2015年12月31日木曜日

新ブログのお知らせ

MLB関連ニュース・コラムをお届けする新ブログをはじめました。
こちらもよろしくお願いします。

MLBフラッシュ / Flash Report on MLB
mlbto.com

MLB考察も引き続き更新を続けていきますのでよろしくお願いします。

2015年12月13日日曜日

2015年ポジション別 守備力ランキング vol.2

vol.2となる今回からはいよいよランキングを紹介していく。今回は外野の守備の要、センターだ。

5位 A.J・ポロック(ダイヤモンドバックス)
大補強でオフの主役になっているダイヤモンドバックスの28歳のセンター。
今季は3割20本30盗塁とブレイクしたが、本来は守備に定評がある選手だ。そのスピードを活かした広い守備範囲で数々の失点を防ぎ、今季はゴールドグラブ賞も獲得した。遅咲きではあるが、走攻守すべてトップクラスと理想的なセンターになりつつある。




4位 フアン・ラガーレス(メッツ)
今季大躍進でリーグチャンピオンに輝いたメッツから守備職人ラガーレスを選出。
お世辞にも打撃力が高いとは言えないが、その守備だけでも彼をセンターで使う価値は大いにある。昨季までと比べて今季は少し守備面で数字を落としはしたが、おそらく来季以降また守備の要として君臨するはずだ。昨季は有識者が選ぶフィールディングバイブル賞も獲得している。



3位 ビリー・ハミルトン(レッズ)
ハミルトンの名前は日本でも知っている人がいるかもしれない。
マイナー記録となる155盗塁を叩き出し、メジャーでも2年連続で50盗塁を記録しているあのハミルトンだ。彼の凄さはなんといってもスピード。リーグ最高峰のスピードを活かしたセンターの守備が凄くないわけがない。打球への反応が少し遅れてもカバーできてしまうため、今後経験を積んで打球反応が向上していけば守備範囲はMLB最高の域に達するだろう。



2位 ロレンゾ・ケイン(ロイヤルズ)
今季のワールドチャンピオン、ロイヤルズからはケインを選出。
野球を始めたのが高校生になってからという変わり種だが、今でも年々技術が向上しており、走攻守すべてでチームに欠かせない選手となっている。その高い身体能力に加え反応も良く、ダイナミックなプレーで観客を沸かせてくれる。



1位 ケビン・キアマイアー(レイズ)
2013年にデビューし、実質的なキャリアはこの2年しかない。しかしこの2年だけで、彼は今のMLBで最高の守備力を持つセンターだと確信を持っていうことができる。今季の彼が残した数字DRS+42は、彼のパフォーマンスがMLB史に残るものだったということを示している。興味があれば是非彼のプレーを見てもらいたい。キアマイアーはまだ25歳。今季はゴールドグラブ賞を受賞したが、あるいはこれから数年にわたってこの賞は彼が独占していくかもしれない。

2015年12月12日土曜日

2015年ポジション別 守備力ランキング vol.1

メジャーリーガーの凄さが一番わかりやすいプレーというのは何だろうか?
バックスクリーンに飛び込む豪快な本塁打、ベースをトップスピードで駆け抜けるランナー、100mphに届く圧倒的な球速、大きく曲がる変化球など色々な意見が出ると思うが、私はメジャーリーガーの守備こそが、なによりも彼らの凄さが一発で知らしめることのできるものだと考えている。
そこで今回は、MLBに興味を持ち出している野球ファンのみなさんに是非知ってもらいたいMLBの守備の名手たちをランキング形式で紹介していく。

その前に、まずは何をもって守備の名手と呼ぶのかについてお話ししなければならないだろう。

守備というものは野球の中でも最も評価の難しいカテゴリーであり、明確な数字として表される打撃と比べても数字で表れる情報が極めて少ない。その中でも最近まで守備を評価する上で多く使われてきたのは守備率だった。算出の仕方はシンプルなもので、守備機会のうちエラー率を引いた割合が守備率となる。例えば守備機会100回の選手がその中で1度だけエラーした場合は、守備率0.99となるわけだ。このデータから読み取れるものは言うまでもなくミスの少なさであり、守備率が高い選手は堅実、低い選手はミスの多い粗い守備という評価になる。
ところがこの守備率には大きな弱点がある。それは守備範囲の広さなどは全く考慮されていないという点だ。守備率0.99のA選手と守備率0.97のB選手を比較した場合Aの方がミスが少ないということは明らかだが、Aの守備範囲が狭く、Bの守備範囲は極めて広いとすると総合的にはBの方が守備貢献度が高いということになる。守備の目的というのはミスをしないことではなくアウトをとることにある、という基本にたちかえるならば、守備率だけを見ていては守備貢献度を図ることは全くできないということがわかるだろう。

そうした中でもなんとか守備を数値で評価することはできないだろうかと考えたセイバーメトリシャンたちは、苦労の末いくつかの守備指標を生み出すことに成功した。そのいくつかある中から今回スポットライトを当てたいのはDRS(守備防御点)だ。DRSはUZR(アルティメット・ゾーン・レイティング)とともに名前が挙がることが多いのだが、投手や捕手も含めてデータが出ているDRSの方を今回は見ていきたいと思う。
DRSのコンセプト自体は単純明快。その年の平均的な選手と比べて何点分の失点を防いだか、あるいは許したのかを数値化していこうというものだ。+5ならば並の選手と比べて5点分を防いだことになるし、ー5ならば5点分多く失点を許したことになる。
このデータは計算式で算出できるものではなく、フィールドをいくつものゾーンに分け、打球の方向、タイプやプレーを記録し、各打球の難易度を設定した上で選手の実際の守備と照らし合わせることで数値化している。非常に高度な分析であり、今なお改良が繰り返されている指標だ。大まかな基準としてはポジションにもよるが+10以上なら優秀、+20以上ならその年トップクラスだと考えていいのではないだろうか。
さて、そこで気になってくるのはこの指標の精度である。上記でも言及したように、今なお改良されている発展途上の指標故に、100%の信頼を置けるものではなく(最も100%信頼できる指標は存在しないが...)現状正しく評価するには3年分のサンプルが必要だと言われている。しかし、正確性にやや難ありだとしても有用な指標であることには間違いなく、DRSの普及によって”実は守備貢献度が高い”、あるいは”実は守備範囲が狭かった”という真の守備力とでもいうべきものが明らかにされている。
その典型が引退したデレク・ジーターで、その華やかなプレーと堅実なグラブ捌きでショートとして5度のゴールドグラブ賞に輝いているが、実際は守備範囲が狭く守備貢献度はかなり低かったことは既に知れ渡っている。

日本の野球ファンの間でも少しずつ知れ渡ってきているこの守備指標は、今や守備を語る上で欠かせないものになりつつある。そこで今回はDRSなどセイバーメトリクスの指標と観客を魅了する魅せる守備の両方の視点をハイブリッドさせ、次回からポジション別に選手を紹介していく。vol.2ではまず、センターの選手のランキングからだ。

vol.2へ続く
http://djokercw.blogspot.jp/2015/12/2015vol2.html

2015年8月13日木曜日

岩隈久志 野茂以来2人目のノーヒットノーラン達成

日本人にとっては受難の年になっている2015年のMLB。その中にあって日本人ファンにとってはこれ以上ない快挙を岩隈久志が成し遂げてくれた。岩隈は日本人としては野茂以来2人目となるノーヒットノーランをオリオールズに対して達成した。9回7奪三振3四球という内容だった。
今季は怪我もあり、現時点でキャリアワーストの被本塁打率を記録するなど正念場となっているのだが、8月に入ってからは非常に安定しておりようやく調子が上がってきたかなという状態だ。ここから調子を上げてFAに向けてその価値を示したいところだ。


2015年7月28日火曜日

ビッグトレード、続々

トレードが最も活気付く7月、今季も優勝争いの図式を塗り替えるビッグトレードが成立した。先日のカズミアーのアストロズへの移籍が今季最初のスター選手のトレードだったが、今回はそれよりもさらに大物が動いた。

まず一つ目はロイヤルズ、レッズ間で成立したこのトレードで動いたスター選手は予想されていた通りジョニー・クエトだ。リーグ1位をひた走るロイヤルズが弱点である先発ローテを補強し、投手陣を万全な状態とした。その見返りとしてレッズが獲得したのは将来有望な3人の左投手、フィネガン、リード、ラムだ。
フィネガンは2014年の全体17位選手だが、その年順調に昇格しプロ1年目にしてメジャーデビューも果たした。今季も開幕こそマイナースタートだったもののすぐに昇格しプレーしている。22歳の彼の魅力は最速98mphの速球なのだが、今はまだ制球面が課題。さらにサイズ不足も懸念されており、体格的にはリリーフ最適なのかもしれない。
リードは2013年に2巡目でドラフト指名された22歳だが、最初の2シーズンを制球難などにより苦しみながら、今季ようやく開花した。今はAAでプレーしており来季以降のメジャーデビュー候補だ。
ラムは2008年の5巡目でドラフト指名された投手だが、怪我などもあり2013年にようやくAAAに到達し今もまだメジャー昇格はなっていない。25歳ともうプロスペクトとしては若くないのだが、90mph前後の速球や右打者に有効なカッターなどを武器にまだまだメジャーで活躍する素養はある。

ジョニー・クエト → ロイヤルズ

ブランドン・フィネガン
コディ・リード      
ジョン・ラム   → レッズ

さらにもう一つ、こちらは少々衝撃的とも言えるトレードも成立した。ロッキーズのフランチャイズプレーヤーとして知られる現役最高の遊撃手トロイ・トゥロウィツキがブルージェイズへとトレードされたのだ。ブルージェイズへと移籍したのはトゥロウィツキとラトロイ・ホーキンスの2人。ロッキーズへ移籍したのはホゼ・レイエス、ミゲル・カストロ、ジェフ・ホフマン、ジーザス・ティノコの4人だ。
トゥロウィツキとホーキンス、レイエスらベテラン選手は説明の必要はないだろう。トゥロウィツキは2020年までの10年契約を交わしており、来季以降9800万ドルの契約が残っている。対してトゥロウィツキと同じく故障がちな遊撃手のスター、レイエスもオプションを含めて2018年までの契約が残っており、トレード後も両チームは1年あたりの年俸負担はほとんど変わらない。
レイエスとともにロッキーズへ移籍する選手たちも非常に有望な若手だ。カストロは20歳の右投手で、制球に不安定さはありながらも長身から繰り出される速球は非常にレベルが高く、今季はメジャーデビューも果たしている。もう一人の右投手ホフマンさらに一段上の有望株で、2014年ドラフト全体9位指名選手だ。今はまだAAでプレーしているが完成度が高く速球にも魅力があり、健康さえ維持できれば数年後には確実にローテーションの一角を見込める投手だ。最後のティノコは20歳の右投手で、ルーキーリーグでは長年苦しんだがようやく昇格したAではそれなりの投球を見せており、上記2投手に比べるとポテンシャルには劣るが若いだけに将来が楽しみだ。
トゥロウィツキにトレードの噂は出ていたものの、地区優勝を狙って戦っているブルージェイズは打線をさらに強化し、内野守備を堅実にすることによって本気度を見せてきた。トゥロウィツキの健康面に問題が出さえしなければ、ドナルドソン、トゥロウィツキの形成する三遊間はリーグ最高クラスだろう。

トロイ・トゥロウィツキ
ラトロイ・ホーキンス → ブルージェイズ

ホゼ・レイエス
ミゲル・カストロ
ジェフ・ホフマン
ジーザス・ティノコ → ロッキーズ

コール・ハメルズ ノーヒッター達成

毎年のようにトレード候補になり、今季もトレードの噂がつきまとうフィリーズのエース、コール・ハメルズがキャリア初のノーヒッターをカブス相手に達成した。9回13奪三振2四球という素晴らしい内容だった。その直前の2試合で合計14失点するなどここにきてトレード価値が下落するような内容だったのだがそれを見事に挽回する結果となった。チームの低迷により、優れた投球内容にもかかわらず勝敗がついてこない日々が続いており、今季は2012年以来の二桁勝利を狙うが、それそろ環境が変わってむくわれてもいいころなのかもしれない。31日のデッドラインまで今後も目が離せない。

2015年7月24日金曜日

ドジャースの誇る最強のダブルエース

それぞれリーグトップクラスの実力を持った右投手と左投手の左右のダブルエースというのは誰もが夢見る先発ローテーションの一角だろう。私でもファンタジードラフトで自由に選手を獲得できるのであればそういった1,2番手を作るだろう。そんな”僕の考えた最強のダブルエース”とも言うべきものを今季のドジャースは現実に擁しているのだ。
クレイトン・カーショウとザック・グレインキー。この2人のキャリアについてはMLBファンならよく知っているはずだ。カーショウはドジャース生え抜き、そして今やMLB最高と名高い先発投手だ。27歳にして3度のサイ・ヤング賞にMVPを1度、ここ4年連続で防御率リーグ1位、近年ではもはやカーショウくらいしかできない防御率1点台を2年連続でやってのけている。グレインキーは社会不安障害を乗り越えサイ・ヤング賞を獲得し、投手としては史上有数の巨額契約でドジャースへ移籍後もしっかりエース級の投球を見せている。どこへ行ってもエースになれるような投手が左右で2人揃っているのに、今季はそれがさらに凄みを増しているのだ。

クレイトン・カーショウ
8勝6敗(12位) 防御率2.51(8位) 140.0回(1位) 185奪三振(1位) WHIP0.94(4位)



ザック・グレインキー
9勝2敗(9位) 防御率1.30(1位) 131.1回(3位) 117奪三振(12位) WHIP0.82(2位)



ここまでの数字はほぼあらゆる点でトップクラスなのだが、凄いのはシーズンが中盤に入ってから。カーショウは序盤はらしくなく打ち崩される場面が目立ち防御率上位からは蚊帳の外だった。しかし6月にはいってからギアが入り7月に至っては4試合でわずか1失点、2試合は完封という驚異的な出来で圧倒し続けている。その内容は四球を出さない、本塁打を打たれない、三振を奪る、という投手にとって最も必要な要素を完全に体現している理想的な投球だ。これで連続無失点イニングは29に伸びた。
グレインキーは4月から全ての月で防御率1点台という抜群の安定感だったのだが、こちらもまたギアが一段上がり今の所43.2回連続無失点を記録している。ハーシュハイザーの持つMLB記録の59イニングをも狙える位置につけており、7月の月間防御率はもちろん0.00。カーショウのように毎試合奪三振ショーを繰り広げる派手さには欠けるものの絶対的な制球力を武器に点を全く許さない。
タイプの違う2人の絶対的エースだが、6月以降では間違いなくMLB最高のダブルエースと言えるだろう。カーショウの調子の上げ方を見るに、彼についてはここからさらに数字がよくなるだろう。シーズンが終わる頃には史上有数のダブルエースと言える成績になる可能性も少なくないだろう。 

スコット・カズミアーがアストロズへトレード

注目の大物トレード第一弾がやってきた。トレード候補の大物として注目されていたスコット・カズミアーが地区優勝を狙うアストロズへトレードで移籍した。
これはまさに毎度恒例のタイプのトレードだ。プレーオフが厳しくなったチームが主力を放出する代わりに将来性豊かな有望株を数人獲得する。お互いのニーズをうまくうめあわせることが可能なポジティブなトレードだ。今回はアスレティックスがカズミアー放出の代わりに捕手のジェイコブ・ノッティンガムと右投手のダニエル・メンデンという2人の有望株を獲得することに成功した。
カズミアーについては言うまでもない。レイズでのデビュー当初はこのままリーグ有数の左投手としてスターダムを駆け上がるかと思われながら怪我や不調など数多の障害のため一時は名前を聞くこともなくなったものの、2013年には復活を果たし2014年には再びオールスター投手にまでなった。今季もここまでリーグ屈指の好成績を残しており、今季限りの契約も相まって欲するチームは多かった。
対してアストロズが放出した2選手は当然ながら若い有望株だ。ノッティンガムは2013年のドラフトで6巡目でアストロズが獲得した捕手で、現在20歳ながら今季はここまでマイナー77試合で14本塁打 OPS.925のっている。多少の粗さはあるもののパワーのある打撃は非常に魅力的で、少なくとも来季には2Aまで昇格していることだろう。アスレティックスにはオールスター捕手のボートがいるものの、彼はすでに30代と若い捕手はいずれにしても必要だったためうまい補強だったと言えるだろう。
もう一人のメンデンは2014年ドラフト4巡目の右投手で現在22歳だ。今はA+で投げており、昇格してからは少し苦しんでいる印象だ。バランスのいい投手ではあるのだが投手としてはややサイズ不足ということが気がかりではある。

総括としてはお互いの欲しいものをうまくトレードした印象だ。先日の記事でも言及したようにカズミアーは昨季後半一気に調子を落とした点が気がかりであり、アスレティックスが獲得した2選手が今後どういう成長曲線をたどるかは未知数ではあるが現時点ではwin-winトレードになる可能性が高いと思われる。
今後さらに活発になるであろうトレード戦線注目していきたい。

2015年7月19日日曜日

デッドライン直前 最注目の5選手

今月末のトレードデッドラインに向けて今季もトレード戦線が活性化するはずだ。これはMLBでは毎年行われることで、簡単に説明するとそのシーズンでのプレーオフ進出を諦めたチームが主力選手を上位争いをしているチームに放出し、その見返りとして将来有望な若手を得るというものだ。大抵その場合放出されるのはオフに契約満了しFAになる選手だ。中には7月31日のデッドラインぎりぎりにトレードが成立することもあり、毎年盛り上がるイベントであるとともにこれが後半戦の順位が大きく影響することが多い。例えば昨季ではデビッド・プライスやジョン・レスターといったエース級投手が動いた。そこで今季移籍が予想される注目スター選手を5人紹介する。

ジョニー・クエト(29)
今オフにFAになる投手の中では一番の大物投手であり、レッズが地区優勝争いに現時点で全く絡めていないところを見ると今季中の放出の可能性は高い。放出せずに契約延長する可能性もあるが、スモールマーケットのレッズが彼の要求に応えられるだけの巨額契約を用意するのは難しい。放出するならトレードが最良で、彼に興味を示しているチームも複数ある。

ジェフ・サマージャ(30)
下位に沈むホワイトソックスにとって、サマージャはある意味格好のトレード要員。昨季に比べて数字はあまりよくないのだが内容は悪くなく、後半のブーストに一役買ってくれるかもしれないため評価しているチームは少なくない。ときたま炎上するものの長いイニングを安定して投げられるところは大きな強みだ。3番手に優秀な投手を欲しているチームは欲しがるだろう。

コール・ハメルズ(31)
近年毎年のようにトレード候補に挙げられるハメルズは他の選手とは違いすぐにFAしてしまうわけではない。2013年からの長期大型契約はオプションも含めると2019年まで残っており、毎年安定して好成績を残しているため本来ならトレード候補にはならない選手だ。しかし彼がこうも話題になるのは所属しているフィリーズが過去に連発した大型補強や大型契約の負の遺産で常に下位に沈んでいるからだ。その中で唯一と言ってもよい好成績を残し続けるハメルズはフィリーズの中では最もトレード価値がある選手。そろそろ本気で若返りを図らなければいけないため放出の可能性は現時点でも十分あるというわけだ。フィリーズの編成がまだ冷静な判断力を残しているのであれば、今季は放出の大きなチャンスであり、見合う若手を用意できるチームにとってはどうしても欲しい選手だ。もし今FAになれば5年以上の長期契約は覚悟しなければならない投手が、2019年までの契約で済むわけだから不良債権化するリスクを低くおさえられる。今季彼が動くのであれば見返りのプロスペクトもそれ相応のものになり、最も注目度の高いトレードになるはずだ。

ジャスティン・アップトン(27)
開幕前に数々の補強を繰り返したパドレスの目玉の一人だったが、今オフにFAになるトレード候補の一人だ。パドレスが目論見通り優勝争いできていたならばそうはならないが、現状下位に沈んでいる以上やむを得ないだろう。しかしアップトン自身他のチームがこぞって欲しがるほどの好成績を残しているというわけではなく、近年では最低レベルの数字におさまっている。投手有利なペトコパークでプレーするということである程度予想できたことではあるのだが、不思議なことにホームでは強打者、アウェイでは控えレベルという予想とは逆の現象が起きている。そのため移籍すれば打撃成績が上向くとも言えない。また、まだ若いということで来季以降もパドレスが保有したがる可能性もあるのだが、そのためにはある程度の大型契約を用意しなくてはならないため微妙なラインだ。

スコット・カズミアー(31)
アスレチックスは今季も優秀なピッチングスタッフを武器に優勝争いに食い込みたかったがアストロズの序盤の独走などもあり現在は西地区がエンジェルスとアストロズの二強状態。現在最下位のアスレチックスは補強しない限りは巻き返すのが難しい。その中でオフにFAになるカズミアーは昨季の前半戦同様非常に優秀な成績を残しており、今季に限ってはどこのチームでもエースを張れるレベルのものだ。今放出するのがチームとしても最もお得なのだが気になるのは昨季オールスター明けから極端に調子を落とし後半戦使い物にならなかった点。そのあたりを懸念材料として捉えるかどうかで交換要員の質が変わってくる。しかしギリギリのプレーオフ争いをしているチームにとっては喉から手が出るほど欲しい投手だ。


2015年7月17日金曜日

2015年オールスター

少し遅くなったが今年のオールスターについてまとめてみたいと思う。
今年も錚々たる面々が揃ったオールスターだが、ある意味この試合で最も注目されたのは試合内容ではなく試合前のセレモニーだったかもしれない。今年はシンシナティでの開催ということで、往年のレッズのスーパースターが4人そろい踏みし、その中にはあのピート・ローズもいたからだ。みなさんご存知のようにローズはMLB最多安打の4256安打を記録している史上最高の安打製造機だ。近年ではイチローの活躍ぶりにあわせて日本でその名前を報道されることは少なくない。しかし野球賭博に関わったことにより永久追放されており、ここのところは復権を求める声なども大きくなっている時の人だ。そんな彼が登場した際にはブーイングも混じる一際大きな声援に球場は包まれた。彼の復権にはやはり賛否両論があるということなのだろう。

さて肝心の試合だが、アウェイのア・リーグが6対3で勝利しワールドシリーズにおけるホームアドバンテージを得るという結果になった。ナ・リーグファンにとっては少し物足りない結果なのだが、見どころはいくつかあった。まずは稀代のスーパースターへと成長したマイク・トラウトが先頭打者ホームランを放り込み度肝を抜いた。ちなみにトラウトは4年連続出場だが、この4試合のそれぞれの最初の打席の結果が順に単打、二塁打、三塁打、そして今回の本塁打でサイクルヒットというのがなかなか面白い。23歳にして4度のオールスター出場、そして史上初の2年連続オールスターMVP。今後どれだけオールスターでの実績を積み上げていくのがこれから非常に楽しみだ。



この試合が最も盛り上がりを見せたのは9回だ。ナ・リーグは4点ビハインドの状況だったのだが9回から登場した地元レッズのアロルディス・チャプマンのパフォーマンスがあまりにも圧倒的だった。世界最速の男に期待されるのはもちろん100mph以上の速球。彼が今季前半戦に投じたの100mph以上の速球は284球。それに対して彼を除いた他の全投手が投じた100mph超えは238球と、チャプマン一人で他の投手全てを上回る速球を投げていることになる。そしてその期待に違わず彼が投じた14球は全てが速球でそのうち12球が100mph以上、最速は103mphで3者連続奪三振と正にオールスターという投球を見せてくれた。



最後に紹介したいのは個人的に非常に印象的だったジェイコブ・デグロームのパフォーマンス。この試合に限ってはチャプマンと同様全く打てそうにない非常にハイレベルな投球を見せていた。90mph後半のキレのいい速球が外角に正確にコントロールされれば打者にはなすすべがない。昨季のナ・リーグ新人王で今季もサイ・ヤング賞級の活躍ぶりだが、これは後半戦にも大きな期待をかけられそうだ。

2015年7月12日日曜日

2015年 オールスター選出選手決定

ア・リーグ

C  サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
1B ミゲル・カブレラ(タイガース) *故障のため欠場
2B ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)
3B ジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)
SS アルシデス・エスコバー(ロイヤルズ)
OF マイク・トラウト(エンジェルス)
OF ロレンゾ・ケイン(ロイヤルズ)
OF アレックス・ゴードン(ロイヤルズ) *故障のため欠場
DH ネルソン・クルーズ(マリナーズ)

C  ラッセル・マーティン(ブルージェイズ)
C  スティーブン・ボート(アスレチックス)
1B マーク・テシェイラ(ヤンキース) *カブレラ故障のため代替選出
1B アルバート・プホルス(エンジェルス) *カブレラ故障のためスターター
2B ジェイソン・キプニス(インディアンズ)
2B ブライアン・ドージアー(ツインズ) *バティスタ故障のため代替選出
3B マニー・マチャド(オリオールズ)
3B ブロック・ホルト(レッドソックス)
3B マイク・ムースタカス(ロイヤルズ) *最後の一人として選出
SS ホゼ・イグレシアス(タイガース)
OF JD・マルティネス(タイガース)
OF ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ) *故障のため欠場
OF アダム・ジョーンズ(オリオールズ *ゴードン故障のためスターター
OF ブレット・ガードナー(ヤンキース) *ゴードン故障のため代替選出
DH プリンス・フィルダー(レンジャーズ)

P  クリス・セール(ホワイトソックス)
P  フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)
P  ソニー・グレイ(アスレチックス) *直前の試合登板のため欠場
P  クリス・アーチャー(レイズ)
P  ダラス・カイコ(アストロズ)
P  デビッド・プライス(タイガース)
P  ヘクター・サンティアゴ(エンジェルス) *グレイ欠場のため代替選出
P  デリン・ベタンセス(ヤンキース)
P  ブラッド・ボックスバーガー(レイズ)
P  ウェイド・デイビス(ロイヤルズ)
P  ケルビン・ヘレーラ(ロイヤルズ)
P  ザック・ブリットン(オリオールズ)
P  ダレン・オデイ(オリオールズ)
P  グレン・パーキンス(ツインズ)


ナ・リーグ

C  バスター・ポージー(ジャイアンツ)
1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
2B ディー・ゴードン(マーリンズ) *故障のため欠場
3B トッド・フレイジャー(レッズ)
SS ジョニー・ペラルタ(カージナルス)
OF ブライス・ハーパー(ナショナルズ)
OF マット・ホリデイ(カージナルス) *故障のため欠場
OF マイク・スタントン(マーリンズ) *故障のため欠場

C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
C  ヤスマニ・グランダル(ドジャース)
1B アンソニー・リゾー(カブス)
1B エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース)
2B DJ・ラメイヒュー(ロッキーズ) *ゴードン故障のためスターター
2B ジョー・パニック(ジャイアンツ)
3B ノーラン・アレナード(ロッキーズ)
3B クリス・ブライアント(カブス) *スタントン故障のため代替選出
SS トロイ・トゥロウィツキ(ロッキーズ) *ゴードン故障のため代替選出
SS ブランドン・クロフォード(ジャイアンツ)
OF アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ) *スタントン故障のためスターター
OF ジョク・ピダーソン(ドジャース) *ホリデイ故障のためスターター
OF AJ・ポロック(ダイヤモンドバックス)
OF ジャスティン・アップトン(パドレス)
OF ライアン・ブラウン(ブルワーズ) *ホリデイ故障のため代替選出

P  マディソン・バンガーナー(ジャイアンツ)
P  ゲリット・コール(パイレーツ)
P  AJ・バーネット(パイレーツ)
P  ザック・グレインキー(ドジャース)
P  ジェイコブ・デグローム(メッツ)
P  シェルビー・ミラー(ブレーブス)
P  マックス・シャーザー(ナショナルズ) *直前の試合に登板のため欠場
P  マイケル・ワカ(カージナルス)
P  カルロス・マルティネス(カージナルス) *最後の一人として選出
P  クレイトン・カーショウ(ドジャース) *シャーザーの代替選出
P  アロルディス・チャプマン(レッズ)
P  マーク・メランソン(パイレーツ)
P  ジョナサン・パペルボン(フィリーズ)
P  フランシスコ・ロドリゲス(ブルワーズ)
P  トレバー・ロゼンタール(カージナルス)


代替選手なども含めて今年のオールスター選手が発表されたが、投票数は2012年の記録を抜いて過去最高となった。またドナルドソンが2012年のジョシュ・ハミルトンを抜いて過去最高の得票数となった。ロースターで目立つのはロイヤルズから故障選手も含めて両リーグ最多の7人選ばれていること。スターターに限っては4人と昨季のワールドシリーズ出場チームの台頭を感じる。ナ・リーグ最多はカージナルスの6人で、ホリデイに関しては現在DL入りしているがギリギリまで復帰出場の可能性はあるということで保留になっている。しかし現時点では欠場の可能性が高いということで、その際はピダーソンがスターターになり、新たな代替出場選手が選ばれることになる可能性が高い。

*7/13追記
ホリデイの欠場が決定し、それに伴ってブラウンが新たに選出、ピダーソンはスターターに昇格した。加えて直前の試合に登板ということでシャーザーとグレイが欠場することになり、その代替としてカーショウとサンディアゴが選出された。

2015年7月10日金曜日

2015年後半戦 要注目選手10選

今季後半戦に好成績を残しそうな兆しを見せている要注目選手を10人紹介する。

①ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)
ルーキーイヤーから圧倒的な投球ぶりで新人王を獲得し、トミー・ジョン手術が決まった2年目も離脱まで変わらぬ好成績を残していた。長いリハビリから最近復帰したばかりだが、2試合で2勝 防御率2.08。投球内容を見る限りその力はしっかり戻っていると思われる。となると今季はある程度球数制限するなど無理はしないと思うがオールスター明けから圧倒的なパフォーマンスでリーグを席巻する可能性は高い。3年目の22歳ながら存在感はもはやリーグ有数のものだ。

②ランス・マッカラーズ(アストロズ)
先日の記事でも言及した21歳の新人投手。2012年一巡目の本格派で5月のデビュー以来制球にある程度の不安定感を残すもののパフォーマンスは新人離れしており、すでに11奪三振の1失点完投勝利を披露するなどはまった時はエース級の投球を見せてくれる。後半戦苦しむ可能性と同じくらいアストロズのエースとして君臨する可能性もある。

③クレイ・バックホルツ(レッドソックス)
2013年は離脱までサイ・ヤング賞級の活躍も昨季は防御率5点台の不振と年ごとに並があり、今季は序盤大量失点する試合も多く不調の年かと思われたが5月半ばから制球が安定するようになりそれに伴って長いイニングを少ない失点で投げ切ることが多くなった。先日今季初完投を110球で達成するなど投球スタイルに改善が見られるようになっており、後半戦サイ・ヤング賞候補にまでのぼりつめてもおかしくない。

④タイワン・ウォーカー(マリナーズ)
22歳の次代のエース候補は今季の数字を見る限りそのポテンシャルを活かせていないように見える。しかしながら6月以降を切り取ると先日の5失点した試合以外全てでQSを達成しており、制球力でも3四球以上の試合が皆無と非常に大きな改善が見られる。そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところであり、時たま本塁打をまとめて打たれるところ以外弱点が見られない。このままの投球を維持できるなら後半戦ではヘルナンデスと並ぶWエースを形成できるはずだ。

⑤カルロス・カラスコ(インディアンス)
昨季ブレイクした中堅投手で、今季は第二のクルーバーにと期待されたのだが中々ピリッとしない投球が続く。ただ詳しく投球内容を見ていくと少し運に見放されている感がある。被本塁打の多さを除けば昨季よりも内容が良く、その実力は本物だったことがうかがえる。数試合に一度炎上する傾向はまだ続いているのだが、後半戦に入ってしっかり結果がついてくる可能性は低くないだろう。

⑥ムーキー・ベッツ(レッドソックス)
マイナーで2年連続で好成績を残し昨季満を持してデビューし、その期待値に見合う好成績を残した。今季は開幕からしばらく不調が続いたものの、6月に入ってから一気に調子をあげてきた。コンタクト力が高いだけでなく長打力も向上しており、このまま夏場にかけて調子を維持していければ最終的には打率3割 15本塁打程度の数字は見込めるはずだ。

⑦アルバート・プホルス(エンジェルス)
6月に月間13本塁打というハイパフォーマンスを見せ、長打に関しては全盛期並のレベルに戻っているが打率はいまいち上がってこないプホルス。しかし実際はパワーだけでなくコンタクト率や選球眼も全盛期に近いレベルにまで戻っている。にもかかわらず打率が上がってこないのはあまりにも運に恵まれていないからだ。特にこの30日間でBABIPが1割台というのは異常事態と言える。最終的にはある程度の振り戻しがあると予想すれば長打の面だけでなく打率など打撃全般のスタッツがリーグトップクラスにまでなってもおかしくはない。

⑧アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
4月に酷い不振に陥ったもののそれ以降はしっかりと例年通りのパフォーマンスを維持してきている。気がつけばその数字はもうリーグトップクラスだが、例年通りここから終盤にかけてさらに調子を上げてくるだろう。そのため最終的には昨季並の数字になっていても全く驚かない。調子の上げ方次第では2012年級の成績を残してもおかしくはない。

⑨マイケル・ピネダ(ヤンキース)
昨季は不正投球でケチがついたが今季は奪三振率など昨季から大幅に向上させている。内容的にはリーグトップクラスのもので、この質の高さをイマイチ活かせていないのが今季の現状だ。しかしこのままの投球を続けていけばシーズン終盤には見合った数字に落ち着いてくるだろう。少なくともヤンキースのエースと呼べるだけの成績にはなっているはずだ。

⑩パトリック・コルビン(ダイヤモンドバックス)
トミー・ジョン手術で2014年を全休し、長いリハビリ生活から今月ようやく復帰したばかりのコルビン。若きエースとして期待されながら長期離脱し今季復帰というのはハービー、フェルナンデスらと同じパターンだが、しっかりリハビリに成功したのであれば後半からしっかりエースの投球を見せてくれるはずだ。まだまだ未知数の部分は多いが、後半戦最も注目の投手の一人だろう。

2015年7月9日木曜日

クレイトン・カーショウに復活ののろし

今年のオールスターメンバーがそれぞれ最後の一人を除いて発表されたが、そこに4年連続でオールスターに選出され、過去4年で3度のサイ・ヤング賞を獲得しているクレイトン・カーショウの名前はなかった。その代わりに最後の一人の候補者にはなってるのだが、彼ほどの投手がなぜそういう事態に陥っているのか。その理由はやはり序盤の不調にある。
不調といっても並の投手なら十分及第点という成績だったのだが、開幕からの二ヶ月で6回以上を自責点1以内に抑えた試合はわずか1試合、8回以上を投げた試合は1試合もなかった。序盤怪我で離脱した昨季を除けば、2011年から毎年6月までにはだいたい6試合くらいは6回以上1失点以内の試合があった。そういう点から見ても今季のカーショウの投球はあまりピリッとしない。QS率自体はそれほど悪くはないのだがしっかり0で抑えるというよりは毎試合2,3点くらいはとられるという状態が続いたのだ。それでも奪三振だけはリーグトップクラスの数字を残していたあたりは流石だが、同僚のグレインキーが点を与えない投球を続けていたのとは対照的に数字の見栄えは悪かった。
しかし当然カーショウはそれで終わる投手ではない。6月に入ってから状態をあげ、被本塁打こそ減らなかったが8回無失点の投球をするなどパフォーマンスは上がり調子になり、ついに今日の試合で今季初完封を無四球13奪三振でかざった。これで防御率2.82と今季初の2点台に突入しリーグ11位の好成績。勝敗こそ6勝6敗のタイだが、奪三振も2位以降に差をあけてのリーグ1位と、やっとカーショウらしい数字が整ってきた。この今季初完封は今後の弾みになると同時に、オールスター最後の一人投票にもいい影響を与えるだろう。成績もふさわしいものになり、是非とも5年連続のオールスター選出を達成してほしいものだ。
ちなみに今季のカーショウは内容的には最初からよく、現在xFIP2.07で両リーグでも抜けた1位だ。毎年後半戦にかけて調子を上げるため、これから後半戦にかけて運も上向いてくるのだとしたら最終的には例年通りのサイ・ヤング賞争いをしている可能性は高い。


2015年7月5日日曜日

アストロズの後半戦を支える二人の2012年ドラフト1巡目ルーキー

現在ア・リーグ最多の48勝をあげて首位を地区1位を突っ走っているヒューストン・アストロズ。近年のアストロズのドラフトなどを注視してきたファンにとっては、この快進撃は大きなドラフトというわけではない。下位に沈む中数年にかけてドラフト上位で有力選手を指名し、育ててきた結果がここにきてあらわれてきたわけだ。主力選手はドラフトして育ててきた選手やトレードで獲得した選手など様々だが、最大の特徴はやはり主力選手たちの若さだ。今季特に目立つのは打線の破壊力で、打率はリーグ13位ながら盗塁数と本塁打数は1位、得点は3位という極端さが売りだ。投手陣はリリーフが強固だが、先発投手陣にはカイコというエースはいるものの他がパッとせず安定感に欠ける。つまり打線、投手ともに爆発力はあるもののまだやや安定感に欠けるというのが今後のアストロズの改善点になる。しかしそこを改善してくれるかもしれない二人のルーキーが登場している。

一人は2012年1巡目全体1位指名のカルロス・コレア。史上初のプエルトリコ出身全体1位指名選手で、20歳の遊撃手はまさに今後チームの顔になっていく可能性が高い。メジャーデビュー後はその打撃力は大いに猛威を奮っており、24試合の出場で6本塁打、9二塁打に加え3安打以上した試合は5度とスターダムを駆け上がりつつある。四球をほとんど選んでいないなど改善の余地はあるが、数年後にはオールスターの常連として全米でも名の知れたトップ遊撃手として活躍しているかもしれない。




もう一人は21歳の先発投手ランス・マッカラーズ。彼はコレアと同じ2012年ドラフト1巡目で全体41指名の選手だ。5月にデビューすると9試合の先発で4勝2敗 防御率2.19とかなりの好成績をあげている。その日の制球の出来次第で大きく出来が変わってしまう不安定さはこれからの課題として、平均94mphの速球と切れ味するどい変化球を軸にして奪三振を多くとるスタイルはエースと呼ぶのにふさわしく、カイコを左のエースとするならマッカラーズは右のエースとなるポテンシャルがある。まだ21歳ということもあってこれからが非常に楽しみな逸材だ。

2015年7月4日土曜日

近年の新人王選手たちの明暗

ネフタリ・フェリースがレンジャーズからDFA、いわゆる戦力外を通告された。DL入りしていたマット・ハリソンのためにロースターに枠をあける必要があるための措置で、マイナーオプションを使い切っているフェリースはロースターから外されることによって今後ウェーバー、あるいはトレードによる移籍、そうでなければレンジャーズのマイナーにとどまることになるのだが、今回のケースでは他球団移籍になるだろう。
さて、フェリースと言えばレンジャーズの豪速球投手だったというだけでなく2010年に佐々木が持っていた新人最多セーブ記録を更新してア・リーグ新人王を獲得したことでも有名だ。まさにレンジャーズの全盛期でその後2011年まではクローザーとしてシーズンを過ごしたが翌2012年に先発転向、そして故障による長期離脱などで全てが狂い新人王を獲得した若きクローザーとは思えないほど急転直下でキャリアを転げ落ちた。復帰して30試合に登板した昨季も防御率などは好成績ではあったが全盛期には平均96mph前後だった速球が93mph台に落ち込むなどその能力低下は顕著だ。今季もクローザー候補ではあったものの不振と怪我でこのような結末に至ったわけだ。
このように輝かしいキャリアへの入り口とも言える新人王を獲得しながら、その後苦しみたった数年で存在感が薄くなってしまう選手は少なくない。逆にしっかりとスターにまで上り詰め数年に渡りトップ選手として君臨する選手もいる。

2005年 ヒューストン・ストリート(アスレチックス)  ライアン・ハワード(フィリーズ)
2006年 ジャスティン・バーランダー(タイガース)  ハンリー・ラミレス(マーリンズ)
2007年 ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)  ライアン・ブラウン(ブルワーズ)
2008年 エバン・ロンゴリア(レイズ)  ジオバニ・ソト(カブス)
2009年 アンドリュー・ベイリー(アスレチックス)  クリス・コグラン(マーリンズ)
2010年 ネフタリ・フェリース(レンジャーズ)  バスター・ポージー(ジャイアンツ)
2011年 ジェレミー・ヘリクソン(レイズ)  クレイグ・キンブレル(ブレーブス)
2012年 マイク・トラウト(エンジェルス)  ブライス・ハーパー(ナショナルズ)
2013年 ウィル・マイヤーズ(レイズ)  ホセ・フェルナンデス(マーリンズ)
2014年 ホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)  ジェイコブ・デグローム(メッツ)

上記は過去10年の新人王とその当時の所属チームだ。基本的には今でも各チームの主力選手として活躍している。20人中6人がMVP経験者で、2007年などは両者ともにMVPを獲得している。2012年も今季のハーパーを見る限り今後そうなる可能性は高い。だがやはり今はあまり活躍できていない選手も見受けられる。今回のフェリースに加えてこの2年ほどメジャーで投げていないベイリー、近年二番手捕手になってしまったソト、今ではかなり数字が悪化しているヘリクソンなどがそうだ。中にはコグランのように一度はリーグ最低レベルまで堕ちながら復活を果たしたものもいる。だがやはり新人王獲得者というのは基本的にその後は主力として活躍していくもので、今季も新人王候補になっているルーキーの中から今後のスターが生まれる可能性は高いだろう。
余談だが、この20選手中8選手がマーリンズ、レイズ、アスレチックスという3大ケチチームから輩出されており(マーリンズは近年大金を費やすことが多いが)、やはり回転の早い貧乏チームはルーキーが活躍することが多いということがよくわかる。

2015年7月1日水曜日

シーズン前半MVPは誰だ!?

シーズンも前半戦を終えたということで前半戦のMVPを選出したいと思う。候補選手は各
リーグそれぞれ3人ずつ。彼らはそのままシーズンMVPの有力候補ということになるだろう。なお、今回はチーム成績などは全く考慮していない。

ア・リーグ

☆マイク・トラウト(エンジェルス)
78試合 打率.303 20本塁打 43打点 出塁率.392 OPS.973 9盗塁
18二塁打 1三塁打 56得点 wOBA.407 fWAR4.3 rWAR4.8

今季はそれほど圧倒的な印象がないトラウトだが、やはりほぼ全ての数字がハイレベル。打率、出塁率はトラウトであることを考えると少し物足りないようにも思えるが、リーグ2位の20本塁打を放つなど昨季同様パワー面における成長は著しい。三振率も昨季に比べると改善されており、後は四球による出塁と盗塁がもう少し増えてくれれば文句なしといったところだろうか。過去2年連続でマイナスを記録した守備防御点なども今季はプラスに転じている。リーグ1位の数字がないなど、まだやれるだろうという感はあるが、やはりリーグ最高レベルのパフォーマンスであることには変わりなく、彼をア・リーグ前半のMVPとしたい。

◎ミゲル・カブレラ(タイガース)
74試合 打率.349 15本塁打 53打点 出塁率.453 OPS1.037 1盗塁
16二塁打 1三塁打 42得点 wOBA.436 fWAR3.5 rWAR3.8

相変わらず打撃だけが魅力の選手であるため総合的なパフォーマンスではトラウトに劣るが、打撃の質はリーグ最高。昨季は数字を落としこれから下降するのかと思われたが今季は復活していると見ていいだろう。本塁打に物足りなさは感じるが2011年に近い数字を出しており、現在ア・リーグ首位打者だ。打点でも2位につけており、二冠は狙える位置にいる。しかしBABIPも非常に高いため、後半戦に振り戻しで打率が落ちる可能性は高い。

◯ジェイソン・キプニス(インディアンス)
75試合 打率.346 6本塁打 33打点 出塁率.421 OPS.936 10盗塁
25二塁打 4三塁打 52得点 wOBA.402 fWAR4.6 rWAR4.8

4月かなりの不調に陥り、昨季同様今季も苦しむのかと思いきや5月に入ってから大爆発。6月は5月に比べると落ちたものの相変わらず高いパフォーマンスで打率は僅差でリーグ3位につけている。6本塁打と長打力はあまり発揮できないように見えるが二塁打は1位で三塁打も多い。今季は守備も良く、物足りないのは本塁打と盗塁くらいか。ただカブレラ同様BABIPが非常に高いのが気になるところだ。


ナ・リーグ

☆ブライス・ハーパー(ナショナルズ)
71試合 打率.340 24本塁打 58打点 出塁率.464 OPS1.177 3盗塁
17二塁打 1三塁打 53得点 wOBA.488 fWAR5.0 rWAR5.5

非常にハイレベルなナ・リーグだがその中でもハーパーはやはり頭一つ抜けていると言っていいだろう。その高すぎる期待値と比較され、この2年ほど物足りない数字に終わっていた史上最高の逸材がついにそのベールを脱いだという形だ。本塁打数は既にキャリアハイを記録しており、長打率とOPSは文句無しのレジェンド級。打撃三冠全てで4位以内に入っており、順調にいけば三冠王も狙える位置にいる。怪我で離脱することが少なくないのが玉に瑕だが、彼を前半戦MVPとすることに異論はないだろう。

◎ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
77試合 打率.354 20本塁打 65打点 出塁率.469 OPS1.108 15盗塁
17二塁打 1三塁打 55得点 wOBA.460 fWAR4.5 rWAR5.4

人によってはゴールドシュミットこそが前半戦MVPにふさわしいというだろう。打率、出塁率はリーグ1位、打撃3部門は全て5位以内でハーパー同様三冠王を狙える位置にいる。さらに特筆すべきは打撃だけでなく、一塁手ながら既に15盗塁を記録しているという点だ。三冠王だけでなくトリプルスリー達成の可能性もあるわけだが、そうなれば一塁手としては1999年のジェフ・バグウェル以来の偉業ということになる。守備力も高く、まさに弱点のない選手だ。ただこちらも例年に比べてBABIPが非常に高いことから振り戻しの可能性がある。

◯ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)
74試合 打率.265 27本塁打 67打点 出塁率.346 OPS.952 4盗塁
12二塁打 1三塁打 47得点 wOBA.398 fWAR3.7 rWAR3.8

打率こそ高くないもののやはり現在MLB最高のパワーヒッターは伊達ではない。本塁打は両リーグ1位でシーズンに換算すれば50本超えのペース。守備面での貢献度も高く、出塁率さえもう少し上げていければ文句無しだ。毎年のように離脱するが、残念ながら今年も骨折により長期離脱を強いられることになった。1〜2ヶ月の離脱が予想されているため50本塁打も絶望的だが、できるだけ早く復帰してなんとか40本塁打に到達したいところだ。

クリス・セールが8試合連続二桁奪三振でMLBタイ記録

長身、サイド気味のスリークォーターから投じられる豪速球とランディ・ジョンソンに似た特徴を持つことからデビュー当時からランディ二世との呼び声も高かったホワイトソックスのエースのクリス・セールが、そのランディをも超えてMLBタイ記録となる8試合連続二桁奪三振を達成した。1999年にペドロ・マルティネスが達成して以来の史上2人目の大記録だ。
今季のセールはあまり援護に恵まれておらず、序盤の不調も重なって勝ち星こそあまりパッとしないのだが内容は昨季同様非常によく現時点で141奪三振は両リーグ1位、奪三振率12.28も両リーグ1位だ。3年連続の200奪三振以上は既に射程圏内に入っているわけだが今季特に目立つのがこの二桁奪三振の多さ。ここまでの15試合中9試合で二桁奪三振、さらにその中で6試合が12奪三振以上だ。ただこの輝かしい記録の裏で少し気になるのは、奪三振の多いプレースタイルに加え長いイニングを投げるが故にここまでの8試合全てで110球以上投げてきている点だ。奪三振記録を意識すればするほどこの傾向は今後もついてまわるだろう。オールスターブレイクでうまく休養をとることができなければ、夏に入ってそのツケが回ってくるかもしれない。
現状セールの奪三振率は歴代7位と高い位置につけている。怪我なくこの調子を維持できればほとんどランディ・ジョンソンが独占しているこの奪三振率記録の上位に食い込むことができる。そうなればセールは名実共にランディ二世になるだろう。ちなみに現役投手で最も高い奪三振率は2013年にダルビッシュが記録した11.89だ。連続二桁奪三振記録も気になるところだが、奪三振率や奪三振数にも注目していきたい。


2015年6月25日木曜日

ナ・リーグ西地区各チームキープレイヤー

アリゾナ・ダイヤモンドバックス

アーチー・ブラッドリー(22)
ヘイレンとウェブという二大エースを擁していた日々も今は昔。ダイヤモンドバックスは近年投手力の低下に苦しんでいる。2013年にはコルビンという若きエース候補が出現も、その後早々にトミー・ジョン手術により今もまだ離脱している。いずれ復帰はするが、その際に負担を軽減するだけの強力な先発投手の存在は必須だろう。そうなる可能性が高いのがこのブラッドリーだ。ポテンシャルの高い本格派で本来なら昨季メジャーデビューして活躍していたはずだが、それでもまだ22歳。今季はメジャーのローテーションへの定着を目指したい。

ヤスマニ・トーマス(24)
ゴールドシュミットという絶対的な打者を擁する打線に必要なのは彼の前に塁に出る打者と後ろでサポートする打者。近年キューバ人選手がMLBを沸かせているが、今季その役目を担う可能性のあるトーマスは、ゴールドシュミットに次ぐ打者として活躍できるポテンシャルがありそうだ。まだその実力の程は不透明な点が多いが、今季終了した時点でどれくらいの数字を残しているのか注目だ。


コロラド・ロッキーズ

タイラー・マツェック(24)
ダイヤモンドバックス同様投手陣に困っている、いやそれ以上に困っているロッキーズには数年前のヒメネスのようなエースを必要としている。昨季厳しい条件下である程度期待のできる数字を残したマツェックには、今後そういう活躍をしてもらいたいところ。現在は制球難でマイナー落ちしており、早期の克服が望まれる。

カルロス・ゴンザレス(29)
ゴンザレスと言えば数年前まではスーパースターであり長期大型契約も結んでいるわけだが、まだ老け込む歳でもないのにも関わらず怪我の多さが影響したのか数字を大きく落としている。同じ怪我が多いロッキーズの同僚トゥロウィツキは出場さえすれば数字を残すだけにゴンザレスの不振は印象が悪い。彼が復調してもロッキーズは苦しいだけに復調しなければますます苦境に立たされることになる。


ロサンゼルス・ドジャース

ブレット・アンダーソン(27)
カーショウ、グレインキーに次ぐ非常に優秀な3番手として活躍していたリュの今季絶望により、3番手投手の出現が急務になっている。今季その穴を埋めるべく奮闘しているのがアンダーソンだ。元々将来を有望視された左腕だったが、毎年のように大きな怪我をしてここ4年間で100イニングに到達した年がない。実力は間違いないだけに今季はシーズン終了まで長期離脱なく活躍したい。

ジョク・ピダーソン(23)
ケンプを放出したドジャースにはもちろんその代わりを用意する算段があった。それがマイナーで大活躍していたピダーソンだ。そしてその目論見は今の所うまくいっており、攻守ともにレベルの高い活躍で新人王の有力候補になっている。そのパフォーマンスはもはや新人の域を超えてドジャースの主力の一人だ。


サンディエゴ・パドレス

タイソン・ロス(28)
昨季はオールスターにも出場したロスはのパドレス移籍後の活躍ぶりは素晴らしいが、今季は初の200イニング到達と200奪三振を目指したいところ。シールズがエースとなった今季のパドレスにおいて2番手以降を担う存在として非常に重要な投手だ。

マット・ケンプ(30)
オフのパドレス大補強最大の目玉であったケンプは、当然成績もそれに伴うものを残さなくてはならない。幸いにも昨季はある程度数字を回復させたため期待されたが今季はこれまでキャリア最低の出来だ。投手有利のホームだけでなくアウェイでも数字を残せていないあたりが非常に気になるところ。


サンフランシスコ・ジャイアンツ

マット・ケイン(30)
6年連続200イニングとタフさと安定感がウリだったケインのパフォーマンスが2013年から落ち始め、今季は怪我によりまだリハビリ段階にある。復帰は近いがまた以前のような安定感を取り戻すようなら西地区の他チームにとっては非常に大きな脅威になるだろう。

ブランドン・ベルト(27)
ポージー、ペンスと右の強打者はいるものの中々左で長打を打てる打者に恵まれていないジャイアンツ。潜在的にパワーにおいて高いポテンシャルを秘めるベルトはそれがうまく開花されないままここまで過ごしてきている。しかし昨季は61試合で12本塁打と20本以上打てる可能性をみせてくれた。2013年がキャリアハイとなるにはあまりにも惜しい素材だけに、そろそろ強打者として花開いてポージーとのクリーンナップを形成したいところだ。


2015年6月21日日曜日

マックス・シャーザー あわや完全試合のノーヒッター達成

おそらくMLB史上有数の、悔いの残るノーヒッターだったのではないだろうか。
今季からナショナルズでプレーしているマックス・シャーザーがノーヒットノーランを見事達成した。ナショナルズの投手としては昨季のジョーダン・ジマーマンに続き史上2人目の達成で、今季のMLB全体ではジャイアンツのヘストンに続き2人目ということになる。
その大型契約から伺える期待値以上の活躍ぶりでサイ・ヤング賞の有力候補であるシャーザーだが、これが初めてのノーヒッターとなった。ただ非常に惜しかったのは9回2アウトまでは完全試合だったということだ。9回2アウトからヒットを許し大記録を逃すというのは日米問わずよくある話ではあるが、今回許したのはヒットではなく死球だった。最後の打者とするべくシャーザーがホセ・タバタに投じたボールはタバタの肘に当たった。タバタが避けようとしたが故に当たってしまったような軌道だったために、なんとも悔いが残る1球だった。ヒットでも四球でもなく死球で大記録を逃すというのは計り知れない悔しさがあるだろう。しかし結果的にはノーヒッターという、こちらも十分すぎるほどの大記録を達成した。復帰したブライス・ハーパーが景気付けにホームランを打つなどファンにとっては非常に楽しめる試合だったにちがいない。
これで8勝5敗と抜群の安定感の割に貯金が少ないシャーザーだが、勝敗はともかく内容はキャリアハイと言ってもいい移籍初年度。ゲリット・コールらライバルも強力だが、両リーグでのサイ・ヤング賞獲得は十分に視野に入っている。

A・ロッド 本塁打で通算3000安打達成

薬物にまみれようともやはりスター。アレックス・ロドリゲスが先日の2000打点に続き3000安打を達成した。記憶に新しいところでは2011年に元同僚のデレク・ジーターがヤンキース史上初の3000安打を本塁打で達成したが、本塁打での達成はウェイド・ボッグスに次ぐ史上2人目だった。A・ロッドはこれで史上29人目の3000安打達成者であり、史上3人目の本塁打での達成者ということになる。また、3000安打・600本塁打・2000打点を達成したのはハンク・アーロンに次いで史上2人目だ。この記録の是非については、議論の的になるだろうがそれを語るのは彼が引退した後にしたいと思う。今はただこの史上有数の大記録を祝福したい。
ちなみに次に現役で3000本を達成しそうなのはイチローだ。イチローはMLBで現在2886安打。起用法を見る限り今季中の達成は厳しいが、うまくいけば来季中には達成することができるだろう。

2015年6月14日日曜日

A・ロッド 通算2000打点を達成

39歳のアレックス・ロドリゲスが本塁打で通算2000打点を達成した。
打点という成績自体は1920年にでてきたもののため、記録媒体によって異なる点がいくつかあるのだが、Baseball-Referenceによると現在のA・ロッドの2001打点はハンク・アーロン(2297打点)、ベイブ・ルース(2214)、キャップ・アンソン(2075)に次ぐ史上4位の記録だ(1920年に打点が公式化されてからの記録ではアーロンに次ぐ史上2位)。

以下はA・ロッドのコメント。

”打点とは面白いものだ。周りの協力なくしてはありえず、自分がシアトルにいた時や20代の時の素晴らしいチームメイトや友人たちを思い出させてくれる。とてもユニークなスタッツだよね。”
”我々にとって最も重要なことは試合に勝つことだ。そして試合に勝つには点を入れるしかない。だから打点と得点というのは最も重要な要素なんだよ。”

彼は今回の試合によってさらに666本塁打、2995安打に到達している。今季いくつものレジェンドの記録を塗り替えてきている彼だが、これから数日中に3000安打というさらなるレジェンドへの扉を開けることになるだろう。


2015年6月12日金曜日

ナ・リーグ中地区各チーム投打のキープレイヤー

シカゴ・カブス

ジェイク・アリエッタ(29)
昨季のアリエッタは、期待されながらも炎上を繰り返したオリオールズ時代とは別人だった。規定投球回数には届かなくともその働きはエース級のものだったと言えよう。しかし”これから”のチームであるカブスにおいてはその働きぶりを今季以降の数年間も見せなくては意味がない。新加入のレスターが少なくともエース級のパフォーマンスを今後3年程度は維持するとして。アリエッタには左右のエースの一角になることがのぞまれる。

クリス・ブライアント(23)
ついにベールを脱いだ期待の強打者は今の所期待に違わぬパフォーマンスを見せていると言えよう。今後10年に渡ってカブスの中軸を担っていくかもしれない打者だけに、ファンも彼の活躍ぶりには一喜一憂しているはずだ。とにかく新人王をとるくらい打つことができれば、おのずとチームの好成績にも結びついてくるだろう。


シンシナティ・レッズ

ジョニー・クエト(29)
2011年以来故障での長期離脱もありながらここまで安定して一線級のパフォーマンスを続けているクエトもオフにはFAになる。昨季はカーショウさえいなければサイ・ヤング賞間違いなしの圧倒的な成績で、今季も好成績ならFA市場では引く手数多になるはずだ。またシーズン途中でのトレードでの可能性も高く、アストロズなどが興味を示しているとも言われている。もはやレッズに残る可能性は低いが、将来のためにプロスペクトを大量に獲得したいレッズに、クエトの動向は今後に大きな影響を与えてることになる。

ビリー・ハミルトン(24)
現役で最も100盗塁に近い男ハミルトンは非常に苦しんでいる。そもそも出塁できなければ盗塁など出来ないわけで、出塁率が3割を切るようではいくら盗塁をしてみせたところで戦力にはならない。しかしやはりロマンがあるのも確かでほんの少しのきっかけで変わりそうな予感もする。今季は昨季と比べて盗塁の精度は向上しており、後は打撃向上を待つのみだ。


ミルウォーキー・ブルワーズ

ウィリー・ペラルタ(26)
デビュー以来ここまで順調に育ってきている印象のある速球派のペラルタ。その割には奪三振が少ないなど課題も少なくはないのだが、今季はブレイクの年になることを期待されている。ピッチングスタッフが非常に乏しいため、昨季程度の投球ができればもはやエース格だ。

ライアン・ブラウン(31)
チームのスターも薬物の手にかかれば嫌われ者へと変貌してしまう。昨季は大きく成績を落としてしまったため、今季は薬物なしでも活躍できるというところを証明しなくてはならない。チームとしても巨額契約が残っているだけにOPS.850くらいは打ってもらいたいところだ。


ピッツバーグ・パイレーツ

ゲリット・コール(24)
2011年の全米1位投手はここまでスターへのステップを順調に駆け上がっている。昨季は故障がもったいなかったが、今や彼はMLBで最も期待される若手投手の一人。そしてその期待に違わぬ活躍ぶりで今季はサイ・ヤング賞の最有力候補である。今季の期待値は最低でも200回 防御率2点台といったところか。

グレゴリー・ポランコ(23)
マッカッチェン、マーテが揃う外野陣の最後のピースとなるべきポランコは昨季メジャーデビュー。3割20本30盗塁を狙う選手へと成長することが期待されているが、今季はとにかく打線の上位を担う打者としてふさわしい数字を残すことが重要だ。


セントルイス・カージナルス

カルロス・マルティネス(23)
小柄ながら、今季から先発投手として待望のローテーション入りを果たしたマルティネス。カージナルス最高の有望株であり、制球難さえ改善されればエースになるだけの実力を持っている。数年後にはサイ・ヤング賞候補の一人として名を連ねていてもおかしくはなく、今季はすでにその片鱗を見せている。

ジェイソン・ヘイワード(25)
事故により若きタベラスが命を起こし、将来の外野の構想が狂ってしまったカージナルスがその穴埋めに獲得したヘイワードだが、ブレーブスがトレードに応じたことからもわかるように守備こそ一級品ながら攻撃面においては当初グリフィーとも比較された実力は発揮できていない。あるいはおれが彼の限界なのかもしれないが、年齢から考えてもまだまだ向上の余地があるはず。守備力は非常に高いだけに少なくとも2012年の水準に戻りさえすればリーグ屈指の外野手となることができる。



2015年6月11日木曜日

ナ・リーグ東地区各チーム投打のキープレイヤー

アトランタ・ブレーブス

シェルビー・ミラー(24)
2013年にテヘランとも新人王争いを繰り広げたミラーだが、昨季はやや苦しんだものの2年連続2桁勝利を記録することには成功した。将来のカージナルスのエースと期待された彼はトレードにより今季からはブレーブスでプレーすることになったが、彼のブレーブスにおける役割は非常に重要だ。キンブレルをも放出したことによって解体気味になっているブレーブスだが、例年強力な投手陣を形成するのがウリになっているこのチームにはやはり絶対的エースが必要だ。そうなる可能性があるのがテヘランとミラーの2人。テヘランが大きな不振に陥っている今、ミラーの活躍は必須だ。

アンドレルトン・シモンズ(25)
アップトンとヘイワードという主力打者を失ったブレーブス打線には、強打者といえるのはもはやフリーマン1人しかいない。フリーマンをサポートできるような打者が必要だが、現状そのポテンシャルが一番高そうなのは2013年に17本塁打という一定の長打力を見せているシモンズだ。今はまだ守備の人という域から脱していない彼が最低でも15本以上は打てるようになればブレーブス打線に違いが生まれるはずだ。


マイアミ・マーリンズ

マット・レイトス(27)
ピッチングスタッフが揃いつつあるマーリンズにおいてエースと言えるのは現在リハビリ中で今季中に復帰を見込まれるホゼ・フェルナンデスだ。しかし強いチームにはエースを支える優秀な2,3番手が存在するもの。このチームでそうなるべ投手はレイトス以外いないだろう。パドレスで優秀な成績を残しレッズへトレード後も活躍しながら今季は怪我の影響もあってか絶不調だ。フェルナンデスが今季途中での復帰であることを考えてもマーリンズに今季プレーオフの可能性は薄いのだが、最低限フェルナンデス、レイトスという若き2本柱を確立することが最重要なのではないだろうか。

クリスチャン・イェリッチ(23)
今季開幕前リーグ屈指の外野陣と言われたイェリッチ、オズーナ、スタントンの陣容。その中でもイェリッチは走攻守揃った理想的な1番打者として大きく期待されていた。ところがふたをあけてみればここ2年から考えると予想外にも思える不調ぶり。主軸にスタントンが構えているだけにその前にどれだけランナーをためられるかが重要な状況で、イェリッチが仕事をできないようではマーリンズの将来的な構想にも関わってくるだろう。


ニューヨーク・メッツ

マット・ハービー(26)
投手でキープレイヤーと言うなら彼しかいないだろう。スローリハビリを経てトミー・ジョン手術から復帰したハービーはメッツの最高の希望だ。今季トミー・ジョン手術により全休のザック・ウィーラー、今季デビューした最高の有望株ノア・シンダーガードとともに将来の本格派投手3本柱ができることを予想されているわけだが、その中でもエースをはるのはハービーになるはずだ。2013年の活躍ぶりはそう思わせるのに十分なものであり、今季はとにかく彼がしっかりエースであることを示すことがのぞまれる。

トラビス・ダーノー(26)
そろそろメッツもライトにつく生え抜きのスター打者が欲しいところ。強打者というならばデューダがいるが、やはり若い頃からの期待度という点ではダーノーが一番だ。期待されながら結局思うような活躍を見せられていないのは気になるが、彼に頼りたくなるほどメッツの野手には期待の若手などはいない。現状はDL入りしているが復帰後、3年目の正直となるだろうか。


フィラデルフィア・フィリーズ

コール・ハメルズ(31)
はっきり言って将来性のないフィリーズだが、トレードの噂が絶えないハメルズはトレードで若手有望株を獲得する駒として重要な存在だ。このチームで最もトレード価値があるだけに、彼が今季しっかりエース級の活躍を見せシーズン途中ないし今オフ以降にどれだけの有望株に交換できるかというのはフィリーズの進退にも関わる。

マイケル・フランコ(22)
このチームにおける数少ない期待の若手フランコ。2013年にはマイナーで31本塁打を放つなどパワーのポテンシャルは高い。今季はとにかくレギュラー定着、そして二桁本塁打越えがノルマだ。


ワシントン・ナショナルズ

スティーブン・ストラスバーグ(26)
史上最高クラスの先発ローテーションが出来上がったナショナルズ。シャーザー、ストラスバーグ、ジマーマン、ゴンザレス、フィスターという陣容はあまりにも豪華だがこれはFAになる投手もいるためおそらく今季限りで解散になる。しかし来季以降のことも考えるならドラフト史上最高の逸材と言われたストラスバーグの覚醒がそろそろ見たいところ。特に彼には今季プレーオフで暴れてもらわなくてはならないため、現状不調でDL入りはしているがシーズン後半は絶対に復活し、これまで以上の活躍をしなくてはならない。

ブライス・ハーパー(22)
投手でドラフト史上最高の逸材がストラスバーグなら野手ではハーパー。デビュー以来の彼のメジャーでの活躍ぶりは、並のスター候補なら十分でもブライス・ハーパーという名前からすると物足りないものだった。いつトラウトのようなリーグを代表するようなスーパースターへ変貌するのか、それともこの程度の選手だったのかとファンをヤキモキさせてきたハーパーだがついに覚醒。現状MVP最有力候補であるだけではなく、プレーオフに入れば彼の存在は自チームにも対戦チームにとっても最も大きなものとなる。それにしても恐ろしい選手である。

2015年6月10日水曜日

新人投手クリス・ヘストンがノーヒッター達成

2015年初のMLBノーヒッターがジャイアンツの新人クリス・ヘストンによって達成された。ジャイアンツ史上17度目のノーヒッターとなったが、ジャイアンツの投手がノーヒッターを達成するのは2012年ケイン、2013、14年のリンスカムに続いて実はこれで4年連続。3者に死球は与えた者の無安打無四球11奪三振に加えて自ら2打点をあげるなど大活躍を見せたヘストンは昨季デビューしたばかりの遅咲きの27歳だ。この日の対戦投手だったメッツの豪速球投手シンダーガードとは違い平均球速は90mphに満たない程度だが、今季は動く速球を軸に安定した制球力、奪三振力を見せている。また好不調が非常にはっきりしており、今季はここまで12試合に登板して自責点を1以内に抑えた試合が7試合、それ以外の試合では全て5失点以上と炎上している。ここまではっきり結果に表れるのも珍しいが、炎上か快投という博打投手。今季の新人王候補の一人でもあるためシーズン終了まで要注目だ。


カルロス・コレア 待望のメジャーリーグデビュー

2015年のMLBドラフトが行われた同日、アストロズから2012年の全体1位指名選手カルロス・コレアが20歳でのメジャーデビューを果たし、メジャー初ヒットと初打点をあげた。
彼はプエルトリコ出身で初の全体1位指名選手であり、将来を嘱望される大型ショートストップだ。高卒でアストロズと契約した彼はプロデビュー2年目からその才能の片鱗を見せ始め、マイナー4年間通算で打率.313 25本塁打 OPS.883という好成績を残している。特に今季のAAでの活躍は凄まじく、MLB全体のプロスペクトの中でも最高の逸材であることは確かだ。AAA昇格後には成績を落としたため、メジャーの水に慣れるのにも少し時間がかかるかもしれないが彼がスーパースターの仲間入りを果たすのもそう遠くないだろう。現在のMLB、特にア・リーグにおいてはショートの好打者が不足している。ア・リーグにはトロイ・トゥロウィツキやジョニー・ペラルタといった攻撃力の高いショートがいくらか見られるがア・リーグにはそれに匹敵する選手は存在しない。コレアはそういった状況を打破する上で重要な存在であり、なおかつ現状地区首位を走るアストロズのさらなるブーストになることを期待される。ましてや全体1位指名選手だ。彼がショート版トラウトと言えるような活躍を見せることができるのか期待したい。


2015年6月9日火曜日

2015年MLBドラフト

今日から始まったMLBドラフト、初日は2巡目全体75までが選ばれた。今回は全体42位までを紹介する。

1位 ダンスビー・スワンソン(SS) ダイヤモンドバックス
2位 アレックス・ブレッグマン(SS) アストロズ
3位 ブレンダン・ロジャース(SS) ロッキーズ
4位 ディロン・テイト(RHP) レンジャーズ
5位 カイル・タッカー(OF) アストロズ
6位 タイラー・ジェイ(LHP) ツインズ
7位 アンドリュー・ベネンテンディ(OF) レッドソックス
8位 カーソン・フルマー(RHP) ホワイトソックス
9位 イアン・ハップ(OF) カブス
10位 コーネリウス・ランドルフ(SS) フィリーズ
11位 タイラー・スティーブンソン(C) レッズ
12位 ジョシュ・ネイラー(1B) マーリンズ
13位 ガレット・ウィットリー(OF) レイズ
14位 コルビー・アラード(LHP) ブレーブス
15位 トレントン・クラーク(OF) ブルワーズ
16位 ジェームズ・カプリーラン(RHP) ヤンキース
17位 ブレイディ・エイケン(LHP) インディアンス
18位 フィル・ビックフォード(RHP) ジャイアンツ
19位 ケビン・ニューマン(SS) パイレーツ
20位 リッチー・マーティン(SS) アスレティックス
21位 アッシュ・ラッセル(RHP) ロイヤルズ
22位 ビュー・バローズ(RHP) タイガース
23位 ニック・プラマー(OF) カーディナルス
24位 ウォーカー・バーラー(RHP) ドジャース
25位 DJ・スチュワート(OF) オリオールズ
26位 テイラー・ウォード(C) エンジェルス
27位 マイク・ニコラック(RHP) ロッキーズ
28位 マイク・ソロカ(RHP) ブレーブス
29位 ジョン・ハリス(RHP) ブルージェイズ
30位 カイル・ホルダー(SS) ヤンキース
31位 クリス・ショウ(1B) ジャイアンツ
32位 ケブライアン・ヘイズ(3B) パイレーツ
33位 ノーラン・ワトソン(RHP) ロイヤルズ
34位 クリスティン・スチュワート(OF) タイガース
35位 カイル・ファンクハウザー(RHP) ドジャース
36位 ライアン・マウントキャッスル(SS) オリオールズ
37位 ダズ・キャメロン(OF) アストロズ
38位 タイラー・ネビン(3B) ロッキーズ
39位 ジェイク・ウッドフォード(RHP) カージナルス
40位 ネイサン・カービー(LHP) ブルワーズ
41位 オースティン・ライリー(3B) ブレーブス
42位 トリストン・マッケンジー(RHP) インディアンス

全体1位から3位までにショートの選手が並んだ。今年の全体1位選手ダンスビー・スワンソンは2012年にもロッキーズから38巡目で指名された経験のある21歳の右打ち右投げの選手だ。30本を放つようなパワーヒッタータイプではないが、安定した打撃力とスピードを兼ね備えている。他に今回注目の選手は17位のブレイディ・エイケン。昨季アストロズから全体1位指名された彼は契約内容でアストロズと交渉決裂しドラフト史上3人目の全体1位入団拒否となった。またこの入団拒否によってアストロズは今年のドラフトで全体2位指名権を獲得しており、全体5位とあわせて2つの上位指名権をもっていた。早ければ今季中にメジャーデビューする選手も出る可能性があるが、彼らは未来のスター候補ばかり。数年後の彼らの活躍に期待したい。

2015年6月6日土曜日

両投げ投手パット・ベンディットがメジャーデビュー

今まで何度か話題になったため、この世にも奇妙な投手をご存知のファンも多いだろう。29歳の両投げ投手パット・ベンディットがアスレチックスでようやくメジャーデビューをはたし、さっそく両投げで2イニングを無失点に抑えた。これによって彼は近代MLBにおいて初のスイッチピッチャーということになる。
ベンディットは2007年にヤンキースから45巡目でドラフト指名されるも入団せず、翌2008年に再度ヤンキースから20巡目で指名され入団した。彼がマイナーリーグでプロデビューした際には対戦打者が両打ち打者だったため、お互いが左右を入れ替え続けるという状況に陥りこれによって投手はその打席中は投球する手をかえることはできないという新ルールができた。2013年にはイタリア代表としてWBCでもプレーしたが、マイナーでの歩みは遅く今季からはアスレチックスとマイナー契約し好投を続けたためようやくメジャーデビューという運びになった。


2015年4月7日火曜日

ア・リーグ西地区各チーム投打のキープレイヤー

ヒューストン・アストロズ

ダラス・カイコ(27)
そろそろこのチームにもエースと呼べる存在が欲しいところだが、カイコはそうなる可能性を秘めた投手だ。デビュー後最初の2年は芳しくなかったものの昨季は200回・防御率2点台など大車輪の活躍。今季も活躍できるのであれば本物だろう。是非ともワークホースとなってほしいところだ。

ジョージ・スプリンガー(25)
野手ではアルトゥーベがリードオフマンとして台頭し、カーターが長距離砲として大成しつつある。今後マイナーにいるカルロス・コレアが昇格し打線の上位に定着するであろうことを考えるとやはりもう一人強打者がほしい。ギャティスやラスマスなども獲得したが、若さとポテンシャルの高さではやはりスプリンガーに大きな期待がかかる。昨季78試合で20本塁打を放ったこの選手は走攻守いずれも優れた選手だ。粗さはあるもののマイナーではトリプルスリーも達成しており、今季アルトゥーベに続いて全米に名を轟かすのはこの男かもしれない。


ロサンゼルス・エンジェルス

ギャレット・リチャーズ(26)
パフォーマンス低下がみられるウィーバーやウィルソンに頼るのは厳しくなってきた先発ローテーションで今季重要な投手は昨季大活躍だったシューメイカーとこのリチャーズの二人。中でもリチャーズにはエースになれる素養があり、故障から復帰すれば昨季の活躍はフロックではなかったことを証明してくれるだろう。逆に彼が思うように活躍できないようだとエンジェルスの雲行きはかなり怪しくなる。

アルバート・プホルス(35)
もはやトラウトしか信頼できる打者のいないこの打線では、やはりプホルスの復活は必須だろう。長打力はまだあるものの出塁率の低下は深刻で、明らかに目に衰えがみられる。少なくとも移籍初年度の2012年並みの打撃を見せて欲しいところだ。


オークランド・アスレチックス


ドリュー・ポメランツ(26)
右のエースはグレイ、左のエースはカズミアーというのが今の陣容だが、昨季後半に大崩れしていまいち信用がならないカズミアーにかわって左のエースに名乗りを上げそうなのがポメランツだ。全体5位の元プロスペクトはオークランドへの移籍によってようやく日の目を見そうだ。ポテンシャルが高いだけに大化けすればアスレチックスの先発ローテーションは一気に様変わりする。

ブレット・ラウリー(25)
かなりスケールが小さくなってしまったがその守備力には定評があるラウリーは、まさに昨季までのドナルドソンのようになることが求められる。守備は大きな問題はないだろうが打撃はどうだろうか。特に長打力の面でアスレチックスは大きく戦力ダウンしているだけに、ラウリーがどれだけ打てるかは最重要ポイントになりそうだ。


シアトル・マリナーズ

タイワン・ウォーカー(22)
現エースのヘルナンデスのような存在になるのではないかと言われてきたウォーカーは昨季満を持してのフルシーズンとなるはずだったが怪我でわずか数試合の登板に終わった。挽回すべく迎えた今季はスプリングトレーニングから防御率0点台の圧巻の投球を披露。あるいはこれがブレイクの兆しなのかもしれないが、彼がブレイクを果たせばヘルナンデス、岩隈とのリーグ最高の3本柱が出来上がることになる。マリナーズにとってこれ以上に強力な武器はないだろう。

ネルソン・クルーズ(34)
カノー、シーガーという毎年ある程度安定した好成績を残す打者を擁するマリナーズ打線ではあるが、喉から手が出るほど欲しいのはやはり長打力。30本塁打以上を打てる強打者はマリナーズが切望するものである。昨季40本塁打で本塁打王に輝いたクルーズはセーフコ・フィールドで同じようなパフォーマンスを発揮するのは難しいだろう。ただとにかく30本打って欲しいというのがマリナーズの願いだ。

テキサス・レンジャーズ

デレク・ホランド(28)
ダルビッシュまでも失ってしまったレンジャーズにプレイオフの目は少ないだろう。となれば重要なのは来季への可能性を繋ぐこと。若手の台頭に期待するのもいいがレンジャーズの場合は怪我から復帰する主力に期待したい。特に左のエースだったホランドの復活はしてもらわないと困るといったところ。来季半ばにダルビッシュが復帰した際にはダルビッシュ、ホランド、ペレスという三本柱ができあがっているのが理想だ。

プリンス・フィルダー(30)
打者に有利なアーリントンでプレイすればその打棒が復活すると思われた昨季は怪我でシーズンの大半を出場できずに終えた。やはりレンジャーズは強力打線を構築してこそ。その中で核となりうるのは現状フィルダーしかいない。万全の状態で挑む今季結果を残せなければレンジャーズ打線に黄色信号が灯ることになる。最低でも30本・OPS.850以上はやってもらいたい。

2015年4月6日月曜日

クレイグ・キンブレルがパドレスに衝撃のトレード

MLB最高のクローザーとして知られるクレイグ・キンブレルがパドレスへとトレードされることが発表された。
トレードの内訳は以下のとおり。

クレイグ・キンブレル(26)
メルビン・アップトン Jr.(30)
→パドレス

キャメロン・メイビン(28)
カルロス・クエンティン(32)
マット・ウィスラー(22)
ジョーダン・パルーベック(20)
全体41位指名権
→ブレーブス

開幕直前に来て、オフに大補強を敢行したパドレスがまたしても思い切った行動にでた先発投手、野手だけでなく盤石なリリーフ陣も整え今季は本気で優勝を狙いに行く模様だ。キンブレルは現役最高のクローザーとして知られており、4年連続40セーブ以上、3年連続防御率1点台の絶対的守護神だ。ブレーブスとは長期契約も結んでいたが、解体気味のブレーブスが不良債権のアップトンを抱き合わせる形で放出したことになる。すでに弟のジャスティンもパドレスでプレーしており、これによりまたしてもこの兄弟は同じチームでプレーすることになるだろう。

2015年4月5日日曜日

ア・リーグ中地区各チーム投打のキープレイヤー

シカゴ・ホワイトソックス

デビッド・ロバートソン(29)
大枚叩いて獲得した念願の絶対的クローザー。彼が機能しないとチーム戦略が大きく狂うことになる。奪三振力は非常に高いが本塁打を浴びること、四球を出すことは少なくない。スプリングトレーニングではこの弱点を完全に露呈し乱調ぶりを披露しているが、ヤンキース、それもリベラの後釜という形でクローザーをつとめあげたメンタルは強力な武器になるはずだ。

アダム・イートン(26)
イートンはデビュー当時から個人的に大いに期待してきた選手だ。高い打撃力、選球眼、スピードとリードオフマンに必要な要素を揃えており、これまで足踏みはしてきたが昨季はついに打率3割に到達した。しかし彼の完成系は打率3割・出塁率4割・30盗塁。アブレイユというランナーを返すことのできる打者を擁するホワイトソックスにあって最も必要なのがイートンのような塁に出る選手だ。


クリーブランド・インディアンス

トレバー・バウアー(24)
ダイヤモンドバックスの将来のエース候補としてドラフト上位で獲得されながら早々にトレード。移籍先のインディアンスでもここまではいまいち結果のでない日々を送っている。課題はやはり制球面だがポテンシャルの高さは疑うべくもない。少しでも制球が改善されれば一気に大化けする可能性を秘めており、それが今季起こってもおかしくない。というよりインディアンスとしては彼にはブレイクしてもらわねば困る。

ジェイソン・キプニス(28)
インディアンスがなによりも切望しているのはキプニスの復活だろう。デビュー以来順調な成長を見せ、2013年にはこのままいけばリーグ最高の二塁手と呼ばれる日も遠くないと思わせたが昨季スランプに陥った。打率はともかく出塁率と長打力には復活してもらいたいところで、彼が本来の力を出せるか如何で打線の厚みは大きく変わってくる。足も使える選手だけに彼が好不調は走攻守すべてに影響する。


デトロイト・タイガース

アニバル・サンチェス(31)
屈指のローテーションはシャーザーという最高の投手を失った。以前は絶対的だったバーランダーももはやただのローテーション投手になってしまった感がある。残るはプライスとこのサンチェスである。プライスが活躍するのは大前提として非常に重要なのが2番手を担うサンチェスになるのは間違いない。パフォーマンスの問題ではない。投げられるかどうかである。マウンドに上がりさえすれば高いパフォーマンスを発揮する彼の最大の問題は故障だ。どんな大投手でも投げられないのであれば金食い虫でしかない。サンチェスが今季を健康に過ごすことは至上命題と言える。

ヨエニス・セスペデス(29)
弱低下した投手陣に対して打線の方には希望の光がある。昨季大活躍したビクター、JDの二人のマルチネスが健在な他、今季はカブレラ復活にもある程度期待できる。そしてなにより大きな希望はセスペデスの加入だ。アスレチックスでは思ったほどの活躍はできなかったが、他の打者のサポートも増えるタイガースにおいては成績向上の余地が大いにある。初の30本塁打も期待していいはずだ。投手力が落ちた分、この人が打撃で穴を埋めなくてはならないだろう。


カンザスシティ・ロイヤルズ

ヨーダノ・ベンチュラ(23)
シールズを失ったロイヤルズローテーション。もちろんどうにかこの穴を埋めなければ昨季の快進撃の再現とはいかないだろう。そして次なるエースの可能性を持つ投手といえばもうベンチュラしかない。チームは彼を長期契約で囲い込もうとしており、エースとして大きく期待されている。ロイヤルズにとっては活躍しなくてはならない選手だろう。

エリック・ホズマー(25)
ロイヤルズには圧倒的に打撃力が足りない。特に長打力だ。かといってムースタカスに期待するのは愚策だ。それくらい彼は期待を裏切ってきた。同時期に活躍し始めたホズマーの方に期待をするのがまだ現実的だろう。本塁打は1年目がピークとなっているが、3割20本塁打のポテンシャルはある選手だ。逆に彼でも打てないようだとロイヤルズ打線は窮地に陥ることになる。


ミネソタ・ツインズ

トレバー・メイ(25)
ツインズは今季はっきり言って優勝争いをする可能性がかなり低い。いくつか補強はしたものの今季は我慢の年として割り切るべきだろう。となると気になるのは若手がどれほど活躍するか。投手で重要になってくるのは開幕ロースターからは外れたプロスペクトのメイ。昨季遅いデビューとなったが荒れ球ながら高い奪三振力を見せるなどポテンシャルの高さを見せてくれた。シーズン途中で昇格しローテーションに定着することが目標となる。

ケニース・バルガス(24)
野手に関しても若手がどれだけ成長できるかが重要事項。中でも昨季53試合で9本塁打のバルガスはツインズにとって念願の強打者になる可能性がある。ドージアーやアルシアなどもいるが、確実性に欠ける彼らより高打率を残す選手になれる存在だ。彼が打率2割8分・25本ほど打てるならば今後ツインズの将来設計はかなり明るいものになる。

2015年3月30日月曜日

ア・リーグ東地区各チーム投打のキープレイヤー

ボルチモア・オリオールズ

ザック・ブリットン(27)
近年複数年連続して固定される絶対的守護神と言える存在を欠いているオリオールズ。打線が力を落としつつある現状もあり、リリーフには勝利の方程式をしっかり作っておきたいところ。その点まだ若いブリットンが昨季クローザーとして大きく貢献したことは朗報だった。問題はこのクオリティをこれから数年続けていけるか。クローザーとして2年目のジンクスに陥ってしまえば今季のオリオールズ優勝の可能性は大きく遠のく。

マニー・マチャド(22)
実はまだかなり若いマチャドは守備面で欠かせない存在なのはもちろん打撃でも2013年の51二塁打など存在感が大きい。弱体化している打線を底上げするためには彼が打撃面で大きく貢献することが必須。理想は40二塁打20本塁打程度を放つような打者になること。怪我明けの今季はそこまでは望めないにしろ2013年レベルの打撃は期待したいところ。


ボストン・レッドソックス

クレイ・バックホルツ(30)
2013年はシーズン半ばまでサイ・ヤング賞最有力候補でありながら怪我でシーズンエンド。リベンジを誓った2014年は防御率5点台という極端なシーズンを送っている近年。安定感では移籍してきたポーセロやマイリーには及ばないが、爆発力という点ではやはりバックホルツが最もエースとして戦える投手。レッドソックスの先発ローテーションの出来は彼のパフォーマンス次第で決まると言っても過言ではない。

ハンリー・ラミレス(31)
高齢のオーティズには過度な期待はできず、他の面々を眺めても長打で大きく貢献できそうなのは波の激しいナポリとフリースウィンガーのサンドバルくらいしか見当たらない。この中で最も実績のあるラミレスは、これまた波が激しい選手ではあるが爆発力は未だ衰えていない上走塁面での貢献も望める。問題はトラブルメーカーとしての側面と外野へとコンバートしたこと。実力は間違いなく、フェンウェイパークでプレイすることにより成績向上も見込めるが精神面をどうコントロールするかだ。


ニューヨーク・ヤンキース

マイケル・ピネダ(26)
怪我さえなければ田中将大がサイ・ヤング賞級の活躍をするのは間違いない。過去のエースであるサバシアにはもうほとんど期待はできない。これまでワークホースとしてチームを引っ張った黒田もいない。となればヤンキースにとってどうしても必要なのは田中に続く2番手投手を確立すること。そしてその役目を若いピネダが担えるのならばこれ以上のことはない。昨季は不正投球に怪我と色々ケチはついたものの、復帰後に残した数字も非常に立派なもの。万全の状態で投げられるなら今季こそは大きな飛躍のシーズンになる可能性は高い。

アレックス・ロドリゲス(39)
MLBで最も嫌われている男がついに帰ってくる。これ程批判にさらされてもまだ現役を続けるメンタルはもはや不屈としか言いようがないが、そんな男の手は必要無いと言い切れないのが今のヤンキースのチーム事情である。今季はおそらく薬物検査の標的になるであろうこともあって薬物に手を出すのは極めて難しい状況。スプリングトレーニングではかなりの好成績を残しており、クリーンなA-RODがどこまでやれるのか見ものである。彼が復活を果たすようであればヤンキースは意外とやれるかもしれない。彼は私が初めて好きになったメジャーリーガーであるため個人的には応援したい。薬物なしでもやれるということを証明してほしい。


タンパベイ・レイズ

クリス・アーチャー(26)
デビッド・プライスの移籍により、エースと呼べる存在を失ったレイズ。投手力が要のチームであるだけにこれは緊急事態だ。エース候補のムーアの復帰もまだのため、今最も可能性がある投手はアーチャー。カッブの方が安定感はあるが、ポテンシャルの高いアーチャーにはもっと大きな期待がかかっている。制球がよくないあたりがかなり気になるがここを少しでも克服すれば今季こそ200回に到達することができるだろう。

エバン・ロンゴリア(29)
厳しい時期を迎えているレイズにとって最も大事なのは経済的に大きな負担を作らないこと。長期契約を結んだロンゴリアは昨季キャリア最低の出来だったがここから早くも成績が降下していくようだと、トレード放出すら視野に入ってきてしまう。今は我慢の時だけにその最悪のケースを避けるためにも彼はまだ衰えてはいけない。長期契約を結んでもなおサラリーはそれほど高くないため不良債権化するまではいかないだろうが、チーム作りの軸としてどんな状況でも主砲として活躍することが必要だ。


トロント・ブルージェイズ

ダニエル・ノリス(21)
ブルージェイズに最も足りないものは何か。それは間違いなく絶対的エースだ。ディッキーやバーリーは年齢を考えればワークホースとしてよくやっているがエースと呼べる投手たちではない。やはり若手からそういう存在が出てこなくてはいけないだろう。今のブルージェイズ若手投手陣で最もその可能性があり、今季ブレイクしそうなのがノリスだ。この左の奪三振マシーンはスプリングトレーニングでも好調であり、制球さえ改善されれば一気にエースになれるポテンシャルがある。今季大化けに期待したい。

ラッセル・マーティン(32)
私は過去2年パイレーツを大きく変えた要因はマーティンだったと思っている。彼の存在は数字以上に大きくチームに貢献するはずだ。打撃で昨季並みの活躍を再現することは難しいだろうが、それでも彼の貢献度はブルージェイズにとって計り知れないものになるだろう。あるいは彼によってブルージェイズ投手陣の質までも大きく改善されるかもしれない。

2015年3月29日日曜日

2015年このツールに注目!〈投手編〉

☆アロルディス・チャプマンの”球速”
野球のロマンはやはり速球の速度。球速が速い投手はそれだけで魅力的で、おそらく日本でも一定の知名度があるであろう投手がこのチャプマン。世界最速の投手だ。その最速は105.1mph(約169km)、2014年の平均球速ですら100.2mph(約161km)という怪物だ。おまけに左投手とあって、奪三振力もMLB最高クラス。それでも打たれることがあるのが野球の面白いところではあるが、彼の場合はやはり制球面がネックになっている。27歳という年齢を考えても球速は今が全盛期であるため、今後は制球をどれだけ上げていけるかが長い目でみた成功の鍵になるだろう。




☆ジョーダン・ジマーマンの”コントロール”
数年前まではコントロールと言えばクリフ・リーだった。しかし彼も年齢的な衰えや怪我などで第一線から遠ざかりつつあり、また一時代を築いたロイ・ハラディなども引退した今MLB最高クラスのコントロールを誇るのはこのジマーマンだろう。多少地味な存在ではあったものの着実にキャリアを積み重ね、気がつけばオールスターや最多勝、さらには劇的なノーヒッターなどもやってのけた。球威のある速球を軸に抜群のコントロールで打者を追い込む。昨季はなんと3四球以上出した試合は1試合しかなく、11試合が無四球という安定感だった。




☆RA・ディッキーの”ナックル”
日本ではまずお目にかかれない(MLBでもかなり希少だが)といえばナックル。その現役の最高の使い手がサイ・ヤング賞獲得経験もあるディッキーだ。移籍初年度の2013年は苦しんだが昨季は少し持ち直し、40歳と高齢ではあるがまだ数年やれそうだ。彼のナックルの特長はスピード。普通のナックルボーラーより球速があり、それで不可解な動きをするため打者は苦しむことになる。絶滅危惧種に近いナックルボーラーは、今後しばらくディッキーレベルの投手は現れないであろう。




☆クレイトン・カーショウの”牽制”
今や誰もが納得するMLB最高の投手となったカーショウだが、彼のパフォーマンスを支えているのは投球能力だけではない。投球以外で彼が持つMLB最高クラスのツールが牽制だ。通算牽制アウト数は現役でマーク・バーリーに次ぐ2位の48。バーリーの92という数値はダントツだが、カーショウがこのままキャリアを積み重ねればいずれ抜く可能性もあるだろう。左投手ならではの牽制スピードには度肝を抜かれる。




2015年3月28日土曜日

2015年このツールに注目!〈野手編〉

NPBが開幕し、MLBの開幕も間近ということで今回は特にMLBに興味を持ち始めたばかりのファンを一気に引き込むようなプレーを見せてくれる選手を紹介したいと思う。注目してもらいたいのはその選手が持つ、MLBでもトップクラスのツール。MLBだからこそ目にすることのできる純粋な能力、その発想に是非とも酔いしれてほしい。

☆アンドレルトン・シモンズの”肩”
日本では強肩と言えば外野手だが、MLBでは内野手にも強肩自慢がぞろぞろ。特に花形のショートにはとんでもなく肩、リストが強い選手がたくさんいる。その中でも頂点に立つのがブレーブスのシモンズだ。純粋な守備力としてもMLB最高レベルでなおかつとんでもない強肩の持ち主。放たれた送球はまるで投手が投げる100mphの速球のよう。どんな体制からでも速い送球ができるという自信が彼の守備に余裕を与えている。このブログでも再三言及してきた選手ではあるが、今一度、特にMLBの最高レベルの肩とはどんなものなのかと考えている ファンに知ってもらいたい。




☆ジャンカルロ・スタントンの”パワー”
MLBの象徴と言えばパワー。その象徴が故に薬物という誤った道に進んでしまったのも間違いないが、ファンをワクワクさせるこのツールは打撃の華である。そして2015年MLBを代表するパワーヒッターと言えばこのスタントンだ。彼はもはやマーリンズの主砲というだけでなくMLB全体の主砲になりつつある。13年というとんでもない長期契約を結びオフに注目を浴びたこの男は、ただ本塁打を放つというだけでなくその飛距離や弾道にも魅力がある。勢いよくスタンドに突き刺さる打球は見ていて爽快感すら与えてくれる。意外にも怪我などで未だ40本塁打を超えたことのない若き大砲だが、今季最も50本塁打に近い選手だと言えるだろう。




☆ビリー・ハミルトンの”足”
100盗塁という数字を見なくなって久しいMLBの世界に現れた最も可能性も持つ男。マイナーでは2年連続100盗塁、2012年には155盗塁という新記録も樹立した。新人王も期待された昨季はその真価を発揮できず56盗塁。タイトルの獲得もならず失敗数も多いとあってまだ苦しんでいる。しかしその足は本物で盗塁もベースランニングもスピードに関する部分では彼に勝るものはほとんどいない。必要なのはMLBの投手に対する経験と、打撃、特に出塁能力の向上だ。彼が3割5分出塁できるようになった時、100盗塁という数字は現実味を帯びるはずだ。




☆ノーラン・アレナードの”守備”
当ブログでも何度か紹介したこの選手、デビューした2013年から2年連続でゴールドグラブ賞を獲得している三塁守備の天才だ。例えば肩が強いからといった理由ではなく、彼の三塁守備は必要なツールを全て備えているといった感じ。中でも印象的なのが判断力。この非常に重要な能力が彼を特別なサードにしている。彼がみせるパフォーマンスはどれも芸術的。大きな怪我さえなければ今後10年彼がゴールドグラブを独占し続けても不思議はない。





2015年3月21日土曜日

徹底予測! 2015年大ブレイク候補トップ5

スポーツ界には毎年ブレイク選手の出現がつきもの。
2014年はMLBではア・リーグでサイ・ヤング賞を獲得したコリー・クルーバーや首位打者と盗塁王に輝いたホゼ・アルトゥーベ、NPBでは若き二塁手の山田哲人や菊池涼介などが挙げられる。当然ながら2015年のMLBでもそういった選手が現れるのは間違いないはずだ。
そういった選手は大きく二つのタイプに分けることができると思う。一つはフロックでブレイクしたタイプ。その年運がよく本来の実力以上の数字を出してしまい、こういった選手はそのシーズン中でもムラが激しく翌年以降はさらに成績を落とすことが多い。そしてもう一つはブレイクするべくしてブレイクしたタイプだ。このタイプの選手は例えばその前年にマイナーで飛び抜けた数字を出していたり、すでにメジャーに定着していてもブレイクの予兆を残してシーズンを終えていたりする。当然ながら実力を発揮した結果なので翌年以降も好成績を維持する本物のスターだ。
今回ランキング形式で紹介するのは後者のタイプで、昨年ブレイクの兆しを見せた選手たちだ。

1位 クリス・ブライアント(23) シカゴ・カブス
138試合 打率.325 43本塁打 110打点 出塁率.438 OPS1.098 15盗塁
上記は当然ながらマイナーでの成績だが、プロ1年目の2013年も36試合で9本塁打とそのパワーは確かなもの。その勢いはAAA昇格後も衰えず、今季はスプリングトレーニングで9試合で既に6本塁打を放つなど規格外で、2013年スプリングトレーニングでヤシエル・プイグが打率5割を記録したのに似た勢いを感じる。メジャーではまだ未知数ではあるが、明らかにマイナーでは役不足でスプリングトレーニングにおける活躍ぶりを見る限り彼がフルシーズンメジャーでプレーするならば25本以上の本塁打を放つ姿を想像するのは難くない。新人王の最有力候補でもあり、これほどブレイクの可能性を秘めた選手もいないだろう。シーズン前に大きく期待された若手選手がシーズンが始まってみればさっぱりというのは毎年あることだが、ドラフト全体2位のポテンシャル、マイナーでの実績、スプリングトレーニングにおける規格外の活躍、23歳という年齢とこれ以上ないくらいにブレイク要素は揃っている。マイク・トラウトのような存在になれるだろうかという期待をこめて彼を1位としたい。
*開幕ロースターから外れたためメジャーデビューはしばらくお預けとなった。おそらく5月半ばから6月頃の昇格になるだろう。

2位 ノーラン・アレナード(23) コロラド・ロッキーズ
111試合 打率.287 18本塁打 61打点 出塁率.328 OPS.828 2盗塁
既に守備の名手として1年目から広く知られていたアレナードだが、2年目は怪我こそあったもののしっかりと打撃成績を向上させてみせた。18本塁打中本拠地で16本と完全に本拠地クアーズ・フィールドの性質に頼った打撃であり、今季もロッキーズでプレーする以上同じような傾向は続くだろうが、成長とともにしっかり数字は伸びるだろう。既に数字自体は三塁手としてトップクラスに近いのだが昨季後半の長打力を見ると怪我がなければ今季は25本以上を放つ可能性が高いように思える。問題はロッキーズの選手にありがちな内弁慶を改善できるかどうかだが、逆にそこさえ改善できるのなら全盛期のカルロス・ゴンザレスのようにリーグ最高クラスの数字を残してもおかしくない。今季の現実的なターゲットとしては25本100打点といったところだがこれでも十分なブレイクだと言えるだろう。

3位  ホルヘ・ソーラー(23) シカゴ・カブス
24試合 打率.292 5本塁打 20打点 出塁率.330 OPS.903 1盗塁
ブライアントに続きカブスから。昨季デビューした有望外野手ソーラーの魅力はなんといってもパワー。昨季デビューしたてで本塁打を何度も放った衝撃はカブスファンに強く残っているだろう。粗さも持ち合わせているタイプだが、昨季はマイナーでは選球眼が悪くなかったためメジャーの投手のレベルにうまく適応すれば今度は一時の大爆発ではなく年間通しての活躍が見込めそうだ。うまく適応できなければただの一発がある外野手で終わってしまうリスクもあるが、はまれば今季いきなり20本以上を放つ可能性は低くない。

4位  カルロス・カラスコ(28) クリーブランド・インディアンス
40試合 8勝7敗 防御率2.55 134.0回 140奪三振 29四球 WHIP0.99
第二のクルーバーになる大きな可能性を秘めているのが、もう若手とは言えない年齢になった カラスコだ。昨季から比率を増やしたスライダーが大きな武器となり奪三振率が急上昇。上記の数字はリリーフでのものも含まれているが、主に先発中心での登板となった昨季後半は防御率1.72というサイ・ヤング賞級のパフォーマンスを見せている。これまではお世辞にも好投手とは言えず、ローテーションに入れるかどうかという存在だったが今季は一気にエース格にまでのし上がる可能性がある。

5位 ダニー・サラザー(25) クリーブランド・インディアンス
20試合 6勝8敗 防御率4.25 110.0回 120奪三振 35四球 WHIP1.38
これまたインディアンスからだが、サラザーは平均95mphの速球で力押しする速球派投手だ。こういう投手につきものの問題は制球難だが、サラザーが他の速球投手と違うのはしっかりとストライクゾーンで勝負できることにある。速球の割合が大きいため日本塁打の割合が低くないのが欠点で、この辺りを投球割合を変えるなどして改善できれば一気に化けるだろう。3年目になる今季はとにかく規定投球回を達成することが目標になるが、フルシーズン投げることができれば奪三振王争いの上位にランクすることも可能だ。防御率は3点台中盤、200奪三振などは現実的に目指すことのできる数字だろう。
*スプリングトレーニングでの乱調で開幕ロースターから外れることとなった。