく150試合程度には出場することが求められる。

ジェイソン・カストロ(ヒューストン・アストロズ)
若手の成長やルーキーの活躍くらいしかいいところがなかった111敗のアストロズの中で、希望の光となったのはカストロが頭角をあらわしてきたこと。まだまだ課題はあるが捕手でOPS.800越えの打力はやはり魅力的。

マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)
カブレラとMVP争いを繰り広げたMLB最高の外野手の一人トラウト。昨季があまりにも良すぎたため成績悪化が予想されていたが、打撃は昨季よりむしろ洗練された。外野手としての総合力ではもはや歴代でも有数のレベルになりつつある。

ジョシュ・ドナルドソン(オークランド・アスレチックス)
当初は中島のポジション争いのライバルとなるのではないかとも言われていたが、序盤から打ちまくり3割20本を達成した。27歳と少し遅めのブレイクとなったが来季は真価が問われるだろう。

岩隈久志(シアトル・マリナーズ)
メジャー2年目にして早くもサイ・ヤング賞候補にまで上り詰めた。ヘルナンデスとの2本柱は相手にとって脅威以外の何者でもない。中盤疲れのせいか調子を落としたが終盤になってまたしても圧倒するなど来季にも期待が持てる。

エイドリアン・ベルトレ(テキサス・レンジャーズ)
投手ではダルビッシュが大活躍だったが弱体化した打線をなんとか支えていたのがベルトレだ。ホームでもアウェイでも変わらず打ちまくり、怪我もなく今季の三塁手の中で3本指に入る活躍だった。自慢の守備はキャリアで初めてDRSがマイナスになるなど衰えが出始めているのが心配だ。

フレディ・フリーマン(アトランタ・ブレーブス)
粗さのあるブレーブス打線の中で唯一抜群の安定感を誇っていた。一塁守備も洗練されており、当初期待されていた通りの選手になりつつある。最高のクローザーであるキンブレルや史上最高峰の遊撃守備を見せるシモンズを捨てがたいが、ブレーブスが安定して勝ち続けたのはフリーマンの存在がかなり大きかっただろう。

ホゼ・フェルナンデス(マイアミ・マーリンズ)
新人離れした投球でナ・リーグを席捲したフェルナンデスが当然ながらチームMVP。彼はスタントンを怪我で失っていたマーリンズファンの心のオアシスだった。マーリンズは他にも若手が台頭しており、実は来季以降かなり楽しみなチームだ。

マット・ハービー(ニューヨーク・メッツ)
野手ではライト、投手ではハービーが大活躍だったが共にシーズン途中の怪我で長期離脱を強いられた。しかしその傑出度ではやはりハービーが頭一つ抜けており、彼が怪我しなければサイ・ヤング賞の行方もわからなくなっていただろう。理想的なパワーピッチャーで今後が非常に楽しみな投手だ。

クリフ・リー(フィラデルフィア・フィリーズ)
高齢化のため多くの選手が苦しんだフィリーズの中で変わらぬパフォーマンスを発揮し続けたのはリーだけ。ハメルズは序盤苦しみ、ブレイクしたブラウンも終盤本塁打がでなくなるなど物足りない結果だった。

ジェイソン・ワース(ワシントン・ナショナルズ)
不良債権化も叫ばれていたベテランのワースが怪我から復帰後覚醒。後半戦はミゲル・カブレラ級の打撃で終盤のチームの追い上げに一役買った。来季以降も同じくらい打てるのであれば汚名返上できるのだが果たしてどうなるのか。

トラビス・ウッド(シカゴ・カブス)
再建中でシーズン途中に主力が次々移籍していく中最後まで安定して活躍した。走攻守すべてにおいて悲惨だったカブスの中では数少ない希望の星だった。

ジョーイ・ボットー(シンシナティ・レッズ)
MLB最高の一塁手は今季も安定しており、162試合に出場し出塁率も相変わらずリーグ最高の数字だった。しかしその四球を選びまくるスタイルには疑問の声も出ており、打点が振るわなかった点に関して主軸なら打ってランナーを返せとの批判も。しかし彼が今最も優れた左打者であることは間違いない。

カルロス・ゴメス(ミルウォーキー・ブルワーズ)
ブラウンを欠き投手も良くなくチームとしては低迷したがゴメスは走攻守すべてにおいてハイレベルな活躍でリーグ有数の外野手の一人へと成長した。もう少し粗さがなくなればトリプルスリーも狙えるだろう。

アンドリュー・マッカッチェン(ピッツバーグ・パイレーツ)
投手は非常にハイレベルながら得点力が低かったパイレーツ打線の中でよく打ち初のリーグMVPも受賞。守備も成長を見せ、完璧な外野手へと近づきつつある。

アダム・ウェインライト(セントルイス・カージナルス)
好成績を残した選手が多いだけにMVP候補も最多二塁打のカーペンターや攻守に圧倒的存在感を見せるモリーナ、3割20本のホリデイなどたくさんいるがその中でもエースとして再び君臨したウェインライトを推したい。カーショウがいなければサイ・ヤング賞でもおかしくない活躍で投球回数1位に加え最多勝も獲得した。ただワールドシリーズではチーム敗退の一因になってしまったのが残念だった。

ポール・ゴールドシュミット(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
投手ではコルビン、野手ではゴールドシュミットとそれぞれ若手がブレイクしたが、本塁打と打点の二冠に輝いたゴールドシュミットがチームMVPだ。一塁守備もうまく意外にも足での貢献度も高い5ツール型一塁手だ。

トロイ・トゥロウィツキ(コロラド・ロッキーズ)
主力にそれぞれ離脱期間があったが、首位打者のカダイヤーより攻守両面に貢献度が高いトゥロウィツキを推したい。怪我の多さを考えてもなお現役最高の遊撃手である彼は今季も試合に出ている間のパフォーマンスは最高だった。

クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)
チーム内で好成績を残した選手は多いが、MVPはサイ・ヤング賞投手カーショウに決まりだろう。防御率1点台での最優秀防御率と奪三振王を獲得し、現役最高の投手の名を確固たるものとした。順調にいけば彼も球史に名を残すレジェンドとなるだろう。

アンドリュー・キャッシュナー(サンディエゴ・パドレス)
知名度は低いが、剛速球投手がついに覚醒。終盤には7試合連続7回以上のQSに1安打完封など圧倒的だった。来季はかなり期待していいだろう。

マディソン・バンガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)
驚くべきことに投手力のチームが一気に低迷しチームもそれに引きづられる形で負け越した。その中で唯一気を吐いたのがバンガーナーで、3年連続の200回と初の防御率2点台を記録。24歳にしてエースへと成長した。




2013年11月28日木曜日

日本人メジャーリーガーの2013年を採点 ”野手・リリーフ編”

〇上原浩二(レッドソックス) 95点
73試合(リーグ7位) 4勝1敗 21セーブ 防御率1.09 74.1回 101奪三振 
WHIP0.57 FIP1.61 xFIP2.08 tERA1.07 fWAR3.3 rWAR3.6

シーズン中に歴史的な快投を披露し、ポストシーズンでも圧倒的存在感でワールドシリーズの胴上げ投手になるというほとんど完璧なシーズンを送った。
その名は今では全米に知れ渡り、ボストンのファンで彼の名を知らないものはいないであろうというくらいに知名度を上げた。
しかもそれを38歳という年齢でやってしまうあたり凄みを感じる。
惜しむらくはクローザーへの転向が中盤になってからだったためセーブ数が伸びなかったこと。
来季は今季の再現は難しいだろうがシーズン通してクローザーを務めることができればセーブ王も狙えるだろう。
すでにリーグ屈指のクローザーとしての地位は揺るぎないものになりつつあるが、来季は衰えと披露が懸念されている。


〇田澤純一(レッドソックス) 70点
71試合(リーグ10位) 5勝4敗 0セーブ 防御率3.16 68.1回 72奪三振
WHIP1.20 FIP3.22 xFIP3.03 tERA4.42 fWAR1.1 rWAR1.0

上原の影に隠れてしまったが田澤もレッドソックスの主力投手の一人として十分な活躍を見せた。
相変わらず奪三振が多く与四球は少ないという理想的な投球だが、今季は被本塁打の多さが少々目立った。
また9月に防御率6点台と調子を落としてしまったのももったいなかったが、これは初めてのメジャーフルシーズンで疲れが出てしまったのだろうか。
しかし彼はまだ27歳と若く、このまま順調にキャリアを歩んでいけばレッドソックスのクローザーになるチャンスも巡ってくるはずだ。
 

〇青木宣親(ブルワーズ) 65点
155試合(リーグ16位) 打率.286(同20位) 8本塁打(同101位) 37打点(同97位)
出塁率.356(同19位) OPS.726(同45位) 80得点(同15位) 20盗塁(同16位)
fWAR1.7 rWAR3.0

メジャー2年目となった今季も大きな怪我なく2年連続の150試合以上出場でチームに貢献。
打率、本塁打、出塁率、得点と昨季とほとんど変わらない水準を維持しているように見えるが、二塁打が激減したため打撃貢献度は大きく下がってしまった。
また盗塁も失敗が多く数が伸び悩みリードオフマンとしてはやや物足りない結果に。
それでも守備面での貢献度は高く、DRSは右翼手の中ではリーグ3位という好成績を残しており、特に送球面の評価が高い。
総合的には外野手としては可もなく不可もなくといったところだが、打撃優先の右翼手である以上もう少し攻撃力を上げなくてはいけないだろう。
盗塁成功率と長打力というのが今後の課題となるが、それでいてイチロー、松井以来のメジャー3割の期待もかかる。


〇イチロー(ヤンキース) 40点 
150試合(リーグ34位) 打率.262(同46位) 7本塁打(同129位) 35打点(同126位)
出塁率.297(同68位) OPS.639(ワースト2位) 57得点(同69位) 20盗塁(同19位)
fWAR1.1 rWAR1.4

かつてのレジェンドも年齢による衰えには勝てず、日米通算4000本安打こそ達成したが打率、出塁率、OPS、盗塁などがキャリアワースト。
すでに打撃に関してはメジャーレベルではなくなりつつあり、特に出塁能力と長打力の低さが顕著になっている。
それでも彼に出番が回ってくるのはひとえにその走塁と守備のおかげ。
ライトでの守備は相変わらず優秀で盗塁も数は少ないものの成功率は高い。
もはや速球へ対応できなくなっており来季はメジャー最後のシーズンとなるかもしれず、メジャー通算3000本安打は難しくなってきた。


〇藤川球児(カブス) 10点
12試合 1勝1敗 2セーブ 防御率5.25 12.0回 14奪三振 WHIP1.08
FIP2.80 xFIP2.85 tERA3.13 fWAR0.2 rWAR0.0

メジャーで実績のないリリーフとしては比較的高額な2年契約を結び満を持して海を渡ったが1年目は怪我で早期離脱し不満の残るシーズンとなった。
クローザーになるチャンスもあったがものにできず、来季に期待といったところ。
FIPやtERAが示すように、投球内容自体は防御率ほど酷いものではなかった。
不安視されていた制球面も安定しており、怪我がなければそれなりの活躍は出来ていたかもしれない。
しかし12試合しか投げられなかったため高評価をつけることは当然できない。
6月にトミー・ジョン手術を受けたために復帰は早くても来季6月以降となり、下手をすれば来季も全休という可能性もある。
状況的に3年目のチームオプションが行使される可能性は低いが、3年目以降のために来季復帰してある程度その実力をアピールしておく必要があるだろう。
 


2013年11月26日火曜日

今オフ最大の注目選手ロビンソン・カノの契約はどうなる!?

ヤンキースというチームはMLBにおいて特別だ。
デレク・ジーターがMLBの顔となったのも、彼自身の実力やスター性に加えてヤンキースという特別なチーム一筋でやってきたという要素が不可欠だ。
そんなヤンキースで今やチームの顔と言えるのが現役最高の二塁手となったロビンソン・カノである。
今オフFA市場最大の目玉となっているカノは10年305Mドルの超大型契約を要求していると言われる。
つまり市場最大の契約を求めているわけだ。
彼にそこまでの価値があるかどうかはともかく、ヤンキースはもし例年通りならばカノの10年契約をあっさり交わしてしまっていたかもしれない。
しかし今オフのヤンキースは、というより近年のヤンキースは今までとは違う課題を抱えている。
まず一つが年俸総額削減だ。
ヤンキースは近年大金を投じて常にFA市場の中心で有り続けた。
大物選手が市場に出てくれば必ずヤンキースの名が挙がってきたし、実際に2008年オフにサバシア、テシェイラ、バーネットと目玉を揃って獲得したこともあった。
そんな金満ヤンキースだが、そうやって獲得し見境なく長期契約を与えてきたツケがここにきてまわってきたのだ。
ぜいたく税のラインを常に上回ってきたためもし来季の年俸総額が1億8900万ドルを超えてしまうと50%もの税率を課されることになってしまう。
そこで一度リセットするために是が非でも年俸総額を削減しなくてはならない。
しかしここで二つ目の問題であるチームの成績とヤンキースというブランドが絡んでくる。
ヤンキースというチームは常に勝ち続けなければいけない勝利を義務づけられたチームであることは周知の通りだが、今季はプレーオフに出場することも叶わなかった。
主力に怪我人が相次いだことが大きな原因の一つだが、高齢化によるチーム力低下は言うまでもない。
つまりは現有戦力では強豪揃いのア・リーグ東地区では勝ち抜くことができないということになる。
とりわけワールドチャンピオンに輝いたライバルであるレッドソックスとは対称的なチーム状況なのだ。
この状況を打開するためにはなにをすべきか。
それはやはり補強である。
年俸総額は削減したいしチームの高齢化にも歯止めをかけたい、さらには補強して来季はプレーオフにも進出したいという非常に困った状況だ。

そこで今オフ最重要課題とも言えるカノの去就だ。
こんな状況のヤンキースがそう簡単に10年305Mドルなどという大型契約を締結することなどできはしない。
しかもカノと再契約できればそれで終わりというわけではなく、他のポジションにも課題は山積みなのだ。
例えば先発投手だ。
もはやエースではなくただのイニングイーターと化してしまったサバシアが復活する保障はどこにもなく、黒田とも前年より少し上積みした金額で再契約しなくてはならない。
ポスティングが実現し田中を獲得することができれば理想だが、どちらにしろアローヨ、ノラスコ、ガーザ、ヒメネスなどFA市場に出ている投手の中から誰かは獲得することになるだろう。
さらには捕手には先日5年契約でマキャンを補強した。
また野手ではグランダーソンとの再契約や内野のバックアップ選手の獲得なども課題として残っている。
これらを全てこなし、なおかつカノとも再契約してしまうと1億8900万ドルなどという額は超えてしまうことになるだろう。
つまりどちらもとるということはできず、カノと再契約し他の補強もして来季もぜいたく税を課せられるか、カノをあきらめ制限の範囲内の補強で来季に備えるか、あるいはカノ以外に大きな契約をせずほとんど現有戦力だけで戦うかという3択しかないのだ。
しかし現実的には3つめの選択肢をとる可能性は低く、すべてをとるかカノだけを諦めるかの2択になりそうだ。
もしヤンキースがカノと再契約する場合は、その契約内容は他のチームの条件提示次第ということになる。
心情的にはカノはヤンキースでフランチャイズプレイヤーとしてキャリアを終えたいはずで、他チームがヤンキースとほとんど同条件しか出せないのなら少々グレードダウンしても残留することになるはずだ。

ヤンキース以外でカノに高額オファーができるチームはどこがあるかというと、超金満化したドジャースや債権途中で数年以内に逆襲したカブスなどの名前が挙がる。
ドジャースは実際2塁手が弱点の一つになっており、今季2塁を守っていた堅守のエリスのオプションは破棄している。
しかしこのオフにはキューバからアレクサンダー・ゲレーロという26歳の二塁手を4年28Mドルで獲得しており、彼を使っていくつもりならカノの存在はむしろ邪魔になってしまう。
彼は遊撃手としても使えるためラミレスを再び三塁手で使ってカノを獲得する手もあるが、既に超大型契約を抱えているドジャースがそこまでするかは疑問だ。
カブスに関してはかなり面白い存在と言えそうだが、まだまだチーム力が整備されていない今の状況でそこまでの博打を打つ可能性はやはり高くない。
そうなるとやはりヤンキース残留という線が濃厚になってくるだろう。
契約は交渉の末7年200Mドル前後になるだろうか。
そう簡単に決着がつきそうにはないが、ヤンキースファンとしてはもはやぜいたく税など無視してさらなる大型補強に励んでほしいものである。
とにかく中途半端になることは避けなくてはいけない。



2013年11月24日日曜日

FA市場注目の捕手ブライアン・マキャンがヤンキースと契約

このオフのFA市場で野手の中でも5本指に入るほどの注目度を誇っていたブライアン・マキャンがヤンキースと5年でも最低でも85Mドル以上と思われる契約を成立させた。
マキャンは捕手として現役最高峰と言っても過言ではない長打力がウリの選手で、6年連続で20本塁打以上を記録している現役唯一の捕手だ。
今季の成績は以下の通りで、怪我もあって少し振るわなかった。

102試合 打率.256 20本塁打 57打点 出塁率.336 OPS.796 

しかし捕手としてはやはり打撃面において非常に優れているため、30歳の彼を欲しがるチームは少なくなかった。
今回契約したヤンキース以外では、最近フィルダーをトレードで獲得しさらなる長打力強化を図りたいレンジャーズなども強い関心を示していたと思われる。
しかしクオリファイングオファーの対象選手でもあり、市場価格の高さに加え獲得した場合はドラフト指名権譲渡というリスクも伴う。
それでも本格的に捕手不足、そして長打力の欠如に悩んでいたヤンキースとしてはやはりマキャンはヤンキースにとって魅力的な存在だったのだろう。
ただし贅沢税回避のために年俸削減したいはずのヤンキースとしてはまたしても長期大型契約を抱え込んでしまった形になる。
他の大型契約もまだ多くが残っており、カノとの再契約の問題もある今果たして本当に勝ちを求めながらの年俸削減が可能なのか疑問が残るところでもある。
とは言えヤンキースがやっとヤンキースらしい捕手を獲得したこと自体は朗報だ。
マキャンとの契約は6年目のオプションも含めれば100Mドルを超えることになるが、ヤンキースファンとしてはとにかく彼が怪我で長期欠場などしないことを願うばかりだ。

 


2013年11月21日木曜日

超ビッグトレードが成立 そこに潜む両者の思惑はいかに

大きな動向がまだなかったオフシーズンに衝撃が走った。
少し珍しい大物同士の1対1のトレードだ。
その大物とはプリンス・フィルダーとイアン・キンズラーだ。

プリンス・フィルダー(タイガース→レンジャーズ)
2013年 162試合 打率.279 25本塁打 106打点 出塁率.362 OPS.819 1盗塁
フィルダーは29歳の一塁手でブルワーズからFAになり9年214Mドルという超大型契約を結んでいた。
この先残っている契約は2014~20年まで各24Mドルずつだ。


 
イアン・キンズラー(レンジャーズ→タイガース)
2013年 136試合 打率.277 13本塁打 72打点 出塁率.344 OPS.757 15盗塁
キンズラーは31歳の二塁手で2013年からの5年70Mドルの延長契約を結んでおり、オプションも含めれば2018年まで契約が残っている。
この先の契約の内訳は2014年16Mドル、2015年16Mドル、2016年14Mドル、2017年11Mドル、2018年12Mドル(チームオプション)となっている。


この両者はフィルダーが5度、キンズラーが3度オールスターに出場するなど紛れもないトップ選手なのだが、これは一見かなり衝撃的なトレードに見えて合理的でもあるように思える。
まずレンジャーズだが、ここでは以前からキンズラーをどうするかで少し困ってもいた。
遊撃手には既に長期契約を結んでおり一流の守備・走塁を披露してくれる若いアンドラスがおり、そしてさらに全米1位の評価も受けたプロスペクトのジュリクソン・プロファーもいた。
これだけのプロスペクトだがルーキーイヤーとなった今季すでに内野各ポジションに確固たるレギュラーがいたためにプロファーは便利屋的扱いを強いられることになってしまった。
そのためキンズラーを外野や一塁にコンバートするという案は以前から出てはいたのだが結局実現しなかった。
プロファーを使っていくにはどこかを空けねばならず、そこで白羽の矢がたったのがキンズラーだったのだろう。
既に30歳をこえてここ2年はどこか不調気味のキンズラーは少し将来を危惧されていたのかもしれない。
そしてレンジャーズはフィルダーというオールスター一塁手を獲得することによってハミルトンに次ぐ左の強打者を獲得することに成功したわけだ。
これにより三塁手にはベルトレ、二塁手にはプロファー、遊撃手にはアンドラス、一塁手とDHはモアランドとフィルダーを使うことができるようになった。
余剰人員の問題を解決しさらに長打力を強化することができたわけだが、当然ながらそこには2020年まで残るフィルダーの大型契約というリスクもついてまわる。
今季少々不調気味だっただけに少しこの契約期間の長さは怖いのだが、フィルダーはほとんど怪我をしない選手だしアーリントンである程度打撃成績が底上げされるだろうと考えればそれほど高いリスクでもないのかもしれない。

続いてタイガース側からの思惑だが、タイガースはレンジャーズのようにプロスペクトが出てきたことによる玉突きでフィルダーを放出したというわけではない。
しかしタイガースはタイガースで弱点の補強と将来のための布石をうったのだ。
まず一つ今季のチームスタッツをみると明らかに目立つ弱点MLB最下位の盗塁数だ。
主軸だったカブレラ、フィルダー、マルチネスは当然ながら走塁貢献度などゼロに等しく、唯一スピードがあったジャクソンさえも怪我で8盗塁に沈んだため今季のタイガースでは二桁盗塁が一人も出なかったのだ。
チーム打率が1位でありながら得点数や二塁打数などレッドソックスに大きく水をあけられた(本塁打はほぼ互角)のはこのスピードのなさも原因の一端にあるはずだ。
加えて守備力の低さも問題だった。
堅実さはあったものの左翼手のダークスや中堅手のジャクソン以外は今季ほとんどが守備面で足を引っ張っていた。
そのためタイガースのオフの課題はスピードと守備の強化だった。
そこで今回のトレードに目を向けてみよう。
キンズラーは二塁手としてこの5年間のDRSがペドロイアに次ぐ2位に入るほど守備力が高い選手で、特にダブルプレーなどの際にその存在感を魅せる。
また走塁面に関してもデビューから8年連続で二桁盗塁、30盗塁を2度記録しているスピードのある選手だ。
またパワーもありある程度ボールを見ることができるので上位に置いておくとかなり貢献度が高い選手でもある。
それだけ走攻守が揃っている選手というのがタイガースにはおらず、フィルダーを彼に置き換えたことでカブレラを一塁へ再コンバートすることができ、三塁守備もアップグレードすることができる。
これにより遊撃手にイグレシアス、二塁手にキンズラー、中堅手にジャクソンとセンターラインの守備力を大きく改善することができた。
またそれ以上に大きいのが契約のダウングレードに成功したことだ。
フィルダー自身は優れた選手だが、さらに価値のあるカブレラの契約は2015年までであり、そして今季サイ・ヤング賞を獲得したシャーザーも2014年オフにFAになってしまう。
つまりここで大金を投じるためには2020年までの超大型契約が残っているフィルダーは実は足かせになっていたわけだ。
既にバーランダーやサンチェスに長期契約を与えていたタイガースとしてはそれほどの契約をいくつも抱えるわけにはいかず、何かを犠牲にしなくてはいけなかった。
そこで残り4年57Mドル(オプションを含めれば5年69Mドル)と総合的な活躍度を考えれば割とリーズナブルなキンズラーへと契約をダウングレードできたことで、シャーザーやカブレラに投資するだけの資金的余裕をつくることができた。
もちろんキンズラーにもリスクはある。
元々打撃はアーリントンの恩恵を受けたものでアウェイでは平凡という評価であり、走塁に関してもやや衰えを見せ始めた感がある。
しかしそこを考慮してもこのダウングレードと守備・走塁強化には大きな意味があり、タイガースとレンジャーズ両者の思惑がしっかり噛み合った合理的なトレードだと思う。



2013年11月17日日曜日

今、キューバ人メジャーリーガーが熱い!

2013年シーズンの日本人投手の活躍は素晴らしいものだった。
先発投手3人がエース級の活躍をし、上原、田澤はワールドチャンピオンの栄冠に輝いた。
サイ・ヤング賞投票ではダルビッシュが2位、岩隈が3位、上原もリリーフながらポイントが入るなど流石投手の国日本と言うべき結果だった。
それでは今MLBに最も旋風を巻き起こしているアメリカ以外の国は日本なのかというと、実はそうではない。
この日本人たちの活躍を上回るパフォーマンスを見せている選手たちがいる国があるのだ。
それが野球大国キューバである。
日本でもキューバの野球の強さはよく知られており、国際大会では常に優勝候補として名を挙げられる。
当然MLBでも活躍した選手が多数おり、MLBでも亡命したキューバ人を大金を投じて獲得することがよくある。
過去に活躍したキューバ出身のメジャーリーガーというと、通算462本塁打でMVP獲得もしたことがあるホセ・カンセコ、通算2030安打 585本塁打というレジェンド級の成績を残しているラファエル・パルメイロ、通算178勝している屈指のイニングイーターのリバン・ヘルナンデスなどの名前が挙がるだろう。
しかし残念ながらカンセコとパルメイロは薬物使用者でもある。

そんなキューバ人の注目選手が近年よくMLBに出てくるようになり、今MLBを席捲している。
その中でも注目の若い選手がたくさんいるのでその中の数人を今回紹介しよう。

〇ホゼ・フェルナンデス(21) マーリンズ
28試合 12勝6敗 防御率2.19 172.2回 187奪三振 WHIP0.98
今季20歳でメジャーデビュー、その後好投を続けサイ・ヤング賞候補にもノミネートされる活躍ぶりで見事新人王に輝いた若き豪腕。
過去に見舞われた苦難などで培われた強靭なメンタルとクレメンスやバーランダーとも比較される才能によって、弱小マーリンズのエースとして早くも君臨している。
来季はフルシーズン投げることになるだろうが、当然サイ・ヤング賞候補である。

〇ヤシエル・プイグ(22) ドジャース
104試合 打率.319 19本塁打 42打点 出塁率.391 OPS.925 11盗塁
低迷しかけていたドジャースを救った新星。
新人王候補にもなったが、出場試合数の少なさなども響いてフェルナンデスにはかなわず。
高打率を残す打撃技術とパワー、強肩にスピードと守備が上達すればMLB最高の5ツールプレイヤーにもなれる逸材で、鼻っ柱の強さもスターらしい。
とにかく身体能力が高く、今後MLBの外野手の中心になっていくだろう。

〇アロルディス・チャプマン(25) レッズ
68試合 4勝5敗 38セーブ 防御率2.54 63.2回 112奪三振 WHIP1.04
日本人もよく知っているキューバ人メジャーリーガーと言えば人類最速のこの人。
2012年はキンブレルとともにリーグ最高のクローザーとして君臨したが今季はまたもや制球が荒れ気味になり少々数字を落とした。
それでも速球の球威や奪三振力は変わらぬレベルで、チームには何度か先発転向を打診されているが本人の希望もあって今後もクローザーとしてその速球を見せつけてくれるだろう。

〇ヨエニス・セスペデス(28) アスレチックス
135試合 打率.240 26本塁打 80打点 出塁率.294 OPS.737 7盗塁
資金力のなさで有名なアスレチックスが大金を投じて獲得したことで意外性をもって受け止められていたが、デビューとなった2012年に打率.292 23本塁打とほとんど期待通りの活躍で地区優勝に貢献し、今季はさらなる飛躍を期待されていた。
しかし打率、出塁率を大きく落とし期待を裏切る結果に。
それでも秘めているパワーは間違いなく、今季はホームランダービーを制した。

〇ホゼ・イグレシアス(23) タイガース
109試合 打率.303 3本塁打 29打点 出塁率.349 OPS.735 5盗塁
今季は大物不在のア・リーグ新人王争いで2位になり、飛躍の年となった。
元々守備はメジャー最高クラス、打撃は最低クラスという選手だったが今季は思いのほか打撃がよくシーズン途中にはジェイク・ピーヴィが絡むトレードでタイガースに移籍しポストシーズンでもプレーした。
実際打撃は来季もこの水準を保てるのかは疑問だが守備センスは素晴らしく、ファンを魅了する美しい守備をみせる。

〇アレクセイ・ラミレス(32) ホワイトソックス
158試合 打率.284 6本塁打 48打点 出塁率.313 OPS.693 30盗塁
もはや若くないが2008年のメジャーデビューから安定した活躍を見せており、キューバ人特有の早打ちが目立つ打撃はともかく守備に関してはやはり一流であり、今季は走塁面でもキャリアハイのパフォーマンスを披露した。
流石にキューバ人ショートは身体能力が高く、また柔らかい守備を見せてくれる。

〇ユネル・エスコバー(31) レイズ
153試合 打率.256 9本塁打 56打点 出塁率.332 OPS.698 4盗塁
キューバ人にしてはよくボールを見る方で、打撃に関してはショートとしてはまずまず。
そして他のキューバ人ショート同様こちらも守備が素晴らしく、彼が今季見せた華麗な守備のシーンは日本でも少しばかり話題になった。
やはり身体能力の高いショートは魅力的だと思わせてくれる選手だ。

〇レオニス・マーティン(25) レンジャーズ
147試合 打率.260 8本塁打 49打点 出塁率.313 OPS.698 36盗塁
ハミルトンがぬけた穴を守備・走塁で埋めたマーティンは強肩と俊足がウリ。
マイナーでは打ちまくっていた打撃のよさはまだメジャーでは披露できていないが、今後も守備・走塁では確実に貢献していってくれるだろう。
彼の守備は一見の価値ありだ。

〇ケンドリス・モラレス(30) マリナーズ *FA
156試合 打率.277 23本塁打 80打点 出塁率.336 OPS.785 0盗塁
今オフのFA市場の目玉選手の一人。
2009年にエンジェルスの主軸として3割30本100打点を達成しこれから偉大なキャリアを築こうかという翌年にサヨナラホームランを打ってホームインした際に怪我をしてそこから2012年まで全休というなんとも情けない事態に陥ってしまった。
しかし2012年に復活しトレードでマリナーズへくると主軸としてイバニエスとともによく打った。
移籍先がどこになるにせよ打率.270 25本塁打前後を計算できる一塁手というのは案外重宝されるため、それなりの契約はえることになるだろう。

〇ヨンダー・アロンソ(26) パドレス
97試合 打率.281 6本塁打 45打点 出塁率.341 OPS.710 6盗塁
最近めっきり地味になってしまったパドレスにおいて長距離砲になることが期待されている一塁手。
数年前はレッズがボットーを放出してアロンソを後釜に据えるという案もあったほどの逸材だったがパドレス移籍後は本拠地の特性もあってかパッとしない活躍ぶり。
特に期待されていた長打力が発揮できていない点が痛い。
このまま元有望選手で終わるのかどこかで一花咲かすのか気になるところである。

〇ダヤン・ビシエド(24) ホワイトソックス
124試合 打率.265 14本塁打 56打点 出塁率.304 OPS.731 0盗塁
2012年に25本塁打を放ち将来のホワイソックスの主軸になることを期待されているパワーヒッター。
パワーがありその割に打率も酷い数字ではないのだがキューバ人らしく四球をあまり選ばないのが難点。
そのため出塁率は平均水準以下で、今後大きな活躍をしていくには打率を底上げするか四球を選べるようにならないといけないだろう。




2013年11月16日土曜日

2013年主要アワードまとめ

”MVP” 
ア・リーグ ミゲル・カブレラ(タイガース)
ナ・リーグ アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)

”サイ・ヤング賞”
ア・リーグ マックス・シャーザー(タイガース)
ナ・リーグ クレイトン・カーショウ(ドジャース)

”新人王”
ア・リーグ ウィル・マイヤーズ(レイズ)
ナ・リーグ ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)

”最優秀監督”
ア・リーグ テリー・フランコーナ(インディアンス)
ナ・リーグ クリント・ハードル(パイレーツ)

”ハンク・アーロン賞”
ア・リーグ ミゲル・カブレラ(タイガース)
ナ・リーグ ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)

”シルバー・スラッガー”
ア・リーグ 
C  ジョー・マウアー(ツインズ)
1B クリス・デイビス(オリオールズ)
2B ロビンソン・カノ(ヤンキース)
3B ミゲル・カブレラ(タイガース)
SS JJ・ハーディ(オリオールズ)
OF マイク・トラウト(エンジェルス)
OF アダム・ジョーンズ(オリオールズ)
OF トリ・ハンター(タイガース)
DH デビッド・オルティズ(レッドソックス)

ナ・リーグ
C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
2B マット・カーペンター(カージナルス)
3B ペドロ・アルバレス(パイレーツ)
SS イアン・デズモンド(ナショナルズ)
OF アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
OF マイケル・カダイヤー(ロッキーズ)
OF ジェイ・ブルース(レッズ)
P  ザック・グレインキー(ドジャース)

”ゴールド・グラブ賞”
ア・リーグ
C  サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
1B エリック・ホズマー(ロイヤルズ)
2B ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)
3B マニー・マチャド(オリオールズ)
SS JJ・ハーディ(オリオールズ)
LF アレックス・ゴードン(ロイヤルズ)
CF アダム・ジョーンズ(オリオールズ)
RF シェーン・ビクトリーノ(レッドソックス)
P  RA・ディッキー(ブルージェイズ)

ナ・リーグ
C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
2B ブランドン・フィリップス(レッズ)
3B ノーラン・アレナード(ロッキーズ)
SS アンドレルトン・シモンズ(ブレーブス)
LF カルロス・ゴンザレス(ロッキーズ)
CF カルロス・ゴメス(ブルワーズ)
RF ジェラルド・パーラ(ダイヤモンドバックス)
P  アダム・ウェインライト(カージナルス)

”ロベルト・クレメンテ賞”
 カルロス・ベルトラン(カージナルス)


〈PLAYERS CHOICE AWARDS〉

Player of the Year
ミゲル・カブレラ(タイガース)

Marvin Miller Man of the Year
マリアノ・リベラ(ヤンキース)

Outstanding Player
ア・リーグ ミゲル・カブレラ(タイガース)
ナ・リーグ アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)

Outstanding Pitcher
ア・リーグ マックス・シャーザー(タイガース)
ナ・リーグ クレイトン・カーショウ(ドジャース)

Outstanding Rookie
ア・リーグ ウィル・マイヤーズ(レイズ)
ナ・リーグ ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)

Comeback Player
ア・リーグ マリアノ・リベラ(ヤンキース)
ナ・リーグ フランシスコ・リリアーノ(パイレーツ)

〈月間MVP〉

”4月”
ア・リーグ クリス・デイビス(オリオールズ),クレイ・バックホルツ(レッドソックス)
ナ・リーグ ジャスティン・アップトン(ブレーブス),マット・ハービー(メッツ)

”5月”
ア・リーグ ミゲル・カブレラ(タイガース),ジェイソン・バルガス(エンジェルス)
ナ・リーグ ドモニク・ブラウン(フィリーズ),パトリック・コルビン(ダイヤモンドバックス)

”6月”
ア・リーグ ジェイソン・キプニス(インディアンス),バートロ・コロン(アスレチックス)
ナ・リーグ ヤシエル・プイグ(ドジャース),アダム・ウェインライト(カージナルス)

”7月”
ア・リーグ エイドリアン・ベルトレ(レンジャーズ),クリス・アーチャー(レイズ)
ナ・リーグ ジェイソン・ワース(ナショナルズ),クレイトン・カーショウ(ドジャース)

”8月”
ア・リーグ ミゲル・カブレラ(タイガース),イバン・ノバ(ヤンキース)
ナ・リーグ マーティン・プラド(ダイヤモンドバックス),ザック・グレインキー(ドジャース)

”9月”
ア・リーグ ジョシュ・ドナルドソン(アスレチックス),ウバルド・ヒメネス(インディアンス)
ナ・リーグ ハンター・ペンス(ジャイアンツ),クリス・メドレン(ブレーブス)

〈月間最優秀新人〉

”4月”
ア・リーグ ジャスティン・グリム(レンジャーズ)
ナ・リーグ エバン・ガティス(ブレーブス)

”5月”
ア・リーグ ネイト・フレイマン(アスレチックス)
ナ・リーグ エバン・ガティス(ブレーブス)

”6月”
ア・リーグ ホゼ・イグレシアス(レッドソックス)
ナ・リーグ ヤシエル・プイグ(ドジャース)

”7月”
ア・リーグ クリス・アーチャー(レイズ)
ナ・リーグ ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)

”8月”
ア・リーグ マーティン・ペレス(レンジャーズ)
ナ・リーグ ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)

”9月”
ア・リーグ ウィル・マイヤーズ(レイズ)
ナ・リーグ ゲリット・コール(パイレーツ)

2013年11月15日金曜日

2013年MVPはミゲル・カブレラとアンドリュー・マッカッチェン

サイ・ヤング賞同様こちらも大きな波乱はなかった。
ア・リーグが2年連続のミゲル・カブレラ、ナ・リーグが初のアンドリュー・マッカッチェンが受賞。
投票の内訳は以下の通り。


2013 AL MVP VOTING
Player, Club1st2nd3rd4th5th6th7th8th9th10thPoints
ミゲル・カブレラ, DET237385
マイク・トラウト, LAA5193111282
クリス・デイビス, BAL14111211232
ジョシュ・ドナルドソン, OAK114933222
ロビンソン・カノ, NYY1592652150
エバン・ロンゴリア, TB466453103
ダスティン・ペドロイア, BOS155542199
エイドリアン・ベルトレ, TEX28734299
マニー・マチャド, BAL21255757
デビッド・オルティズ, BOS212212247
ジェイソン・キプニス, CLE1133531
マックス・シャーザー, DET1211225
アダム・ジョーンズ, BAL119
エドウィン・エンカーナシオン, TOR127
グレッグ・ホランド, KC13
カルロス・サンタナ, CLE13
ココ・クリスプ, OAK113
ジャコビー・エルズベリー, BOS113
トリー・ハンター, DET12
岩隈久志, SEA12
上原浩二, BOS22
ダルビッシュ有, TEX11
フェリックス・ヘルナンデス, SEA11
サルバドール・ペレス, KC11
シェーン・ビクトリーノ, BOS11


2013 NL MVP VOTING
Player, Club1st2nd3rd4th5th6th7th8th9th10thPoints
アンドリュー・マッカッチェン, PIT2811409
ポール・ゴールドシュミット, ARI159132242
ヤディアー・モリーナ, STL28466121219
マット・カーペンター, STL65439111194
フレディ・フリーマン, ATL578811154
ジョーイ・ボットー, CIN2873412149
クレイトン・カーショウ, LAD844541146
ハンリー・ラミレス, LAD1121233358
カルロス・ゴメス, MIL1362343
ジェイ・ブルース, CIN1132330
クレイグ・キンブレル, ATL113327
シンス・チュー, CIN1114323
ジェイソン・ワース, WSH122620
アンドレルトン・シモンズ, ATL2414
ヤシエル・プイグ, LAD2110
ハンター・ペンス, SF1127
トロイ・トゥロウィツキ, COL215
アレン・クレイグ, STL114
エイドリアン・ゴンザレス, LAD114
バスター・ポージー, SF13
アダム・ウェインライト, STL13
マイケル・カダイヤー, COL33
マット・ホリデイ, STL12
ラッセル・マーティン, PIT11

受賞選手の成績はこちら。

ミゲル・カブレラ(30)
148試合 打率.348 44本塁打 137打点 出塁率.442 OPS1.078 3盗塁

アンドリュー・マッカッチェン(27)
157試合 打率.317 21本塁打 84打点 出塁率.404 OPS.911 27盗塁


カブレラは故障もあり、2004年から続けていた毎年150試合以上に出場という記録が途切れてしまったが、それでも打撃3部門は引き続き高水準。
あわや2年連続三冠王とも思われたがタイトル獲得は打率だけで、本塁打と打点は2位にとどまった。
53本塁打と138打点で二冠を獲得し今季大ブレイクしたクリス・デイビスもMVP有力候補ではあったが、一塁手であることと打撃の質的にカブレラの方が上回っていたことで票はあまり伸びなかったようだ。
もう一人の最終候補者トラウトは昨年同様MVP争いの有力候補になったがチーム成績がひどかったことも相まって2年連続カブレラに敗れる結果となった。
それでもWAR1位などトータルとしては相変わらずMLB最高クラスの活躍だった。
当初は中島のライバルとしてもフューチャーされていたドナルドソンがブレイクし4位に入っている点も興味深い。
そしてここでも日本人投手3人は下位票とは言え入ってきているのが素晴らしい。

ナ・リーグは3年連続で150試合以上に加え3割20本20盗塁を達成したマッカッチェンが受賞。
こちらはトータルとしての活躍が評価された形で、彼は弱点にもなっていた守備を大きく改善させたっことで総合力で抜きん出ることになった。
やはり守備負担の大きなセンターで高守備を見せるということの価値は高い。
デビュー当初から大きな期待をかけられていたゴールドシュミットは順調に成長し26歳の今季ブレイクに成功し、本塁打と打点の二冠を獲得。
今後数年間は毎年打撃タイトル争いに顔を出すだろう。
打撃だけでなく一塁手ながら守備・走塁でも貢献できる点が素晴らしい。
ダイヤモンドバックスがプレーオフに進出していれば彼の方がMVPを獲得していたとしてもおかしくないというパフォーマンスだった。
3位になったモリーナは怪我での離脱と首位打者争いから一気に失速していった感があるのが痛いところ。
それでもチームをワールドシリーズにまで導いたのは流石だ。
カーショウが結構上位にきているのも興味深く、もし彼が今季投手三冠だったらどこまでいっていたのかも気になるところだ。