2015年3月30日月曜日

ア・リーグ東地区各チーム投打のキープレイヤー

ボルチモア・オリオールズ

ザック・ブリットン(27)
近年複数年連続して固定される絶対的守護神と言える存在を欠いているオリオールズ。打線が力を落としつつある現状もあり、リリーフには勝利の方程式をしっかり作っておきたいところ。その点まだ若いブリットンが昨季クローザーとして大きく貢献したことは朗報だった。問題はこのクオリティをこれから数年続けていけるか。クローザーとして2年目のジンクスに陥ってしまえば今季のオリオールズ優勝の可能性は大きく遠のく。

マニー・マチャド(22)
実はまだかなり若いマチャドは守備面で欠かせない存在なのはもちろん打撃でも2013年の51二塁打など存在感が大きい。弱体化している打線を底上げするためには彼が打撃面で大きく貢献することが必須。理想は40二塁打20本塁打程度を放つような打者になること。怪我明けの今季はそこまでは望めないにしろ2013年レベルの打撃は期待したいところ。


ボストン・レッドソックス

クレイ・バックホルツ(30)
2013年はシーズン半ばまでサイ・ヤング賞最有力候補でありながら怪我でシーズンエンド。リベンジを誓った2014年は防御率5点台という極端なシーズンを送っている近年。安定感では移籍してきたポーセロやマイリーには及ばないが、爆発力という点ではやはりバックホルツが最もエースとして戦える投手。レッドソックスの先発ローテーションの出来は彼のパフォーマンス次第で決まると言っても過言ではない。

ハンリー・ラミレス(31)
高齢のオーティズには過度な期待はできず、他の面々を眺めても長打で大きく貢献できそうなのは波の激しいナポリとフリースウィンガーのサンドバルくらいしか見当たらない。この中で最も実績のあるラミレスは、これまた波が激しい選手ではあるが爆発力は未だ衰えていない上走塁面での貢献も望める。問題はトラブルメーカーとしての側面と外野へとコンバートしたこと。実力は間違いなく、フェンウェイパークでプレイすることにより成績向上も見込めるが精神面をどうコントロールするかだ。


ニューヨーク・ヤンキース

マイケル・ピネダ(26)
怪我さえなければ田中将大がサイ・ヤング賞級の活躍をするのは間違いない。過去のエースであるサバシアにはもうほとんど期待はできない。これまでワークホースとしてチームを引っ張った黒田もいない。となればヤンキースにとってどうしても必要なのは田中に続く2番手投手を確立すること。そしてその役目を若いピネダが担えるのならばこれ以上のことはない。昨季は不正投球に怪我と色々ケチはついたものの、復帰後に残した数字も非常に立派なもの。万全の状態で投げられるなら今季こそは大きな飛躍のシーズンになる可能性は高い。

アレックス・ロドリゲス(39)
MLBで最も嫌われている男がついに帰ってくる。これ程批判にさらされてもまだ現役を続けるメンタルはもはや不屈としか言いようがないが、そんな男の手は必要無いと言い切れないのが今のヤンキースのチーム事情である。今季はおそらく薬物検査の標的になるであろうこともあって薬物に手を出すのは極めて難しい状況。スプリングトレーニングではかなりの好成績を残しており、クリーンなA-RODがどこまでやれるのか見ものである。彼が復活を果たすようであればヤンキースは意外とやれるかもしれない。彼は私が初めて好きになったメジャーリーガーであるため個人的には応援したい。薬物なしでもやれるということを証明してほしい。


タンパベイ・レイズ

クリス・アーチャー(26)
デビッド・プライスの移籍により、エースと呼べる存在を失ったレイズ。投手力が要のチームであるだけにこれは緊急事態だ。エース候補のムーアの復帰もまだのため、今最も可能性がある投手はアーチャー。カッブの方が安定感はあるが、ポテンシャルの高いアーチャーにはもっと大きな期待がかかっている。制球がよくないあたりがかなり気になるがここを少しでも克服すれば今季こそ200回に到達することができるだろう。

エバン・ロンゴリア(29)
厳しい時期を迎えているレイズにとって最も大事なのは経済的に大きな負担を作らないこと。長期契約を結んだロンゴリアは昨季キャリア最低の出来だったがここから早くも成績が降下していくようだと、トレード放出すら視野に入ってきてしまう。今は我慢の時だけにその最悪のケースを避けるためにも彼はまだ衰えてはいけない。長期契約を結んでもなおサラリーはそれほど高くないため不良債権化するまではいかないだろうが、チーム作りの軸としてどんな状況でも主砲として活躍することが必要だ。


トロント・ブルージェイズ

ダニエル・ノリス(21)
ブルージェイズに最も足りないものは何か。それは間違いなく絶対的エースだ。ディッキーやバーリーは年齢を考えればワークホースとしてよくやっているがエースと呼べる投手たちではない。やはり若手からそういう存在が出てこなくてはいけないだろう。今のブルージェイズ若手投手陣で最もその可能性があり、今季ブレイクしそうなのがノリスだ。この左の奪三振マシーンはスプリングトレーニングでも好調であり、制球さえ改善されれば一気にエースになれるポテンシャルがある。今季大化けに期待したい。

ラッセル・マーティン(32)
私は過去2年パイレーツを大きく変えた要因はマーティンだったと思っている。彼の存在は数字以上に大きくチームに貢献するはずだ。打撃で昨季並みの活躍を再現することは難しいだろうが、それでも彼の貢献度はブルージェイズにとって計り知れないものになるだろう。あるいは彼によってブルージェイズ投手陣の質までも大きく改善されるかもしれない。

2015年3月29日日曜日

2015年このツールに注目!〈投手編〉

☆アロルディス・チャプマンの”球速”
野球のロマンはやはり速球の速度。球速が速い投手はそれだけで魅力的で、おそらく日本でも一定の知名度があるであろう投手がこのチャプマン。世界最速の投手だ。その最速は105.1mph(約169km)、2014年の平均球速ですら100.2mph(約161km)という怪物だ。おまけに左投手とあって、奪三振力もMLB最高クラス。それでも打たれることがあるのが野球の面白いところではあるが、彼の場合はやはり制球面がネックになっている。27歳という年齢を考えても球速は今が全盛期であるため、今後は制球をどれだけ上げていけるかが長い目でみた成功の鍵になるだろう。




☆ジョーダン・ジマーマンの”コントロール”
数年前まではコントロールと言えばクリフ・リーだった。しかし彼も年齢的な衰えや怪我などで第一線から遠ざかりつつあり、また一時代を築いたロイ・ハラディなども引退した今MLB最高クラスのコントロールを誇るのはこのジマーマンだろう。多少地味な存在ではあったものの着実にキャリアを積み重ね、気がつけばオールスターや最多勝、さらには劇的なノーヒッターなどもやってのけた。球威のある速球を軸に抜群のコントロールで打者を追い込む。昨季はなんと3四球以上出した試合は1試合しかなく、11試合が無四球という安定感だった。




☆RA・ディッキーの”ナックル”
日本ではまずお目にかかれない(MLBでもかなり希少だが)といえばナックル。その現役の最高の使い手がサイ・ヤング賞獲得経験もあるディッキーだ。移籍初年度の2013年は苦しんだが昨季は少し持ち直し、40歳と高齢ではあるがまだ数年やれそうだ。彼のナックルの特長はスピード。普通のナックルボーラーより球速があり、それで不可解な動きをするため打者は苦しむことになる。絶滅危惧種に近いナックルボーラーは、今後しばらくディッキーレベルの投手は現れないであろう。




☆クレイトン・カーショウの”牽制”
今や誰もが納得するMLB最高の投手となったカーショウだが、彼のパフォーマンスを支えているのは投球能力だけではない。投球以外で彼が持つMLB最高クラスのツールが牽制だ。通算牽制アウト数は現役でマーク・バーリーに次ぐ2位の48。バーリーの92という数値はダントツだが、カーショウがこのままキャリアを積み重ねればいずれ抜く可能性もあるだろう。左投手ならではの牽制スピードには度肝を抜かれる。




2015年3月28日土曜日

2015年このツールに注目!〈野手編〉

NPBが開幕し、MLBの開幕も間近ということで今回は特にMLBに興味を持ち始めたばかりのファンを一気に引き込むようなプレーを見せてくれる選手を紹介したいと思う。注目してもらいたいのはその選手が持つ、MLBでもトップクラスのツール。MLBだからこそ目にすることのできる純粋な能力、その発想に是非とも酔いしれてほしい。

☆アンドレルトン・シモンズの”肩”
日本では強肩と言えば外野手だが、MLBでは内野手にも強肩自慢がぞろぞろ。特に花形のショートにはとんでもなく肩、リストが強い選手がたくさんいる。その中でも頂点に立つのがブレーブスのシモンズだ。純粋な守備力としてもMLB最高レベルでなおかつとんでもない強肩の持ち主。放たれた送球はまるで投手が投げる100mphの速球のよう。どんな体制からでも速い送球ができるという自信が彼の守備に余裕を与えている。このブログでも再三言及してきた選手ではあるが、今一度、特にMLBの最高レベルの肩とはどんなものなのかと考えている ファンに知ってもらいたい。




☆ジャンカルロ・スタントンの”パワー”
MLBの象徴と言えばパワー。その象徴が故に薬物という誤った道に進んでしまったのも間違いないが、ファンをワクワクさせるこのツールは打撃の華である。そして2015年MLBを代表するパワーヒッターと言えばこのスタントンだ。彼はもはやマーリンズの主砲というだけでなくMLB全体の主砲になりつつある。13年というとんでもない長期契約を結びオフに注目を浴びたこの男は、ただ本塁打を放つというだけでなくその飛距離や弾道にも魅力がある。勢いよくスタンドに突き刺さる打球は見ていて爽快感すら与えてくれる。意外にも怪我などで未だ40本塁打を超えたことのない若き大砲だが、今季最も50本塁打に近い選手だと言えるだろう。




☆ビリー・ハミルトンの”足”
100盗塁という数字を見なくなって久しいMLBの世界に現れた最も可能性も持つ男。マイナーでは2年連続100盗塁、2012年には155盗塁という新記録も樹立した。新人王も期待された昨季はその真価を発揮できず56盗塁。タイトルの獲得もならず失敗数も多いとあってまだ苦しんでいる。しかしその足は本物で盗塁もベースランニングもスピードに関する部分では彼に勝るものはほとんどいない。必要なのはMLBの投手に対する経験と、打撃、特に出塁能力の向上だ。彼が3割5分出塁できるようになった時、100盗塁という数字は現実味を帯びるはずだ。




☆ノーラン・アレナードの”守備”
当ブログでも何度か紹介したこの選手、デビューした2013年から2年連続でゴールドグラブ賞を獲得している三塁守備の天才だ。例えば肩が強いからといった理由ではなく、彼の三塁守備は必要なツールを全て備えているといった感じ。中でも印象的なのが判断力。この非常に重要な能力が彼を特別なサードにしている。彼がみせるパフォーマンスはどれも芸術的。大きな怪我さえなければ今後10年彼がゴールドグラブを独占し続けても不思議はない。





2015年3月21日土曜日

徹底予測! 2015年大ブレイク候補トップ5

スポーツ界には毎年ブレイク選手の出現がつきもの。
2014年はMLBではア・リーグでサイ・ヤング賞を獲得したコリー・クルーバーや首位打者と盗塁王に輝いたホゼ・アルトゥーベ、NPBでは若き二塁手の山田哲人や菊池涼介などが挙げられる。当然ながら2015年のMLBでもそういった選手が現れるのは間違いないはずだ。
そういった選手は大きく二つのタイプに分けることができると思う。一つはフロックでブレイクしたタイプ。その年運がよく本来の実力以上の数字を出してしまい、こういった選手はそのシーズン中でもムラが激しく翌年以降はさらに成績を落とすことが多い。そしてもう一つはブレイクするべくしてブレイクしたタイプだ。このタイプの選手は例えばその前年にマイナーで飛び抜けた数字を出していたり、すでにメジャーに定着していてもブレイクの予兆を残してシーズンを終えていたりする。当然ながら実力を発揮した結果なので翌年以降も好成績を維持する本物のスターだ。
今回ランキング形式で紹介するのは後者のタイプで、昨年ブレイクの兆しを見せた選手たちだ。

1位 クリス・ブライアント(23) シカゴ・カブス
138試合 打率.325 43本塁打 110打点 出塁率.438 OPS1.098 15盗塁
上記は当然ながらマイナーでの成績だが、プロ1年目の2013年も36試合で9本塁打とそのパワーは確かなもの。その勢いはAAA昇格後も衰えず、今季はスプリングトレーニングで9試合で既に6本塁打を放つなど規格外で、2013年スプリングトレーニングでヤシエル・プイグが打率5割を記録したのに似た勢いを感じる。メジャーではまだ未知数ではあるが、明らかにマイナーでは役不足でスプリングトレーニングにおける活躍ぶりを見る限り彼がフルシーズンメジャーでプレーするならば25本以上の本塁打を放つ姿を想像するのは難くない。新人王の最有力候補でもあり、これほどブレイクの可能性を秘めた選手もいないだろう。シーズン前に大きく期待された若手選手がシーズンが始まってみればさっぱりというのは毎年あることだが、ドラフト全体2位のポテンシャル、マイナーでの実績、スプリングトレーニングにおける規格外の活躍、23歳という年齢とこれ以上ないくらいにブレイク要素は揃っている。マイク・トラウトのような存在になれるだろうかという期待をこめて彼を1位としたい。
*開幕ロースターから外れたためメジャーデビューはしばらくお預けとなった。おそらく5月半ばから6月頃の昇格になるだろう。

2位 ノーラン・アレナード(23) コロラド・ロッキーズ
111試合 打率.287 18本塁打 61打点 出塁率.328 OPS.828 2盗塁
既に守備の名手として1年目から広く知られていたアレナードだが、2年目は怪我こそあったもののしっかりと打撃成績を向上させてみせた。18本塁打中本拠地で16本と完全に本拠地クアーズ・フィールドの性質に頼った打撃であり、今季もロッキーズでプレーする以上同じような傾向は続くだろうが、成長とともにしっかり数字は伸びるだろう。既に数字自体は三塁手としてトップクラスに近いのだが昨季後半の長打力を見ると怪我がなければ今季は25本以上を放つ可能性が高いように思える。問題はロッキーズの選手にありがちな内弁慶を改善できるかどうかだが、逆にそこさえ改善できるのなら全盛期のカルロス・ゴンザレスのようにリーグ最高クラスの数字を残してもおかしくない。今季の現実的なターゲットとしては25本100打点といったところだがこれでも十分なブレイクだと言えるだろう。

3位  ホルヘ・ソーラー(23) シカゴ・カブス
24試合 打率.292 5本塁打 20打点 出塁率.330 OPS.903 1盗塁
ブライアントに続きカブスから。昨季デビューした有望外野手ソーラーの魅力はなんといってもパワー。昨季デビューしたてで本塁打を何度も放った衝撃はカブスファンに強く残っているだろう。粗さも持ち合わせているタイプだが、昨季はマイナーでは選球眼が悪くなかったためメジャーの投手のレベルにうまく適応すれば今度は一時の大爆発ではなく年間通しての活躍が見込めそうだ。うまく適応できなければただの一発がある外野手で終わってしまうリスクもあるが、はまれば今季いきなり20本以上を放つ可能性は低くない。

4位  カルロス・カラスコ(28) クリーブランド・インディアンス
40試合 8勝7敗 防御率2.55 134.0回 140奪三振 29四球 WHIP0.99
第二のクルーバーになる大きな可能性を秘めているのが、もう若手とは言えない年齢になった カラスコだ。昨季から比率を増やしたスライダーが大きな武器となり奪三振率が急上昇。上記の数字はリリーフでのものも含まれているが、主に先発中心での登板となった昨季後半は防御率1.72というサイ・ヤング賞級のパフォーマンスを見せている。これまではお世辞にも好投手とは言えず、ローテーションに入れるかどうかという存在だったが今季は一気にエース格にまでのし上がる可能性がある。

5位 ダニー・サラザー(25) クリーブランド・インディアンス
20試合 6勝8敗 防御率4.25 110.0回 120奪三振 35四球 WHIP1.38
これまたインディアンスからだが、サラザーは平均95mphの速球で力押しする速球派投手だ。こういう投手につきものの問題は制球難だが、サラザーが他の速球投手と違うのはしっかりとストライクゾーンで勝負できることにある。速球の割合が大きいため日本塁打の割合が低くないのが欠点で、この辺りを投球割合を変えるなどして改善できれば一気に化けるだろう。3年目になる今季はとにかく規定投球回を達成することが目標になるが、フルシーズン投げることができれば奪三振王争いの上位にランクすることも可能だ。防御率は3点台中盤、200奪三振などは現実的に目指すことのできる数字だろう。
*スプリングトレーニングでの乱調で開幕ロースターから外れることとなった。