2014年12月27日土曜日

黒田が広島復帰濃厚

広島カープに少し遅いクリスマスプレゼントが届くかもしれない。
このほどヤンキースからFAとなっていた黒田博樹がカープに復帰するという報道がなされた。
以前より黒田はFAになるたびにカープ復帰への可能性が囁かれ、実際彼は複数年契約が得られたであろう状況でも単年契約にこだわってきた。
チカラが衰える前にカープへ復帰したいとの言葉もあり、近年は毎年のようにカープファンは期待してきたことだろう。
しかしMLBとNPB、しかもカープということでその経済力は桁違い。
MLBでは1500万ドル以上の価値を見出されている彼をカープが獲得できる道理はなかった。
黒田の気持ちは嬉しく思うも実際にはMLBで引退すると予想していたファンもたくさんいたはずだ。
しかし今回の報道通りなら、まだMLBでプレーできるレベルにある彼がカープのローテーションへと加わることになる。
年俸は4億円と言われており、MLBでの年俸とは比べ物にならないがそれだけ黒田にとってカープへの思いは強かったということだろうか。

通常日本に帰ってくる日本人メジャーリーガーは衰え、実力的にMLBで一線でやれなくなった選手がほとんどだ。
しかし黒田の場合は違う。
防御率こそ過去5年で最低の数値を記録したが、2桁勝利に200回近い投球回数、防御率3点台と日本に来ることが考えられないレベルの数字を2014年には残している。
年齢は来年40歳と高齢だが、日本のスポーツ新聞がよくいう”現役バリバリのメジャーリーガー”とは違う”本物の”メジャーリーガーがやってくることになるのだ。
それも日本の野球をすでに経験している投手である。
マウンドやボールの違いがあるため多少は感覚を戻す必要はあるだろうが、過去の経験があるため再び日本流にアジャストできる可能性は高い。

データで見ても黒田が非常に能力が高い投手であることは明らか。
パワーピッチは難しくとも洗練された技術により打者を打ち取る能力に長けている。
以下にFanGraphsより2014年の彼の投球データを引用するが、これを見れば彼が未だMLBでローテーションの2,3番手を張れるレベルであることがわかるだろう。

32試合 11勝9敗 防御率3.71 199.0回 146奪三振 35四球 20被本塁打
WHIP1.14 被打率.246 奪三振率6.60 四球率1.58 FIP3.60 xFIP3.54
シンカー 91.0mph(約147km) 39.7% 
スプリッター 86.1mph(約139km) 27.4%
スライダー 82.9mph(約133km) 22.3%
4シーム 90.7mph(約146km) 6.5%
カーブ 76.1mph(約123km) 3.9%
カッター 89.6mph(約144km) 0.3%

2014年の最高球速は94.7mph(約152km)で未だに日本では上位の球威を誇ることが伺える。
マウンドやボールの違い、あるいは年齢的な劣化により来季は球速に衰えが出ることは間違いないだろうが、大きな衰えでなければ問題にはならないはずだ。
今の黒田を支えているのは制球力で、打たせてとるタイプの彼にとっては内野の守備力が重要になってくる。
その点NPB一の二塁守備を誇る菊池がいることが黒田にとって大きなプラス要素になるはずだ。
前年までMLBで一線級の活躍を見せていたからといってNPBで最高クラスの活躍ができるとは限らない。
環境的に大きな違いがあるし、黒田自身年齢という問題もある。
それでもこのレベルの投手が来日するケースは極めて稀であり、彼のプレーは日本中の野球ファンの注目を集めることになるだろう。
彼が日本にいた時のダルビッシュや田中、あるいは今の金子のような数字を残せるとはあまり思えないが、エース級と呼べるくらいの成績はだしてくれるのではないかと私は思っている。
若い先発投手が揃うカープは、エース前田に黒田が加わったことで一気にローテーションの層が厚くなった感がある。
20億円近いオファーを蹴ってカープに戻ってくる黒田は2015年シーズンNPBでの再注目選手になることは間違いないだろう。
願わくば大活躍してカープの偉大なレジェンドとして引退してほしいものだ。




2014年12月13日土曜日

ウィンターミーティングのビッグディールまとめ

毎年開催されるウィンターミーティングでは各球団の編成のトップが集まるため大きな契約、特にトレードなどが決まることが多い。
先日紹介したレスターのカブスとの大型契約もそこで決まったものの一つだ。
ということで4日間に渡るウィンターミーティングで成立した主な契約やトレードをまとめて紹介したいと思う。

FA選手
⚪︎ジョン・レスター→カブス 6年1億5500万ドル(7年目は2500万ドルのオプション)

⚪︎アービン・サンタナ→ツインズ 4年5500万ドル(5年目はオプション)

⚪︎ブランドン・マッカーシー→ドジャース 4年4800万ドル

⚪︎デビッド・ロバートソン→ヤンキース 4年4600万ドル

⚪︎フランシスコ・リリアーノ→パイレーツ 3年3900万ドル

⚪︎ルーク・グレガーソン→アストロズ 3年1850万ドル

⚪︎ジェイソン・ハメル→カブス 2年1800万ドル(3年目は1000万ドルのオプション)

⚪︎ケンドリス・モラレス→ロイヤルズ 2年1700万ドル(3年目はオプション)

⚪︎パット・ニーシェック→アストロズ 2年1250万ドル

⚪︎ジャスティン・マスターソン→レッドソックス 1年900万ドル


トレード
⚪︎ブランドン・モス→アスレチックス
 ジョーイ・ウェンドル→インディアンス

⚪︎ジェフ・サマージャ→ホワイトソックス
 マイケル・ノア→ホワイトソックス
 マーカス・シミアン→アスレチックス
 ジョシュ・フェグリー→アスレチックス
 クリス・バシット→アスレチックス
 ランゲル・ラベロ→アスレチックス

⚪︎ミゲル・モンテロ→ホワイトソックス
 ジェファーソン・メヒア→ダイヤモンドバックス
 ザック・ゴドリー→ダイヤモンドバックス

⚪︎ジミー・ロリンズ→ドジャース
 ザック・エフリン→フィリーズ
 トム・ウィンドル→フィリーズ

⚪︎ディー・ゴードン→マーリンズ
 ダン・ヘイレン→マーリンズ
 ミゲル・ロハス→マーリンズ
 アンドリュー・ヒーニー→ドジャース
 クリス・ハッチャー→ドジャース
 エンリケ・ヘルナンデス→ドジャース
 オースティン・バーンズ→ドジャース

⚪︎ハーウィ・ケンドリック→ドジャース
 アンドリュー・ヒーニー→エンジェルス

⚪︎ウェイド・マイリー→レッドソックス
 ルビー・デラロサ→ダイヤモンドバックス
 アレン・ウェブスター→ダイヤモンドバックス

⚪︎マット・ケンプ→パドレス
 ティム・フェデロビッチ→パドレス
 ヤスマニ・グランダル→ドジャース
 ジョー・ウィーランド→ドジャース
 ザック・エフリン→ドジャース

⚪︎ヨエニス・セスペデス→タイガース
 アレックス・ウィルソン→タイガース
 ゲイブ・スピアー→タイガース
 リック・ポーセロ→レッドソックス

⚪︎アルフレッド・サイモン→タイガース
 ユージェニオ・スアレス→レッズ
 ジョナサン・クロフォード→レッズ

⚪︎マット・レイトス→マーリンズ
 アンソニー・デスクラファニ→レッズ
 チャド・ウォレック→レッズ

 
この中でも特に注目したいのは比較的大物同士が動いたレッドソックス⇄タイガースのトレード、そしてドジャース、マーリンズのそれぞれのいくつかのトレードだ。

レッドソックスは結局せっかく獲得した主砲候補をシーズン開幕を待たずに放出することとなった。
とは言えそこにはレスターを逃した状況でどうしても安定感のある先発投手が欲しかったという事情があるだろう。
実際若くしてメジャーデビューしたポーセロはキャリア前半こそ伸び悩んでいる印象が強かったが大きな怪我なくここまでキャリアを過ごしており、今季はついに15勝200回防御率3点台という大仕事をやってのけた。
もうすぐ26歳と伸び代も十分で今後にはさらに期待できるためレッドソックスとしては悪くない獲得だろう。
これによってレッドソックスのローテーションはバックホルツ、ポーセロ、マイリー、マスターソン、ケリー、ワークマンとネームバリューには欠けるものの頭数だけはそこそこの投手で揃えられたことになる。
若い投手が多いだけに大きなブレイクがあればまた話も変わってくるだろう。
野手に大きな補強をしただけに、投手、特に先発投手の出来は来季の出来を左右するに違いない。

続いてドジャースのトレードだが、せっかく盗塁王にまで成長したゴードンを放出してエンジェルスからケンドリックを獲得した。
悪くはない選手ではあるが、これによって戦力的にアップグレードされたかというとまた微妙なところである。
またフィリーズから落ち目のロリンズを獲得。
長打力とスピードがあることは確かだが完全に下り坂の選手であり、今季までのラミレスと比べると格落ち感が否めない。
これにより来季はロリンズ、ケンドリックという新しい二遊間でいくことが決まったわけだが、これは応急処置的な意味合いが強い。
なぜならドジャースは遊撃にアルエバルエナ、二塁にはゲレーロという2人のキューバ人選手を抱えているからだ。
彼らがまだレギュラークラスの打撃成績を残せるかわからない状況のため上記のベテランたちに白羽の矢がたったが、将来的にはキューバ人による二遊間が結成されると見ていいだろう。
また人材の余った外野においてトレードの噂が絶えなかったケンプをついにパドレスへと放出し、弱点だった捕手をグランダルで補強した。
これで外野はクロフォード、プイグ、イーシア、ペダーソン、ヴァンスライクの5人で戦っていくことになるが、プイグ以外はどの程度やれるのかやや不透明、おそらくドジャースの理想としてはクロフォード、ペダーソン、プイグの3人で組むことだがマイナーでは敵なしのペダーソンが来季どれくらいやれるかにそのあたりはかかっている。

スタントンとMLB史上最大の巨額契約を結んだマーリンズはスタントンのためにもチームを強くしなければならない。
そのせいかこのオフには今の所最も多く選手を動かしている球団の一つとなっている。
攻めのトレードにより得た選手はゴードン、レイトス、ヘイレンなど。
特に投手陣はフェルナンデスが復帰すればフェルナンデス、レイトス、アルバレス、コザート、コーラー、ヘイレン、イオバルディと年齢的にも実力的にも非常に贅沢な先発投手が揃うことになる。
打線も破壊力がある選手こそスタントンやオズーナくらいしかいないがゴードン、イェリッチの1,2番コンビはスピードにおいて脅威でスタントンらの大きな助けになるだろう。
このチームは、あとはどのくらい若手が成長するかにかかっている。
今回のウィンターミーティングを見る限り、マーリンズ、カブスなどの来季の戦いぶりは非常に興味深くなってきたと言えよう。


2014年12月10日水曜日

ジョン・レスターがカブスと6年1億5500万ドルの大型契約に合意

ついにカブスが動き出した。
先日トレードで正捕手候補ミゲル・モンテロを獲得したカブスが今度はFA市場の目玉の一人ジョン・レスターを6年1億5500万ドルというカブス史上最高額で獲得した。
元レッドソックスのエプスタイン率いるカブスは新監督としてレイズの監督だったジョー・マドンを迎えるなど新体制を整えており、プロスペクトなどの充実度からもそろそろ勝負に出る頃とみられていたがここにきて動きを見せはじめた。
当然これでレスターはエースとしてチームに加わるわけだが、これによって先発ローテーションはレスター、アリエッタ、ウッド、ヘンドリックス、和田、そしてこちらもFAで獲得したハメルとそれなりに充実してくることになる。
とりわけレスター、アリエッタ、ヘンドリックス、ハメル、和田が昨季と同じような活躍ぶりをみせればかなり強力なローテーションになるだろう。
リリーフの方はまだ補強の余地があるが、野手はトレード候補を抱えるほど若手で充実しているため彼らをつかって今後も補強することはできる。
近年常に下位に沈んできたこのチームがついに逆襲を果たすときが来たのだろうか。
今後もカブスの動きには要注目だ。

ホワイトソックスがジェフ・サマージャを獲得

ホワイトソックスがアスレチックスとの大型トレードでジェフ・サマージャを獲得した。
概要は以下のとおり。

ジェフ・サマージャ
マイケル・ノア
   ↓
ホワイトソックス

マーカス・シミアン
クリス・バシット
ジョシュ・フェグリー
ランジェル・ラベロ
   ↓
アスレチックス

今回アスレチックスが獲得した選手はラベロを除いた3人がすでにメジャーデビューを果たしており、年齢的にもそれほど若くはない。
しかしいずれもメジャーでは大した数字はまだ残せていないもののマイナーでは好成績を残しているというタイプだ。
特にフェグリーやシミアンは長打力の面で期待できる。
しかしその代わりにサマージャを失ったのはアスレチックスにとって大きな痛手になるのは間違いない。
シーズン中に獲得したサマージャとレスターを失うことでアスレチックスの先発ローテーションはグレイ、カズミアー、ポメランツに加え2014年全休だったパーカーやグリフィンに頼ることになる。
場合によってはチャベスを再び先発で使ったり、ノーリン、バシットといったメジャーではほぼ未知数に近い若手も使うことになるだろう。
実際アスレチックスはそうやってこれまで強豪と渡り歩いてきたのだが、今回は打線の要であるドナルドソンやモスなども放出してしまっているため投手陣の負担が大きくなるのは必至。
そのあたりを今後ビーンGMがどう解決していくのか気になるところだ。
ビリー・バトラーを3年契約で獲得するなど再建期に入るにしては不可解な補強も見せているため、完全な再建期というわけではないだろう。

対してサマージャを獲得したホワイトソックスはどうやら来季に対して本気で挑むようだ。
弱点の一つであるクローザー問題も元ヤンキースのデビッド・ロバートソンを4年4000万ドルで獲得したことで区切りがついた。
先発はリーグ屈指の左腕セールに加えサマージャ、キンターナと並ぶ3本柱はかなり質の高いものになっている。
残りの2枠に絶対的な投手がいないのが未だ大きな穴ではあるが、若手が台頭する余地があるとも言える。
強力ローテーションを持つ同地区のタイガースや成長著しいロイヤルズは地区優勝候補であっても絶対的な存在ではない。
ホワイトソックスもさらなる補強次第では一気に優勝を狙うチームに変貌を遂げる可能性がある。

2014年12月7日日曜日

ヤンキースがジーターの後継者候補を獲得

サンドバル、ラミレスというFA市場の大物を最大のライバルであるレッドソックスに持って行かれ、例年のようにオフシーズンを賑わすことの少なかったここまでのヤンキースだが、このほどトレードとFAで若手遊撃手とセットアッパーを獲得することに成功した。

FAで獲得したセットアッパーはアンドリュー・ミラー(29)。
契約内容は4年3600万ドルでリリーフとしては高額の部類だが、過去3年ア・リーグ東地区で残した実績と成績が毎年向上していることを考えれば年齢的にも悪くない契約だ。
ただ過去3年で約130回と多少なりとも怪我のリスクがあるのは少々怖いところ。
これで今季ブレイクしたデリン・ベタンセスとともにリリーフの軸ができ上がったことになるが、おそらくロバートソンが抜けるであろうクローザーの穴にどちらが収まるのかはわからない。
ヤンキースは他にも左のリリーフのジャスティン・ウィルソンをパイレーツから獲得しており、またアダム・ウォーレンらもいることからリリーフ全体としては徐々に整備されつつあり年齢的にも悪くはなくなった。



そしてもう一つの動きが若手遊撃手ディディ・グレゴリアス(24)の獲得。
ダイヤモンドバックス、タイガースを含んだ三角トレードで、概要は以下のようになった。

ディディ・グレゴリアス→ヤンキース
シェーン・グリーン→タイガース
ロビー・レイ→ダイヤモンドバックス
ドミンゴ・レイバ→ダイヤモンドバックス

ヤンキースが放出したグリーンは派手さはなくともルーキーながら今季しっかり結果を残した先発投手で、来季も先発ローテーションの貴重な戦力として働くはずだったために惜しい存在ではある。
しかしヤンキースにとって急務である遊撃手の補強の方が優先順位としては上。
グレゴリアスはジーターの後釜として据えるには力不足の印象は拭えないが、高額の中堅選手ではなく若手を獲得できたことは一定の評価に値するのはではないか。
ダイヤモンドバックスとしても余剰戦力になりかけていたグレゴリアスを若いプロスペクトに替えられたのは願ってもない話であっただろうし、今の所全チームがしっかり欲しい部分を補強できたトレードとなっているのではないだろうか。
ヤンキースとしてはとにかくグレゴリアスがせめてレギュラーに定着するだけの成績を残してくれることを祈るばかりだ。




2014年11月29日土曜日

ジョシュ・ドナルドソンがブルージェイズへ電撃移籍

アメリカにはブラックフライデーというものがあるのをご存知だろうか。
サンクスギビング翌日の金曜日のことをそう呼ぶのだが、この日は多くの商品がセールになる一年で最も買い物が行われる日の一つであり、クリスマス商戦の始まりの日でもある。
そんなブラックフライデーの晩に、アスレチックス、ブルージェイズ間でビッグトレードが成立した。
アスレチックスから移籍したのは今やMLB有数の三塁手ジョシュ・ドナルドソン、そしてブルージェイズからはジェド・ロウリー、ショーン・ノーリン、ケンドール・グレイブマン、フランクリン・バレトの4選手が動いた。
1対4というトッププロスペクトを含む大きなトレードとなったわけだが、実際今のドナルドソンにはそれだけの価値がある。
今季はWARにおいて三塁手最高値を記録、長打力、出塁力など攻撃面での評価ももちろん高いがそれほどWARが高くなった原因は守備力の高さにある。
近年の守備を見ている限りそれはフロックではなくしっかりとした実力だろう。
ブルージェイズが彼を欲しがった背景はそこにあるはずだ。
今季のブルージェイズは三塁手を固定できず、プロスペクトとして期待されたロウリーもまたしても期待を裏切る結果となった。
ジェイズの内野守備は強固とは言い難いため、攻守両面で高い貢献度を誇るドナルドソンを欲したのはうなずける。
では逆にアスレチックスは主力を放出して来季を捨てたのかというとそういうわけではない。
トレードで獲得したロウリーは期待こそ裏切ってはいるものの守備には定評があり、今季は70試合で12本塁打と長打力開花の可能性も垣間見せた。
アスレチックスとしてはいつも通りの低年齢化を図ったということだろう。
またもう一つの意図としてマイナーの枯渇を防ぐ狙いもあるはずだ。
今季はシーズン中にレスター、サマージャを獲得するために2つのトレードでプロスペクトを放出しており、その穴埋めはしなければいけない状況でもあった。
今トレードで獲得した選手は最高級ではないもののそれなりに期待されている将来の戦力だ。
ラッセル・マーティンも獲得し来季こそ優勝争いに顔を出したいブルージェイズと、将来性を買ったアスレチックス。
どちらがブラックフライデーでの”お得”な買い物ができたのか来季が楽しみだ。

2014年11月27日木曜日

新たなキューバの星ヤスマニ・トーマスがダイヤモンドバックス入り

ダイヤモンドバックスがキューバ出身の外野手ヤスマニ・トーマス(24)との6年6850万ドルの契約に合意した。
トーマスは2013年にWBCキューバ代表としてもプレーした選手で、今オフのFA市場ではトップ10に入る注目度があった。
近年キューバ出身選手の多くがMLBで大活躍し印象づけている。
世界最速の豪球左腕アロルディス・チャプマン、2年連続ホームランダービー優勝のヨエニス・セスペデス、昨季大旋風を巻き起こしたヤシエル・プイグとホゼ・フェルナンデス、そして今季新人王のホゼ・アブレイユなどだ。
そのため各チームが躍起になってキューバ出身選手獲得を狙っており、今季のその最有力候補がトーマスだったわけだ。
2008年からキューバリーグでプレーし始めた彼は、残念ながら上記の選手たちのように華々しいリーグでの経歴を持つわけではない。
キューバでは通算で205試合30本塁打104打点と、強打者ではあるがあまり大きなインパクトはない数字だ。
実際彼が今季いきなりアブレイユのようになると考えている識者はほとんどいないし、将来的にも彼ほどの打者になるとも考えられていない。
外野手としても守備力は肩、足とともに平均的で飛び抜けていない。
ただ確かなのは彼には高く評価されているパワーのポテンシャルがあるということ。
そのパワーを試合で発揮できるかはまた別の話であるが、ポテンシャルパワーヒッターにとってダイヤモンドバックスというのは決して悪くない選択だろう。
今回の契約もうまくいけばバーゲン価格になる可能性もあり、年齢的にもゴールドシュミット、トランボ、トーマスと若くパワーのある選手がそろったのはダイヤモンドバックスファンにとっては朗報だ。
とりあえずはトランボとの兼ね合いで左翼か右翼どちらかでプレーすることになるだろうが、もし彼がプイグのようになり強打のクリーンアップとして活躍することができれば今季最下位に終わったダイヤモンドバックスの大きな希望となるだろう。


2014年11月26日水曜日

レッドソックスが大型補強敢行

今季苦しんだレッドソックスが、FA市場を席巻する勢いで大型補強に乗り出した。
ジャイアンツからFAになっていたパブロ・サンドバル(28)と5年9500万ドル、ドジャースからFAになっていたハンリー・ラミレス(31)と5年1億1000万ドル(5年目は2200万ドルのオプション)で契約し、今季のFA市場の有力内野手2人を手に入れた。
まずサンドバルについてだが、パンダの愛称で親しまれる三塁手で体型に似合わぬ俊敏な守備とうまさを感じさせる打撃に定評がある。
パワーヒッターに見えるが20本塁打を超えたのは2度だけで、離脱も多いため100打点に到達したこともない。
もう一つ明確な弱点、あるいは持ち味と言い換えることもできるのはフリースインガーというスタイル。
四球をあまり選ばずどんどん振っていく近年あまり評価されなくなってきたタイプだ。
ここまで聞くとあまりいい選手には思えないが、彼が今回これほどの契約を手に入れた理由は2つある。
一つ目は当然年齢。
28歳というのはFA市場に出てくる中では比較的若く、長期契約のリスクも小さくすむ。
もう一つはポストシーズンでの活躍ぶりだ。
2012年と2014年の2度のポストシーズンにおいて彼は非常に高いパフォーマンスでチームを優勝に導いている。
大舞台の経験が豊富な若い選手は貴重であり、レッドソックスのようなチームにはそういう選手が必要だ。
また、本拠地がフェンウェイパークになることで彼の成績向上自体も計算の内にいれているというのもあるだろう。
彼は実は打者に不利なホームでの方がよく打っていたタイプだが、形状が特殊なフェンウェイではまた違った活躍ができるはずだ。
そのあたりも汲んでの5年1億ドル違い大型契約、彼がボストンで人気者になるのは間違いないがそれだけでなくチームをプレーオフに導くことができるだろうか。

ラミレスの方は語るまでもないスター選手、いや元スター選手といった方がいいだろうか。
マーリンズ時代はオールスターの常連だったが近年は怪我も多くそういったものから遠ざかっている。
2013年こそ獅子奮迅の活躍で復活を印象付けたが、今季はまた少しグレードが下がってしまった。
それでも並の選手と比べると大きく上回る攻撃力があるのは間違いなく、実績、実力を考えれば妥当な契約内容だろう。
気になるのは怪我がちなことと守備面での貢献度、あとは性格面だろう。
彼のようなアクの強い選手をコントロールするにはチームメイトや監督の尽力が必要になる上、レッドソックスには若手のボガーツが遊撃におり三塁手としてサンドバルも獲得したため守備位置も外野に転向する可能性が高い。
その点もちろん納得した上での契約合意だろうが、その奔放さが裏目に出ないことを祈りたい。

2014年11月18日火曜日

スタントンが史上最高額3億2500万ドルのメガディールに合意

近年年俸が上がり続け1億ドル超えの超大型契約を珍しくなくなったが、今回その記録が更新されることとなった。
25歳の若き大砲ジャンカルロ・スタントンがなんと13年3億2500万ドルというとんでもない契約に合意したのだ。
今までは10年が最長だったが、年数、総額ともに史上最高額を記録することとなった。
驚きを隠せないこの契約だが、個人的にはこれだけの契約をしたのだからマーリンズには本腰を入れて黄金時代を作り上げていってもらいたいと思う。
以前マーリンズが再びファイアーセールに走った際にスタントンはチームに対する不信感をあらわにしたが、再びそのような愚行に走ることはもう許されないだろう。
若き戦力が充実しつつあるマーリンズは、もう後は前に向かって突き進むだけだ。

オフシーズンの本格開幕を印象付ける3つのビッグディール

日米野球の最中だが、オフシーズンはすでに開幕しており、それを印象付けるビッグディールがいくつか発表された。

まずは有力FA候補だったビクター・マルチネスの去就。
打撃だけならMVPを獲得したトラウトを凌ぐ活躍ぶりだったが36歳と年齢的に長期契約には大きなリスクがある選手だった。
それでも打線の弱体化を避けたいタイガースはリスクを承知で彼と4年6800万ドルという大型契約を結んだ。
来季いきなり成績が落ち大損する可能性もあるが、それでも打力が欲しかったということなのだろう。
同じくFAになっているエースのシャーザーの去就に対する影響もきになるところである。

続いての大型契約はラッセル・マーティン。
今オフ最高の捕手で31歳の彼はブルージェイズと5年8200万ドルという大型契約を結んだ。
今季はキャリアハイの出塁率を残すなど近年低迷気味だった打撃を信頼度の高いレベルにまで戻したことが大きく、守備に定評があるタイプのためリーダーシップのあるベテランを欲していたブルージェイズの条件にマッチしていたのだろう。
個人的には高すぎるとは思うが、守備も打撃もある程度のレベルでそろった捕手は貴重なのでその点は仕方ないか。

そして最も大きな驚きとなったのはカージナルス、ブレーブス間でのトレード。
ブレーブスからはジェイソン・ヘイワードとジョーダン・ウォルデンが、カージナルスからはシェルビー・ミラーとティレル・ジェンキンスがそれぞれ放出された。
ヘイワードは言うまでもないブレーブスのスター選手の一人であり、彼の放出は大きな驚きであるが彼ほど重要な存在を放出してもなおブレーブスは若い好投手が欲しかったようだ。
獲得したミラーは昨季ブレーブスのエース、テヘランと新人王を争った本格派投手であり、ジェンキンスは2010年ドラフト1巡目の22歳だ。
うまく成長すれば数年間かなり強力なローテーションを維持することができるようになるだろう。
逆にカージナルスとしては今プレーオフ中に外野の一角を任せる予定だったタベラスが亡くなったために新たな外野手を必要としていたためその目論見が合致したということだろう。
若い選手4人という少し珍しいトレードであった。

2014年11月16日日曜日

2014年MVP

マイク・トラウト(エンジェルス)
157試合 打率.287 39二塁打 36本塁打 111打点 出塁率.377 OPS.939 16盗塁

過去2年MVP級の成績を残しながらミゲル・カブレラに阻まれてきたが、3度目の正直でついに最高の栄誉を得ることに成功した。
本塁打、打点こそキャリアハイの数値を残し打点王も獲得した一方、184三振や打率3割を切るなど粗さにも磨きがかかってしまった。
盗塁も長打力の増加で企図数が減り、全てにおいてキャリアハイとはいかなかった。
それでも周りを全く寄せ付けない満票受賞となり、23歳にしてこれで名実ともにMLB最高の選手となったわけだ。
これからも改善すべき点はいくつもあるが、これはおそらく今後何度もMVPを受賞する活躍をみせ殿堂入りするであろうトラウトの最初の一歩となることだろう。



クレイトン・カーショウ(ドジャース)
27試合 21勝3敗 防御率1.77 198.1回 239奪三振 31四球 9被本塁打 WHIP0.86

投手にMVPはふさわしいのか。
この議題は何度も噴出してきたものであり、様々な意見が今でも見られる。
近年ではジャスティン・バーランダーが2011年に投手三冠王を獲得し受賞したが、先発投手がMVPを獲得したのは25年ぶりとなり、歴史的な受賞だった。
しかしナ・リーグの方はもっと根が深く、最後に投手がMVPを受賞したのは1968年のことだ。
しかし今回カーショウがその呪縛を約半世紀ぶりに打ち破った。
もちろん満票ではなく票はある程度ばらけたが、それでも彼の投球は歴史的と称してよいものだと多くの投票者が認めたということだろう。
バーランダーの時とは違い、カーショウは投手三冠を制したわけではなく、タイトルも最多勝しか獲得していないが、それでも多くの識者をうならせたあたりに彼がどれだけ飛び抜けた存在なのかがうかがえる。
史上11人目のMVP、サイ・ヤング賞の同時受賞となったわけだが、まだ26歳の彼は年齢的にはこれから全盛期に入るところ。
またいつか歴史を塗り替えるような大きなことを成し遂げるのか、歴史的投手のこれからのパフォーマンスに大いに期待しよう。


2014年11月13日木曜日

2014年サイ・ヤング賞

2014年サイ・ヤング賞が発表され、コリー・クルーバーとクレイトン・カーショウがそれぞれ受賞した。


コリー・クルーバー(インディアンス)
34試合 18勝9敗 防御率2.44 235.2回 269奪三振 51四球 14被本塁打 WHIP1.09

28歳にして初受賞となったクルーバーだが、昨季までは規定投球回に到達したこともなく全国的に無名に近い存在だった。
しかし内容的には初の2桁勝利をあげた昨季も優れたもので、まさに知る人ぞ知るブレイク候補だったと言えるだろう。
それでもこれほどのブレイクを予想したファンは皆無だろうというブレイクぶりで、最多勝のタイトルに加え奪三振2位、防御率3位、投球回3位と主要カテゴリにおいて全く穴のない数字を叩き出した。
彼は今回1位票を17集め、1位票が13だったヘルナンデスを見事にかわした。
防御率、被打率、WHIPなどが1位だったヘルナンデスは勝ち数の差が影響してしまったようだ。
今季は彼のキャリアにおいて最高のパフォーマンスではあっただけに残念だが、彼の年齢や実力を考えると今後もチャンスは大いにあるだろう。



クレイトン・カーショウ(ドジャース)
27試合 21勝3敗 防御率1.77 198.1回 239奪三振 31四球 9被本塁打 WHIP0.86

カーショウは満票での選出となり、これでサイ・ヤング賞3度はドジャースのレジェンドであるサンディ・コーファックスと並んだことにになる。
防御率、勝利数、WHIP、完投数などで1位だったカーショウだが序盤の怪我の影響もありり200回に届かなかったことが危ぶまれていた。
しかし蓋を開けてみれば例年なら受賞してもおかしくない成績を残したクエトを寄せ付けずの満票受賞。
投手から1人だけMVPファイナリストに選ばれた時点で結果は見えていたが、やはり防御率1.77に加え21勝という数字はとてつもないものだ。
ここ4年で3度のサイ・ヤング賞、受賞できなかった年もサイ・ヤング賞級の成績を残したカーショウは今まさにMLB最高の投手であると言って間違いない。
まだ26歳の彼がこれからどれほどの活躍ぶりを見せていくのか非常に楽しみだ。


 

2014年11月11日火曜日

2014年MLB新人王

2014年に新人王が発表され、ア・リーグはホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)が、ナ・リーグはジェイコブ・デグローム(メッツ)がそれぞれ受賞した。
アブレイユは満票、デグロームは1位票を30人中26人から受けての受賞だった。

ホゼ・アブレイユ




ジェイコブ・デグローム


2014年11月8日土曜日

日米野球来日ロースター決定

来日する29人のメジャーリーガー達が決定した。
ベストには程遠いメンバーであることは間違いないが、カノー、プイグ、アルトゥーベ、ロンゴリアなどのスター選手も少なからずおり、MLBに興味のあるファンにはなかなか興味深いシリーズになるのではないだろうか。

投手
岩隈久志(マリナーズ)
ジェレミー・ガスリー(ロイヤルズ)
マット・シューメイカー(エンジェルス)
ヘクター・サンティアゴ(エンジェルス)
和田毅(カブス)
フランクリン・モラレス(FA)
クリス・カプアーノ(FA)
ジェフ・ベリヴ(レイズ)
ジェリー・ブレビンス(ナショナルズ)
ランディ・チョート(カージナルス)
ロブ・ウッテン(ブルワーズ)
ホゼ・ベラス(アストロズ)
トミー・ハンター(オリオールズ)
マーク・メランソン(パイレーツ)

捕手
サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
エリック・クラッツ(ロイヤルズ)
ドリュー・ブーテラ(ドジャース)

内野手
カルロス・サンタナ(インディアンス)
ジャスティン・モーノー(ロッキーズ)
ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)
ロビンソン・カノー(マリナーズ)
エバン・ロンゴリア(レイズ)
アルシデス・エスコバー(ロイヤルズ)
エドゥアルド・ヌニェス(ツインズ)

外野手
ヤシエル・プイグ(ドジャース)
デクスター・ファウラー(アストロズ)

内野手/外野手
クリス・カーター(アストロズ)
ルーカス・デューダ(メッツ)
ベン・ゾブリスト(レイズ)


まず投手についてだが、酷いの一言。
一流と言える投手は岩隈とメランソンくらいしか見当たらず、MLBベストメンバーを組むならこの選手らは誰も入ることはないであろうメンツだ。
しかし野手の方はそれなりの選手が集まっている。
私がラインナップを組むとしたら以下のようになるだろうか。

1 DH ホゼ・アルトゥーベ
2 CF ヤシエル・プイグ
3 2B ロビンソン・カノー
4 3B エバン・ロンゴリア
5 1B カルロス・サンタナ
6 RF ベン・ゾブリスト
7 LF クリス・カーター
8 C サルバドール・ペレス
9 SS アルシデス・エスコバー

これだけ見れば絶対的な破壊力には欠けるものの、かなり面白みはあるのではないだろうか。
少なくとも1番から4番まではオールスター級の野手が揃っている。
問題はこのメンバーがしっかりかみ合うかどうかと、コンディションやモチベーションなどだ。
日本のチームはこのチーム相手にどこまでやれるのか非常に楽しみである。

2014年11月7日金曜日

2014年シルバースラッガー賞 ハンクアーロン賞

シルバースラッガー

”ア・リーグ”

C  ヤン・ゴームス(インディアンス)
1B ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
2B ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)
3B エイドリアン・ベルトレ(レンジャーズ)
SS アレクセイ・ラミレス(ホワイトソックス)
OF マイク・トラウト(エンジェルス)
OF マイケル・ブラントリー(インディアンス)
OF ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ)
DH ビクター・マルチネス(タイガース)

”ナ・リーグ”

C  バスター・ポージー(ジャイアンツ)
1B エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース)
2B ニール・ウォーカー(パイレーツ)
3B アンソニー・レンドン(ナショナルズ)
SS イアン・デズモンド(ナショナルズ)
OF ジャスティン・アップトン(ブレーブス)
OF アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
OF ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)
P  マディソン・バンガーナー(ジャイアンツ)


ハンク・アーロン賞

”ア・リーグ”
マイク・トラウト

”ナ・リーグ”
ジャンカルロ・スタントン


サイ・ヤング賞、MVPなどと比べると大きく話題になることは少ないこの2つの賞だが、野手によっては非常に栄誉あるもの。
両ともに攻撃力のみを評価したもので、トラウトはシルバースラッガーは3年連続の受賞だがハンク・アーロン賞は初めて、スタントンは両賞ともに初の受賞となった。
25歳以下のこの二人が受賞したことは、若い野手の台頭を表しており、ある意味世代交代の始まりとも言えるのかもしれない。




2014年11月6日木曜日

新人王ファイナリスト6名

新人王のファイナリストが各リーグ3名ずつ選出された。
残念ながら田中将大はファイナリストに残ることはできなかったが、来季以降今度はサイ・ヤング賞争いに顔を出すことを期待しよう。

”ア・リーグ”

ホゼ・アブレイユ(27)
145試合 打率.317 35二塁打 36本塁打 107打点 出塁率.383 OPS.964 3盗塁

キューバからやってきた最高級の打者。
打撃成績は新人という枠からかけ離れたものでほとんど文句なし。
数字だけで考えるなら彼が新人王を獲得するのに最もふさわしい。
問題はキューバリーグでの経歴を持つ彼を果たして新人と定義していいのか。
これは日本人選手にも同じことが言えるが、規制するルールがない以上とりあえず今回はアブレイユが高い確率で受賞することになるだろう。


デリン・ベタンセス(26)
70試合 5勝0敗 1セーブ 22ホールド 防御率1.40 90.0回 135奪三振 24四球 4被本塁打 WHIP0.78

メジャーデビューは2011年だったため年齢的には新人離れしているがメジャーではこれまで数イニングしか投げておらず、今季が実質的な初年度。
元々は先発として期待されていたがうまくいかず、今季はリリーフ専任にしたところかなりの好成績を残した。
非常に質の高い投球でチームに大きく貢献し、特にリリーフ専任ながら90回を投げたあたりかなりの労働量であるが、役割がセットアッパーにとどまったためセーブ数などの派手な数字がないのが惜しい。


マット・シューメイカー(28)
27試合 16勝4敗 防御率3.04 136.0回 124奪三振 24四球 14被本塁打 WHIP1.07

遅咲きの投手で昨季終盤にメジャーデビューし、今季が実質的なルーキーイヤーとなった。
マイナーではいい成績とは言い難いがメジャーで何かがはまったのか好投を続けあれよあれよと16勝をあげた。
規定投球回には届いていないが、内容的にも素晴らしく特に制球力はかなりハイレベルだ。
これが実力なのかどうかは今後見ていかなければわからないが、少なくとも今季の成績は新人としてはかなり素晴らしい部類に入る。


今回のア・リーグ新人王ファイナリストは全体的に高齢で、もしここに田中が入っていたとしてもそれは変わらない。
数字だけ見れば圧倒的なのはもちろんアブレイユだが、もし彼が選ばれればイチロー以来の他国トップリーグ経験者の受賞となる。
近年は毎年のように有力候補に日本人、キューバ人、韓国人といった他国リーグ経験者が入ってきたが、いざ選ばれればこれがなんらかの変化のきっかけになるかもしれない。
少なくとも日本、キューバ、韓国のようにある程度レベルの高いリーグを持つ国で実績がある選手は規制する必要は今後出てくるだろうと私は思う。


”ナ・リーグ”

ジェイコブ・デグローム(26)
22試合 9勝6敗 防御率2.69 140.1回 144奪三振 43四球 7被本塁打 WHIP1.14

2010年にドラフトで入団すると1年の全休などの壁に当たりながらもしっかり段階を踏んで今季のメジャーデビューまでたどり着いた。
序盤は制球難にも悩まされていたが終盤に入るにつれ洗練されていき、9月には試合開始から8人連続奪三振というタイ記録まで樹立してみせた。
規定投球回にも10勝にも届いていないあたり色々と惜しいが、かなり優秀な成績だと言える。


ビリー・ハミルトン(24)
152試合 打率.250 25二塁打 6本塁打 48打点 出塁率.292 OPS.648 56盗塁

大きな期待とともに今シーズンを迎えた彼だが、盗塁こそリーグ2位に入ったものの彼のパフォーマンスに失望したファンも多いだろう。
それくらい彼への期待度は大きかったからだ。
元々それほど安定感があったわけではない打撃の方で苦しみ、肝心の盗塁もデータ不足が原因か23もの盗塁死を記録している。
盗塁の最大のコツは塁に出ることとはよく言ったもので、今後は打撃面での進化が期待される。
ただ守備面では自慢の足を活かした広い守備範囲など貢献度が高く、打撃× 守備⚪︎ 走塁△というシーズンだったように思う。


コルテン・ウォン(24)
113試合 打率.249 14二塁打 12本塁打 42打点 出塁率.292 OPS.680 20盗塁

デビューしたばかりの昨季の散々なパフォーマンスからはかなり改善されたが、やはり成績的に飛び抜けた点がないのが痛い。
守備・走塁でのパフォーマンスは優れたものだったが、いくら二塁手とは言え打撃力がやはり大きな課題だ。
プレーオフで見せたように意外にもパンチ力はあり、出塁力があがれば将来性は感じさせるが、今季に関しては新人王受賞の可能性はないだろう。


ナ・リーグは大いに期待されたハミルトンと伏兵デグロームの一騎打ちという形になるが、個人的にはフルシーズンしっかり試合に出て好守備も披露し続けたハミルトンに軍配があがるのではないかと思う。
デグロームは記録も含めかなりのハイパフォーマンスだったことは確かだが、やはり10勝に届いていないあたりが響くのではないだろうか。
とは言えどちらが受賞しても個人的には文句がない戦いだ。


2014年ゴールドグラブ賞

今季のゴールドグラブ賞が発表された。

ア・リーグ

C  サルバドール・ペレス(ロイヤルズ) 2年連続2回目
1B エリック・ホズマー(ロイヤルズ) 2年連続2回目
2B ダスティン・ペドロイア(レッドソックス) 2年連続4回目
3B カイル・シーガー(マリナーズ) 初
SS JJ・ハーディ(オリオールズ) 3年連続3回目
LF アレックス・ゴードン(ロイヤルズ) 4年連続4回目
CF アダム・ジョーンズ(オリオールズ) 3年連続4回目
RF ニック・マーケイキス(オリオールズ) 3年ぶり2回目
P  ダラス・カイコ(アストロズ) 初


ナ・リーグ

C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス) 7年連続7回目
1B エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース) 3年ぶり4回目
2B DJ・ラメイヒュー(ロッキーズ) 初
3B ノーラン・アレナード(ロッキーズ) 2年連続2回目
SS アンドレルトン・シモンズ(ブレーブス) 2年連続2回目
LF クリスチャン・イェリッチ(マーリンズ) 初
CF フアン・ラガーレス(メッツ) 初
RF ジェイソン・ヘイワード(ブレーブス) 2年ぶり2回目
P  ザック・グレインキー(ドジャース) 初


ワールドチャンピオンのジャイアンツからは誰も選出されなかったが、ア・リーグチャンピオンのロイヤルズからは3人、しかも2年連続で同じ顔ぶれの選手となった。
またオリオールズも3選手選出されており、堅守の印象のあるオリオールズとロイヤルズが大勢を占めている。
ナ・リーグの方はモリーナが7年連続と相変わらずの強さを見せたが、初受賞が4人出るなど多少ばらけた印象もある。

さて、このゴールドグラブ賞だが、日本のゴールデングラブ賞と同様正確に守備力を示しているかには関しては疑問を呈されることが多い。
過去に物議を醸した例を挙げるなら今季引退したレジェンドであるジーターが代表的だろう。
その華やかな守備とキャプテンシーから守備のいい印象があり、5度ものGG賞を獲得しているが実際には彼がその年一番守備力の高い遊撃手だったことはなく、むしろ平均以下の守備を披露している年も多かった。
何故そういったことがわかるかと言うと、近年打撃だけではなく守備も数値化することが可能になりつつあるからだ。
例えばDRSやUZRといったものが代表的で、数値がプラスなら平均以上、マイナスなら平均以下ということがわかる。
ある程度正確にその選手の守備力を定義するためには統計である以上一定量のサンプルが必要になり、3年間分のデータが必要とされているが、発展途上の指標である以上このあたりは仕方ないだろう。
もちろんこういったなんでも数値化してしまえという風潮に疑問を呈することもなくはないが、ファンや識者がその選手のすべてのプレーを見るのは無理があるため、本当にその選手の守備力がチームに貢献できるようなものなのかを測るにはこういった指標は完璧ではなくても有用なのだと私は思う。

ここでGG賞の方に話を戻すが、この賞はデータに基づいたものではなく、あくまで印象によるもの(明らかに打撃成績も加味されているなど)なので、多少不可思議な選手がなされることがよくある。
例えば今回の選手をDRS基準で見ると以下のようになる。

C  ペレス+8 モリーナ+8
1B ホズマー+3 ゴンザレス+12
2B ペドロイア+17 ラメイヒュー+16
3B シーガー+10 アレナード+16
SS ハーディ+10 シモンズ+28
LF ゴードン+27 イェリッチ+13
CF ジョーンズ+2 ラガーレス+28
RF マーケイキス+1 ヘイワード+32
P  カイコ+10 グレインキー+5

DRSがマイナス値を示した選手が選出されていない点は大きな前進だと言えるが、例えばホズマー、シーガー、ジョーンズあたりは他にもっと高い数値を示した選手がおり、ホズマーに関してはUZRはマイナスを示していた。
またジョーンズはここ数年印象で選ばれている感が最も強い選手であり、レオニス・マーティンなどはDRS、UZR、捕殺などで大きくジョーンズを上回っているにもかかわらず受賞できていない。
守備率もほぼ同じため、やはり打撃や印象でジョーンズが選出されたのではないかと思ってしまう。
印象というのは重要なものであるため否定するつもりはないが、そのために本当に実力のある守備職人が日の目を見ないならまた話も変わってくるだろう。

守備職人と言えば、今回よほどのMLBファンでないとわからない名前が一つでているはずだ。
それがフアン・ラガーレスだ。
ドミニカ出身の25歳で昨年デビューしたばかりの彼は打撃に特筆すべき点はほとんどないものの守備力は既にMLB最高レベル。
守備範囲や肩などで数々のファインプレーを演出する守備の達人だ。
打撃は平均以下、守備はMLB最高、そういう選手が好みの方は是非彼を追いかけてみてはいかがだろうか。






2014年11月3日月曜日

オフシーズン開幕 有力FA候補紹介

ワールドシリーズが終了したが、これからは野球ファンにとって別の楽しみが始まる。
そう、補強だ。
そこで今回は今オフの有力FA候補選手たちを紹介したいと思う。

1. マックス・シャーザー(30)
33試合 18勝5敗 防御率3.15 220.1回 252奪三振 63四球 18被本塁打 WHIP1.18

今オフ一番の注目選手になるのは間違いない。
ここ2年連続で最多勝、2013年にはサイ・ヤング賞のリーグ屈指の本格派投手であり、獲得したチームがどこであれエース格になるのは確実だ。
タイガースとしてももちろん再契約したいところだが、長期契約を結んだバーランダーが成績急降下気味であることを考えると30歳の投手との超大型契約は怖いだろう。
もちろんそれは他のチームにとっても同じ、とは言え資金力のあるチームは争奪戦に参加し、その結果かなり大型の契約になるはずだ。
7年1億6000万前後の契約になると予想しているが代理人がボラスなだけにどうなるか予想がつかない。


2. ジョン・レスター(30)
32試合 16勝11敗 防御率2.46 219.2回 220奪三振 48四球 16被本塁打 WHIP1.10

右の注目投手がシャーザーなら左はレスター。
タイトル獲得経験こそないが今季の成績は圧巻で、またワールドシリーズに非常に強い投手として知られている。
エース格投手ではあるがやはりこちらも30歳という年齢がネックになりそうだ。
ただしレスターはシーズン途中でトレード移籍したため、FAで獲得しても補償としてドラフト指名権を失うことがないのが大きなメリットになる。
古巣のレッドソックスはもちろん、レスターの故郷であるシアトルのマリナーズなども興味を示している。


3. ハンリー・ラミレス(30)
128試合 打率.283 35二塁打 13本塁打 71打点 出塁率.369 OPS.817 14盗塁

打撃力に関してはトップクラスだと考えて間違いない。
遊撃手でこれほどの打撃力を持つ選手は滅多に出てこず、また移籍先の環境によってはフル出場して3割20本20盗塁も現実的だろう。
ただネガティブな点も数多くある。
まず健康面だが、この4年間で500打数に到達したのは1年しかなく、毎年何かしら怪我で離脱する印象だ。
ポジション面でも今後のことも考えれば遊撃手と三塁手どちらを優先的に守っているのかは問題になる。
身体能力は高くとも守備力が高い選手ではないため、三塁手にしぼっていくのがいいのだろうが彼がそれに納得するかどうかだ。
トラブルメーカーとしての一面もあり、この年齢から5年以上の長期契約というのは少し危険な匂いもする。


4. ジェームズ・シールズ(32)
34試合 14勝8敗 防御率3.21 227.0回 180奪三振 44四球 23被本塁打 WHIP1.18

8年連続200回のMLB屈指のワークホース。
それもただ投げるだけではなくしっかりエース級の数字を残す安定感のある投手だ。
近年は奪三振率が低下するなど衰えの兆候は見せているものの、高い制球力を軸にした技術力の高い投手だけに、今後も息の長い活躍をしていく可能性は高い。
ただ年齢的に6年以上の超大型契約にはなりそうにない。
5年1億ドル前後が目安になるだろうか。


5. ビクター・マルチネス(35)
151試合 打率.335 33二塁打 32本塁打 103打点 出塁率.409 OPS.974 3盗塁

35歳にしてキャリハイの数字を叩きだした。
故障で全休した2012年を除いて5年連続で3割を記録しており、今季もわずか42三振というその脅威のバットコントロール力からも実力がうかがえる。
ただし打率に関しては信頼がおけても長打力は一過性のものと考えて慎重になるべきだろう。
DHが基本だが一塁手起用もあり得るため、ナ・リーグでも活躍の可能性はある。
本来なら1年契約で様子を見たいところだが3年契約あたりで落ち着くことになるだろう。


6. ネルソン・クルーズ(34)
159試合 打率.271 32二塁打 40本塁打 108打点 出塁率.333 OPS.859 4盗塁

こちらも34歳にしてキャリハイの数字を記録し、初の本塁打王にも輝いた。
健康面の不安が大きい選手だがDHでの出場機会が多かったこともこの活躍ぶりに一役買っているだろう。
ただ基本的には粗さのあるタイプで、過去の薬物使用歴なども手伝って大きな契約は地雷になる可能性が高い。
3年契約前後が基本線になるだろう。


7. パブロ・サンドバル(28)
157試合 打率.279 26二塁打 16本塁打 73打点 出塁率.324 OPS.739 0盗塁

今季ジャイアンツのワールドシリーズ制覇に大きく貢献したサンドバル。
このポストシーズンでの活躍ぶりはかなり印象深いものになったのではないだろうか。
そのキャラクターと見た目からは想像がつかない敏捷な守備などで人気もある彼は、優秀な選手であることは間違いないが選手としての粗も大きい。
気になるのは健康面とフリースウィンガーであること。
2009年ほど打てればそれも気にならないがここ数年の成績低下を見る限り長期契約はかなりリスキーだ。
今季のFA市場では比較的若いが長期大型契約を取ることができるかは少々疑問だ。


8. ラッセル・マーティン(31)
111試合 打率.290 20二塁打 11本塁打 67打点 出塁率.402 OPS.832 4盗塁

過去3年は低打率のパワーヒッターという感じだったが今季は長打率が落ちたかわりに打撃の質は向上。
捕手としてはかなり高い打撃貢献度を見せていた。
しかもそれだけではなく彼は守備面での貢献度も非常に高く、パイレーツのここ2年の躍進の影の立役者でもある。
今オフのFA市場ではトップの捕手であり、絶対的捕手がいないチームはどこも欲しがるだろう。


9. メルキー・カブレラ(30)
139試合 打率.301 35二塁打 16本塁打 73打点 出塁率.351 OPS.808 6盗塁

打撃面ではすべてにおいて平均以上という感じの外野手。
年齢的にも怪我さえなければ今季と同等の成績を今後数年残していくことができるだろう。
しかし過去の薬物歴やここ数年の怪我の多さを考えれば少なくとも一流クラスの大型契約を得ることはできないだろう。


10. フランシスコ・リリアーノ(31)
29試合 7勝10敗 防御率3.38 161.1回 175奪三振 81四球 13被本塁打 WHIP1.30

2度カムバック賞を獲得している不死鳥のような投手。
逆を言えば年ごとの成績に大きな差があるということでもある。
しかしパイレーツに来てからのこの2年のパフォーマンスは、相変わらずの制球難とは言え質は高いものだった。
故障することも少なくなく200回には一度も到達したことがないため、非常に評価に困る投手ではあるのだが、契約内容次第では欲しがるチームは多いだろう。


  

2014年10月30日木曜日

ワールドシリーズ第7戦 2014年チャンピオンはジャイアンツに

ロイヤルズ 2-3 ジャイアンツ

ジャイアンツがロイヤルズを下し、4勝3敗でワールドチャンピオンに輝いた。
ロイヤルズ投手陣はしっかり仕事を果たした。
勝ち越しを許しはしたものの継投のタイミングも悪くはなかった。
しかし最後に彼らの前に立ちふさがったのはもはや貫禄すら出てきたワールドシリーズ最強の投手バンガーナーだ。
先発ハドソンを2回途中で降ろし想像以上に早い継投となったジャイアンツは続くアフェルトが好投。
そしてジャイアンツがリードを奪った5回から出てきたのはこのワールドシリーズ3度目の登板となるバンガーナー。
一時はチャンスも作ったもののそれをものにできず、結局バンガーナーに5回無失点と最後まで投げ切ることを許してしまった。
また彼はこれでポストシーズンでの登板回数の最多記録を作った。
とにもかくにもこのシリーズ、いやこのポストシーズンはバンガーナーのためにあったようなものだ。
この疲労が来季以降に響かないか心配ではあるが、今はただ王者をたたえよう。
これでジャイアンツはこの5年間で隔年で3度のチャンピオンリングを手にしたことになる。
レギュラーシーズンこそそれほど圧倒てきな数字を残すことはほとんどないが、バンガーナー、ポージーなど重要な選手が揃っている今は名実ともに黄金期と呼んでいいだろう。
特にポストシーズンでの強さには目を見張る。

今回残念ながら王冠を手にすることはできなかったロイヤルズには、来季以降是非地区優勝を果たしてワールドシリーズへまた進出してもらいたい。



2014年10月29日水曜日

ワールドシリーズ第6戦

ロイヤルズ 10-0 ジャイアンツ

崖っぷちに追い込まれてホームへと舞い戻ったロイヤルズだが、序盤の集中打でジャイアンツ先発ピーヴィを打ち崩し早々に試合を決め、終わってみればリリーフ3本柱を出す必要もない圧勝となった。
サンフランシスコではいまいち元気がなかった打線の大爆発、そしてもうバンガーナーが彼らの前に立ちふさがることはないということはロイヤルズにとって大きなアドバンテージになる。
逆にジャイアンツとしては最悪のシチュエーションだ。
ただでさえ勢いのあるロイヤルズをアウェイでの第7戦という状態で戦わなくてはならないのだ。
この試合で大炎上したピーヴィは第2戦でも先発の責務を全うすることができず、ジャイアンツが敗退すれば大戦犯となってしまうだろう。

さて、今季の集大成であるワールドシリーズ第7戦の先発はロイヤルズがガスリー、ジャイアンツがハドソンだ。
前回のこの顔合わせではガスリーに軍配が上がったが僅差だった。
有利なのは俄然ロイヤルズ、個人的にもロイヤルズにこのワールドシリーズを制し伝説の締めくくりとしてもらいたい。




ワールドシリーズ第5戦

ジャイアンツ 5-0 ロイヤルズ

再びエース対決となったこの一戦、どちらも絶対に落としたくなかった試合ではあったが、もはや歴史に残るレベルのワールドシリーズ投手バンガーナーを先発させたジャイアンツが勝利し、3勝2敗と王手をかけた。
何と言っても言及すべきはバンガーナー。
シールズも悪くはない出来だったがバンガーナー相手に手も足も出ず完封まで許してしまった。
バンガーナーのワールドシリーズでの通算成績は4勝0敗 防御率0.29 31.0回と圧倒的としかいいようがない。
なにせこれまで4試合に投げて失点した試合すらわずか1つなのだ。
25歳という若さでこれだけワールドシリーズでのキャリアを築き上げている点も驚きだ。
ただ気になるのはこれで今季の彼は39試合に先発登板したということ。
この登板数の多さが来季に響かなければいいのだが...
とは言え今最も気にすべきはワールドシリーズの行く末。
これで追い込まれたロイヤルズは崖っぷちの状態でホームに戻ることになる。
大事な6戦目を託すのは両チームともに第2戦と全く同じ先発投手。
第2戦では若きベンチュラの奮闘と大量得点で勝ち切ったが、次の試合はどうなるだろうか。
もし勝てばロイヤルズがかなり有利になるシチュエーションだけにジャイアンツとしてはなんとしてもここでシリーズを決めたいところだろう。




2014年10月27日月曜日

オスカー・タベラス交通事故死

今回は訃報をお伝えしなければならない。
あまりにショックの大きい出来事であるが、カージナルスのトッププロスペクトであり今年デビューしたばかりだったオスカー・タベラスが母国ドミニカでの交通事故のため亡くなった。
タベラスは22歳だった。
MLBファンの多くが期待した彼の将来がこんな形で絶たれてしまったことにショックを隠せない。
まだ詳細は分からないが、恋人も同乗していたとのことだ。
彼のご冥福をお祈りいたします。

ワールドシリーズ第4戦

ジャイアンツ 4-11 ロイヤルズ

序盤はロイヤルズのムードだったが中盤からホームでの連敗を避けたいジャイアンツが逆襲を始めると空気は一変。
5回に同点に追いつくと6回に勝ち越し7回に駄目押しとこの3イニングだけで9点を奪い逆転勝ちを決めて見せた。
両チームともに先発は早い回で降りたが、ジャイアンツのリリーフ陣が無失点で抑えたのに対し、ロイヤルズはリリーフが8失点と散々な出来だった。
しかし勝ちゲームで登板する3本柱が打たれたわけではなく、その点ではロイヤルズは悲観する必要はないだろう。
勝敗をタイに戻し面白くなってきたこのシリーズだが次の第5戦は大きなターニングポイントになりそうだ。
勝利したチームがワールドリングに王手をかけるだけでなく、1戦目同様シールズ対バンガーナーのエース対決になる。
調子を考えればバンガーナーが投げるジャイアンツが大いに有利ではあるが、その絶対的存在をロイヤルズが打ち崩すことができればジャイアンツに大きなダメージを与えることができる。
ホーム最終戦でリーチをかけたいジャイアンツとホームに戻る前にリーチをかけたいロイヤルズの意地のぶつかり合いになるだろう。
シールズの調子と継投のタイミングなどの采配を大きく結果に影響しそうだ。


ワールドシリーズ第3戦

ジャイアンツ 2-3 ロイヤルズ

初戦に幸先よく先制し、中盤にも加点したロイヤルズが接戦を制し敵地で2勝目を手にした。
この試合でもロイヤルズは先発が6回を投げることはなかったが再びリリーフ陣で勝ちをもぎとった。
ジャイアンツはホームでの初戦を落とすかなり痛い敗戦になってしまった。


ワールドシリーズ第2戦

ロイヤルズ 7-2 ジャイアンツ

初戦を大敗で落としたロイヤルズだが、今度は6回の5得点など7得点を奪う猛攻で大勝し返して見せた。
この試合先発したのは若き豪腕ベンチュラ。
6回こそ投げ切ることはできなかったがそこはロイヤルズの強固なリリーフ陣。
ヘレーラ、デイビス、ホランドの3本柱でしっかり試合を締めた。
ジャインアツも中盤までは粘っていたのだが一旦崩れ始めるとロイヤルズの流れに呑まれてしまった。
それでも先発全員安打を記録するなど打線の調子自体は決して悪くはない。



2014年10月23日木曜日

ワールドシリーズ第1戦

ロイヤルズ 1-7 ジャイアンツ

ついに開幕した2014年ワールドシリーズ。
ワイルドカード対決、また無敗のロイヤルズと経験豊かなジャイアンツということで注目度も高いこの1戦。
ロイヤルズの連勝はどこまで続くのかという期待とともにカンザスシティで開幕したこの試合は、エース対決の末ロイヤルズが大敗。
ポストシーズンに入って好調とは言えないシールズが早々に大量失点し、相手がバンガーナーだったことで早々に試合が決まってしまった。
バンガーナーはワールドシリーズの申し子とも言える投手で、2010年にルーキーながら8回無失点の快投を演じ、2012年にも7回無失点で2年ともチームのワールドシリーズ制覇に大きく貢献している。
そしてエースとして臨んだ今回もしっかり勝利を掴み取り、流れをつかんだ。
またこの第1戦目をとることの重要性はデータにも表れている。
過去11年のうち10年で1戦目を先取したチームがワールドシリーズ制覇している。
またロイヤルズにとってこれが大きなダメージになることは間違いない。
なぜならホームでの1戦を落としたというだけでなく、この前人未到の勢いにストップをかけられたことになるからだ。
エース対決で大敗したロイヤルズは第2戦目を若手のベンチュラに託すことになるがホームでの連敗だけはさけたいところだ。


2014年10月17日金曜日

ロイヤルズ、ジャイアンツがワールドシリーズへ進出

ロイヤルズは未だ止まらぬ快進撃で強敵オリオールズをスイープ。
全試合2点差以内という接戦を全て制したあたりに今の勢いの凄さを感じさせる。
投手陣がふるわない日は打線が結果を出し、打線がふるわぬ日は投手陣が結果を出すという投打がうまくかみ合った状態が続いている。
またポストシーズン初戦から8連勝というのは新記録でもあり、この数字をワールドシリーズでも伸ばすことができるだろうか。

ロイヤルズ 2-1 オリオールズ 4勝0敗でロイヤルズがワールドシリーズ進出
ジャイアンツ 6-4 カージナルス 3勝1敗でジャイアンツがリード




今日行われた試合ではジャイアンツがカージナルスを下しワールドシリーズ進出を決めた。
両チームともにエースをたてて臨んだこの一戦は、7回までカージナルスがリードする展開だったが8回にモースの本塁打で追いつくと9回にイシカワのサヨナラスリーランで試合を終わらせるという劇的な展開。
これで4勝1敗とジャイアンツはワールドシリーズ進出を決めた。
これによりワールドシリーズはロイヤルズとジャイアンツのワイルドカード対決となるが、これは2002年以来のこととなる。
またこの時もナ・リーグの代表として進出したのはジャイアンツだった。
過去4年間で2度ワールドチャンピオンに輝いている経験豊富なジャイアンツが栄冠を掴むのか、一つの歴史を作る勢いで快進撃を続けるロイヤルズが29年ぶり2度目のリングを手に入れるのか非常に興味深い一戦だ。
ここまで試合自体は接戦が多かったもののもつれたシリーズがほとんどない今ポストシーズン、最後に伝説となるようなシリーズをこの両チームには演じてもらいたい。

ジャイアンツ 6-3 カージナルス

2014年10月15日水曜日

Who's gonna stop Royals? 止まらぬ快進撃

レギュラーシーズンやディビジョンシリーズでその強さを見せつけたオリオールズ。
しかしそんな彼らでもどうしても今のロイヤルズは止められない。
今回の試合は打ち合いにはならなかったが、投手戦こそロイヤルズの土俵であり、オリオールズはロイヤルズの強力リリーフ陣を打ち崩すことができなかった。
未だ無敗の彼らを止めるチームは出てくるのだろうか。
オリオールズはもう後がない。
ナ・リーグはジャイアンツがカージナルスを追いかける展開になり、地道に得点を重ね追いつきはしたものの最終的には 延長10回にジャイアンツがサヨナラ勝ちする劇的な終わりとなった。

ロイヤルズ 2-1 オリオールズ 3勝0敗でロイヤルズがリード
ジャイアンツ 5-4 カージナルス 2勝1敗でジャイアンツがリード




2014年10月14日火曜日

NLCS第2戦はカージナルスがサヨナラ勝ち

ホームでの1戦目をバンガーナーの好投に阻まれ落としたカージナルスは伏兵ウォンのサヨナラ本塁打により勝敗をタイに戻した。
カージナルスは今プレーオフ長打の面で非常に調子がいいカーペンターの本塁打で先制し4回にもさらに加点するが、徐々に差をつめたジャイアンツについに7回逆転を許す。
しかしその裏タベラスの本塁打で追いつくと8回にもアダムズの本塁打で勝ち越しに成功する。
これで試合が決まったかと思われたが9回守護神ローゼンタールが打ち込まれ再びタイに戻されるという一進一退の展開。
最後はウォンが放った本塁打で勝敗は決したが、なんとも劇的な展開だった。
サヨナラ本塁打のウォンは決して打力の高い選手ではないがディビジョンシリーズでも試合を決める本塁打を放っている。
デビューイヤーとなった昨季はワールドシリーズで上原に牽制されその試合最後のアウトを奪われるという悔しいシーンも味わっており、今季はその雪辱を果たせるか。



2014年10月12日日曜日

ALCSロイヤルズが2連勝 NLCSバンガーナーの好投でジャイアンツが先勝

ALCS2戦目はなんとまたしてもロイヤルズが勝利。
これでロイヤルズはポストシーズンに入って5連勝ということになる。
勝利の要因となったのは好調な打撃陣と強固なリリーフ。
先発したベンチュラの調子こそ良くはなかったが、先発がダメならリリーフを早い回につぎ込みシャットアウトできるのがこのチームの強みだ。
オリオールズは最後にオデイとブリットンという2人の要の投手が耐えきれなかった。

ようやく始まったNLCSの方もアウェイのジャイアンツが勝利。
好調で、若いながらポストシーズンでの経験豊富なバンガーナーの好投にカージナルス打線は手も足も出なかった。
エース対決で踏ん張りきれなかったウェインライトがカージナルスとしては誤算だったが、今季のポストシーズンで調子がよくないウェインライトは今後大きな足かせになるかもしれない。





ALCSロイヤルズが先勝

ロイヤルズの勢いが止まらない。
ALCS初戦は、中盤までロイヤルズが流れをものにしリード。
しかしその後ホームのオリオールズがシールズを攻めたて追いつき、これで流れはオリオールズのものになったかと思われた。
ところが延長10回にゴードンとムースタカスに本塁打が出てロイヤルズが勝ち越し、その裏にオリオールズも1点は返したものの敗北した。
打力や地力ではおそらく勝っているオリオールズだが、ホームでの手痛い敗戦となってしまった。

オリオールズ 6-8 ロイヤルズ 1勝0敗でロイヤルズがリード



2014年10月8日水曜日

カージナルス、ジャイアンツがNLCSへ進出

勝敗はタイに持ち込まれることなく決まった。
絶対的エースのカーショウで勝ちにいったドジャースは、またもや7回にカーショウが崩れ逆転を許し、そのままカージナルスの強力リリーフ陣にシャットアウトされてしまった。
シーズン中はあれほど圧倒的だったカーショウだが、このシリーズでは2試合で防御率7.82と散々な内容で幕を閉じた。
敗因はカーショウに対する信頼度の高さと、早い回から任せられる絶対的リリーバーの不在だったのではないだろうか。
もう一方のカードでも経験豊富なジャイアンツが接戦を制し勝利。
ナショナルズはハーパーが好調で一時は同点に追いついたが、最終的にはリリーフが打たれ敗戦。
長打を一本も打たずにギリギリで勝ってしまうあたり、やはりジャイアンツは試合巧者である。
さて、またしてもポストシーズンでおなじみのジャイアンツとカージナルスが勝ち進んだわけだが、ここまでの流れを考えるとこの2チームの対決も白熱したものになりそうだ。
接戦続きの今季のポストシーズンだが、今後も何かドラマが待っているのだろうか。

カージナルス 3-2 ドジャース 3勝1敗でカージナルスがNLCSへ進出
ジャイアンツ 3-2 ナショナルズ 3勝1敗でジャイアンツがNLCSへ進出






2014年10月7日火曜日

NLDSは両カードとも2勝1敗に

相変わらず僅差の展開が続くポストシーズン。
今日もナ・リーグの2試合が行われた。
崖っぷちの状態からサンフランシスコへと戦場を移したナショナルズは7回に奪った先制の3点を守りきり勝利。
エースで決めにいった試合を落としたジャイアンツとしてはこれは大きなダメージになったかもしれない。
もう一方のカードではドジャースが中盤に追いつくもまたしてもリリーフが誤算になりカージナルスが勝利。
カージナルスはカーペンターが3試合連続本塁打を放つ好調ぶりを見せている。
これでドジャースは敵地で後がなくなり、明日の試合を絶対的エースのカーショウに託すことになる。

カージナルス 3-1 ドジャース 2勝1敗でカージナルスがリード
ジャイアンツ 1-4 ナショナルズ 2勝1敗でナショナルズがリード





2014年10月6日月曜日

ロイヤルズ、オリオールズが次のステージへ

今日はナ・リーグが移動日のためア・リーグの2試合のみだったが、その試合でリーグチャンピオンシップシリーズへ進むチームが決まった。
ロイヤルズ、オリオールズの2チームだ。
激戦区東地区を勝ち抜いたオリオールズがタイガースを打倒したことは大きな驚きではないが、ワイルドカードから勝ち上がったロイヤルズが両リーグトップの98勝をレギュラーシーズンで挙げた強力なエンジェルスをスウィープしたことは驚くべきことだろう。
エンジェルスは主力の不調が響いたが、それ以上にこのサプライズの原動力となっているのはおそらくロイヤルズの勢いだ。
ワイルドカードゲームでの衝撃的なゲームを経てここまで来た勢いはもはや本物。
次の相手は強力オリオールズとは言えここまで来たらそれすらも飲み込んでしまいそうな雰囲気がある。
久方ぶりのポストシーズンにロイヤルズは選手のみならずファンも興奮のうずに巻き込まれている。
地力はどうしても他の出場チームに劣るだろうが、他チームにとって今のロイヤルズは最も大きな脅威だ。
個人的には応援していたエンジェルスが敗退したことに失望を隠せないのだが、こうなったロイヤルズに一つの伝説を作ってもらいたいとも思う。

ロイヤルズ 8-3 エンジェルス 3勝0敗でロイヤルズがALCSへ進出
タイガース 1-2 オリオールズ 3勝0敗でオリオールズがALCSへ進出




2014年10月5日日曜日

接戦が続くポストシーズン 史上最多イニングが記録される

今日はア・リーグは移動日で休みのためナ・リーグの2試合のみ。
何かと話題にあふれている今季のポストシーズンはここでもまた話題を提供してくれた。
それはジャイアンツ対ナショナルズ戦で記録された、ポストシーズン史上最多イニング数だ。
そのイニング数はなんと18、そして試合時間は6時間23分に及んだ。
1対0という投手戦で、今季シーズン最終戦でノーヒッターを達成したジマーマンが完封間近までいくが、あと1アウトというところで抑えのストーレンにマウンドを譲り、シーズンは好調だったストーレンがここで打たれ同点になる。
そしてここからどちらも総力戦で投手をつぎ込む展開になったがどちらも譲らず最終的には18回にベルトの本塁打で奪った1点を守りきり勝利となった。
これでナショナルズは後がない状況に追い込まれただけでなく、精神的にもダメージの大きい敗戦でビジターでの戦いに挑むことになる。

またもう一方の試合でも終盤にカージナルスが追いつき、さらにドジャースが勝ち越すという展開で接戦。
今季のポストシーズンは特に延長、接戦の多さが目立つ。

ナショナルズ 1-2 ジャイアンツ 2勝0敗でジャイアンツがリード
ドジャース 3-2 カージナルス 1勝1敗でタイ



NLDS開幕

ア・リーグから一日遅れてナ・リーグの方でもディビジョンシリーズが開幕した。
ナ・リーグの対戦カードは以下の通り。

ナショナルズ(東地区1位)vsジャイアンツ(ワイルド)
ドジャース(西地区1位)vsカージナルス(中地区1位)

ア・リーグを含めた試合結果は以下のようになった。

オリオールズ 7-6 タイガース 2勝0敗でオリオールズがリード
エンジェルス 1-4 ロイヤルズ 2勝0敗でロイヤルズがリード

ナショナルズ 2-3 ジャイアンツ 1勝0敗でジャイアンツがリード
ドジャース 9-10 カージナルス 1勝0敗でカージナルスがリード

この日は全試合が接戦となったが中でも面白い展開になったのがオリオールズとタイガースの一戦。
8回表終了時点で3-6とタイガースリードでオリオールズは敗戦濃厚だったにも関わらず、その裏に一気に4点を奪い逆転してしまうという劇的展開。
またドジャースとカージナルスの一戦でも両チームサイ・ヤング賞候補の大エースで挑んだにも関わらずウェインライトは5回途中6失点、カーショウは7回途中8失点で降板するというまさかの乱打戦になった。
こちらもカージナルスが7回に逆転しており、やはりポストシーズンは終盤に何が起こるかわからない。
オリオールズとロイヤルズはこれで次ステージ進出へリーチをかけたわけだが、特に気になるのはロイヤルズの勢い。
劇的展開を演出したワイルドカードゲームでの勢いをまだ維持しており、接戦での集中力に凄いものがある。
巨大戦力エンジェルスとのこれまでの戦いを見る限り、ここを一気に突破すれば最後まで突っ走っていきそうな勢いだ。




2014年10月4日土曜日

ALDS開幕

ワイルドカードゲームが終了し、ア・リーグのディビジョンシリーズが開幕した。

オリオールズ(東地区1位)vsタイガース(中地区1位)
エンジェルス(西地区1位)vsロイヤルズ(ワイルド)

この2カードで先に3勝したチームがリーグチャンピオンシップシリーズへ進出することになる。
第一戦の結果は以下のようになった。

オリオールズ 12-3 タイガース

エンジェルス 2-3 ロイヤルズ

今日からはナ・リーグの方もディビジョンシリーズが開幕する。




2014年10月2日木曜日

ワイルドカードゲーム、ナ・リーグはジャイアンツが勝利

前日のア・リーグのゲームと比べて波乱のないかなりのワンサイドゲームになってしまった。
3回まで0行進が続いたものの4回にジャインツがクロフォード満塁本塁打で4点を奪うとそこからはワンサイドに。
特にジャイアンツ先発のバンガーナーの独壇場で9回を10奪三振の完封勝利。
最終的にスコアは8-0となり、PNCパークに駆けつけたパイレーツファンにとっては苦い思いでとなった。
打つべき選手が打ち、抑えるべき投手が抑えたジャイアンツとしては完璧なゲームになった。
近年2のワールドチャンピオンを経験しているジャイアンツはワイルドカードとは言え他チームにとってはやはり油断ならない相手になりそうだ。
続くジャイアンツの対戦相手は絶対的先発ローテーション擁するナショナルズ。
戦力だけ見ればナショナルズ有利だが、ポストシーズンでの経験に乏しい彼らと経験豊富なジャイアンツの戦いは面白いものになりそうだ。


2014年10月1日水曜日

Unbelievable!! 球史に残るワイルドカードゲーム

ここまで劇的な展開が近年あっただろうか。
今季のポストシーズンはアスレチックス対ロイヤルズのワイルドカードゲームから始まった。
しかしこれがなんとも信じがたい劇的な展開。

両チームともエースをたてて臨んだこのゲームだが投手戦になるかと思いきや初回から両チームともに得点し、3回の時点で3−2とホームのロイヤルズがリードしていた。
均衡が崩れたのは6回。
先発のシールズが2人のランナーを許すとロイヤルズベンチが動き投手をベンチュラに交代。
シーズン中先発で活躍した投手をリリーフでつぎ込むポストシーズンではまま見られる作戦で逃げ切りを図ったが、これが裏目に出て交代して早々にモスにこの日2本目の本塁打を許し、さらに後続のヘレーラも打たれ3−7とリードされる。
敗戦の雰囲気が漂い始めた中で8回にロイヤルズはなんとか3点を返し1点差で最終回を迎える。
ロイヤルズは代打でウィリンガムを出すとシングルヒットで出塁、すかさずMLB屈指の俊足ダイソンを代走に送り、エスコバーの送りバントで1アウト2塁とする。
そこで青木の打席が回ってきたが警戒される中ダイソンが見事に盗塁を決め、青木も犠牲フライを放ち土壇場で同点に追いつく。
そこから均衡状態が続くが12回表にアスレチックスが得点し、ロイヤルズとしては万事休すかと思われたが1アウトからホズマーが三塁打を放ち大チャンスを作るとルーキーのコロンがしっかりとヒットを放ち再び同点に追いつく。
さらに2アウトからコロンが盗塁するとここしかないという場面でペレスがサヨナラヒットを放ちゲームセット。
4時間45分に及ぶ熱戦は久方ぶりのプレイオフに沸くホームのロイヤルズに軍配が上がった。

近年のポストシーズンで最高と言ってもいいであろうこの試合の鍵になったのは盗塁。
ロイヤルズは長打力に欠けるチームであり、実際この試合でもロイヤルズの選手は1本も本塁打を放ってはいない。
しかしなんと7人が7つの盗塁を 決めたこの試合、9回に同点に追いついた場面でも12回のサヨナラの場面でも盗塁が結果的に大きなファクターとなっている。
このポストシーズンロイヤルズがこのまま勝ち残っていけるかはわからない。
しかし彼らが躍進するとすれば、今後も鍵になってくるのは盗塁になるはずだ。
とにかく今日は長年我慢し続けたロイヤルズのファンには心よりおめでとうを言いたい。





2014年9月30日火曜日

ワイルドカードプレビュー

いよいよ2014年のポストシーズンが始まる。
まずは各リーグワイルドカード決定戦からだ。

ア・リーグ
アスレチックスvsロイヤルズ
先発投手
ジョン・レスター(16-11, 2.46)
ジェームズ・シールズ(14-8, 3.21)

ナ・リーグ
ジャイアンツvsパイレーツ
先発投手
マディソン・バンガーナー (18-10, 2.98)
エディソン・ボルケス(13-7, 3.04)

まずはア・リーグからみていこう。
当然ながら両チームとも1試合で決してしまうこの試合にはエースをもってきた。
ロイヤルズは昨年同様エースとして1年間ローテーションを守りきったシールズ、対するアスレチックスはシーズン途中のビッグトレードで獲得したレスターだ。
シールズは今季アスレチックスとは2度対戦しており1勝0敗、2度ともQSを達成しているのだが、レディックから2本塁打されており、彼自身調子を上げていることもあって要注意だ。
レスターは今季3度ロイヤルズと対戦しているがいずれも好投。
キャリアを通じてもロイヤルズに対しては防御率1.84を誇るなど"お得意様"だ。
また7月12日以来すべての試合でQSを達成している好調ぶりもあって、特に長打力の欠けるロイヤルズ打線が彼を打ち崩すのは至難の技だろう。
しかしロイヤルズはホームでのアドバンテージに加え、久々のポストシーズンということでモチベーションの高さがある。
精神論になるがレスターを攻略するにはそういったメンタル面も重要なファクターになるだろう。

ナ・リーグの方は今や絶対的エースとなったバンガーナーと、シーズン中盤からエース級投手へと変貌したボルケスの対決。
バンガーナーは今季パイレーツとは1試合しか対戦していないが、その際には4回5失点と打ち込まれ降板している。
対するボルケスは今季ジャイアンツ戦での登板なしと未知数。
キャリア全体でみれば防御率5.72と非常に苦手にしているが今季のボルケスのブレイクを鑑みるにこのデータはあまりあてにならないだろう。
キーになりそうなのはジャイアンツ打線の我慢強さ。
今季は結果が出ているとは言え制球力というボルケスの根本的な問題が改善されたわけではない。
ジャイアンツ打線はボールを見ていくより打っていく傾向にあるが、この試合ではしっかりとボールを見てボルケスを自滅させる必要がある。
勝ちパターンのリリーフが 出てくるとジャイアンツとしてはかなり厳しくなる。

個人的にはア・リーグはアスレチックス、ナ・リーグはジャイアンツが勝ち上がると予想している。


2014年9月29日月曜日

劇的!最後の最後のノーヒッター

ナショナルズのレギュラーシーズン最終戦はホームでのマーリンズ戦だった。
スタントンを欠くマーリンズ打線はスケールに欠けるとは言え、マーリンズ先発のノーヒッター経験者ヘンダーソンが相手とあってナショナルズとしては投手戦は想定の範囲だっただろう。
ナショナルズ先発はジョーダン・ジマーマン。
知名度はそれほどではないが、昨年の最多勝を獲得するなど実力は折り紙付きで他チームにいけば十分エースとして投げられる投手だ。
少し苦しんだ時期があった彼だが今季はオールスター以降かなりいい調子を維持しており、この試合でもハイパフォーマンスが期待された。
そして彼が見せたのは期待以上の、ノーヒッターという結果だった。
1点差の緊迫した展開にも関わらず最後まできっちりしめたが、最後はかなり劇的な締めくくりとなった。
ノーヒッターにはスーパープレーがつきものと言われているが、それが最後の1アウトで起こることは珍しい。
この日最後の打者となるイェリッチが9回2アウトから放った打球は左中間を破りそうな大きな飛球で、2人の外野手はそれを必死で追っていた。
その打球が抜けていれば年に何度か見られる物悲しいノーヒッター未遂となるところだったが守備固めで入っていた左翼手のスティーブン・スウザがなんとこれをダイビングキャッチ。
打たれてからのキャッチが為されるまでのジマーマンの心境のめまぐるしさにも面白いものがあったが、何はともあれ彼はこれでキャリア初の、そして今季4人目のノーヒッター達成となった。
ちなみに相手の先発ヘンダーソンは 昨年の9月29日にノーヒッターを達成しており、最終回に味方が1点を奪いサヨナラ勝ちで無事達成という劇的展開を演出した投手が相手だったのも何かの縁だったのだろうか。





2014年9月26日金曜日

デレク・ジーター ホーム最終戦でサヨナラヒット

やはりこの男は伝説だった。
これまでいくつもの伝説を残してきたヤンキースのキャプテン、デレク・ジーター。
Mr.Novemberと呼ばれるようになったポストシーズンでのサヨナラ本塁打、The Flipと呼ばれるポストシーズンでの歴史に残る守備、3000本安打を本塁打で決めたことなど、印象的なプレーは数知れない。
そして今日迎えたヤンキースタジアムでの最終戦。
ジーターの最終年にポストシーズンをプレゼントすることはできなかったがホーム最終戦だけは絶対に落としてはならなかった。

ヤンキースの先発投手は黒田。
初回オリオールズに2点先制を許すも、その裏すぐにジーターのタイムリー二塁打を含んだ攻撃で同点に追いつく。
そして同点の7回裏満塁の場面でおあつらえ向きにジーターに打順がまわり、安打こそならなかったもののエラーを誘いイチローらがホームインし勝ち越しの2得点に貢献。
黒田も好投しこのまま勝利かと思われたが守護神ロバートソンが9回にまさかの2被本塁打し同点に追いつかれる。
なんとしてでも勝ちたいヤンキースだが、その裏1アウト2塁の場面でまたしても打席にはジーター。
やはりスター性が呼び込むのかいい場面でことごとく打席が回ってきたが、最後にしっかり結果を出すのがこの男。
だからこそのスーパースター。だからこそのMLBの顔。だからこそのデレク・ジーターである。
そうして彼はサヨナラ安打という最高の形でヤンキースタジアムでの伝説を締めくくった。




2014年9月22日月曜日

次代のスーパースターはこの男だ! vol.5

★クリスティアン・イェリッチ(マーリンズ)
    • Born: 12/5/1991 in Thousand OaksCA 
    • Bats/Throws: L/R
    •  
    • HT: 6'3''
    •  
    • WT: 200
    • Debut: 7/23/2013
    •  
    • College: N/A

ファイアーセールを繰り返すマーリンズにはなかなかファンが根付かないが、スタントン、フェルナンデスという投打の若手スターの出現でその流れは断ち切られようとしている。
そして彼らと同様人気が出そうなスター候補がイェリッチである。
2010年に1巡目全体23位で指名された彼は順調にマイナーでの階段をのぼり2013年にメジャーデビューを果たした。
彼の最大の特徴はその総合力の高さであり、走攻守すべてにおいてハイレベルなパフォーマンスを発揮できるところにある。
デビュー1年目の昨季は右打者に強さを見せたものの左打者には手も足も出ないという状態だったが、マーリンズはそれでも彼をスターにするため使い続ける意思を固め、彼もその期待に応えて今季は左投手を克服してみせた。
2年続けて四球率は10%を超えるなど打撃での辛抱強さも持っており、スピード、打撃スタイルともに理想的なリードオフマンであり、今後リーグ最高の1番打者という評価を得る可能性が極めて高い。
またパワーを磨けば隙のない選手になり、スタントンとのデュオは相手にとって大きな脅威になるはずだ。








2014年9月6日土曜日

MVPレースの展望〈ナ・リーグ〉

ナ・リーグでMVP有力候補なのは以下の4選手だ。

ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)
138試合 打率.295 36本塁打 102打点 出塁率.402 OPS.968 10盗塁
fWAR5.9 rWAR6.4 wOBA.410

クレイトン・カーショウ(ドジャース)
23試合 17勝3敗 防御率1.70 169.1回 202奪三振 25四球 WHIP0.83
fWAR6.0 rWAR7.4 FIP1.89 xFIP2.07

アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
123試合 打率.303 21本塁打 72打点 出塁率.396 OPS.926 17盗塁
fWAR5.0 rWAR5.1 wOBA.400

バスター・ポージー(ジャイアンツ)
127試合 打率.305 19本塁打 78打点 出塁率.356 OPS.841 0盗塁
fWAR4.9 rWAR4.2 wOBA.365

基本的にはスタントンとカーショウの2選手の争いになりそうだ。
スタントンは今季怪我なくほとんどの試合に出続け、最大のウリであるパワーを存分に発揮している。
後半に入って勢いはさらに加速し、このままいけばキャリア初の40本塁打超えと本塁打王と打点のタイトルをとる可能性は高いだろう。
打率に関しては3割にのせてシーズンを終えられるかどうかというところだが、守備貢献度も非常に高い彼は例年なら文句なしのMVP最有力候補だ。
それを阻むのは現在負け越しで3位のチームと、またしてもレジェンド級のシーズンを過ごしているカーショウだ。
今季のカーショウの凄さを測るデータはいくらでもある。
例えば今季は5月に2回途中7失点という大炎上をおかした以外には4失点以上した試合がない。
そしてクオリティスタートを達成できなかったのもその試合を含めて2度しかない。
奪三振率と四球率はともにキャリアハイのペースで、6月には9回15奪三振のノーヒッター(味方のエラーがなければ完全試合)も演じてみせた。
WHIPに至っては歴代9位のペースで、防御率は2000年以降で最高の数値を叩き出している。
チームも好調で現在地区優勝争いのまっただ中だ。
しかしそんなカーショウにもマイナス要素はある。
まずは投手であるということ。
これはMVP投票では必ずネックになる要素だ。
そしてもう一つはシーズン序盤に怪我で離脱していたことだ。
そのため4月は一度も登板しておらず、仕事量の少なさが不利になる。
歴史的なシーズンではあっても完璧ではないということだ。
これがどう影響してくるか。
少なくともこの調子でいって20勝 200回さえ達成してしまえば誰も文句が言えないと私は思うのだがどうだろうか。
スタントン次第でもあるし、この一騎打ちは白熱している。

昨年のMVPマッカッチェンは今季も好調だが、相変わらず少々インパクトに欠けてしまうためスタントンを上回ることはないだろう。
伸びしろに注目なのがドジャースと絶賛地区優勝争い中のジャイアンツを引っ張る2012年のMVPポージー。
前半戦こそパッとしなかったが8月以降ハイペースで調子をあげており、一塁手として試合に出る試合も多いためこの勢いが続けば25本塁打 100打点が見えてくる。
チーム自体も最近調子をあげており、ドジャースとの優勝争いを制する立役者にでもなれば彼の名前はMVP投票でも重要になってくるだろう。

2014年9月5日金曜日

MVPレースの展望〈ア・リーグ〉

9月に入りレギュラーシーズンも大詰め。
プレーオフ進出がかかるチームにとってはチーム順位が気になるところだが、もう一つ気になるのは各アワードの行方だ。
その中でも特に注目なのは白熱しているMVPレース。
まずは有力候補を見てみよう。

ア・リーグ

マイク・トラウト(エンジェルス)
134試合 打率.285 31本塁打 98打点 出塁率.369 OPS.920 13盗塁
fWAR6.3 rWAR6.6 wOBA.396

フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)
29試合 14勝5敗 防御率2.18 206.0回 209奪三振 37四球 WHIP0.90
fWAR5.5 rWAR6.4 FIP2.59 xFIP2.59

ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
123試合 打率.322 33本塁打 99打点 出塁率.383 OPS.985 2盗塁
fWAR4.9 rWAR4.9 wOBA.419

ロビンソン・カノー(マリナーズ)
133試合 打率.321 12本塁打 71打点 出塁率.387 OPS.848 10盗塁
fWAR5.2 rWAR5.8 wOBA.366

ビクター・マルチネス(タイガース)
128試合 打率.332 28本塁打 90打点 出塁率.401 OPS.966 3盗塁
fWAR3.6 rWAR4.4 wOBA.407

チーム成績なども含めて、現状可能性が高いのはこの5選手だろう。
特に最有力と言えるのは上位の3名、トラウト、ヘルナンデス、アブレイユだ。
過去2年ともMVP最有力候補と言われながらミゲル・カブレラにかすめ取られてきたトラウトは今季も有力であり、なおかつ最大のライバルのカブレラはMVPレースに顔を出すことはない。
過去2年の成績なら今季こそはトラウトがMVPを獲得しそうなところだが、今季は少々勝手が違う。
9月に入ったばかりで既に本塁打と打点でキャリアハイを記録している彼は、打撃の傾向が明らかに変わった。
具体的にはより長打を狙うスタイルになり、フライの比率が大きく上がったのだ。
しかしその弊害は確実に現れており、長打力が上がった反面打率や三振率が悪化している。
また彼をコンプリートプレイヤーたらしめている優れた守備力は、数字上では今季は存分に発揮されていない。
彼が最有力候補であることには変わりないが、ここに他の選手がつけ込む隙がある。
野手で対抗馬はもちろんアブレイユだ。
DL入りでの離脱などもあったがあらゆる打撃スタッツで上位を走っている。
特に打率、本塁打、打点の3部門すべてでトップ5に入っている隙のなさが強みになる。
しかし守備・走塁での貢献度が低いため、総合力のトラウトに対抗するためには過去のカブレラのように打撃でリードする必要がある。
MVP投票で重要視される傾向にあるチーム成績でもトラウトには遅れをとっているため、三冠王とは言わないまでも本塁打、打点の二冠は獲得しておきたいところだ。
どちらかでもトラウトに劣るようならアブレイユの戴冠は厳しくなる。
投手でこの2人に対抗してくるのはヘルナンデスだが、MVP投票では投手という時点で少々不利になる。
知られているように、ほとんどの試合に出場する野手と比べて5試合に1度の頻度でしか試合に貢献しない先発投手はチームへの貢献度が低いと考えている識者が多いからだ。
とは言え先発投手は1試合に対する影響度が最も高いと考える者もおり、近年ではジャスティン・バーランダーが受賞したように投手にもMVPのチャンスはある。
しかしサイ・ヤング賞はほぼ間違いなしと言えるヘルナンデスだが今回は野手に対抗するのは少し厳しそうだ。
バーランダーの場合は24勝という数字の存在感と投手三冠というインパクトがあったが、ヘルナンデスは三冠獲得が厳しいのと他の投手と比較してずば抜けた数字がないからだ。
もし彼がMVPを獲得するなら投手三冠と20勝を同時に達成した時だろう。
それくらいやはり投手のMVPというのは難しい。
またチーム成績でも、マリナーズはプレーオフ進出はできても地区優勝までは厳しく、ヘルナンデスにとっては厳しい条件下での戦いだ。
しかしトラウトは調子を落としていること、アブレイユも初めてのMLBフルシーズンであることを考えるならヘルナンデスにもまだチャンスはあるはずだ。

この3選手以外でこれから次第では可能性が出てくるのはカノーとマルチネスの2だが、カノーはどうしても長打で見劣りする点、マルチネスは打撃専門である点を考えるとここから大きく追い上げても上記3人を上回ることは容易ではないだろう。
個人的にはやはり、最終的にトラウトが手にすることになるだろうと思う。

2014年8月1日金曜日

レッドソックスに2つのビッグトレード!

毎年恒例トレードデッドライン間際のビッグディールが、レッドソックス−アスレチックス間、レッドソックス−カージナルス間で成立した。
こういうトレードは優勝争いをするチームが優勝争いから脱落したチームの主力を獲得するケースがほとんどだが、今回はアスレチックスとカージナルスが前者でレッドソックスが後者にあたる。
昨季のワールドチャンピオンであるレッドソックスは今季またしても最下位にまで落ちてしまい現在勝率.444。
対して近年常に優勝争いを続けるアスレチックスは今季も勝率.617で地区首位にたっており、カージナルスも.528の3位と優勝の可能性を残している。
1つ目のトレード内容は以下の通りになっている。

アスレチックス→レッドソックス

ヨエニス・セスペデス(28)
ドラフト2位指名権

レッドソックス→アスレチックス

ジョン・レスター(30)
ジョニー・ゴームス(33)
金銭

セスペデスとレスターという2人のビッグネームが動くことになったのだが、このトレードの背景を想像するのは容易だ。
レッドソックスは来季以降にかけるため主力を放出する路線できている。
ジェイク・ピーヴィをジャイアンツにトレードし、フェリックス・ドゥブロンをカブスへ放出しており、しっかりエース級の活躍をしているとは言え今季で契約のきれるレスターは最も高く売れる選手だ。
また今季のレッドソックスは長打力不足にも悩まされており、オーティズ1人に頼るわけにはいかない以上今後数年主軸を任せられる選手が必要だった。

対してアスレチックスの方はTJ手術で2人の先発投手が全休に追い込まれるなど投手力復活が課題であり、実際カブスからジェフ・サマージャを獲得するなど弱点を補強してきていた。
またそろそろプレーオフ進出だけでなくチャンピオンリングを獲得するための動きが必要な時期でもあった。
今回放出したセスペデスは2015年まで契約が残っているが、当初想定されたほどの好成績を残すには至っておらず、ホームランダービー2年連続優勝など話題は提供しているもののスターにはなりきれていないという状態だ。

こういった両者の事情が合致して成立する今回のビッグトレードだが、優勝を狙うアスレチックスとしては非常に大きなピースがそろったことになる。
カズミアー、グレイ、レスター、サマージャという布陣は非常に強力で、レスターに関してはポストシーズンでの実績も非常にすばらしい。
例年投手陣は強力なアスレチックスだがこれほどまでに質の高い先発投手が揃ったのは久しぶりだろう。

2つ目のトレード内容は以下の通り。

レッドソックス→カージナルス

ジョン・ラッキー(35)

カージナルス→レッドソックス

アレン・クレイグ(30)
ジョー・ケリー(26)

ラッキーの放出はレッドソックスの解体ぶりを見れば明白なように既定路線で、カージナルスがクレイグとケリーを放出したのも理由はわかりやすい。
クレイグはホリデイ、タベラス、ボージャスが揃う外野にも、アダムスが定着した一塁にも居場所を失いつつあり、ケリーに関しても有望な若手であるマルチネスを先発に回すために放出候補となることは予想されていたからだ。
非常にシンプルでわかりやすいトレードだがこれでレッドソックスは主力投手陣を完全に解体。
しかし投打に若手有望株をそろえるレッドソックスとしてはこれはいい機会でもあり、今季は苦戦必至とは言え今後も目を離すことはできない。



2014年7月30日水曜日

和田毅メジャー初勝利!

和田は日本を代表する左腕として活躍し、オリオールズと契約し渡米後まもなく故障によりTJ手術を受け、一度もメジャーの舞台で投げることなく新天地に活躍の場を求めた。
そして念願叶いカブスでメジャーデビューを果たし、初登板の試合では5回無失点と好投してみせた。
しかし次の試合では5失点するなどメジャーの洗礼を浴び、迎えたメジャー3戦目で彼はついにメジャー初勝利をあげた。
相手は強打のロッキーズ打線、主砲のトゥロウィツキーがいないとは言え7回1失点と封じてみせたのは今後への好材料だ。
球威に乏しい和田にとって生命線になるのは制球力であり、実際5失点した前回登板では4四球と制球の乱れが乱調の大きな原因になった。
再建中のチームにあって33歳の投手というのは好条件ではないが、生き残りをかけて今後の登板は一度たりとも気が抜けない。
もし彼が他の日本人投手のようにチームに必要なローテーションの軸になることができれば、日本の投手力の高さを改めて証明することができるだろう。
今後の活躍に多いに期待したい。

2014年7月26日土曜日

次代のスーパースターはこの男だ! vol.4

★ノーラン・アレナード(ロッキーズ)
  • Born: 4/16/1991 in Newport BeachCA 
  • Bats/Throws: R/R
  •  
  • HT: 6'2''
  •  
  • WT: 205
  • Debut: 4/28/2013
  •  
  • College: N/A

ロッキーズには、どこのチームも欲しがる圧倒的な選手がいる。
MLB最高の遊撃手トロイ・トゥロウィツキーだ。
彼の魅力は遊撃手としては最高の打力と最高峰の守備力を兼ね備えていることだ。
彼が守るロッキーズの内野はまさに鉄壁だが、今のロッキーズは彼だけが要ではない。
なぜなら昨季そこにアレナードが新たに加わったからだ。
ロッキーズ屈指の有望株として評価されていた彼がメジャーデビューを果たしたのは2013年のこと。
打撃では飛び抜けたものこそ持っている訳ではなかったがバランスがよく、何よりその守備力が頭一つ抜けていた。
メジャー昇格後の彼は打撃ではクアーズ・フィールドの恩恵を受けながらも”そこそこ”のレベルで落ち着いていたが、その守備で多くのファンを魅了した。
守備範囲、肩、センス、どれをとっても最高峰で三塁守備に限って言えば既にMLB全体でも3指に入る存在と言っていいだろう。
今季は28試合連続安打をするなど打撃の方も成長を見せており、数年後には三塁手版トロイ・トゥロウィツキーという評価を受けていてもおかしくない若手だ。









次代のスーパースターはこの男だ! vol.3

★ゲリット・コール(パイレーツ)
  • Born: 9/8/1990 in Newport BeachCA 
  • Bats/Throws: R/R
  •  
  • HT: 6'4''
  •  
  • WT: 240
  • Debut: 6/11/2013
  •  
  • College: UCLA

パイレーツの次期エース候補ゲリット・コールは平均95mph超えの豪速球を武器にする2011年の全米1位指名投手である。
そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところで、速球投手にありがちな制球難に苦しめられてもおらず年齢の割に完成度が高い。
デビューイヤーとなった昨季は大きく苦しむことも少なく、序盤は少なかった奪三振も日を追うごとに増えていった。
9月には5試合で防御率1.69とメジャーリーガー達を圧倒し、パイレーツの誇る強力ローテーションの一角として多いに活躍し、チームに貢献した。
昨季は新人王を獲得したホゼ・フェルナンデスを筆頭にルーキーに好投手が揃っていたためデビューの遅かった彼は新人王レースでは目立つことはなかったが、ファンに将来のMLBを背負ってたつポテンシャルを見せつけることはできた。
2年目となった今季は当然エース級の活躍が期待されたが、現在は怪我もあって少しばかり調子を落としている。
速球投手の多くが付き合うことになる早期の故障にも、いずれ彼は向き合わなくてはならないだろう。
フェルナンデスのようにいつTJ手術で1年を棒に振ることになるかもわからない。
それでも多くのファンにとって彼は夢を見させてくれる存在だ。
速球投手、特にゲリット・コールという男にはそれだけ大きなスケールと魅力がある。






2014年7月8日火曜日

オールスター選出選手発表

2014年7月15日に行われるオールスターのメンバーが、両リーグ最後の1人を残して発表された。
選出結果は以下の通り。

ア・リーグ

先発野手
C マット・ウィーターズ(オリオールズ)
1B ミゲル・カブレラ(タイガース)
2B ロビンソン・カノー(マリナーズ)
SS デレク・ジーター(ヤンキース)
3B ジョシュ・ドナルドソン(アスレチックス)
OF ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ)
OF マイク・トラウト(エンジェルス)
OF アダム・ジョーンズ(オリオールズ)
DH ネルソン・クルーズ(オリオールズ)

投手
フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)
ダルビッシュ有(レンジャーズ)
田中将大(ヤンキース)
マックス・シャーザー(タイガース)
デビッド・プライス(レイズ)
スコット・カズミア(アスレチックス)
ジョン・レスター(レッドソックス)
マーク・バーリー(ブルージェイズ)
デリン・ベタンセス(ヤンキース)
ショーン・ドゥーリトル(アスレチックス)
グレン・パーキンス(ツインズ)
グレッグ・ホランド(ロイヤルズ)

控え野手
C デレク・ノリス(アスレチックス)
C サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
C カート・スズキ(ツインズ)
1B ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
1B ブランドン・モス(アスレチックス)
2B ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)
SS アレクセイ・ラミレス(ホワイトソックス)
3B エイドリアン・ベルトレ(レンジャーズ)
OF マイケル・ブラントリー(インディアンス)
OF ヨエニス・セスペデス(アスレチックス)
OF アレックス・ゴードン(ロイヤルズ)
DH エドウィン・エンカーナシオン(ブルージェイズ)
DH ビクター・マルチネス(タイガース)


ナ・リーグ

先発野手
C ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
2B チェイス・アトリー(フィリーズ)
SS トロイ・トゥロウィツキ(ロッキーズ)
3B アラミス・ラミレス(ブルワーズ)
OF アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
OF カルロス・ゴメス(ブルワーズ)
OF ヤシエル・プイグ(ドジャース)

投手
カレイトン・カーショウ(ドジャース)
ザック・グレインキー(ドジャース)
ジョニー・クエト(レッズ)
マディソン・バンガーナー(ジャイアンツ)
タイソン・ロス(パドレス)
ジェフ・サマージャ(カブス/アスレチックス)
フリオ・テヘラン(ブレーブス)
アダム・ウェインライト(カージナルス)
ジョーダン・ジマーマン(ナショナルズ)
フランシスコ・ロドリゲス(ブルワーズ)
パット・ニーシェック(カージナルス)
トニー・ワトソン(パイレーツ)
アロルディス・チャプマン(レッズ)
クレイグ・キンブレル(ブレーブス)

控え野手
C ジョナサン・ルクロイ(ブルワーズ)
C デビン・メゾラコ(レッズ)
1B フレディ・フリーマン(ブレーブス)
2B ディー・ゴードン(ドジャース)
2B ダニエル・マーフィ(メッツ)
SS スターリン・カストロ(カブス)
3B マット・カーペンター(カージナルス)
3B トッド・フレイジャー(レッズ)
OF チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ)
OF ジョシュ・ハリソン(パイレーツ)
OF ハンター・ペンス(ジャイアンツ)
OF ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)

両リーグで最多選出チームは6人のアスレチックスで、チームの好調さがそのまま結果に出た形だ。
上原が選ばれていないなど不可解な点もあるにはあるが、それがオールスターというもの。
この中でも最も注目すべきなのはもちろんジーターだ。
MLB屈指のスター選手最後のオールスターであり、昨季のリベラ同様特別な計らいがあることだろう。
日本人は田中、ダルビッシュの2人が選ばれており、並み居る強打者相手にどういったパフォーマンスを見せるか注目だ。

最後の1人を決めるファイナルボートには以下の選手たちが選ばれている。

ア・リーグ
クリス・セール(ホワイトソックス)
ギャレット・リチャーズ(エンジェルス)
リック・ポーセロ(タイガース)
コリー・クルーバー(インディアンス)
ダラス・カイコ(アストロズ)

ナ・リーグ
ジャスティン・モーノー(ロッキーズ)
アンソニー・レンドン(ナショナルズ)
アンソニー・リゾー(カブス)
ケイシー・マギー(マーリンズ)
ジャスティン・アップトン(ブレーブス)


2014年7月6日日曜日

止まらないカーショウの圧倒的パフォーマンス

出遅れはしたものの、やはりクレイトン・カーショウはMLB最高の投手である。
そう断言するに足るパフォーマンスを今の彼は見せ続けている。
先月彼がノーヒッターを達成したのは記憶に新しいが、そこからも彼の勢いは止まらずにその試合も含めて4試合連続で無失点を記録しているのだ。
これで連続無失点イニングは36にまで伸びた。
MLB記録は1988年にオーレル・ハーシュハイザーが樹立した59イニング連続無失点だが、この不滅の記録の更新も不可能ではないのではないかと思わせる程の勢いが今のカーショウにはある。
また6月最初の登板から続けている連勝も7にまで伸びており、後半戦が非常に楽しみだ。


2014年7月4日金曜日

田中将大 MLB移籍後初のQS失敗

ヤンキースの田中がこの日ツインズ戦に登板し、元ヤンキースのフィル・ヒューズとの投げ合いを制して12勝目を手にした。
しかしこの試合勝利はしたものの、田中はMLB移籍後初となるQS(クオリティ・スタート)失敗を記録してしまった。

最近日本でもよく聞かれるようになったQSという言葉。
その意味は6回以上を3自責点以内に抑えること、つまり先発投手として最低限の仕事を果たしているかどうかを示している。
そしてQS率を見ることで、その投手がどれほどの試合で最低限の仕事を果たしたかわかり、登板ごとの安定感をはかることもできる。
具体例を挙げると、18勝3敗 防御率2.90という好成績でシーズンを終えた2008年の松坂は内容的にはあまり良いものではなかったというのは識者の間での見解だが、それを裏付ける数値の一つとして48%という非常に低いQS率がある。
これは彼の登板試合のうちの半分で先発としての最低限の仕事を果たせなかったということである。
それでも彼が見た目は好成績を残せたのは打線やリリーフ、そして運の良さに多いに助けられたからに他ならない。
このQS率はシーズンごとに見てもたいていサイ・ヤング賞争いをするようなトップクラスの投手で80%前後といったところで、70%を超えればかなりの好投手と言っていいだろう。
昨季防御率1.83という歴史的活躍を見せたカーショウでもQS率は82%でしかなかったということが、シーズンを通して安定感を維持し続けることの難しさを示している。

さてここで田中の話に戻るが、彼はMLB移籍後ここまで16試合連続でQSに成功していた。
しかし今日の試合惜しくも7回に失点したことでこの記録は途絶えてしまった。
これで田中のQS率は94%。
QS率だけ見ても後ろからフェリックス・ヘルナンデスが追ってきている。
昨季日本でシーズン無敗を達成したときのように、今季はQS率100%という数字が田中を特別な存在に押し上げていたのだが、これでその特別さは失われてしまった。
そのずば抜けた安定感でレースをリードしていた田中、破竹の勢いでハイパフォーマンスを続け多くのスタッツで田中を上回るヘルナンデス。
田中の記録が途切れたのは残念だが、このサイ・ヤング賞レースがどうなるのかが非常に楽しなものになってきた。





2014年6月30日月曜日

田中 MLBタイ記録を樹立

カーショウとリンスカムの2人のノーヒッターに加えて、もう一つ大きなニュースがあった。
今やヤンキースのエースという存在になった田中将大が連続クオリティスタートのMLBタイ記録を樹立したのだ。
以前も言及したが1973年にスティーブ・ロジャースが達成した16試合連続QSがこれまでのMLB記録であり、田中は5/28の試合で9回2失点とまたしても好投したためこの記録に並んだことになる。
次の登板では新記録がかかる。
6月登板の5試合全てで本塁打を浴びるなど少々気がかりな点はあるが、相変わらず抜群の制球力で余計なランナーを出さないため最小失点で抑えることに成功している。
右のクリフ・リーと言ってもいい投球内容で次の試合でもきっと好投して新記録を達成してくれることだろう。
あわよくばシーズンQS率100%というとんでもない記録も狙えるかもしれない。
現状の活躍ぶりはサイ・ヤング賞最有力候補と言って差し支えなく、田中は日本だけでなくMLBでもレンジェンドへの道を歩みつつある。


6月2人のノーヒッター

サンディエゴへ留学のため忙しく、一時更新を休止しておりました。
ようやくアメリカでの生活も落ち着いてきたため、これからまた再開していきたいと思います。

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そろそろシーズンも半分を終えようかという時期だが、先日のベケットに続いてまたノーヒッターを達成した投手が現れた。
それも今月で2人、両者ともにサイ・ヤング賞を2度受賞しているという共通点もある。

まず最初に達成したのはクレイトン・カーショウ。
5月半ばには2回途中で7失点という屈辱を味わったが、それ以降は安定した投球を見せていた。
そして調子を上げていた6/18のロッキーズ戦で彼はMLB史に残る圧倒的なパフォーマンスを披露してみせた。
並み居る強打者たちを次々ときって落としてなんと9回を無安打無四球15奪三振で抑えてみせたのだ。
本来なら完全試合の内容ではあったのだが残念ながら味方のエラーがあったため結果はノーヒットノーラン。
それでもこの圧倒的な内容史上最高クラスのものと言って間違いないだろう。
ノーヒッターは彼にとって初めてのもので15奪三振もキャリアハイというおまけもついた。
ベケットがドジャースに野茂以来のノーヒッターをもたらして間もないカーショウの快挙となったが、カーショウはその後の試合でも8回を無失点に抑えて連続無失点記録を継続している。
この記録もどこまでのばすことができるか要注目だ。




そしてもう1人、カーショウの快挙からあまり時間をおかずにノーヒッターを達成したのがティム・リンスカムだ。
数年前まで2年連続のサイ・ヤング賞獲得などリーグ最高の投手として名を轟かせていた彼は今や落ち目のローテピッチャーになってしまった。
それでも昨季はノーヒッターを達成するなど見せ場を作っており、不安定ながらも調子のいい時は好投してくれる。
そんなリンスカムが今季もまたやってくれた。
6/25の試合、お相手は前回達成時と同じパドレス。
そして前回はアウェイゲームだったが今回はホームゲームでの達成となった。
さらにもう一つ違うのが投球内容。
昨季のノーヒッターは9回148球という非常に苦しんでのものだったが、今回は9回1四球6奪三振で113球という省エネで達成している。
もはや全盛期の面影はないに等しいが、全盛期には達成できなかったノーヒッターを落ち目になってから2度も達成するというのがなんとも不思議だ。
とは言え彼はまだ30歳になったばかり。
これを機にまた以前の輝きを取り戻してくれると信じたい。




2014年6月12日木曜日

ダルビッシュ メジャー初完封

この日本塁打王候補のスタントンや昨季楽天の日本一に貢献したマギーなどを擁するマーリンズ打線相手に9回6安打10奪三振3四球の完封劇で7勝目。
これまで2度のノーヒッター未遂などをやってきたダルビッシュだがメジャー3年目にしてこれが初完投・初完封となった。
何よりも成長を感じさせるのは9回を117球で抑えたこと。
これまでなら130球近い球数を要していたところを3つの四球を出しながらも120球以内で抑えるようになったのはメジャーにしっかりアジャストした証拠だ。
四球は少ないとは言えないがストライクゾーンで勝負できるようになったダルビッシュは弱点を着実に減らしていっている。
今日の試合はこれから何度も完投・完封するであろうダルビッシュの最初の一歩である。




またこの日は田中もマリナーズを相手に先発登板し、9回1アウトまで完封ペースを維持していたが不運な内野安打でランナーを許すと続くカノーに本塁打を打たれ2点を失い、今季2度目の完封とはいかなかった。
それでも後続はしっかりと打ち取り9回6安打2失点11奪三振1四球1被本塁打で10勝目を挙げた。


2014年6月10日火曜日

チゼンホール MLB史上初の快挙

MLBの長い歴史の中で、未だ達成されたことのない記録というのはそう多くないが、この日インディアンスのロニー・チゼンホールが史上初の記録を打ち立てた。
その記録というのは1試合のうちに5打数5安打3本塁打9打点を達成すること。
5打数5安打も3本塁打も、1シーズンに数度あるかないかという記録のためそのどちらも1試合で達成してしまうことの難易度の高さは想像しやすいが、それに加えて9打点という滅多にないものも加わったことでより一層難易度が高くなっている。
1試合5安打3本塁打9打点自体も過去に3度しか達成されたことがなく、最後に達成されたのも1975年の出来事ということもあって、希少価値としてはサイクルヒットや完全試合よりも断然高い。

ところでこの試合で名を上げたチゼンホールの知名度はそれほど高くはないだろう。
とりわけ日本のファンはほとんど知らないであろう選手であるため、彼について少し記述したいと思う。

チゼンホールは2008年ドラフト1巡目29位指名でインディアンスに入団した左打ちの三塁手だ。
プロ入り前には盗難が発覚して大学を退学処分になったこともある問題児だったが、その素質を高く評価されたための1巡目指名だった。
プロ入り後はマイナーで着々と成績を残し、飛び抜けたツールはないもののバランスのいい三塁手ということでインディアンスのトッププロスペクトとしてカルロス・サンタナらとともに今後のチームの核になる選手と思われた。
そうして2011年にメジャーデビューを果たすが、期待された成績を1年目から残すことはできなかった。
翌年以降もメジャーでプレーはするものの定着することは出来ず、ということを繰り返し今季が始まる前の彼の評価はブレイクできなかったドラフト1巡目選手というものだった。
ところが今季はスプリングトレーニングから好調でそのまま開幕ロースター入りするとそのまま好調を維持し、三塁手、一塁手、そしてDHの3つのポジションでプレーしながら今ではインディアンスで最も打撃成績がいい選手となっている。
そこに来てこの歴史的な試合である。
ちなみに彼は先日ダルビッシュからも本塁打を放っている。
このパフォーマンスが一過性のもので終わるかどうかはわからないが、彼が今最も怖い打者であることは間違いないだろう。



次代のスーパースターはこの男だ!vol.2

★アンドリュー・キャッシュナー(27)
  • Born: 9/11/1986 in ConroeTX 
  • Bats/Throws: R/R
  •  
  • HT: 6'6''
  •  
  • WT: 220
  • Debut: 5/31/2010
  •  
  • College: Texas Christian

長身で球速はトップクラス。
ポテンシャルとしては一級品だが、ブレイクするまでには時間がかかった。
2008年ドラフト全体19位で指名され、メジャー昇格後のカブスではほとんどがリリーフでの登板だったが、2012年にはアンソニー・リゾーが絡むトレードでパドレスに移籍した。
投手に最も有利な本拠地を持つパドレスでは活躍できると予想されていたが、先発で投げるようにもなり今のところは期待値以上の活躍をしている。
トレード相手となったリゾーもカブスで活躍しており、本拠地の特性も活かした近年有数のwin-winトレードと言えるのではないのだろうか。

調子のいいときは1安打ピッチングもできる圧倒的投手だが、彼の最大の特徴はなんといっても長身から放たれる威力ある速球だ。
先発投手としてはトップクラスの平均球速95mph前後、最速で102mphに達するが2013年に大きく躍進した理由はツーシームを投げるようになったことだろう。
こちらも94mph前後と球速があり、変化も大きいため長打を浴びるケースが少なくなった。
また、こういうタイプの投手は三振も四球も多いというのがお決まりだったが、カブス時代はキャッシュナーもご多分に漏れずノーコン気味だった。
しかしパドレス移籍後本拠地の変化も要因だったのかストライクゾーンで勝負できるようになり制球、成績ともに安定した。
2013年中盤までは奪三振がすくなかったのだが、終盤にはいって制球を維持したまま三振も多く奪えるようになった。
もちろん好成績は本拠地の性質によるところも大きく、昨季のアウェイ防御率は4.00でしかなかった。
とは言え終盤からはホーム・アウェイ関係なく好成績を残せるようになり、今季は相変わらず差はあるもののアウェイでの成績が大きく改善されている。
大きく崩れるケースもほとんどなく、ポテンシャルの高さもあって今ではパドレスのエースと言える存在になっている。
まだまだ知名度が高いとは言いがたいが、今後間違いなく名を挙げ、いずれ大きな契約を得ることになる可能性は高い。





2014年6月6日金曜日

2014年MLBドラフト

今年もMLBドラフトが行われた。
前回モックドラフトの結果を記事にしたが実際それに近い結果になっただろうか?
1巡目の結果は以下の通り。
*RHP=右投手 LHP=左投手 C=捕手 1B=一塁手 2B=二塁手
 3B=三塁手 SS=遊撃手 OF=外野手

1位アストロズ:ブレイディ・エイケン LHP
2位マーリンズ:タイラー・コレック RHP
3位ホワイトソックス:カルロス・ロドン LHP
4位カブス:カイル・シュワーバー C/OF
5位ツインズ:ニック・ゴードン SS
6位マリナーズ:アレックス・ジャクソン C/OF
7位フィリーズ:アーロン・ノラ RHP
8位ロッキーズ:カイル・フリーランド LHP
9位ブルージェイズ:ジェフ・ホフマン RHP
10位メッツ:マイケル・コンフォート OF
11位ブルージェイズ:マックス・ペンテコスト C
12位ブルワーズ:コディ・メディロス LHP
13位パドレス:トリー・ターナー SS
14位ジャイアンツ:タイラー・ビード RHP
15位エンジェルス:ショーン・ニューカム LHP
16位ダイヤモンドバックス:トウキ・トゥサン RHP
17位ロイヤルズ:ブランドン・フィネガン LHP
18位ナショナルズ:エリック・フェッド RHP
19位レッズ:ニック・ハワード RHP
20位レイズ:ケイシー・ジレスピー 1B
21位インディアンス:ブラッドリー・ジマー OF
22位ドジャース:グラント・ホームズ RHP
23位タイガース:デレク・ヒル OF
24位パイレーツ:コール・タッカー SS
25位アスレチックス:マット・チャプマン 3B
26位レッドソックス:マイケル・チャビス SS
27位カージナルス:ルーク・ウィーバー RHP
28位ロイヤルズ:フォスター・グリフィン LHP
29位レッズ:アレックス・ブランディーノ SS
30位レンジャーズ:ルイス・オーティズ RHP
31位インディアンス:ジャスタス・シェフィールド LHP
32位ブレーブス:ブラクストン・デビッドソン OF
33位レッドソックス:マイケル・コペック RHP
34位カージナルス:ジャック・フラハーティ RHP

全体1位指名で選ばれたのは予想通りのブレイディ・エイケン。
アストロズはこれで3年連続全体1位指名を得ているが、今回も最もいい選手をとりにきた。
最高の右投手と目されていたコレックが2位、そして大学生NO.1投手ロドンが3位とトップ3はほとんど下馬評通りの結果となった。
さて、投手偏重ドラフトになるともっぱらの噂だったが実際に1巡目34人中20人が投手となっている。
素材重視の指名から即戦力狙いのものまで様々だが、早い選手、特に大卒投手では今季中にMLB昇格する選手もいる。
近年ではそれで最も成功した例が今やリーグ最高の左腕の一人になったクリス・セールであり、彼は2010年に全体13位で指名されマイナーで数試合に登板した後8月上旬にメジャーデビューを果たすというスピード昇格を果たした。
しかもその年メジャーで21試合に登板し好投を見せたのだ。

こういっったケースのように、今日指名された中からもしかすると今季中にメジャーで見れる選手も出てくるかもしれない。
まずは契約自体がどれくらいでまとまるかだが、全体31位のシェフィールドはなんともう契約に合意したようだ。
今季中に決まらない選手もいる中でこれはかなりの早さだが、彼のように早期に契約した選手はプロデビューも早くなる。
このドラフトの中からどれほどのスターが今後生まれていくのか楽しみである。


ブレイディ・エイケン



タイラー・コレック




カルロス・ロドン



2014年6月5日木曜日

2014年MLBモックドラフト

MLB.comより2014年のモックドラフトが発表されたので少し紹介したいと思う。
モックドラフトとは模擬ドラフトことで、MLBに限らずNFLやNBAでも毎年行われている。
このモックドラフトその通りになることはまずないだろうが、これはいわば前評判であり、実際の結果との違いを楽しむことが出来るだろう。
そして今回発表された1巡目の選手たちがこちら。
*RHP=右投手 LHP=左投手 C=捕手 1B=一塁手 2B=二塁手
 3B=三塁手 SS=遊撃手 OF=外野手

1位アストロズ:ブレイディ・エイケン LHP
2位マーリンズ:カルロス・ロドン LHP
3位ホワイトソックス:タイラー・コレック RHP
4位カブス:マイケル・コンフォート OF
5位ツインズ:ニック・ゴードン SS
6位マリナーズ:アレックス・ジャクソン C/OF
7位フィリーズ:アーロン・ノラ RHP
8位ロッキーズ:カイル・フリーランド LHP
9位ブルージェイズ:トリー・ターナー SS
10位メッツ:ショーン・ニューカム LHP
11位ブルージェイズ:ジェフ・ホフマン RHP
12位ブルワーズ:タイラー・ビード RHP
13位パドレス:トウキ・トゥサン RHP
14位ジャイアンツ:グラント・ホームズ RHP
15位エンジェルス:カイル・シュワーバー C/OF
16位ダイヤモンドバックス:マックス・ペンテコスト C
17位ロイヤルズ:ダレク・ヒル OF
18位ナショナルズ:ケイシー・ジラスピー 1B
19位レッズ:ブランドン・フィネガン LHP
20位レイズ:ブラッドリー・ジマー OF
21位インディアンス:エリック・フェッド RHP
22位ドジャース:ショーン・リードフォリー RHP
23位タイガース:ニック・ハワード RHP
24位パイレーツ:ジェイコブ・ゲイトウッド SS
25位アスレチックス:モンテ・ハリソン OF
26位レッドソックス:アレックス・ブランディーノ 3B
27位カージナルス:フォスター・グリフィン LHP
28位ロイヤルズ:コディ・メディロス LHP
29位レッズ:スペンサー・アダムズ RHP
30位レンジャーズ:フォレスト・ウォール 2B
31位インディアンス:AJ・リード 1B
32位ブレーブス:マイケル・チャビス SS
33位レッドソックス:マイケル・コペック RHP
34位カージナルス:ルイス・オーティズ RHP

このモックドラフトからわかるように、今回は非常に投手の比率が高い。
これは投手が豊作であると同時に野手が不作だからでもある。
特に大学生野手が不作で、そのため投手偏重ドラフトになると予想されている。

注目選手は全体1位に選ばれているエイケン。
全体1位指名間違いなしというほど突出しているわけではないが、昨年ワールドカップで松井裕樹とも投げ合った左投手で、最速97mphの速球や投手としての能力が高く評価されており高校生NO.1左投手とされており上位指名の可能性が高い。

2位に選ばれているロドンは一時は全体1位指名間違いなしと言われた大学生投手だが、その後不振に陥り成績を落としているためその座が揺らぎつつあるが、トップ3には入ると目されている。

また3位のコレックは高校生の右投手だが190cm後半の長身から最速102mphを投げ込む一級品の素材であり、ポテンシャルの高さではNO.1かもしれない。
もし彼が全体1位で指名されれば、高校生の右投手では史上初の全体1位ということになる。

野手では6位のジャクソンは今ドラフト最高の野手と評判が高く、ハーパーやマイヤーズがそうしたようにプロ入り後は外野手としてプレーする可能性が高い。
5位のゴードンは父と兄(ドジャースのディー・ゴードン)が両方メジャーリーガーという家系であり、抜群の身体能力が高く評価されており非常にポテンシャルが高い。





次代のスーパースターはこの男だ! vol.1

その豊富な人材から毎年のようにスター候補生が出現するMLBだが、エリート街道を順調に上った者から何年も苦しみながらブレイクした者まで様々。
今回から始めるこの企画は次代を担うスーパースター候補生を紹介していく。

①20代の選手。
②メジャーデビューしている。
③オールスターに選出されたことがない。

この3点を選出基準として私が今後オールスターに複数回選ばれるスーパースターになるであろう、あるいはなりかけている選手を探した。

第一回目となる今回はヤシエル・プイグを紹介する。


★ヤシエル・プイグ(ドジャース)
    • Born: 12/7/1990 in Cienfuegos Cuba
    • Bats/Throws: R/R
    •  
    • HT: 6'3''
    •  
    • WT: 235
    • Debut: 6/3/2013
    •  
    • College: N/A

キューバ出身23歳の外野手。
彼の名前は日本でも知っているファンがいるのではないだろうか。
例のごとくキューバから亡命を果たし2012年にドジャースと7年4200万ドルという長期契約を結び入団した。
恵まれた体格と抜群の身体能力を活かしたプレーが持ち味で、昨季はスプリングトレーニング、開幕してからのマイナーでともに大暴れし、不調に陥っていたドジャースの起爆剤となることを期待されて6月にAAから飛び級でメジャー昇格を果たした。
すると恐ろしい程の爆発力でチームを牽引し、6月は月間打率4割超えの大暴れ。
それと同時にそれまで勝率4割前半で地区最下位だったチームも浮上し始め、最終的にチームは地区優勝を果たした。
もちろんプイグ一人の力ではないが、彼の昇格が大きなきっかけになったことは間違いないだろう。
そのあまりの大活躍ぶり、そして破天荒とも言える野性的なプレーに多くのファンが引きつけられ、メジャー昇格後1ヶ月しか経っていないにも関わらず彼はオールスターの最後の一人の候補者にノミネートされた。
このことは論議も巻き起こしたが、最終的に選ばれたのはプイグではなくフリーマンだった。
惜しくもオールスター選出は逃したが、今季はここまでさらにずば抜けた好成績をあげて現在オールスター投票の上位を維持している。
今度こそ彼はオールスターに、それもスターティングラインナップに名を連ねるはずだ。

ところでプイグは問題児である。
昨季プイグを抑えて新人王に輝いた同じくキューバ出身のホゼ・フェルナンデスが純粋に野球を楽しんでいる優等生なのに対し、プイグはグラウンド内外でトラブルの種になるMLB屈指の問題児になりつつある。
セレブリティあふれる生活を満喫し、スターダムを駆け上がった昨季オフには早速スピード違反で逮捕された。
またグラウンド内でも自分の能力を誇示するかのような暴走プレーを連発し、その結果チームにも大いに迷惑をかけている。
今後の彼にとって最も重要なのは精神面の成熟であり、改善されなければキャリアに傷をつけることにもなりかねない。
既にキューバ亡命時に人身売買組織やマフィアなどが絡んだことが噂されており、今後彼個人だけではなく球界全体を揺るがすような大問題にもなりかねない。

しかしその規格外のプレーにファンは魅了されざるを得ない。
今後彼の数々のトラブルがどう発展していくかわからないが、彼はその危険さと魅力を併せ持った稀代のプレーヤーなのである。
いつか彼の未熟さが身を潜め、誰もが憧れる真のスーパースターになる日が来るかもしれない。





2014年6月4日水曜日

田中 初の月間最優秀投手を獲得

ヤンキースの田中将大が初の月間最優秀に輝いた。
5月の成績は以下の通り。

6試合 5勝1敗 防御率1.88 43.0回 42奪三振 6四球 2被本塁打 WHIP0.98

1敗こそしてしまったが4月は苦しんだ被本塁打も2本に抑え、完封も記録するなど本領発揮してきた感がある。
1年目のダルビッシュが大きく苦しんだ左打者にも全く苦労しておらず、クオリティスタート率も両リーグ唯一の100%を維持するなど既に最高の投手の一角へと顔を出している。

ルーキーが月間最優秀投手を獲得するのはMLBでは昨年7月のクリス・アーチャー以来だが、田中がもはやルーキーという枠組みに収まってはいないのは言うまでもないだろう。
日本では凄まじい記録を樹立した田中だが、実はあるMLB記録も視野に入ってきている。
それが連続クオリティスタート達成の記録であり、これまでのMLB記録は1973年のスティーブ・ロジャースが樹立した16試合連続クオリティスタートだ。
この記録に到達するまであと5試合続けていかなくてはならないが、それをやってしまいそうな雰囲気があるのが田中将大という男だ。

次の対戦相手は兄貴分ダルビッシュがMLBで最も苦手とするアスレチックス。
今季好調でボールを見極める選球眼と試合の流れを変える長打力に長けた打線に加え、リーグ最高クラスの投手力を持ち合わせた隙の少ないチームだ。
相手投手もここまで防御率2.37のドラフト1位投手ポメランツということで、田中にとってもヤンキース打線にとっても苦しい戦いになることは間違いないだろう。
連続クオリティスタート記録への最大の難関になるはずだ。
逆にこのチームをあっさりシャットアウトすることができれば田中にもはや敵はいなくなる。
6月5日(日本時間6日)の試合は最も注目すべき試合になる。
そうなれば新人王はおろかサイ・ヤング賞も視界に入ってくるだろう。


5月の月間アワードは以下の通り。

月間MVP 
野手部門 エドウィン・エンカーナシオン(TOR) ヤシエル・プイグ(LAD)
投手部門 田中将大(NYY) マディソン・バンガーナー(SF)
ルーキー ジョージ・スプリンガー(HOU) コルテン・ウォン(STL)


2014年6月2日月曜日

新人王レースの展望〈ナ・リーグ編〉

今季のナ・リーグはア・リーグとは違い不作と言わざるをえない。
昨季とは逆転した形になるが、ナ・リーグも優秀な素材は数人いる。

☆クリス・オーウィングス(ダイヤモンドバックス)
52試合 打率.263 3本塁打 9打点 出塁率.306 OPS.701 6盗塁

走攻守揃った22歳の遊撃手。
昨季マイナーでの好成績を引っさげてメジャー昇格し早速結果を残した。
今季は同じく若手遊撃手のグレゴリアスとのポジション争いから始まったが見事ポジションを獲得してみせた。
まだメジャーのレベルに適応できているとは言いがたいのだが、今季のナ・リーグなら今後の浮上次第で新人王獲得の可能性もある。





☆ビリー・ハミルトン(レッズ)
50試合 打率.251 1本塁打 10打点 出塁率.290 OPS.629 20盗塁

下馬評では新人王最有力候補であり、今もその座は揺らいでいない。
しかし打撃で苦戦しており出塁力の低さゆえ自慢の盗塁も思ったほど数がかせげておらず、昨季メジャー13試合で13盗塁した圧倒的パフォーマンスはまだ見せていない。
ただ序盤に比べると調子は上がってきており、馴染んでくれば量産モードに入る可能性も高い。





☆コルテン・ウォン(カージナルス)
34試合 打率.268 0本塁打 11打点 出塁率.333 OPS.659 8盗塁

典型的な小兵タイプの二塁手で、昨季デビューしワールドシリーズでもプレーしたが上原に牽制で刺され試合を終わらせるなど苦い思いもした。
今季は3Aでもプレーしているが安定して高打率を残しており、もはやマイナーで証明すべきことはない。
パワーはあまりないため、打率や盗塁などでどれだけのパフォーマンスをみせることができるかが重要になってくるだろう。





☆オスカー・タベラス(カージナルス)
2試合 打率.286 1本塁打 1打点 出塁率.286 OPS1.000 0盗塁

5月31日と約2ヶ月遅れのデビューとなったが、他の候補選手の活躍ぶりから、場合によってはタベラスが最有力候補になり得る。
本来ならば昨季デビューするはずだったマイナー最高級の外野手だが、故障などもあり予定より遅いメジャーデビューとなった。
将来的にスーパースターになれる打撃力を持っており、出塁力は今後上げていかなければならないが首位打者は今後数年のうちに狙えるようになるだろう。
今季のナ・リーグの新人の中では最もポテンシャルが高く、デビュー初日でいきなり本塁打も放った。
ハミルトンと並んで今季終了時の成績が最も楽しみな選手だ。





☆デビッド・ヘイル(ブレーブス)
16試合 1勝0敗 防御率1.38 39.0回 19奪三振 17四球 0被本塁打 WHIP1.18

ポテンシャルが高いとは言いがたいが、派手さはなくともしっかりと結果を残す便利屋で、場合によっては先発も任せることができる。
低めに集める投球で被本塁打こそ少ないが三振がとれる、あるいはコントロールがいいといったことはなく、内容はそれほどよくなくとも抑えるタイプだ。
ただその役割的にもあまり印象に残らないので、新人王レースに名を挙げるためには70回 防御率1点台前半といった結果が必要になるだろう。





2014年6月1日日曜日

新人王レースの展望〈ア・リーグ編〉

5月も終了し、これでシーズンの約3分の1が終了したことになる。
あらゆるアワードは今後どういった展開を見せるかはわからないが、新人王に関してはよほど不作でない限りは大体この時点から候補者がある程度しぼられてくる。
それは序盤から出場している方が成績的に有利になるからだ。
昨季6月に昇格して新人王に輝いたマイヤーズや、同じく6月昇格で新人王有力候補の一人にまでなったプイグなどは基本的に例外的存在だと考えていいだろう。
ということで今回は現時点までに昇格しメジャーでプレーしている選手の中から両リーグ各5選手ずつピックアップして成績とともに紹介する。

☆田中将大(ヤンキース)
11試合 8勝1敗 防御率2.06 78.2回 88奪三振 12四球 7被本塁打 WHIP0.95

日本のファンからすれば彼を新人扱いするのも馬鹿らしい話だが、田中は新人の枠を飛び越えてリーグトップクラスの成績を残している。
ほとんどのカテゴリでトップ10入りしており、防御率とWHIPに関してはリーグ1位になっている。
新人王最有力候補であり、また現時点のア・リーグサイ・ヤング賞の有力候補でもある。
怖いのは疲れによる失速と故障くらいだろう。





☆ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
44試合 打率.260 15本塁打 42打点 出塁率.312 OPS.908 0盗塁

キューバ史上最高級といっても素材だが、こちらも前評判通りの活躍ぶりを見せている。
一時は本塁打と打点の二冠もキープしていたが、怖いのは故障だけという状態で早速DL入りしてしまい、近いうちの復帰が待ち望まれる。
まだメジャーの水に慣れている段階で本領発揮とはいっていないだろうが、左投手から結果を残せていない、四球が極端に少なく三振が多い、などの弱点は既に見えてきている。
最初の調子が続くのであれば最終的に40本塁打は超えてくるだろうが、ここからは弱点にどれだけつけ込まれないかという戦いになる。
サイ・ヤング賞級のパフォーマンスを見せている田中に対抗するためには、40本塁打 100打点、あるいはタイトル獲得などが必要になってくるだろう。





☆ザンダー・ボガーツ(レッドソックス)
53試合 打率.304 3本塁打 13打点 出塁率.397 OPS.835 1盗塁

上の2人に比べれば少し地味に見えるかもしれないが、彼がキャリアルーキーであるのに対してこちらは21歳の純粋なルーキーだということを考慮すればかなりの好成績だ。
昨季は終盤に昇格しプレーオフでも活躍するなど今季の活躍に期待されたが出足は少々不調。
しかしその後調子を上げて今では2番打者もまかされるようになった。
彼のすばらしいのはしっかりボールを見極める点であり、三振も少なくないがしっかり四球を選び出塁率がかなりの高水準になっている。
パワーもないように見えるが二塁打を量産しており、ペドロイアと少し似たところがあると考えていいだろう。
はまれば本塁打も大幅に増えてもおかしくない。
田中とアブレイユがいなければ最有力候補になれたというところが惜しいが、このまま調子を維持してほしいところ。





☆ヨーダノ・ベンチュラ(ロイヤルズ)
10試合 2勝5敗 防御率3.45 57.1回 59奪三振 19四球 6被本塁打 WHIP1.26

こちらもデビューは昨季のロイヤルズ期待のエース候補。
その特徴はなんと言っても超のつく剛球で、平均球速96.0mph(約155km)、最高では101.9mph(164km)を記録するなど球速においては既にMLBの先発投手で3本指に入る。
そしてそれだけの剛球を操りながらも制球はそれほど悪くなく、かなり迫力ある投手だ。
序盤快調に飛ばしていたのだが5月に入ってからはあまり調子が良くなく、先日は故障の疑いでMRI検査も受けた。
DL入りはせずに済んだのだがこれだけの速球を操るため剛球投手の例に漏れず彼も故障との戦いに苦しむことになるだろう。
また今季の新人王レースにおいては球威以外で同じ投手の田中に勝る点がなく、彼がいる限りはベンチュラが上回る可能性は低い。





☆ジョージ・スプリンガー(アストロズ)
40試合 打率.255 10本塁打 29打点 出塁率.343 OPS.840 1盗塁

大卒でドラフトにかかったため24歳でのデビューとトップ選手のデビューとしてはやや遅いが、アストロズが待ち望んだスター野手候補の満を持しての登場だ。
昨季はマイナーで37本塁打 45盗塁というずば抜けた好成績を残したが、今季は開幕ではなく4月半ばからのデビューになった。
いきなり4番を担ったこともあってか最初こそ苦しんだが5月に入ってからは調子を上げて5月の26試合だけで10本塁打を量産してみせた。
盗塁はまだ少ないなど完全にメジャーに馴染んだわけではないが、だからこそ今後の躍進ぶりが非常に気になるところ。
彼が爆発すれば新人王争いが面白くなること間違いなし。
5ツールを備えたニュースターのパフォーマンスにご注目あれ。



2014年5月30日金曜日

2014オールスター中間発表

オールスター投票の中間結果が発表された。
結果は以下の通り。

ア・リーグ

CATCHER

1. マット・ウィーターズ(オリオールズ): 540,258
2. ブライアン・マッキャン(ヤンキース): 373,169
3. デレク・ノリス(アスレチックス): 215,110
4. AJ・ピアジンスキー(レッドソックス): 188,288
5. カート・スズキ(ツインズ): 187,766

FIRST BASE

1. ミゲル・カブレラ(タイガース): 440,407
2. アルバート・プホルス(エンジェルス): 371,193
3. ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス): 367,617
4. クリス・デイビス(オリオールズ): 238,730
5. マーク・テシェイラ(ヤンキース): 201,123

SECOND BASE

1. イアン・キンズラー(タイガース): 356,244
2. ロビンソン・カノー(マリナーズ): 350,293
3. ダスティン・ペドロイア(レッドソックス): 343,321
4. ブライアン・ドージアー(ツインズ): 194,941
5. ハーウィ・ケンドリック(エンジェルス): 165,003

SHORTSTOP

1. デレク・ジーター(ヤンキース): 602,525
2. アレクセイ・ラミレス(ホワイトソックス): 472,537
3. JJ・ハーディ(オリオールズ): 265,923
4. エルビス・アンドラス(レンジャーズ): 166,907
5. ジェド・ラウリー(アスレチックス): 142,622

THIRD BASE

1. ジョシュ・ドナルドソン(アスレチックス): 464,367
2. エヴァン・ロンゴリア(レイズ): 407,724
3. エイドリアン・ベルトレ(レンジャーズ): 281,460
4, マニー・マチャド(オリオールズ): 263,029
5. ニック・カステラノス(タイガース): 157,768

OUTFIELD

1. マイク・トラウト(エンジェルス): 764,007
2. ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ): 675,290
3. ジャコビー・エルズベリー(ヤンキース): 417,452
4. カルロス・ベルトラン(ヤンキース): 401,101
5. メルキー・カブレラ(ブルージェイズ): 364,506
6. トリー・ハンター(タイガース): 322,736
7. アダム・ジョーンズ(オリオールズ): 285,913
8. シンス・チュー(レンジャーズ): 271,521
9. ヨエニス・セスペデス(アスレチックス): 1,556,700
10. ニック・マーケイキス(オリオールズ): 248,886
11. ブレット・ガードナー(ヤンキース): 197,577
12. ジョシュ・ハミルトン(エンジェルス): 188,918
13. ラジェイ・デイビス(タイガース): 186,913
14. オースティン・ジャクソン(タイガース): 175,165
15. アレックス・リオス(レンジャーズ): 167,261

DESIGNATED HITTER

1. デビッド・オーティズ(レッドソックス): 501,808
2. ネルソン・クルーズ(オリオールズ): 484,186
3. ビクター・マルチネス(タイガース): 340,827
4. アルフォンゾ・ソリアーノ(ヤンキース): 221,378
5. ブランドン・モス(アスレチックス): 144,319


ナ・リーグ

CATCHER

1. ヤディアー・モリーナ(カージナルス): 640,464
2. バスター・ポージー(ジャイアンツ): 421,100
3. エヴァン・ガティス(ブレーブス): 241,005
4. ジョナサン・ルクロイ(ブルワーズ): 236,935
5. デイン・メゾラコ(レッズ): 154,489

FIRST BASE

1. エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース): 349,762
2. フレディ・フリーマン(ブレーブス): 308,961
3. ジャスティン・モアノー(ロッキーズ): 305,327
4. ブランドン・ベルト(ジャイアンツ): 228,547
5. ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス): 227,854

SECOND BASE

1. チェイス・アトリー(フィリーズ): 509,390
2. ディー・ゴードン(ドジャース): 304,258
3. ブランドン・フィリップス(レッズ): 187,067
4. アンソニー・レンドン(ナショナルズ): 183,600
5. ニール・ウォーカー(パイレーツ): 159,205

SHORTSTOP

1. トロイ・トゥロウィツキー(ロッキーズ): 745,823
2. ブランドン・クロフォード(ジャインツ): 218,123
3. アンドレルトン・シモンズ(ブレーブス): 207,402
4. ハンリー・ラミレス(ドジャース): 206,866
5. ジーン・セグラ(ブルワーズ): 202,597

THIRD BASE

1. ノーラン・アレナード(ロッキーズ): 318,111
2. アラミス・ラミレス(ブルワーズ): 282,843
3. デビッド・ライト(メッツ): 278,840
4. フアン・ウリベ(ドジャース): 270,425
5. パブロ・サンドバル(ジャイアンツ): 210,473

OUTFIELD


1. チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ): 549,394
2. アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ): 467,378
3. ライアン・ブラウン(ブルワーズ): 446,780
4. ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ): 426,228
5. ヤシエル・プイグ(ドジャース): 383,384
6. カルロス・ゴメス(ブルワーズ): 370,630
7. ジャスティン・アップトン(ブレーブス): 312,574
8. エンジェル・パガン(ジャイアンツ): 287,338
9. マイケル・モース(ジャイアンツ): 257,477
10. ハンター・ペンス(ジャイアンツ): 221,604
11. マット・ホリデイ(カージナルス): 212,763
12. ブライス・ハーパー(ナショナルズ): 211,565
13. カルロス・ゴンザレス(ロッキーズ): 207,875
14. マイケル・カダイヤー(ロッキーズ): 193,980
15. マット・ケンプ(ドジャース): 162,681

両リーグあわせての最多得票は予想通りのマイク・トラウトで、実力とともにその圧倒的な人気が伺える。
また1位選手の中ではチャーリー・ブラックモンの名前に誰?と疑問符を浮かべるファンも多いだろう。
彼は4月に大爆発した選手で、当ブログでもその際に記事で取り上げた。
しかしその勢いはひと月しかもたなかったようで、今は成績がどんどん下降しておりもう一度成績を上げない限りは最終的にオールスター入りするのは難しいだろう。
トラウトに近い得票数を得ているトゥロウィツキーはまさにオールスターというスーパースターでり、今の隙のない活躍が続けばトラウトと最後まで最多得票数争いを演じるだろう。
とてもオールスターとは言えない成績のジーターが入っているのはラストイヤーへのご祝儀のようなものだが、このままオールスターに出場し当日は昨季のリベラのように何らかの計らいがあることが予想される。
せめてその頃にはもう少しオールスターにふさわしい数字が出ているように願おう。
開催地のツインズからはスズキとドージアーの2人しかランクインしておらず、肝心要のジョー・マウアーが不在だ。
キャッチャーとしての登録なら間違いなく入っただろうが、激戦区のファースト登録のため苦しんでいるようだ。

投手に関してはファン投票ではないが、このままいけばダルビッシュ、田中、岩隈、上原などはメンバー入りしそうだ。
しかし日本人野手ではレギュラーが青木しかいないため、今年も日本人野手をオールスターで見ることはできそうにない。
イチローのように連続で出ることは難しいにしても、そろそろイチローに次ぐ日本人のオールスター野手が出てきてほしいところだ。

オールスター投票はこちらから出来るので、気になる選手がいる方は投票してみてはいかがだろうか。

http://mlb.mlb.com/mlb/events/all_star/y2014/ballot.jsp?sponsor=experian&tcid=ASG14_experian_970x66-banners