2014年6月1日日曜日

新人王レースの展望〈ア・リーグ編〉

5月も終了し、これでシーズンの約3分の1が終了したことになる。
あらゆるアワードは今後どういった展開を見せるかはわからないが、新人王に関してはよほど不作でない限りは大体この時点から候補者がある程度しぼられてくる。
それは序盤から出場している方が成績的に有利になるからだ。
昨季6月に昇格して新人王に輝いたマイヤーズや、同じく6月昇格で新人王有力候補の一人にまでなったプイグなどは基本的に例外的存在だと考えていいだろう。
ということで今回は現時点までに昇格しメジャーでプレーしている選手の中から両リーグ各5選手ずつピックアップして成績とともに紹介する。

☆田中将大(ヤンキース)
11試合 8勝1敗 防御率2.06 78.2回 88奪三振 12四球 7被本塁打 WHIP0.95

日本のファンからすれば彼を新人扱いするのも馬鹿らしい話だが、田中は新人の枠を飛び越えてリーグトップクラスの成績を残している。
ほとんどのカテゴリでトップ10入りしており、防御率とWHIPに関してはリーグ1位になっている。
新人王最有力候補であり、また現時点のア・リーグサイ・ヤング賞の有力候補でもある。
怖いのは疲れによる失速と故障くらいだろう。





☆ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
44試合 打率.260 15本塁打 42打点 出塁率.312 OPS.908 0盗塁

キューバ史上最高級といっても素材だが、こちらも前評判通りの活躍ぶりを見せている。
一時は本塁打と打点の二冠もキープしていたが、怖いのは故障だけという状態で早速DL入りしてしまい、近いうちの復帰が待ち望まれる。
まだメジャーの水に慣れている段階で本領発揮とはいっていないだろうが、左投手から結果を残せていない、四球が極端に少なく三振が多い、などの弱点は既に見えてきている。
最初の調子が続くのであれば最終的に40本塁打は超えてくるだろうが、ここからは弱点にどれだけつけ込まれないかという戦いになる。
サイ・ヤング賞級のパフォーマンスを見せている田中に対抗するためには、40本塁打 100打点、あるいはタイトル獲得などが必要になってくるだろう。





☆ザンダー・ボガーツ(レッドソックス)
53試合 打率.304 3本塁打 13打点 出塁率.397 OPS.835 1盗塁

上の2人に比べれば少し地味に見えるかもしれないが、彼がキャリアルーキーであるのに対してこちらは21歳の純粋なルーキーだということを考慮すればかなりの好成績だ。
昨季は終盤に昇格しプレーオフでも活躍するなど今季の活躍に期待されたが出足は少々不調。
しかしその後調子を上げて今では2番打者もまかされるようになった。
彼のすばらしいのはしっかりボールを見極める点であり、三振も少なくないがしっかり四球を選び出塁率がかなりの高水準になっている。
パワーもないように見えるが二塁打を量産しており、ペドロイアと少し似たところがあると考えていいだろう。
はまれば本塁打も大幅に増えてもおかしくない。
田中とアブレイユがいなければ最有力候補になれたというところが惜しいが、このまま調子を維持してほしいところ。





☆ヨーダノ・ベンチュラ(ロイヤルズ)
10試合 2勝5敗 防御率3.45 57.1回 59奪三振 19四球 6被本塁打 WHIP1.26

こちらもデビューは昨季のロイヤルズ期待のエース候補。
その特徴はなんと言っても超のつく剛球で、平均球速96.0mph(約155km)、最高では101.9mph(164km)を記録するなど球速においては既にMLBの先発投手で3本指に入る。
そしてそれだけの剛球を操りながらも制球はそれほど悪くなく、かなり迫力ある投手だ。
序盤快調に飛ばしていたのだが5月に入ってからはあまり調子が良くなく、先日は故障の疑いでMRI検査も受けた。
DL入りはせずに済んだのだがこれだけの速球を操るため剛球投手の例に漏れず彼も故障との戦いに苦しむことになるだろう。
また今季の新人王レースにおいては球威以外で同じ投手の田中に勝る点がなく、彼がいる限りはベンチュラが上回る可能性は低い。





☆ジョージ・スプリンガー(アストロズ)
40試合 打率.255 10本塁打 29打点 出塁率.343 OPS.840 1盗塁

大卒でドラフトにかかったため24歳でのデビューとトップ選手のデビューとしてはやや遅いが、アストロズが待ち望んだスター野手候補の満を持しての登場だ。
昨季はマイナーで37本塁打 45盗塁というずば抜けた好成績を残したが、今季は開幕ではなく4月半ばからのデビューになった。
いきなり4番を担ったこともあってか最初こそ苦しんだが5月に入ってからは調子を上げて5月の26試合だけで10本塁打を量産してみせた。
盗塁はまだ少ないなど完全にメジャーに馴染んだわけではないが、だからこそ今後の躍進ぶりが非常に気になるところ。
彼が爆発すれば新人王争いが面白くなること間違いなし。
5ツールを備えたニュースターのパフォーマンスにご注目あれ。



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