2014年1月31日金曜日

マイケル・ヤング引退

立て続けの引退情報ということになるが、バークマンに続いて名選手マイケル・ヤングも引退を決意した。
ヤングと言えば日本人にも少しなじみは深い。
イチローの連続200安打記録がピックアップされている間、ヤングも5年連続で200安打を達成したし、ダルビッシュがレンジャーズへ移籍した際は同僚としてプレーしていた。
2005年には首位打者も獲得しており、200安打は5度、3割は7度とリーグ屈指の安打製造機として名高い。
なによりも凄いのは怪我の少なさで、150試合以上出場が10度と、その頑丈さが200安打を続けられた秘訣なのだろう。
プレースタイルとしてはイチローとも似た面があり、早打ちで頑丈というのは200安打を複数回達成するための条件の一つなのかもしれない。

通算成績は
1970試合 2375安打 打率.300 185本塁打 1030打点 出塁率.346 OPS.787 90盗塁

殿堂入りは難しい成績だが、2000安打と打率3割を達成しているあたりは流石だ。
レンジャーズのフランチャイズプレイヤーとしてキャリアを終えることができなかったのは残念だが、いずれは指導者としてテキサスへ戻ってくることを願いたい。 

2014年1月30日木曜日

ランス・バークマン引退

2000年代を代表する選手がまた一人消えていく。
強打のスイッチヒッター、ランス・バークマンが引退を発表した。
バークマンはタイトルこそ2002年に獲得した打点王のみだが、6度のオールスター、MVP投票7位以内が6度などまぎれもなく一流の選手だった。
キャリアを少しひも解いてみると、1999年に23歳でアストロズでメジャーデビューし、ルーキーイヤーとなった2000年に21本塁打 OPS.949の活躍で新人王投票6位に入った。
翌年は3割30本100打点を達成しさらにその翌年には40本塁打128打点で打点王に輝いた。
その後も安定感ある成績を残し続け2006年には打率.315 45本塁打 136打点 OPS1.041と圧倒的な活躍を見せた。
ルーキーイヤーから2009年までアストロズ一筋で10年連続で20本塁打以上を放っていたが2010年にトレードでヤンキースへ移籍した。
そこではめぼしい活躍はなかったのだが2011年にカージナルスへ移籍すると3割30本を放つなど35歳にして復活を遂げる。
しかしその後は怪我もありレンジャーズでダルビッシュらともプレーしたが結果を残せず引退することとなった。

彼の凄さはなんといっても打撃技術、パワー、選球眼という打撃に必要なツールをすべて備えていた点だ。
通算成績は
1879試合 1905安打 打率.293 366本塁打 1234打点 出塁率.406 OPS.943
デビューが早かったわけではなかったので殿堂入りできるレベルの成績ではないが、スイッチヒッターというカテゴリで考えれば史上有数の選手だ。
三振率が20%を越えたことも、四球率が10%を切ったこともないあたり、選球眼が非常に重要視される昨今では最も評価できる打者であるが、2000安打400本塁打という節目の数字にたどりつけないあたり色々と惜しい選手でもある。
スイッチヒッターでありながら右打席と左打席で成績に大きな開きがあることでも有名で、以下の左右別通算成績を見ればその意味がよくわかるだろう。

左打席
打率.304 316本塁打 出塁率.420 OPS.995

右打席
打率.260 50本塁打 出塁率.360 OPS.777

彼自身は右打席にもこだわりがあったようだが、元々左利きだっただけに彼が左打席のみに専念していればどれだけの成績を残せたのだろうかと想像してしまうのも仕方のないことである。
今後もMLBに彼のような若い強打のスイッチヒッターが出てくることを願いたいものだ。

2014年1月29日水曜日

オリックスがユニエスキー・ベタンコートを獲得

オリックス・バッファローズがMLBの内野手ユニエスキー・ベタンコートを獲得すると報じられた。
ベタンコートは今月31日に32歳になるキューバ人メジャーリーガーで、2005~09年までマリナーズでプレーしていたためその存在を知っている日本人ファンも少なくないはずだ。
彼の打撃はキューバ人らしいフリースインガーだ。
積極的に振っていくため三振も四球も極端に少なく、四球率は常にMLB最低レベルだ。
マリナーズ時代に記録したキャリアハイのシーズンでは打率.289を記録しているがそれでいて出塁率は.310でしかなく、キャリアにおいて出塁率が3割を越えたことが3度しかない。
まさに今は常識となっている出塁能力重視というトレンドに逆行した選手と言える。
マリナーズ時代はフリースインガーでありながら二ケタ本塁打を記録したことがなかったが、移籍後のロイヤルズでは16本塁打を放っており、その後も二ケタ本塁打を2度記録していることから、セーフコ・フィールドで本塁打を打つだけのパワーがなかっただけと言えそうだ。
2013年も409打席で13本塁打を放っており、20本塁打は難しいにしてもまだMLBで15本前後打つ力はあることがうかがえる。
そう考えれば日本でも同等数の本塁打を記録できる可能性は低くない。
ただマリナーズ時代はそれなりだった打率に関しては、2011年.252 2012年.228 2013年.212と近年かなり低下しており、四球を選べないことを考えるとこれは致命的と言える。
そのため日本行きが決まったのだろうがパワーはともかく打撃能力が落ちている現状(2013年は三振率も大幅に悪化した)では日本で大活躍を期待するのは酷かもしれない。
カギは変化球を多投する傾向にある日本人投手のボールの見極めがしっかりできるかどうかになるだろう。
それができれば打率.280 15本くらいは期待できるかもしれないが、出来なければ早々に使えなくなることもあり得る。

参考までにベタンコートの打撃通算成績を記載しておく。
1156試合 打率.261 80本塁打 457打点 出塁率.285 OPS.673 30盗塁






守備に関してだが彼がメジャーで守った経験があるのはショート、セカンド、サード、ファースト、レフトだ。
しかしこの中で500イニング以上守ったのはショートだけで、ユーティリティ性はあるものの本職はショートになる(2013年は主にサードでプレーした)。
では肝心の守備力はどうかというと、たまにテクニカルなプレーや魅せるプレーをするものの守備力自体は著しく低い。
日本ではどこを守ることになるのかまだ確定していないが、身体能力はあるため日本の人工芝に適応できれば案外いい守備を見せるかもしれない。










〈追記〉
契約内容は1年100万ドルのようだ。

2014年1月28日火曜日

2013年 Home Run Distance ランキング

2013年に記録された本塁打の飛距離ランキングトップ10を動画で紹介する。

1位 エバン・ガティス(ブレーブス)


2位 ハンター・ペンス(ジャイアンツ)


3位 マーク・トランボ(エンジェルス)*現ダイヤモンドバックス


4位 アンソニー・リゾー(カブス)


5位 ジェイ・ブルース(レッズ)


6位 マイク・ナポリ(レッドソックス)


7位 マーク・トランボ(エンジェルス)*現ダイヤモンドバックス


8位 トッド・フレイジャー(レッズ)


9位 コルビー・ラスマス(ブルージェイズ)


10位 ローガン・モリソン(マーリンズ)*現マリナーズ




メジャーの〇〇自慢を探せ! 〈パワー編〉

今回はパワー自慢の選手を紹介する。

☆クリス・デイビス(オリオールズ)
昨季53本塁打を放ち一躍リーグ有数のパワーヒッターへと仲間入りした。
もともとマイナーでは本塁打を量産するなどパワーは折り紙つきだったがメジャーではそれを発揮することができていなかった。
2011年にはAAAで48試合24本塁打と驚異的なペースで量産しており、オリオールズ移籍を機についにそのポテンシャルが開花した形だ。
力任せに引っ張るだけではなくレフト方向へも何本もほうり込んでいる点が特徴。






☆ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)
マイナーで本塁打を量産し、メジャーデビューイヤーでは100試合で22本塁打を放つなどパワーは以前から折り紙つきだった。
怪我が多いせいでまだ本塁打王のタイトルを獲得してはいないがそれも時間の問題。
パワーはMLBでも1,2を争う程でいずれは本塁打王や50本塁打にも到達するポテンシャルを持っている。
怪我の多さは問題ではあるが、守備もハイレベルでパワーだけでなく総合力でMLB屈指の外野手になりつつある。



☆マーク・トランボ(ダイヤモンドバックス)
先日エンジェルスからダイヤモンドバックスにトレードされたトランボだが、パワーだけならば彼もリーグ有数のレベル。
打撃技術がそれほど高くないため本塁打数は30本前後でとどまっているが40本超えを毎年してもおかしくないポテンシャルを持っている。
ホームランダービーでも優勝しており、打者有利なアリゾナでは本塁打をさらに量産するかもしれない。
昨季のナ・リーグ本塁打王ゴールドシュミットとの共演は非常に楽しみ。



☆アダム・ダン(ホワイトソックス)
パワーと言えばこの男。
40本塁打超え6度で現時点で通算本塁打数は440本塁打を記録している。
通算打率が.238でしかないことを考えればこの本塁打のペースは尋常ではない。
本塁打か三振か四球かというロマンあふれる打者であり、2年後には500本塁打に到達している可能性も高い。
パワーというツールだけで生き残ってきた感もあり、まさにMLBを代表するパワー自慢だ。



☆ペドロ・アルバレス(パイレーツ)
彼もダン同様パワーという一芸のみで活躍している選手。
ダンには四球という強みもあるがアルバレスは選球眼も拙いため、本当にパワーだけがよりどころ。
しかしやはり捉えた時の飛距離は素晴らしく、昨季は本塁打王にも輝いた。
ようやく芽が出た感があるが今季で27歳とまだ若いためさらなる成長に期待。


2014年1月24日金曜日

2014年注目プロスペクト

MLB.comから2014年版トッププロスペクト100人が発表された。
全体で1位に輝いたのはツインズの外野手バイロン・バクストンで、第二のトラウトになるのではないかと言われている5ツールプレイヤーだ。

さて今回はこの100人のトッププロスペクトの中からまだメジャー昇格を果たしておらず2014年中に昇格が見込まれる注目選手を5人紹介したいと思う。
彼らはいずれも私が個人的に注目している選手たちだ。
MLB.comの評価も併記するので参考にしてほしい。

*Scouting Gradesは将来性を20~80で評価したもの。平均値は50。

1.オスカー・タベラス(21)―カージナルス
全体3位 外野手部門2位
Scouting Grades: Hit: 75 | Power: 60 | Run: 50 | Arm: 60 | Field: 55 | Overall: 65
次々と好選手を輩出するカージナルスの次なるスター候補。
本来ならば昨季メジャーデビューして新人王争いを繰り広げるはずだったのが怪我により早々に離脱してしまい20歳でのデビューは叶わなくなってしまった。
2008年オフにドラフト外で入団し順調に階段を上ってきた。
クラスが上がっても特に打撃不振に陥ることがなく、打撃に関してはいきなり3割前後を打つこともできるだろう。
将来的に首位打者を狙えるレベルになるはずだ。

2.アーチー・ブラッドリー(21)―ダイヤモンドバックス
全体5位 右投手部門1位
Scouting Grades: Fastball: 70 | Curveball: 65 | Changeup: 50 | Control: 50 | Overall: 65
2011年の全体7位指名選手で、制球難がある程度改善され好成績を残したため評価が大きく上がった。
90mph中盤の速球を武器にするパワーピッチャーであり、縦に大きく割れるカーブとのコンビネーションで多くの三振を奪う。
今季はAAAスタートでそこでも好成績を残せれば今季中のメジャー昇格が見えてくるはずだ。

3.ジェイムソン・タヤン(22)―パイレーツ
全体16位 右投手部門5位
Scouting Grades: Fastball: 65 | Curveball: 60 | Changeup: 55 | Control: 55 | Overall: 65
2010年全体2位指名投手であり、ゲリット・コールの次にパイレーツファンを歓喜させる予定なのがこの男。
マイナーでのパフォーマンスは圧倒的という程ではないが完成度が高く、昨季のコールのようにシーズン途中でメジャーデビューを果たすだろう。
いずれは全体1位のコールと全体2位のタヤンのローテーションが出来上がるはずだ。

4.ジョージ・スプリンガー(24)―アストロズ
全体21位 外野手部門5位
Scouting Grades: Hit: 55 | Power: 70 | Run: 60 | Arm: 60 | Field: 60 | Overall: 60
2011年全体11位選手で、昨季はマイナーで圧倒的な成績を残した。
AAとAAAで135試合に出場し打率.303 37本塁打 108打点 OPS1.010 45盗塁でマイナーながら30‐40を達成している。
しかし161三振を喫するなど粗さも持ち合わせており、メジャーでつまづくとすればこのあたりか。
将来的な理想像はマット・ケンプで、いずれはメジャーでの40‐40も期待していいだろう。

5.カイル・ジマー(22)―ロイヤルズ
全体25位 右投手部門10位
Scouting Grades: Fastball: 70 | Curveball: 65 | Slider 60 | Changeup: 55 | Control: 60 | Overall: 60
2012年全体5位指名投手で、最速100mphの剛腕投手だ。
速球だけでなくカーブやスライダーなども高い水準にあり奪三振力が非常に高いが、それでいて制球も悪くない。
将来のロイヤルズのエースになる可能性が高く、今季途中にメジャーデビューを果たしロイヤルズが地区優勝を目指す上でのキープレイヤーになってもおかしくない。

マット・ガーザが4年5200万ドルでブルワーズと合意

田中の影響で停滞気味だったFA先発投手市場もついに動き出したようだ。
注目投手の一人であるマット・ガーザがブルワーズと4年5200万ドルで契約した。
ガーザは現在30歳で、これまで残してきた実績を考えてもこの契約はお買い得感がある。
他にもっと高額なオファーをしたチームがなかったのかどうかは疑問だが、直近2年の故障歴を考えれば妥当かもしれない。
ガーザはヒメネスやサンタナとは違いクオリファイングオファーの対象選手ではないためそういう点でもブルワーズはなかなかいい買い物をしたと言えるだろう。
これでブルワーズの先発ローテーションは、カイル・ローシュ、ヨバニ・ガヤード、マット・ガーザ、ウィリー・ペラルタ、マルコ・エストラーダorタイラー・ソーンバーグという案外充実したものになる。
ブラウンが復帰すれば相変わらず強力な打線にはなるだろうし、セグラやデイビスといったさらなる成長を見込める若手もいる。
昨季は下位に沈んだが戦力的には侮れるものではなく、もしかしたらナ・リーグ中地区のダークホースになるかもしれない。






また、一旦はオリオールズと契約したもののフィジカルチェックで白紙になったグラント・バルフォアもレイズと2年1200万ドルの契約にこぎつけた。
これでまたレイズの強力投手陣に強力な一枚が加わることになる。



2014年1月23日木曜日

田中に求められる成績は?

田中が7年1億5500万ドルというメジャー経験のない選手に対しては史上最高額の契約でヤンキースと合意したが、おそらくこの金額にどれほどのパフォーマンスが求められるのかということはMLBにあまり詳しくない日本のファンには見当がつかないだろう。
田中の契約はポスティング・フィーも含めれば実質7年1億7500万ドルということになる。
つまり年平均で2500万ドルで、これはマリナーズのエースであるフェリックス・ヘルナンデスが結んだ契約とほぼ同じレベルだ。
他にもこのレベルの契約をした投手はサバシア、バーランダー、グレインキー、そして先日のカーショウなどMLB全体を見渡せば数人いるのだが、彼らはいずれもサイ・ヤング賞経験者でありMLBで確固たる実績があった。
田中は彼らと同列の契約を得たということは、当然サイ・ヤング賞クラスの成績を期待されて然るべきなのである。
では具体的にどういう数字を残せばいいのかというと、FanGraphsがWARからその選手のパフォーマンスに対する価値を割り出しているので過去3年分を参考にさせてもらう。

2013年2500万ドル以上の価値があったのは
クレイトン・カーショウ 3250万ドル
マックス・シャーザー 3200万ドル
アニバル・サンチェス 3120万ドル
アダム・ウェインライト 3100万ドル
マット・ハービー  3040万ドル
フェリックス・ヘルナンデス 3010万ドル
ジャスティン・バーランダー 2610万ドル
クリフ・リー 2560万ドル
クリス・セール 2560万ドル
ダルビッシュ有 2500万ドル

2012年は
ジャスティン・バーランダー 3160万ドル
フェリックス・ヘルナンデス 2640万ドル

2011年は
ロイ・ハラデイ 3630万ドル
ジャスティン・バーランダー 3100万ドル
クレイトン・カーショウ 2960万ドル
CC・サバシア 2950万ドル
クリフ・リー 2920万ドル 
ダン・ヘイレン 2780万ドル
ジェレッド・ウィーバー 2580万ドル

それぞれがその年にどれだけの成績を挙げたのかは調べていただくとして、2013年ダルビッシュ、2012年ヘルナンデス、2011年ウィーバーが残した成績からだいたいの数字を出してみると2500万ドル超えに必要な最低ラインは

32試合 防御率2.80 220回 200奪三振 60四球 WHIP1.10

といったところだろうか(打線に影響されやすい勝敗は省略した)。
FanGraphsはWARをFIPなどから算出しており、極力運の要素を除外しようとしているのであくまで参考程度に思ってもらいたいが、だいたいのところとしてはこの程度の数字は求められるということだ。
そしてこれだけの数字を出せば当然サイ・ヤング賞候補の一人にもなる。
しかも7年契約ということは単純な話7年の平均でこの数値を出すことが求められるのだ。
しかし実際にはそうはうまくいかず、1年目はダルビッシュ同様に苦しむことになるかもしれない。
そのためそこを考慮して1年目の田中の最低ラインを個人的に考えてみたいと思う。

30試合 15勝8敗 防御率3.70 190回 180奪三振 70四球 WHIP1.25

これが私が考える1年目のヤンキース田中の及第点だ。
ニューヨークのファンもこれだけやれば2年目に期待できるということで余裕を持って応援してくれるだろうが、これを切るような活躍(例えば防御率4点台や怪我での長期離脱など)であれば容赦なく叩かれるはずだ。
田中のメンタルがどの程度のものなのかわかわらないが、数多くの投手がニューヨークのメディアに押しつぶされてきている。
チームNO.1のスターとして長年プレーしてきたイチロー、ニューヨークのプレッシャーに打ち勝ち好投している黒田という二人の理想的なお手本から田中がヒントを得て縦横無尽に活躍することを願おう。



  

田中がヤンキースと7年1億5500万ドルで契約

日米のメディアを騒がせていた田中の行き先がついに決まった。
ヤンキースと7年1億5500万ドルでの巨額契約で、もちろん日本人選手が過去に結んだ契約では史上最高額。
ヤンキースはカブスと最後まで争っていたと言われており、カブスは2億ドルを提示しているとの噂があったがそこまでの金額ではないにしてもカブスもヤンキースと近いだけのオファーは出していたはず。
そう考えるとやはりイチロー、黒田という二人の日本人選手がいるヤンキースの環境が決めてになったのかもしれない。
詳しい情報はまだ出ていないが、少なくとも田中は全盛期をヤンキースで過ごすことが決まったわけだ。
ポスティング・フィーの2000万ドルも含めると7年1億7500万ドルで、1年あたり2500万ドル。
この金額に見合う活躍というのはサイ・ヤング賞レベルであり、昨年の岩隈、ダルビッシュレベルの活躍を7年間続けて初めて釣り合う。
ニューヨークのメディアは全米で最も厳しく、そこでのプレッシャーに耐えられるかどうかもカギになるだろう。
とにかくまた新しい情報が入ってくるのを待ちたい。

2014年1月20日月曜日

5球団に絞られた田中の行き先

報道によると田中には5つの球団がオファーを出しているようだ。
その5球団はヤンキース、ドジャース、ダイヤモンドバックス、カブス、ホワイトソックス。
いくつかの観点からこの5球団を分析していくことにしよう。

〇資金力
ヤンキース≒ドジャース>カブス>ホワイトソックス>ダイヤモンドバックス
大ざっばではあるが資金力という点ではヤンキース、ドジャースに利がある。
しかし田中に投資できる資金力に限って言えばぜいたく税を気にしているヤンキースはドジャースよりも不利になるかもしれない。
カブスは不良債権化していたソリアーノを放出したことで呪縛から解放されるつつあり、田中にはある程度投資できるだろう。

〇プレーオフ進出の可能性
ドジャース>ダイヤモンドバックス>ヤンキース≫ホワイトソックス>カブス
現有戦力から考えて地区優勝の可能性が最も高いのはドジャースであることは間違いない。
大物選手を多数抱えており、特に先発ローテーションの充実度はリーグでもトップクラスだ。
ダイヤモンドバックスはドジャースと地区優勝争いをする可能性が高いが、戦力的には少し劣る。
しかしワイルドカードでのプレーオフ進出の可能性は低くない。
ヤンキースは高齢化が進みながらもオフに補強したためそれなりにやれるだろう。
しかし激戦区ア・リーグ東地区であることを考えると強力なライバルが多すぎるため現時点ではワイルドカード争いをする程度になる可能性もある。
ホワイトソックスとカブスは他の3球団と違い再建期であり、今季いきなりプレーオフに進出する活躍をすることは難しいだろう。
3年後あたりに優勝争いを目指すべきチームだ。

〇田中必要度
ヤンキース>カブス>ホワイトソックス>ダイヤモンドバックス≫ドジャース
ヤンキースは田中を非常に必要としている。
サバシア、黒田、ノバ、ピネダ、フェルプスのローテーションは優勝を目指すには不確定要素が多すぎ、若返りを図るためにも若くエース級の活躍が期待できる田中を獲得したいところ。
カブスとホワイトソックスは優勝を狙える陣容ではないためヤンキース程今すぐ田中が必要なわけではないが、2、3年後あたりに優勝争いをするために確固たるエースが欲しいところ。
その頃には田中もMLBの環境に適応して思う存分力を発揮できるようになっているだろうという寸法だ。
ダイヤモンドバックスはドジャースとの優勝争いに競り勝つためにもエースが欲しいところだが、コルビン、マイリー、ケーヒル、マッカーシー、デルガドと駒はある程度揃っている上にサイ・ヤング賞級のポテンシャルを持つブラッドリーというプロスペクトも抱えている。
マーケットが大きくないだけに今後数年間を縛られるような大金を投じて田中を獲得する必要性はそこまでない。
ドジャースは現状の先発ローテーションで十分であり、他球団に比べて先発投手を補強する必要性はほとんどない。

〇将来性
ダイヤモンドバックス>カブス>ドジャース>ホワイトソックス>ヤンキース
ダイヤモンドバックスは現時点での主力も若く、数年間は現有戦力でもやっていけそうな上にトップクラスのプロスペクトも抱えている。
10年後はわからないが5年後までなら常に優勝争いをする戦力を維持できるだろう。
カブスは低迷期にプロスペクトを多く手に入れたため将来性はある。
勝負所になれば大金も投資できるだけに後はそれをエプスタインGMが活かせるかどうかにかかっているだろう。
ドジャースは巨額契約の選手を多く抱えているため現在のヤンキースに近い状態になる可能性は高い。
しかし国外からいい選手を獲得してくることも多い為、ヤンキース程には悲惨な状態にならなさそうだ。
ホワイトソックスは一番将来性が読めないため、今後の戦略次第では評価がAにもDにもなり得るチームだろう。
ヤンキースは現状の負のスパイラルからどう抜け出すかにかかっているが、あまりにも多くの大型契約を抱えているため抜け出すには一度解体する必要がありそうだ。

〇環境
ドジャース>ダイヤモンドバックス>ホワイトソックス>カブス≫ヤンキース
田中がプレーする環境としてはやはり日本人投手に関する実績があり、日本人も多い大都市でありながらニューヨークほどのプレッシャーがないドジャースが理想的だ。
マーケットの小さいダイヤモンドバックスもそういったプレッシャーは比較的弱い方で、西海岸は基本的に日本人向きだろう。
しかし暑さに弱い投手には厳しい環境だ。
シカゴの2球団はどちらも日本人が所属したことがあるが、ホワイトソックスはともかくカブスは福留で手痛い失敗をしており、日本人の大型契約選手に対するプレッシャーは強くなってしまうかもしれない。
ヤンキースはMLB全球団を見てもとびぬけてプレッシャーのかかるチームであり、環境的にはMLBで最も厳しい。
なおかつ投手にとっては不利な本拠地とポスティングで井川の失敗をしているという点からも田中にとっては非常にきつい環境になるはずだ。


2014年1月18日土曜日

プライスとシャーザー、二人のサイ・ヤング賞投手がそれぞれ一年契約に合意

トレードの噂が常につきまとっていた2012年のア・リーグサイ・ヤング賞投手デビッド・プライスがレイズと1年1400万ドルで合意し、2013年のア・リーグサイ・ヤング賞投手マックス・シャーザーは1年約1550万ドルでタイガースと契約合意した。

プライスはサイ・ヤング賞に輝いた2012年から怪我もあってスタイルチェンジした昨季怪我から復帰した7月以降は抜群の投球を見せた。
やはりリーグ有数の左腕であることには間違いなく、エース級の活躍が期待できるだけあって欲しがるチームは多数あった。
所属しているのが貧乏球団レイズであるため、トレードの噂も絶えず今オフにトレードされる可能性が高いとも言われてきた。
しかしプライスに見合うトレード要員を用意できるチームがいなかったのか、今オフのトレードは白紙になった可能性が高い。
ただトレード自体の可能性は今後大いにある。
例えばレイズが今季中盤まで下位に沈んでいた時、あるいは今季相変わらずの好成績を残してシーズン終了した際にはトレード話が再燃するだろう。





シャーザーの方は1年契約になったのは少しばかり意外だ。
昨季サイ・ヤング賞でフィルダー放出で空いた分をシャーザーとの大型契約に使うものと思われていたからだ。
しかし実際のところ彼がサイ・ヤング級の成績を残したのは昨季が初めてで、それまでは3番手級のパフォーマンスで推移していた。
やはり1年だけの大ブレイクでは長期大型契約を結ぶわけにはいかないということか。
今季終了後FA権を取得するため、再びエース級の活躍をした場合は5年1億ドル程度の大型契約、2012年までの水準ならばグレードダウンした契約かFAになる可能性も低くはないだろう。
タイガースは2015年オフにFAになるミゲル・カブレラとも契約延長しなくてはならないため、そう簡単にギャンブル的大型契約を乱発するわけにはいかない。



2014年1月16日木曜日

クレイトン・カーショウがドジャースと7年2億1500万ドルで合意

現役最高の投手クレイトン・カーショウがドジャースと7年2億1500万ドルという超大型契約で合意した。
1年あたり平均3000万ドルを越えるこの契約内容はもちろんMLB史上最高のもので、2億1500万ドルという総額も投手としては最高額だ。
上がり続ける選手の年俸がこれでついに平均3000万ドルの大台を突破したことになるが、これは予想されていた通りの事態でもある。
カーショウはこの3年間で2度のサイ・ヤング賞を獲得しており、惜しくも逃した2012年もサイ・ヤング賞でも全くおかしく内容だった。
昨季はついに防御率1点台も達成し、現役最高の投手の名を欲しいままにしている。
またこれでまだ25歳(今季は26歳のシーズンとなる)なのだからその価値が高騰するのも当然の話だ。
昨季の成績を受けてカーショウは初の3億ドルプレイヤーになるのではないかと噂されていた。
つまり10年3億ドルという巨額契約である。
しかし今回合意した契約7年2億1500万ドル。
単年あたりでは3000万ドルを超えるが年数を抑えられたことで結局総額3億ドルには達しなかった。
しかしそれによって不良債権化するリスクを抑えることに成功し、ドジャースは26~32歳と最高の脂の乗った時期を確保することができる。
これだけの実力の投手との契約延長としては額こそ大きいものの非常に理想的な契約だと言えそうだ。
私としては大きな怪我さえなければこの契約は成功に終わる可能性が高いと思う。

完全試合男ダラス・ブレイデン引退

ダラス・ブレイデンという先発左腕を覚えているMLBファンはどれくらいいるだろうか。
この1,2年でMLBをよく知ったファンはあまり知らない名前かもしれない。
彼は2010年5月9日、MLB史に名を刻んだ。
それまで彼は平凡な投手で知名度はほとんど無きに等しかった。
23歳の2007年がデビューイヤーとなり、そこからアスレチックスで投げ続け毎年成績を向上させ、2009年には22試合に先発し防御率3.89を記録しローテーションに定着はしたものの、なかなか制球のいい左腕だから4番手くらいのイニングイーターになってくれればというレベルだった。
2010年はフルシーズンローテを守ることを期待されており、4月にはあのA・ロッドに対して26歳のほとんど大した実績のないブレイデンが激高して食ってかかったということでニュースになった。
これはA・ロッドが一塁ランナーだった際に長打性のファウルで三塁まで到達したことで、一塁に戻るためマウンドを横切ったことにブレイデンが激怒したというものだ。
ブレイデンはピッチャーにとって神聖なマウンドをランナーが横切ったことによほど腹がたったらしく、相手がA・ロッドだろうとお構いなしに抗議した。
これでブレイデンの知名度が少し上がったのだが、これ以上に彼を認知させる出来事が5月におこった。
5月9日のレイズ戦、この日は母の日ですでに母を亡くしていた彼は祖母を球場に招いた。
そしてその最愛の祖母の前で彼はMLB史上19人目の完全試合を達成したのだ。
彼がグラウンドに降りてきた祖母と抱き合いながら喜ぶシーンはこの年のMLBを代表する一場面となった。
この年彼はローテーションの柱として大いに活躍し、今後も活躍を期待されていたのだが2011年シーズンが開幕して間もなく怪我でDL入りし手術を受け、その後メジャーのマウンドに戻ることなく、まだ30歳と若いのだが今回引退を決意することになった。









余談だが彼は牽制の名手としても知られており、イチローも彼の前に牽制死したことがある。



2014年1月15日水曜日

田中は一体どこへ行く?

連日アメリカ、日本のメディアを賑わせている田中将大だが、その行き先がどこになるのかを多くの識者たちが議論している。
例年までのポスティングならば最高額を入札した1球団だけとしか交渉できなかったが、今回新ポスティングシステムで2000万ドルの上限まで入札した球団すべてと交渉できるようになったため、複数球団が上限入札するであろう田中が交渉決裂で日本に戻ってくる岩隈や中島のようなパターンに陥る可能性はほぼないだろう。
つまり田中の2014年所属球団はMLB球団のどこかということになる。
ヤンキース、ドジャース、マリナーズなどなどいくつもの球団の名前が挙がってはいるが、実際獲得の可能性が高い球団はどこなのかを考えてみたい。

そこで気になるのは球団の必死度だ。
ローテーションをより強固にするために田中を獲得したいのか、それともチーム再建の切り札として田中を獲得したいのかで必死度は大きく変わってくる。
もちろん後者の方がより必死に田中を獲得しようとするし、実際の契約条件もかなり高額なものを提示してくるはずだ。
それでは必死なチームはどこなのか?
チーム状況を考えてもローテーションの柱として是が非でも田中を獲得したいのはヤンキース、オリオールズ、エンジェルス、マリナーズ、ダイヤモンドバックスあたりだ。

ヤンキースは言うまでもなくチームの高齢化に悩まされている。
先発ローテーションを見ても、いつ衰えがきてもおかしくない黒田、大不振に陥ったサバシア、ブレイク気味のノバ、怪我から復帰するピネダ、便利屋的扱いのフェルプスと到底優勝を狙うチームとは思えないような陣容だ。
間違いなく今季も安定した成績を残してれるだろうという存在がサバシアが不振に陥ったことでいなくなってしまったのだ。
今オフ派手に野手を補強したはいいものの先発投手の補強は必須で、その第一候補がやはり田中だ。
他にも実績ある投手がFAにいる中で田中がファーストチョイスである理由はやはり若さ。
これは他のチームにとっても同じだが、長期契約で囲い込む傾向が強くなってきた近年において若くエース級のポテンシャルを持った投手を補強できるチャンスがやってくるのは稀だ。
また田中の場合はドラフト指名権を失うこともないのが大きい。
FA市場に出ている有力投手の中で田中同様ドラフト指名権が絡んでこないのはマット・ガーザくらいだが、彼は30歳で2番手クラスの投手だということを考えるとうまくすればサイ・ヤング級の活躍も見込める田中がファーストチョイスになるのは当然の話だろう。
チーム全体の高齢化が進んでおり今オフに大型補強した野手もすべて30歳以上だったことを考えればとにかく若返りを図りたいヤンキースとしては田中はベストオプションだ。
一方でヤンキースは過去に井川獲得という大失敗も犯しており、黒田の活躍で多少なりとも日本人投手に対するイメージは持ち直しただろうが、既にMLBでの実績があった選手とこれからMLBでプレーする選手ではやはり話が違ってくる。
どれだけ田中のポテンシャルが高かろうが、環境が変わることで適応できずに終わってしまう可能性も低くはない。
それでもやはり田中獲得を最重要項目としているヤンキースは非常にまずいチーム状況にあることがうかがえる。

オリオールズは今季地区優勝を狙えるチームだ。
ただでさえ強力だった打線でデイビスが50本級打者へと成長し総合的な貢献度では既にリーグトップクラスのマチャドの台頭、今季は昨季穴だったセカンドをプロスペクトのスコープが埋めてくれるだろう。
とにかく攻守において非常に強力なのだが、そんなオリオールズがネックとしているのが投手陣だ。
エース級投手になると思われたマトゥスやブリットンが伸び悩み次代のエースとなるはずのバンディはTJ手術を受けた。
昨季デビューした剛腕の若手ゴースマンも十分な結果を残せたとは言い難い。
現状ローテーションとして機能しそうなのはティルマン、ゴンザレス、チェン、ノリスだが、激戦区であるア・リーグ東地区においてこれでは優勝を狙うローテーションとしては明らかに不十分だ。
オリオールズはダルビッシュのポスティング時から田中には興味を示しており、チェン、和田を獲得したようにNPB出身選手獲得にも積極的な方だ。
和田獲得は大失敗だったがチェンは戦力として機能しているため田中に対する悪影響はそれほどないだろう。
ただしこちらは今が旬のチームだけにドラフト指名権を失うことを恐れずに他のFA投手を狙うという可能性も高い。

エンジェルスはこの2年の大型契約で大きな失敗をしている。
プホルス、ハミルトンの両名を獲得したことは現時点では大失敗と言わざるをえない。
これでチーム成績が良ければまだマシなのだがプレーオフ進出からも遠ざかっている状況だ。
しかしプレーオフ進出がならなかった要因はどちらかと言うと打線より投手の方にある。
リリーフの脆弱さに加えて主力先発投手が怪我などもあり思うような活躍をしてくれなかったのが主な原因だ。
オフにはそれを改善すべくトレードを駆使しサンティアゴ、スキャッグスという2人の若手左腕を獲得することに成功した。
昨季からいたウィーバー、ウィルソン、リチャーズを加えてこれで一応5人のローテーションが組める。
しかしスキャッグスがまだまだ未知数なのに加えてある程度信頼がおけるのはウィーバー、ウィルソンだけという状況は好ましくない。
同地区ではアスレチックス、レンジャーズが台頭している上にマリナーズが強豪への道を歩みつつあり、エンジェルスは何か賭けに出ないとこれらのチームを打ち破れないというところまで追い込まれている。
またプホルス、ハミルトン、ウィルソンと大型契約をいくつも抱えている以上容易に再建期に移ることもできず、どうしてもエース級投手が欲しいという状態だ。

マリナーズは今オフヤンキースとともに主役になった。
カノー、ハート、モリソンと野手を大型補強したことで今季優勝への意思を示したのだ。
しかしその一方で投手に関しては大きなテコ入れがされていない。
投手有利の本拠地の性質、メジャーではまだ未知数な若手頼りのローテーションを考えてもヘルナンデス、岩隈に続いて安定した結果を残せる投手がもう一枚は必要だ。
個人的にはMLBでの実績があるFA投手を獲得した方がいいとは思うが、イチロー、佐々木、岩隈など基本的に日本人選手では大きな失敗をしていないだけに田中への思いは強いだろう。

ダイヤモンドバックスにはエースが存在しない。
昨季エース級の活躍を見せた若手左腕のコルビンはいるが、終盤に一気に失速したところを見るとまだまだエースと呼べるような投手ではないことがわかる。
他のローテーション投手はケーヒル、マイリー、デルガド、マッカーシーだがどの投手もエース級になる可能性は高くない。
主力が20代中盤から30代前半のダイヤモンドバックスはこれから3~5年間が地区優勝、ひいては
ワールドシリーズ制覇の最大のチャンスとなる。
有望な若手プロスペクトなどもいるがやはり手っ取り早くエースが欲しいところで、そうなるとやはりファーストチョイスは田中になる。
特に今後ライバルになるであろうドジャースにはカーショウ、グレインキーといった左右のエースがいるだけに彼らに匹敵するポテンシャルを秘めた投手が必要なのだ。


各球団それぞれが本気で田中を欲しがっているのだが、私の予想としては最も好条件を出して田中を獲得することになるのはヤンキースだと思う。
新ポスティングは資金力に乏しい球団にもチャンスはあるが、結局のところ交渉段階ではマネーゲームになること間違いなしだ。
例えば選手が特定の地域にこだわるなどそういうことがない限りは最も高額条件を出した球団に行くのが自然であり、それが今回の場合はヤンキースになる可能性が高い。
田中に対する必死度ではやはりヤンキースが頭一つ抜けており、それだけでなく資金力も豊富だ。
A・ロッドが今季全試合出場停止処分となったことで2500万ドル近い資金が浮いたことは田中にとって朗報だろう。
エンジェルスもマネーゲームではヤンキースに負けないくらい出せそうだが、ヤンキース程高齢化に悩まされているわけではないため他の30歳前後の先発投手でもなんとかなる。
他にヤンキースに匹敵する資金があるのはドジャースだが、ここは既にローテーションが充実しているためマネーゲームに参戦してまで田中を獲得する必要がない。
となればやはりヤンキースが最有力なのだ。


2014年1月9日木曜日

マダックス、グラビン、トーマスの3選手が殿堂入り

殿堂入り投票の結果が発表され、グレッグ・マダックス、トム・グラビン、フランク・トーマスの3選手が殿堂入りを果たした。
彼らはいずれも殿堂入り資格1年目だった。
投票内訳は以下の通り。



The 2013 ballot featured 36 candidates, with 17 returnees and 19 newcomers.
Player (Years on ballot)Total VotesPercentage
グレッグ・マダックス (1)55597.2
トム・グラビン (1)52591.9
フランク・トーマス (1)47883.7
クレイグ・ビジオ (2)42774.8
マイク・ピアッザ (2)35562.2
ジャック・モリス (15)35161.5
ジェフ・バグウェル (4)31054.3
ティム・レインズ (7)26346.1
ロジャー・クレメンス (2)20235.4
バリー・ボンズ (2)19834.7
リー・スミス (12)17129.9
カート・シリング (2)16729.2
エドガー・マルチネス (5)14425.2
アラン・トラメル (13)11920.8
マイク・ムシーナ (1)11620.3
ジェフ・ケント (1)8715.2
フレッド・マグリフ (8)6711.7
マーク・マグワイア (8)6311.0
ラリー・ウォーカー (4)5810.2
ドン・マッティングリー (14)478.2
サミー・ソーサ (2)417.2
ラファエル・パルメイロ (4)254.4
モーゼス・アルー (1)61.1
野茂英雄 (1)61.1
ルイス・ゴンザレス (1)50.9
エリック・ガニエ (1)20.4
J.T・ショウ (1)20.4
アーマンド・ベニテス (1)10.2
ジャック・ジョーンズ (1)10.2
ケニー・ロジャース (1)10.2
ショーン・ケイシー (1)00.0
レイ・デューハム (1)00.0
トッド・ジョーンズ (1)00.0
ポール・ロ・デューカ (1)00.0
リッチー・セクソン (1)00.0
マイク・ティムリン (1)00.0

見事殿堂入りを果たした3選手について詳細を見ていこう。
グレッグ・マダックスは通算355勝227敗 防御率3.16 5008.1回 3371奪三振 999四球 WHIP1.143という偉大な成績を持つ言わずと知れたレジェンドプレイヤーだ。
4度のサイ・ヤング賞(4年連続)、18度のゴールドグラブ賞(13年連続)、3度の最多勝(2年連続)、4度の最優秀防御率(3年連続)などタイトル獲得経験も豊富で史上最高の投手を論ずる際にも名前が挙がる程だ。
史上最高の投手かどうかはともかく、MLB史上最高の技巧派投手であったことは間違いない。
絶対的なコマンドとコントロールを持ち合わせ、三振を奪うことではなくアウトを奪うことに全身全霊を賭けるスタイルで23年と長期にわたって活躍することに成功した。
23年のうち200イニング超えを記録したのは18年で、ほとんど大きな怪我をすることなく長いイニングを投げ続けたのも特徴的だ。
分業制が確立された中で、少ない球数で長いイニングを投げるという理想を体現した投手でもある。
彼が殿堂入りしたのは当然で、得票率はトム・シーバーの持つ98.8%の記録を更新するかどうかも注目されていたが97.2%とシーバー超えはならなかった。
それでも過去に97%以上を記録したのはタイ・カッブ、ハンク・アーロン、トム・シーバー、ノーラン・ライアン、ジョージ・ブレット、カル・リプケン、トニー・グウィンと錚々たる面々が揃うだけにやはりマダックスもMLB史上最高の選手の一人なのだと実感させられる。

マダックスと同時期にブレーブスで活躍したトム・グラビンは通算305勝203敗 防御率3.54 4413.1回 2607奪三振 1500四球 WHIP1.314とこちらも殿堂入りが当然の300勝投手だ。
サイ・ヤング賞を2度、最多勝を5度獲得しておりとにかく勝てる投手だった。
また4度のシルバースラッガー賞も獲得しており打力もあったのだ。
マダックス程ではなかったがやはり300勝を記録しているだけあって得票率91.9%と90の大台を超えてきた。
これで監督のボビー・コックスを含めて今回の殿堂ではブレーブスから3人が殿堂入りを果たしたことになる。
まさにブレーブスの黄金期を象徴する事例だと言っていいだろう。

3人目のフランク・トーマスは通算打率.301 2468安打 521本塁打 1704打点 出塁率.419 OPS.974のホワイトソックスの歴史に残る強打者だ。
意外にも打撃三冠のタイトル獲得経験はないのだがMVPは2度受賞している。
ステロイドエラと呼ばれるこの時代に活躍した選手、特にボンズに代表される強打者たちは総じて薬物疑惑の目を向けられあくまで疑惑にとどまった選手でも正当な評価を受けられない傾向にあるが、トーマスはクリーンな選手の代表格であり、そのため今回も83.7%という得票率で殿堂入りを果たすことができた。
やはりこういうクリーンな選手は相応に評価されてしかるべきだろう。


今回はこの3選手が殿堂入りを果たしたわけだが、3000本安打達成者のクレイグ・ビジオは74.8とギリギリのところでまたしても落選してしまった。
個人的には彼には薬物疑惑はないし3000本安打に250本塁打&400盗塁も達成しており、フランチャイズプレイヤーとしての側面などを考えても3年目まで残るような選手ではないと思うのだが、とにかく来年に期待ということか。
ギリギリのラインまでは来ただけに流石に来年は殿堂入りしてくれるはずだ。

また今回が15回目だったジャック・モリスは結局75%の殿堂入りラインに最後まで届かずに資格を喪失してしまった。
今後はベテランズ委員会による殿堂入りの可能性に期待することになるだろう。

今回も成績だけは最高級の薬物組には厳しい評価で、ソーサは得票率が一桁になりパルメイロに至っては4.4%で殿堂入り資格を喪失してしまった。
順調に得票率を落としているマグワイア、ソーサあたりは来年あたり資格喪失の危機が待っているだろう。
昨年とあまり変わらないボンズ、クレメンスは薬物組の中でもとびぬけた成績を残しているだけあってしばらくはのらりくらりと一定数の票は得そうだ。

資格1年目となった選手は19人いたが、そのうち14人が1年目での資格喪失。
殿堂入りを果たしたマダックスらを除けば来年まだ残ったのはマイク・ムシーナとジェフ・ケントの二人だけだ。
資格喪失した中には日本人初の有資格者となった野茂英雄も含まれており、1.1%とある意味予想通りの結果になってしまった。
実際成績自体は劣っているだけにパイオニアとしての側面を評価されてベテランズ委員会により殿堂入りする可能性に賭けることになる。


さて、1人も選手が殿堂入りしなかった2013年から一転今回は3人の殿堂入り選手を出すことになった。
来年もランディ・ジョンソン、ペドロ・マルチネス、ジョン・スモルツ、ゲイリー・シェフィールド、ノマー・ガルシアパーラ、カルロス・デルガド、ブライアン・ジャイルズなどの大物選手が初登場する。
特にランディ・ジョンソンは一発殿堂が確実視されており、注目されるのはやはりシーバー超えを果たすのかどうかである。
個人的にはビジオの殿堂入りとジョンソンのシーバー超えに期待したい。