2013年10月31日木曜日

2013年ワールドシリーズ Game6 <レッドソックス優勝>

STL 000 000 100 1
BOS 003 300 000 6
勝利投手:ラッキー
敗戦投手:ワカ

彗星のごとく現れた若き右腕も負ければ終わりの重圧には耐え切れなかったか。
レッドソックスが大手をかけて臨んだこの試合、先発したのは好調の若手ワカとリリーフでも登板したベテランのラッキーだった。
第二戦でも同じ対決だったがその時勝ったのはワカのほう。
今回カージナルスは絶好調のMVP候補オルティズとは危険な場面では勝負しないという徹底した作戦をとった。
その結果オルティズが打つことはなかったものの4四球(3敬遠)で4度も出塁を許すことになってしまった。
そして不調だった後ろの打者たちに打たれ作戦が裏目に出てしまったのだ。
短期決戦においてはカージナルスのとった戦法は決して間違っていなかったが、結果的にレッドソックスの意地がそれを上回ったと考えるべきだろう。
早い段階で点差をつけたレッドソックスは7回にピンチを迎えたもののその後はこのシリーズ防御率0.00の田澤、ワークマン、上原の盤石のリレーで試合を終わらせた。
最後は上原が三振でしめて日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手になった。
このシリーズの明暗を分けたのは、絶好調と言えるような打者が打線に一人でもいたかどうかという部分に加え、レッドソックス先発投手がほとんど試合を壊さなかったという点だろう。
また先発投手のできがあまりよくないと見るや早い回でも投手を変えたファレル監督の判断の速さも大きな要因になっているはずだ。
結果的にレッドソックスにはこのシリーズで4失点以上した先発投手はおらず、チーム全体でも1試合の平均失点は2.33と短期決戦らしく投手力がものを言った。
もちろんそこには田澤・上原という日本人コンビも大きく貢献している。

MVPを獲得したのはデビッド・オルティズだ。
6試合全てに出場し打率.688 2本塁打 6打点 出塁率.760 OPS1.948と驚異的な活躍だった。
レッドソックス打線自体あまり好調とは言えなかったことを考えると彼の存在の大きさは計り知れない。
個人的には初戦・第五戦という非常に大事な2試合でエース対決を連続で制したジョン・レスターもふさわしかったように思う。
2勝0敗 防御率0.59 15.1回 15奪三振 1四球という数字はオルティズがいなければ間違いなくMVPだったであろうものだ。
両者ともに素晴らしかっただけに野手と投手どちらの貢献度が高いのかという話になってくるのでもはやこれは考え方の問題とも言える。

さてレッドソックスがホームでワールドシリーズ制覇を決めたのはルースが所属していた1918年以来の95年ぶり。
このような記念すべきシリーズに日本人投手が二人もおり、しかも優勝に大きな貢献をしているのだからすごいものだ。
上原も田澤もずっとこの舞台を夢見てきただけに万感の思いだろう。
Congratulations Red Sox !!

2013年10月30日水曜日

2013年 ゴールドグラブ賞発表

今年も守備の栄冠ゴールドグラブ賞の受賞者たちが発表された。
受賞者は以下の通りだ。

ア・リーグ
C  サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
1B エリック・ホズマー(ロイヤルズ)
2B ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)
3B マニー・マチャド(オリオールズ)
SS JJ・ハーディ(オリオールズ)
LF アレックス・ゴードン(ロイヤルズ)
CF アダム・ジョーンズ(オリオールズ)
RF シェーン・ビクトリーノ(レッドソックス)
P  RA・ディッキー(ブルージェイズ)

ナ・リーグ
C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
2B ブランドン・フィリップス(レッズ)
3B ノーラン・アレナード(ロッキーズ)
SS アンドレルトン・シモンズ(ブレーブス)
LF カルロス・ゴンザレス(ロッキーズ)
CF カルロス・ゴメス(ブルワーズ)
RF ジェラルド・パーラ(ダイヤモンドバックス)
P  アダム・ウェインライト(カージナルス)

2年連続で3人以上のゴールドグラバーを出したオリオールズは今季エラー数54がMLB最小記録になるなど守備面において歴史的なシーズンを過ごした。
若きマチャドは既にMLB最高クラスの三塁守備を持ち合わせており、ハーディは以前から守備評価が高いショートだ。
ただジョーンズに関しては印象面に左右されている点が否めない。
派手なプレーは多いし肩も強いが、DRSはマイナスを記録するなど守備がそこまでいいわけではないのだ。
彼の受賞に関しては昨年も少し物議をかもしたが、どうやらまだ評価は落ちていないらしい。

オリオールズと同じく3人の受賞者を出したロイヤルズの面々は確かな実力を持ち合わせており、ゴードンやペレスはリーグ最高クラスといって差し支えない守備力の持ち主であり、ホズマーもリーグ最高かどうかとなると疑問符がつくが優秀な一塁守備であることが間違いない。

他に注目すべき点としては、ルーキーのアレナードが選出されている点だ。
ルーキーでの受賞は2001年のイチロー以来でMLB史上10人目となる。
トゥロウィツキーとの三遊間はナ・リーグ最高クラスの守備力になったと言えるだろう。

ワールドシリーズ出場チームからはそれぞれ二人ずつ選ばれており、モリーナは6度目と今季の受賞者の中では最多だ。
またモリーナとウェインライトはバッテリーで2度受賞したMLB史上2組目の選手たちとなった。

昨年までのゴールドグラブ賞はMLBの監督やコーチのみの投票だったのだが、今年からはセイバーメトリクス的見地を取り入れ30票が識者たちに与えられている。
これは総票数の約25%にあたるものだ。
そのためか今年の受賞者は例年よりは割合妥当な結果になっている。
打撃・印象重視とも言われるゴールドグラブ賞も変化しつつあるということだろう。

2013年ワールドシリーズ Game5

BOS 100 000 200 3
STL 000 100 000 1
勝利投手:レスター
敗戦投手:ウェインライト

2度目のエース対決はまたしてもレスターに軍配が上がった。
初戦同様にレッドソックスが早い回で先制すると、レスターもそれに応え好投を続けた。
4回にはホリデイに一発を浴びたが効率的なピッチングで7.2回をその1失点に抑えた。
一方のウェインライトも10三振を奪うなど調子が悪いわけではなかったのだが、好調オルティズと伏兵ロスの前に沈んでしまった。
そして終盤で僅差なら当然上原の出番だ。
8回途中から登場すると完璧なピッチングでカージナルス打線は手も足も出なかった。
ポストシーズンで回またぎをしながらも抑える姿はリベラをも彷彿とさせる。
これで3勝2敗と王手をかけてレッドソックスはボストンへ戻ることになる。
もしこのままレッドソックス優勝でシリーズが終われば2試合に先発し2勝0敗 防御率0.59と圧倒したレスターか、絶好調で打率.733を記録しているオルティズのどちらかがMVPに選ばれることになるだろう。
上原も素晴らしい活躍をしているが流石にこの2選手の活躍ぶりには敵わない。

さて再びボストンが舞台となる第六戦はNLCSから好調のルーキー、ワカと第四戦ではリリーフもしたラッキーが先発することになる。
第二戦ではワカに軍配が上がったわけだが、果たしてレッドソックスはこのまま勝負を決めることができるだろうか。

2013年10月28日月曜日

2013年ワールドシリーズ Game4

BOS 000 013 000 4
STL 001 000 100 2
勝利投手:ドゥブロント
敗戦投手:リン

またしても不完全燃焼気味な幕切れとなった。
この試合もレッドソックスは早い段階での継投で勝ちきる作戦に出た。
先発バックホルツはやや不安定ながらもそれほど調子が悪くなかったのだが4回でお役御免となり、そこからは先発投手をリリーフとしてつぎ込む展開に。
6回にはゴームスが3ラン本塁打で勝ち越すと本格的に逃げ切り体勢に入ったレッドソックスは当然最終回を絶対的守護神上原に託した。
そして上原は1安打を許したものの2アウト1塁でベルトランを迎えた場面で素早い牽制でランナーを刺し、まさかの牽制死という形でのゲームセット。
不完全燃焼感をお返しだと言わんばかりの2試合連続の珍しい幕切れとなったが、これでシリーズは2‐2のタイとなりかなり面白くなったのは事実。
カージナルスのホーム優勝の可能性は消えてしまい、レッドソックス側としては俄然やる気が出る展開だ。

第五戦の先発投手はレッドソックスがレスター、カージナルスがウェインライトと第一戦に引き続いてのエース対決。
ボストンでの第一戦ではレスター無失点、ウェインライト炎上とレスターに軍配が上がったがセントルイスでの次戦ではどうなるだろうか。
 

2013年ワールドシリーズ Game3

BOS 000 011 020 4
STL 200 000 201 5
勝利投手:ロゼンタール
敗戦投手:ワークマン

舞台をセントルイスへ移しての第三戦は、スコアだけをみれば劇的な幕切れ、しかし実際のところは不完全燃焼気味な試合となってしまった。
レッドソックスはDH制がなくなる今試合で、不調のナポリではなく2試合連続で本塁打を放っていたオルティズを一塁守備につけることを決断。
その甲斐もあってか序盤いきなり先発ピーヴィが2点の先制を許すも 6回までにはなんとか同点に追いつくことができた。
その後もカージナルスが突き放すもレッドソックスが追いつくという一進一退の攻防を展開し8回まで引き締まったゲームになっていた。
しかし9回裏1アウト2,3塁、投手は上原という場面で事件は起こった。
打者ジェイの打球は前進守備を布いていたペドロイアがゴロで捕球し正確にホームへ投げ込んだ。
ホームへ突っ込んできていたモリーナはそれでタッチアウトになったのだが、捕手のサルタラマッキアが三塁へボールを投げるとそれをミドルブルックスは捕球できずになおかつ体勢を崩して転んでしまう。
そこで一度は三塁へスライディングした走者のクレイグがボールがそれたのを見てホームへ走り出そうとしたのだが、体勢を崩したミドルブルックスを乗り越えようとしてクレイグが一度転んでしまったのだ。
もちろんホームでは悠々アウトのはずが、審判の判定はセーフ。
なんとミドルブルックスの走塁妨害をとられてしまい、それがサヨナラの得点となってしまったのだ。
打たれたわけでもエラーでもない形でのサヨナラ負けという結果にレッドソックス側は失望を隠せないだろう。
特に上原にとってはかなり不完全燃焼な結果となったはずだ。
色々物議を醸すことがあるであろうこの判定だが、結果として出てしまった以上は仕方がない。
これでワールドシリーズは2勝1敗でカージナルスがリード。
カージナルスにはまだホームで優勝の目が残っている。

第四戦の先発投手はレッドソックスは規定投球回未到達ながらシーズンを防御率1点台で終えたクレイ・バックホルツとカージナルスはALCSで2勝したランス・リンだ。
バックホルツはこのポストシーズンで3試合に先発登板して防御率5.40と全くもって調子がよくない。
対するリンも絶好調とは言い難いがなんとか調子を取り戻してきている。
お互い得点力のある打線だけに案外打撃戦になる可能性もあるが、レッドソックスとしては第三戦でのモヤモヤを払拭するためにもここで一度快勝しておきたいところだ。

2013年10月25日金曜日

2013年ワールドシリーズ Game2

STL 000 100 300 4
BOS 000 002 000 2
勝利投手:ワカ
敗戦投手:ラッキー

序盤は引き締まった展開で、好調の先発投手の投げ合いが続いた。
4回には好投するワカにカージナルス打線が待望の先制点をプレゼントするも、6回にそれまで制球が乱れながらも得点を許さなかったワカからレッドソックス主砲オルティズが2試合連続となる本塁打で逆転。
これで勝利の方程式で上原までつなぐことができるかと思いきや、次の回に左のリリーフエースであるブレスロウの送球エラーが絡み逆転を許してしまう。
レッドソックスは諦めず田澤、ワークマン、上原と勝利の方程式をつぎ込み再度逆転を狙おうとするがカージナルスの超有望株のマルチネス、好調の豪腕ロゼンタールの前になすすべなし。
試合全体として得点機会が少なかったものの、初戦同様に守備の乱れが試合結果を左右する展開となってしまった。
カージナルスもレッドソックスもレギュラーシーズンではエラーが少なかったのだが流石の試合巧者たちもこの雰囲気の前では平常通りとはいかないということだろうか。
やはりこのワールドシリーズは勝ち越したら絶対的守護神までどうつなぐかというのが両チームともに鍵を握りそうだ。

第三戦の先発投手はレッドソックスがシーズン途中に加入したサイ・ヤング右腕ジェイク・ピーヴィ、カージナルスがシーズン終盤ブレイクしたジョー・ケリーだ。
ピーヴィはALCSで3回7失点の大炎上をしてしまい、あまり好調とは言えない。
対するケリーもシーズン終盤の活躍は素晴らしかったもののNLCSでは2試合に登板し防御率4.91とあまりうまくいっていない。
ただ次はセントルイスへと舞台を移しての戦いとなるため、カージナルスとしてはホームで優勝を決めるにはここで勝つしかない。

2013年10月24日木曜日

2013年ワールドシリーズ Game1

STL 000 000 001 1
BOS 320 000 21X 8
勝利投手:レスター
敗戦投手:ウェインライト

両チーム万全の状態でエースの投げ合いとなった初戦は意外な結末となった。
初回早々にウェインライトを攻め立てたレッドソックス打線は、カージナルスの守備のエラーなども絡み一気に3点を先制する。
2回にも加点し序盤から優位にすすめる一方で、好調レスターも危なげなくカージナルス打線を抑えた。
主砲オルティズに一発も出て、打つべき打者が打ち抑えるべき投手が抑えた完璧な試合運びで初戦を制したのはレッドソックスとなった。
エースの誤算で1敗してしまったカージナルスはホリデイの意地の一発はあったもののこの先が少し不安になる完敗ぶりだった。

さてホームで幸先よく1勝したレッドソックスだがカージナルスの第二戦先発投手はALCSMVPと好調のマイケル・ワカだ。
今最もホットな22歳の投手をどう攻略していくかが鍵になる。
7回までリードされた状態になると強力な勝ちパターンが出てくるためにワカを打ち崩すしかない。
対するレッドソックスの先発は今季復活したジョン・ラッキー。
ディビジョンシリーズで打たれたもののALCSではタイガース打線相手に7回途中無失点という好投を見せているだけにこちらも打ち崩すのは簡単ではないだろう。
しかしワカが絶好調なだけにラッキーには大いにプレッシャーがかかる場面だ。
2002年にワールドチャンピオンに輝いた経験をここで活かして欲しいところ。
勢いのワカと経験のラッキー、果たしてどちらが投げ勝つだろうか。

2013年ワールドシリーズのキープレイヤー

このワールドシリーズで注目すべきキープレイヤーたちを紹介しよう。

上原浩二(レッドソックス)
短期決戦においては投手力が局面を大きく左右する。
その中でも重要なのはリリーフの出来だ。
となるとクローザーであり、ALCSでMVPを獲得した上原の重要性というのは言うまでもない。
ワールドシリーズでも8回からの回またぎ登板をするケースが出てくるはずで、彼がマリアノ・リベラのような存在になれればレッドソックスは終盤までリードすれば安泰だ。

ザンダー・ボガーツ(レッドソックス)
今季デビューしたレッドソックスマイナー最高の有望株。
メジャーでは18試合しか出場していないが、このポストシーズンでは6試合に出場して打率.500 出塁率.727と奮闘しており、7得点に貢献している。
このワールドシリーズでももちろん大いに出番があるはずで、彼がスーパースターになる上での大きなステップになるかもしれない。

ジョン・レスター(レッドソックス)
状況次第では2試合に登板することになるエースのレスターは今季のポストシーズン3試合で防御率2.33と好調を維持している。
レギュラーシーズン終盤での好調をそのまま持ち込んでおり、ワールドシリーズでの活躍も期待できる。

 デビッド・オルティズ(レッドソックス)
ディビジョンシリーズで好調を維持し、ALCSでは印象的なグランドスラムも放ったがALCS全体で見れば打率.091という絶不調だった。
エルズベリーやボガーツといった選手が出塁してもそれを返す打者が不調では話にならない。
ただしワールドシリーズ故にアウェイではDH専門の彼の出番は少なくなるため、ホームでどれだけ打てるかだ。


トレバー・ロゼンタール(カージナルス)
レッドソックスが上原ならカージナルスはロゼンタール。
”柔”の上原とは対称的な”剛”の100mphピッチャーであるロゼンタールはこのポストシーズン6試合で無失点と絶好調だ。
その存在感はもはや上原並みになっていると言え、こちらも終盤までリードすると逆転するのは極めて困難だ。

マイケル・ワカ(カージナルス)
今季デビューしたルーキーのワカだがNLCSでは2試合に先発し無失点に抑えMVPに輝いた今最も好調な投手だ。
ルーキーだけにレッドソックス側にもデータが少なく、彼がこのワールドシリーズの行方を左右する可能性は低くない。

ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
打撃でもまずまずの結果を残すモリーナだが、彼に求められる最も重要なものは守備。
彼の存在はもしかするとレッドソックスとの最も大きな違いかもしれない。
経験豊富で現役最高峰の守備力と存在感を放つ。
打てる打てないは問題ではなく、全体的に若い投手陣をどこまで引っ張っていけるかが鍵になる。

デビッド・フリーズ(カージナルス)
ワールドシリーズのカージナルスと言えばフリーズのことを思い出さないわけにはいかない。
2011年のワールドシリーズMVPだが、このポストシーズンでは打率1割台の不調に陥っている。
打線全体で絶好調と言える打者がいないため、彼がまたもやWS男になれるかどうか。

2013年10月20日日曜日

ALCSを制したのはレッドソックス! 上原はMVPに

劇的な展開だった。
1点差の終盤満塁の状況でビクトリーノが逆転満塁本塁打を放ち試合を決めた。
第二戦ではオルティズが同点に追いつく満塁本塁打を放っていたが、グランドスラムが印象的なシリーズとなった。
しかしそんなシリーズでMVPを獲得したのは劇的展開を演出した打者ではなく、ことごとく相手の希望を打ち砕いた上原だった。
今季クローザー定着後の上原の評価はうなぎのぼりだったが、彼にはどうにもプレーオフでのよくない印象があった。
2011年のポストシーズンでは3試合で3被弾と一気に信頼を失う要因にもなったのだ。
このポストシーズンでもディビジョンシリーズで本塁打を打たれるなど、またもやプレーオフで崩れるのかと思われかけたが、今の上原にそんなものはもはや通用しない。
リーグチャンピオンシップシリーズにはいると6試合中5試合に登板し失点はもちろんゼロ。
回またぎもこなし6イニングで被安打4奪三振は9というほぼ完璧な内容で3セーブをあげた。
シリーズを通して絶好調という打者がいなかっただけに安定して活躍しつづけた上原の存在は非常に大きなものであり、MVPに彼以上にふさわしい選手もいなかっただろう。

さて、ここからはカージナルスとのワールドシリーズになる。
執念のレッドソックスが勝つのか試合巧者のカージナルスが勝つのか、上原はワールドシリーズでもキーマンになることは間違いないだろう。
果たして彼はボストンのマリアノ・リベラになれるだろうか。

ナ・リーグ代表セントルイス・カージナルスを分析

ナ・リーグ西地区優勝のドジャースを下しリーグチャンピオンシップシリーズを制したカージナルス。
プレーオフでの経験は豊富で過去5年間で3度出場しており、そのうち一度はワールドチャンピオンにも輝いている。
それを支えるのは優秀な組織、優秀なGM、優秀な監督だ。
そんなカージナルスの戦力を分析してみよう。

以下はレギュラーシーズンにおけるチームスタッツだ。

打率.269(リーグ2位)
125本塁打(同13位)
783得点(同1位)
出塁率.332(同1位)
OPS.733(同2位)
45盗塁(同15位)

防御率3.42(同5位)
スターター防御率3.42(同2位)
リリーバー防御率3.45(同8位)
1254奪三振(同5位)
WHIP1.24(同6位)

得点力がありなおかつ投手力も高いということが見て取れるが、本塁打と盗塁が極端に少ないなど弱点がないわけではない。
しかしそこを出塁能力の高さや二塁打の多さなどカバーできているがゆえの高い得点力だ。
また異常なほど得点圏での強さを見せたのが今季のカージナルス打線の特徴で、得点圏打率の高さは群を抜いている。

投手力はさすがの一言でエースのウェインライトを筆頭にこのポストシーズンではリン、ケリー、ワカとイニング数の関係でミラーを休ませていても戦える先発陣容が出来上がっている上に、ロゼンタール、チョート、ムヒカ、メイネス、シーグリストといったリリーフも今では非常に優秀。
そしてなによりカージナルス投手陣の最高の強みはこれらのタレントをリードするのがヤディアー・モリーナであるということで、WBCでの日本戦で見せたように彼の存在感は投手を一回り大きくさせると言っても過言ではない。

ここに数字には現れない経験という要素が加わることを考えると、やはりカージナルスのチーム作りには他チームが見習うべき点が多いように思える。


2013年10月19日土曜日

ロサンゼルス・ドジャース NLCS敗退

ドジャースがカージナルスに敗れ対戦成績を2勝4敗としてプレーオフ敗退した。
至上命題とされていたワールドシリーズ進出はならなかったものの、序盤の不振や主力の怪我を考えれば地区優勝しリーグチャンピオンシップシリーズまで進出というノルマを達成したことは評価すべきだろう。
カージナルスとの最後の対戦は敵地で0‐9と完敗だったが、この試合の先発投手がドジャースはエースのカーショウ、カージナルスがルーキーのワカ だったことを考えると少し興味深い。
カーショウがシーズンでもやらないような7失点を喫したあたりは昨年のワールドシリーズで打たれたバーランダーを彷彿とさせ、これがプレーオフの怖さだと改めて実感させられる。
ワカは今季多くの新人先発投手がナ・リーグを沸かせたことを象徴するようなこのプレーオフの活躍ぶりで、改めてカージナルスの育成や選手獲得の凄さを思い知らされる。
おそらく彼もまた数年後チームのエースへと成長しているのではないだろうか。

とにかくこのシリーズのドジャースの敗因はとにかく打てなかったことにあるが、打線は水物ゆえにこれは仕方がない。
カーショウで負けるのならば誰もが諦めもつくだろう。
ただ今季最後の試合が7失点というのが来季に影響しなければいいのだが。
しかし来季以降もチャンスは十分にあるし、この金満球団はまた大きなことをやってくれると信じていいだろう。
悪の帝国はまだまだ滅びない。


2013年10月17日木曜日

失望のエンジェルスはかつての輝きを取り戻せるのか

昨オフに大型補強でFA市場を沸かせたロサンゼルスの2チーム、エンジェルスとドジャースは蓋を開けてみれば大きく明暗がわかれた。
ドジャースは92勝70敗で2位に11ゲーム差をつけての地区優勝を果たしプレーオフに進出。
それに対してエンジェルスは78勝84敗で2年連続の3位に終わり一度も優勝争いに絡むことがなかった。
両チームはスタートダッシュに失敗したという共通点はあるものの、エンジェルスは新戦力がことごとく結果を出せず、ドジャースは昨季途中で加入した選手や今季新加入の選手がうまくはまったという違いがある。
これが明暗を分けた差だと言っていいだろう。

それではどうすればエンジェルスはかつての常勝チームに戻れるのか、そもそも何が原因で低迷しているのかを考えなくてはいけない。
以下は今季の主要なチームスタッツだ。

打率.264(リーグ3位)
164本塁打(同10位)
733得点(同6位)
出塁率.329(同4位)
OPS.743(同5位)
82盗塁(同9位)

防御率4.23(同11位)
スターター防御率4.30(同11位)
リリーバー防御率4.12(同13位)
1200奪三振(同11位)
WHIP1.38(同13位)

何が悪いのかは明白、なにもかもだ。
と言いたいところだが、実際のところ短期間で全てを改革するというのは現実的ではないため、致命的な問題になっている投手力に目を向けてみよう。
投手のスタッツは軒並みリーグ下位レベルであり、これでそこそこの打線では勝てなくて当然だと言いたくなる。
まず先発に注目してみると、エースのウィーバーは怪我による離脱が痛かったものの復帰後はしっかり仕事を果たしていたし、デビュー以来8年連続での11勝以上も達成した。
二番手のウィルソンも相変わらずの荒れ球も200イニング 防御率3点台 17勝とくればかなりいい仕事をしたと言える。
問題は3番手以降に信頼できる投手がいないことだ。
バルガスは優秀な左のイニングイーターではあるが3番手としてはやや心もとないし、期待されていたハンソンもどんどん質が落ちていって今はローテーションを任せることもできないようになってしまった。
後半戦先発ローテに定着した速球投手のリチャーズも投げてみないとわからないタイプで、本塁打製造機と化したブラントンや5番手としても微妙なレベルのウィリアムズはロングリリーフとして使っていった方がいいだろう。
来季のローテーションはバルガスがFA権を取得したためウィーバー、ウィルソン、リチャーズの他はまだ未確定な状態となると、2,3番手クラスの先発投手の補強は急務だろう。
オフにFAになりそうな中でそれに見合う投手はアービン・サンタナ、マット・ガーザ、リッキー・ノラスコ、AJ・バーネット、バートロ・コロンあたりだろうか。
サンタナは今季素晴らしい活躍だったがクオリファイングオファーの関係上エンジェルスも含めて多くのチームが尻込みしするだろうし、ガーザやノラスコは終盤に何度か炎上したので印象があまり良くない。
バーネットは引退話もある上にコロンは高齢で薬物歴あり、と中々理想的な投手は見つからない。
少し賭けにでるのであれば実績がありながら成績が悪化しつつあるジョシュ・ジョンソンやティム・リンスカムに手を出してみるというのもアリだ。
あるいは前人未到の記録を引っさげてMLB入りの可能性がある田中将大に手を出してみるのも悪くないだろう。
ダルビッシュと同地区ということで日本からの注目度は大きく上がるだろうし、最近の日本人投手の活躍ぶりを考えれば田中が今季の日本人先発投手と同程度の活躍をしてもおかしくない。
個人的にはガーザとリンスカムを獲得しバルガスを引き止めるというのが最良だと考えているのだが果たしてどうなるだろうか。
本当に田中を獲得することにでもなればかなり面白いのだが。

続いてリリーフだが、こちらは先発よりも悲惨だ。
中々悪くない弱点を埋める補強だと考えられていたバーネットとマドソンは怪我でほとんど投げられずじまいの上、肝心要のクローザーも相変わらず本塁打を供給し続けた。
ウォルデンとダウンズの二人をブレーブスへ放出してしまったことで、地盤はかなりゆるくなっている。
希望を見出してよさそうなのは遅咲きのデラロサくらいだろうか。
ローテ入りできなかった先発候補をリリーフに回すとしてもあまりにも信頼できる投手が少ないためこのままではまたリリーフが崩壊することになるだろう。
ここはもう割り切ってトレードなども駆使して即戦力の信頼できる投手を数人補強するしかないだろう。
不良債権を複数抱え込んでしまっているこのチームにはもはや将来性というものはほとんどなく、かつてのヤンキースのように補強を続けるしかないのだ。
それがより負のサイクルを生み出してしまうとわかっていても、今を勝つために悪魔の取引に身を投じなくてはいけないのは勝つことが期待されているチームのつらいところだ。
来季は的確な補強をし、ハミルトンやプホルスが少しでも復活できるように祈りたいものだ。



2013年10月10日木曜日

最新版現役先発左腕ランキング

2013年のレギュラーシーズンが終了し、今季の各選手の成績もかたまったところで最近若い好投手が増えてきた左腕をランクつけしてみようと思う。
判断材料とするのは過去3年間の成績であり、当然ながら今季のものを最重要視する。

1位 クレイトン・カーショウ(25)
2013年各種スタッツ
16勝9敗 防御率1.83 236.0回 232奪三振 52四球 11被本塁打 WHIP0.92
過去3年間の活躍だけ見れば彼が現役最高左腕であることに異論を挟むものはおるまい。
抜群の安定感と支配感を持ち合わせており、100mphの剛球を投げ込むわけではないが威力抜群の速球と切れ味鋭いカーブやスライダーはすべて一流クラス。
制球も向上しているとあっては付け入る隙はない。
ただ彼の評価を少し難しくする要因があるとすればそれはDHのないナ・リーグ、しかも投手有利のドジャー・スタジアムを本拠地としているところだろう。
しかし個人的にはもはやそんなことは関係ないレベルにまで頭一つ抜け出た存在だと思っている。

2位 クリフ・リー(35)
2013年各種スタッツ
14勝8敗 防御率2.87 222.2回 222奪三振 32四球 22被本塁打 WHIP1.01
キャリアにおける実績は現役左腕の中では最高クラスであり、この3年間も非常に安定していた。
2012年にあまりにも援護を得られなかったことで6勝9敗という見栄えの悪い数字を残してしまったが、実際の投球内容は変わらず素晴らしいものだった。
制球力に関しては今もMLB最高クラスで、それでいて奪三振力も高いためK/BBはずば抜けている。
ただし球威はそれほどではない上にゾーンで勝負するタイプなので球場の特性の影響をもろに受けやすい点が欠点だ。

3位 デビッド・プライス(28)
2013年各種スタッツ
10勝8敗 防御率3.33 186.2回 151奪三振 27四球 16被本塁打 WHIP1.10
2012年サイ・ヤング賞投手ではあるが、怪我もあったせいで今季の成績は少し物足りないと思っているファンは多いだろう。
しかし彼は今季大きな変化を遂げた。
奪三振こそ減ったがその代わりに制球力が大幅に向上し、よりゾーンで勝負できるようになった。
結果的に怪我から復帰してからはエースとして素晴らしい投球を見せていた。
なにより彼において評価すべきはア・リーグ東地区で投げているということだ。
ヤンキースこそ弱体化しているがそのほかのチームは強力打線ばかり。
その中でこれだけの活躍ができるということがやはりエースたる所以なのだろう。

4位 コール・ハメルズ(29)
2013年各種スタッツ
8勝14敗 防御率3.60 220.0回 202奪三振 50四球 21被本塁打 WHIP1.16
サイ・ヤング賞をとるような圧倒的なタイプではない。
チームが弱体化した上に同僚にはリーがいることでやや地味な存在になってしまいがちなのだが、彼自体はエース級投手だ。
安定して200回を投げて防御率も3点前後に抑える、内容的にも三振がとれて四球も少ない。
こういう投手はかなり貴重であり、もっと高い評価されてもいい。
今季は大きく負け越したし序盤は不調に陥っていたが、後半は本来の力を発揮していた。
来季以降も魔球チェンジアップを軸に安定した活躍を続けていくのだろう。

5位 マディソン・バンガーナー(24)
2013年各種スタッツ
13勝9敗 防御率2.77 201.1回 199奪三振 62四球 15被本塁打 WHIP1.03
デビュー当初から完成度が高く、順調なキャリアを歩んでいる。
ただ安定した成績を残し続けているというだけでなく、ポストシーズンの経験が多く既に2つのチャンピオンリングを手にしているという点も数字にはあらわれない部分で評価したい。
今季は防御率が初めて2点台になったが、投手有利の本拠地の恩恵は当然ながら受けている。
しかし投球スタイル的には長期的な活躍が見込めそうで、若いうちから安定して活躍している点を考えても案外殿堂入りを視野に入れてもいい投手なのかもしれない。

6位 ジオ・ゴンザレス(28)
2013年各種スタッツ
11勝8敗 防御率3.36 195.2回 192奪三振 76四球 17被本塁打 WHIP1.25
球威ある速球に大きく曲がるカーブを軸にした高い奪三振力が魅力的な投手で、2012年には21勝で最多勝のタイトルも獲得したが、いかんせん制球力というわかりやすい弱点がある点が難点。
ローテーションを守っているのにここ2年連続で200回を越えられなかったのはそのせいもあるだろう。
 
7位 クリス・セール(24)
2013年各種スタッツ
11勝14敗 防御率3.07 214.1回 226奪三振 46四球 23被本塁打 WHIP1.07
先発としてのキャリアがまだ2年のため他の投手に比べてサンプルは少ないが、既にホワイトソックスのエースと呼んでいい存在になっている。
今季は援護に恵まれなかったが投球内容は昨季よりも向上し、初の200回200奪三振もクリアした。
長身とサイドスローであることからランディ・ジョンソン二世と呼ばれるが、ランディよりはよく言えば完成度が高く、悪く言えばスケールの一回り小さな投手だ。
ただ最速100mphに達する速球や切れ味鋭いスライダーなどランディと似通った部分は確かに多く、 奪三振力がさらに向上すればサイ・ヤング賞を何度も狙える投手になるだろう。

8位 CJ・ウィルソン(32)
2013年各種スタッツ
17勝7敗 防御率3.39 212.1回 188奪三振 85四球 15被本塁打 WHIP1.34
先発転向後4年間で防御率2点台を1度、3点台を3度達成し、なおかつ4年連続200回をクリアしている点は大きく評価すべきだ。
アーリントンで防御率2点台を叩き出しただけに本塁打を打たれないという能力にも長けている。
しかしゴンザレス同様制球力の悪さが彼の評価を難しくしている。
その割に奪三振力がそこまで高いわけでもなく、2,3番手止まりの評価になってしまうのは仕方ないところだ。

9位 ジョン・レスター(29)
2013年各種スタッツ
15勝8敗 防御率3.75 213.1回 177奪三振 67四球 19被本塁打 WHIP1.29
かつては5本指に入る先発左腕だったが、2012年に成績を悪化させたことで大きく評価を落とした。
しかし終盤にエースとしてチームを引っ張る活躍をしたことで再度持ち直してきた。
実際のところ2012年も内容的にはそこまで酷いものというほどではなくxFIPに関しては今季より良かったくらいだ。
奪三振率が落ちている点が心配だが、復活しつつあるのだと考えていいのかもしれない。

10位 デレク・ホランド(27)
2013年各種スタッツ
10勝9敗 防御率3.42 213.0回 189奪三振 64四球 20被本塁打 WHIP1.29
2012年に長期契約を結びながらも期待を裏切ったことで評価が落ちつつあったが今季はダルビッシュに次ぐ2番手として十分な働き。
うまく成長しており、来季はダルビッシュと左右のエースとして活躍できそうだ。



 





2013年10月4日金曜日

ナ・リーグ新人王は誰の手に?

長きに渡るレギュラーシーズンが終了し、タイトル獲得者も確定した。
それらの成績から各賞の予想をしているファンも多いだろう。
そこで今回注目したいのは、非常にハイレベルだったナ・リーグのRookie of the Year Awardだ。
派手な活躍をした選手が少ないア・リーグに比べて、ナ・リーグの方は新人の活躍が非常に目立った。
プイグやミラー、テヘラン、リュ、コールといったチームのプレーオフ進出に大きく寄与した選手も少なくはない。
まずはハイレベルな活躍をした新人を成績とともに紹介しよう。

ホゼ・フェルナンデス(MIA)・・・☆
28試合(28先発) 12勝6敗 防御率2.19 172.2回 187奪三振 58四球 WHIP0.98 
FIP2.73 xFIP3.08 fWAR4.2 rWAR6.3

ヒョンジン・リュ(LAD)・・・◎
30試合(30先発) 14勝8敗 防御率3.00 192.0回 154奪三振 49四球 WHIP1.20
FIP3.24 xFIP3.46 fWAR3.1 rWAR3.3

フリオ・テヘラン(ATL)・・・〇
30試合(30先発) 14勝8敗 防御率3.20 185.2回 170奪三振 45四球 WHIP1.17
FIP3.69 xFIP3.76 fWAR2.4 rWAR3.2

シェルビー・ミラー(STL)・・・〇
31試合(31先発) 15勝9敗 防御率3.06 173.1回 169奪三振 57四球 WHIP1.21
FIP3.67 xFIP3.73 fWAR2.1 rWAR3.4

ジム・ヘンダーソン(MIL)・・・△
61試合(0先発) 5勝5敗 28セーブ 防御率2.70 60.0回 75奪三振 WHIP1.13
FIP3.58 xFIP3.31 fWAR0.3 rWAR1.4

ヤシエル・プイグ(LAD)・・・★
104試合 打率.319 19本塁打 42打点 出塁率.391 OPS.925 11盗塁
wOBA.398 fWAR4.0 rWAR5.0

ゲリット・コール(PIT)・・・×
19試合(19先発) 10勝7敗 防御率3.22 117.1回 100奪三振 28四球 WHIP1.17
FIP2.91 xFIP3.14 fWAR2.3 rWAR1.3

トニー・シングラニ(CIN)・・・×
23試合(18先発) 7勝4敗 防御率2.92 104.2回 120奪三振 43四球 WHIP1.10
FIP3.78 xFIP3.49 fWAR1.3 rWAR2.2

ザック・ウィーラー(NYM)・・・×
17試合(17先発) 7勝5敗 防御率3.42 100.0回 84奪三振 46四球 WHIP1.36
FIP4.17 xFIP4.21 fWAR0.6 rWAR1.1

ジェド・ジョーコ(SD)・・・×
125試合 打率.249 23本塁打 63打点 出塁率.301 OPS.745 1盗塁
wOBA.325 fWAR2.5 rWAR2.2

エバン・ギャティス(ATL)・・・×
105試合 打率.243 21本塁打 65打点 出塁率.291 OPS.771 0盗塁
wOBA.329 fWAR0.9 rWAR0.6


先発投手の活躍が目立つが、当然ながら大本命はフェルナンデスだ。
20歳でのデビューと候補者の中では最も若く、チームの方針により投球制限がかかっていなければサイ・ヤング賞候補になっていてもおかしくないレベルの内容で、特にオールスター以降は7勝1敗 防御率1.32とほぼ無敵だった。
チームは優勝争いとは無縁だったことや、他に労働量で上回る投手が数人いることを除けばほぼ全てにおいて今季の新人投手最高と言える。

彼の対抗馬になりそうなのがリュ、テヘラン、ミラーの3投手。
彼らはそれぞれチームの地区優勝にも大きく貢献しており、内容的にも優れている。
スタイルに違いはあれど勝敗や防御率などがに通っており、この3投手の誰を一番評価するかはもはや好みの問題と言ってもいいかもしれない。
個人的には年間通じて大崩れすることなく安定して、序盤チームの調子が悪い時期にも踏ん張っていたリュを労働量の観点から最も評価したいところ。

リリーフでは比較的新人王をとりやすいクローザーからヘンダーソンをピックアップしたが、30セーブに届かず防御率2点台後半ではやはり先発投手と対等に戦うのは難しいか。

センセーショナルな活躍でMLBを席捲したプイグは大穴候補だ。
シーズン途中の昇格のため出場試合数は物足りないが、内容的には非常に素晴らしい上に彼の昇格と同時期にチームも上向いたため、ドジャース優勝のキーパーソンになったといっても過言ではない。
強肩を活かした守備でも判断力などの課題は浮き彫りになったものの魅せる活躍をしてくれた。
しかしやはり年間通した活躍ではない点がネックであり、さらに好不調の並みの激しかった点もマイナス材料になる。

コールはもう少し早くに昇格できていれば上位候補に入れたかもしれない惜しい存在だ。
抜群の安定感で相手打線を押さえ込み、ワイルドカード争いをしていたパイレーツにとって最も重要な時期であった9月に4勝 防御率1.69という素晴らしい仕事をしてみせた。
序盤はあまり奪うことができなかった三振も終盤は量産していただけに、彼がもっと序盤に昇格して早く適応していれば面白い存在になったかもしれない。

シングラニやウィーラーも起用法や昇格時期に左右されたために労働量が惜しい投手たちだ。

プイグ以外目立った存在があまりいない野手では新人最多の23本塁打を放ったジョーコやシンデレラストーリーでも話題になったギャティスがそれなりの活躍をしたが新人王候補となるほどではなかった。
しかしギャティスの本塁打率の高さやペトコ・パークを本拠地と怪我もありながらこれだけの本塁打を放ったジョーコのパワーは今後に期待できるだろう。