2015年7月28日火曜日

ビッグトレード、続々

トレードが最も活気付く7月、今季も優勝争いの図式を塗り替えるビッグトレードが成立した。先日のカズミアーのアストロズへの移籍が今季最初のスター選手のトレードだったが、今回はそれよりもさらに大物が動いた。

まず一つ目はロイヤルズ、レッズ間で成立したこのトレードで動いたスター選手は予想されていた通りジョニー・クエトだ。リーグ1位をひた走るロイヤルズが弱点である先発ローテを補強し、投手陣を万全な状態とした。その見返りとしてレッズが獲得したのは将来有望な3人の左投手、フィネガン、リード、ラムだ。
フィネガンは2014年の全体17位選手だが、その年順調に昇格しプロ1年目にしてメジャーデビューも果たした。今季も開幕こそマイナースタートだったもののすぐに昇格しプレーしている。22歳の彼の魅力は最速98mphの速球なのだが、今はまだ制球面が課題。さらにサイズ不足も懸念されており、体格的にはリリーフ最適なのかもしれない。
リードは2013年に2巡目でドラフト指名された22歳だが、最初の2シーズンを制球難などにより苦しみながら、今季ようやく開花した。今はAAでプレーしており来季以降のメジャーデビュー候補だ。
ラムは2008年の5巡目でドラフト指名された投手だが、怪我などもあり2013年にようやくAAAに到達し今もまだメジャー昇格はなっていない。25歳ともうプロスペクトとしては若くないのだが、90mph前後の速球や右打者に有効なカッターなどを武器にまだまだメジャーで活躍する素養はある。

ジョニー・クエト → ロイヤルズ

ブランドン・フィネガン
コディ・リード      
ジョン・ラム   → レッズ

さらにもう一つ、こちらは少々衝撃的とも言えるトレードも成立した。ロッキーズのフランチャイズプレーヤーとして知られる現役最高の遊撃手トロイ・トゥロウィツキがブルージェイズへとトレードされたのだ。ブルージェイズへと移籍したのはトゥロウィツキとラトロイ・ホーキンスの2人。ロッキーズへ移籍したのはホゼ・レイエス、ミゲル・カストロ、ジェフ・ホフマン、ジーザス・ティノコの4人だ。
トゥロウィツキとホーキンス、レイエスらベテラン選手は説明の必要はないだろう。トゥロウィツキは2020年までの10年契約を交わしており、来季以降9800万ドルの契約が残っている。対してトゥロウィツキと同じく故障がちな遊撃手のスター、レイエスもオプションを含めて2018年までの契約が残っており、トレード後も両チームは1年あたりの年俸負担はほとんど変わらない。
レイエスとともにロッキーズへ移籍する選手たちも非常に有望な若手だ。カストロは20歳の右投手で、制球に不安定さはありながらも長身から繰り出される速球は非常にレベルが高く、今季はメジャーデビューも果たしている。もう一人の右投手ホフマンさらに一段上の有望株で、2014年ドラフト全体9位指名選手だ。今はまだAAでプレーしているが完成度が高く速球にも魅力があり、健康さえ維持できれば数年後には確実にローテーションの一角を見込める投手だ。最後のティノコは20歳の右投手で、ルーキーリーグでは長年苦しんだがようやく昇格したAではそれなりの投球を見せており、上記2投手に比べるとポテンシャルには劣るが若いだけに将来が楽しみだ。
トゥロウィツキにトレードの噂は出ていたものの、地区優勝を狙って戦っているブルージェイズは打線をさらに強化し、内野守備を堅実にすることによって本気度を見せてきた。トゥロウィツキの健康面に問題が出さえしなければ、ドナルドソン、トゥロウィツキの形成する三遊間はリーグ最高クラスだろう。

トロイ・トゥロウィツキ
ラトロイ・ホーキンス → ブルージェイズ

ホゼ・レイエス
ミゲル・カストロ
ジェフ・ホフマン
ジーザス・ティノコ → ロッキーズ

コール・ハメルズ ノーヒッター達成

毎年のようにトレード候補になり、今季もトレードの噂がつきまとうフィリーズのエース、コール・ハメルズがキャリア初のノーヒッターをカブス相手に達成した。9回13奪三振2四球という素晴らしい内容だった。その直前の2試合で合計14失点するなどここにきてトレード価値が下落するような内容だったのだがそれを見事に挽回する結果となった。チームの低迷により、優れた投球内容にもかかわらず勝敗がついてこない日々が続いており、今季は2012年以来の二桁勝利を狙うが、それそろ環境が変わってむくわれてもいいころなのかもしれない。31日のデッドラインまで今後も目が離せない。

2015年7月24日金曜日

ドジャースの誇る最強のダブルエース

それぞれリーグトップクラスの実力を持った右投手と左投手の左右のダブルエースというのは誰もが夢見る先発ローテーションの一角だろう。私でもファンタジードラフトで自由に選手を獲得できるのであればそういった1,2番手を作るだろう。そんな”僕の考えた最強のダブルエース”とも言うべきものを今季のドジャースは現実に擁しているのだ。
クレイトン・カーショウとザック・グレインキー。この2人のキャリアについてはMLBファンならよく知っているはずだ。カーショウはドジャース生え抜き、そして今やMLB最高と名高い先発投手だ。27歳にして3度のサイ・ヤング賞にMVPを1度、ここ4年連続で防御率リーグ1位、近年ではもはやカーショウくらいしかできない防御率1点台を2年連続でやってのけている。グレインキーは社会不安障害を乗り越えサイ・ヤング賞を獲得し、投手としては史上有数の巨額契約でドジャースへ移籍後もしっかりエース級の投球を見せている。どこへ行ってもエースになれるような投手が左右で2人揃っているのに、今季はそれがさらに凄みを増しているのだ。

クレイトン・カーショウ
8勝6敗(12位) 防御率2.51(8位) 140.0回(1位) 185奪三振(1位) WHIP0.94(4位)



ザック・グレインキー
9勝2敗(9位) 防御率1.30(1位) 131.1回(3位) 117奪三振(12位) WHIP0.82(2位)



ここまでの数字はほぼあらゆる点でトップクラスなのだが、凄いのはシーズンが中盤に入ってから。カーショウは序盤はらしくなく打ち崩される場面が目立ち防御率上位からは蚊帳の外だった。しかし6月にはいってからギアが入り7月に至っては4試合でわずか1失点、2試合は完封という驚異的な出来で圧倒し続けている。その内容は四球を出さない、本塁打を打たれない、三振を奪る、という投手にとって最も必要な要素を完全に体現している理想的な投球だ。これで連続無失点イニングは29に伸びた。
グレインキーは4月から全ての月で防御率1点台という抜群の安定感だったのだが、こちらもまたギアが一段上がり今の所43.2回連続無失点を記録している。ハーシュハイザーの持つMLB記録の59イニングをも狙える位置につけており、7月の月間防御率はもちろん0.00。カーショウのように毎試合奪三振ショーを繰り広げる派手さには欠けるものの絶対的な制球力を武器に点を全く許さない。
タイプの違う2人の絶対的エースだが、6月以降では間違いなくMLB最高のダブルエースと言えるだろう。カーショウの調子の上げ方を見るに、彼についてはここからさらに数字がよくなるだろう。シーズンが終わる頃には史上有数のダブルエースと言える成績になる可能性も少なくないだろう。 

スコット・カズミアーがアストロズへトレード

注目の大物トレード第一弾がやってきた。トレード候補の大物として注目されていたスコット・カズミアーが地区優勝を狙うアストロズへトレードで移籍した。
これはまさに毎度恒例のタイプのトレードだ。プレーオフが厳しくなったチームが主力を放出する代わりに将来性豊かな有望株を数人獲得する。お互いのニーズをうまくうめあわせることが可能なポジティブなトレードだ。今回はアスレティックスがカズミアー放出の代わりに捕手のジェイコブ・ノッティンガムと右投手のダニエル・メンデンという2人の有望株を獲得することに成功した。
カズミアーについては言うまでもない。レイズでのデビュー当初はこのままリーグ有数の左投手としてスターダムを駆け上がるかと思われながら怪我や不調など数多の障害のため一時は名前を聞くこともなくなったものの、2013年には復活を果たし2014年には再びオールスター投手にまでなった。今季もここまでリーグ屈指の好成績を残しており、今季限りの契約も相まって欲するチームは多かった。
対してアストロズが放出した2選手は当然ながら若い有望株だ。ノッティンガムは2013年のドラフトで6巡目でアストロズが獲得した捕手で、現在20歳ながら今季はここまでマイナー77試合で14本塁打 OPS.925のっている。多少の粗さはあるもののパワーのある打撃は非常に魅力的で、少なくとも来季には2Aまで昇格していることだろう。アスレティックスにはオールスター捕手のボートがいるものの、彼はすでに30代と若い捕手はいずれにしても必要だったためうまい補強だったと言えるだろう。
もう一人のメンデンは2014年ドラフト4巡目の右投手で現在22歳だ。今はA+で投げており、昇格してからは少し苦しんでいる印象だ。バランスのいい投手ではあるのだが投手としてはややサイズ不足ということが気がかりではある。

総括としてはお互いの欲しいものをうまくトレードした印象だ。先日の記事でも言及したようにカズミアーは昨季後半一気に調子を落とした点が気がかりであり、アスレティックスが獲得した2選手が今後どういう成長曲線をたどるかは未知数ではあるが現時点ではwin-winトレードになる可能性が高いと思われる。
今後さらに活発になるであろうトレード戦線注目していきたい。

2015年7月19日日曜日

デッドライン直前 最注目の5選手

今月末のトレードデッドラインに向けて今季もトレード戦線が活性化するはずだ。これはMLBでは毎年行われることで、簡単に説明するとそのシーズンでのプレーオフ進出を諦めたチームが主力選手を上位争いをしているチームに放出し、その見返りとして将来有望な若手を得るというものだ。大抵その場合放出されるのはオフに契約満了しFAになる選手だ。中には7月31日のデッドラインぎりぎりにトレードが成立することもあり、毎年盛り上がるイベントであるとともにこれが後半戦の順位が大きく影響することが多い。例えば昨季ではデビッド・プライスやジョン・レスターといったエース級投手が動いた。そこで今季移籍が予想される注目スター選手を5人紹介する。

ジョニー・クエト(29)
今オフにFAになる投手の中では一番の大物投手であり、レッズが地区優勝争いに現時点で全く絡めていないところを見ると今季中の放出の可能性は高い。放出せずに契約延長する可能性もあるが、スモールマーケットのレッズが彼の要求に応えられるだけの巨額契約を用意するのは難しい。放出するならトレードが最良で、彼に興味を示しているチームも複数ある。

ジェフ・サマージャ(30)
下位に沈むホワイトソックスにとって、サマージャはある意味格好のトレード要員。昨季に比べて数字はあまりよくないのだが内容は悪くなく、後半のブーストに一役買ってくれるかもしれないため評価しているチームは少なくない。ときたま炎上するものの長いイニングを安定して投げられるところは大きな強みだ。3番手に優秀な投手を欲しているチームは欲しがるだろう。

コール・ハメルズ(31)
近年毎年のようにトレード候補に挙げられるハメルズは他の選手とは違いすぐにFAしてしまうわけではない。2013年からの長期大型契約はオプションも含めると2019年まで残っており、毎年安定して好成績を残しているため本来ならトレード候補にはならない選手だ。しかし彼がこうも話題になるのは所属しているフィリーズが過去に連発した大型補強や大型契約の負の遺産で常に下位に沈んでいるからだ。その中で唯一と言ってもよい好成績を残し続けるハメルズはフィリーズの中では最もトレード価値がある選手。そろそろ本気で若返りを図らなければいけないため放出の可能性は現時点でも十分あるというわけだ。フィリーズの編成がまだ冷静な判断力を残しているのであれば、今季は放出の大きなチャンスであり、見合う若手を用意できるチームにとってはどうしても欲しい選手だ。もし今FAになれば5年以上の長期契約は覚悟しなければならない投手が、2019年までの契約で済むわけだから不良債権化するリスクを低くおさえられる。今季彼が動くのであれば見返りのプロスペクトもそれ相応のものになり、最も注目度の高いトレードになるはずだ。

ジャスティン・アップトン(27)
開幕前に数々の補強を繰り返したパドレスの目玉の一人だったが、今オフにFAになるトレード候補の一人だ。パドレスが目論見通り優勝争いできていたならばそうはならないが、現状下位に沈んでいる以上やむを得ないだろう。しかしアップトン自身他のチームがこぞって欲しがるほどの好成績を残しているというわけではなく、近年では最低レベルの数字におさまっている。投手有利なペトコパークでプレーするということである程度予想できたことではあるのだが、不思議なことにホームでは強打者、アウェイでは控えレベルという予想とは逆の現象が起きている。そのため移籍すれば打撃成績が上向くとも言えない。また、まだ若いということで来季以降もパドレスが保有したがる可能性もあるのだが、そのためにはある程度の大型契約を用意しなくてはならないため微妙なラインだ。

スコット・カズミアー(31)
アスレチックスは今季も優秀なピッチングスタッフを武器に優勝争いに食い込みたかったがアストロズの序盤の独走などもあり現在は西地区がエンジェルスとアストロズの二強状態。現在最下位のアスレチックスは補強しない限りは巻き返すのが難しい。その中でオフにFAになるカズミアーは昨季の前半戦同様非常に優秀な成績を残しており、今季に限ってはどこのチームでもエースを張れるレベルのものだ。今放出するのがチームとしても最もお得なのだが気になるのは昨季オールスター明けから極端に調子を落とし後半戦使い物にならなかった点。そのあたりを懸念材料として捉えるかどうかで交換要員の質が変わってくる。しかしギリギリのプレーオフ争いをしているチームにとっては喉から手が出るほど欲しい投手だ。


2015年7月17日金曜日

2015年オールスター

少し遅くなったが今年のオールスターについてまとめてみたいと思う。
今年も錚々たる面々が揃ったオールスターだが、ある意味この試合で最も注目されたのは試合内容ではなく試合前のセレモニーだったかもしれない。今年はシンシナティでの開催ということで、往年のレッズのスーパースターが4人そろい踏みし、その中にはあのピート・ローズもいたからだ。みなさんご存知のようにローズはMLB最多安打の4256安打を記録している史上最高の安打製造機だ。近年ではイチローの活躍ぶりにあわせて日本でその名前を報道されることは少なくない。しかし野球賭博に関わったことにより永久追放されており、ここのところは復権を求める声なども大きくなっている時の人だ。そんな彼が登場した際にはブーイングも混じる一際大きな声援に球場は包まれた。彼の復権にはやはり賛否両論があるということなのだろう。

さて肝心の試合だが、アウェイのア・リーグが6対3で勝利しワールドシリーズにおけるホームアドバンテージを得るという結果になった。ナ・リーグファンにとっては少し物足りない結果なのだが、見どころはいくつかあった。まずは稀代のスーパースターへと成長したマイク・トラウトが先頭打者ホームランを放り込み度肝を抜いた。ちなみにトラウトは4年連続出場だが、この4試合のそれぞれの最初の打席の結果が順に単打、二塁打、三塁打、そして今回の本塁打でサイクルヒットというのがなかなか面白い。23歳にして4度のオールスター出場、そして史上初の2年連続オールスターMVP。今後どれだけオールスターでの実績を積み上げていくのがこれから非常に楽しみだ。



この試合が最も盛り上がりを見せたのは9回だ。ナ・リーグは4点ビハインドの状況だったのだが9回から登場した地元レッズのアロルディス・チャプマンのパフォーマンスがあまりにも圧倒的だった。世界最速の男に期待されるのはもちろん100mph以上の速球。彼が今季前半戦に投じたの100mph以上の速球は284球。それに対して彼を除いた他の全投手が投じた100mph超えは238球と、チャプマン一人で他の投手全てを上回る速球を投げていることになる。そしてその期待に違わず彼が投じた14球は全てが速球でそのうち12球が100mph以上、最速は103mphで3者連続奪三振と正にオールスターという投球を見せてくれた。



最後に紹介したいのは個人的に非常に印象的だったジェイコブ・デグロームのパフォーマンス。この試合に限ってはチャプマンと同様全く打てそうにない非常にハイレベルな投球を見せていた。90mph後半のキレのいい速球が外角に正確にコントロールされれば打者にはなすすべがない。昨季のナ・リーグ新人王で今季もサイ・ヤング賞級の活躍ぶりだが、これは後半戦にも大きな期待をかけられそうだ。

2015年7月12日日曜日

2015年 オールスター選出選手決定

ア・リーグ

C  サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
1B ミゲル・カブレラ(タイガース) *故障のため欠場
2B ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)
3B ジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)
SS アルシデス・エスコバー(ロイヤルズ)
OF マイク・トラウト(エンジェルス)
OF ロレンゾ・ケイン(ロイヤルズ)
OF アレックス・ゴードン(ロイヤルズ) *故障のため欠場
DH ネルソン・クルーズ(マリナーズ)

C  ラッセル・マーティン(ブルージェイズ)
C  スティーブン・ボート(アスレチックス)
1B マーク・テシェイラ(ヤンキース) *カブレラ故障のため代替選出
1B アルバート・プホルス(エンジェルス) *カブレラ故障のためスターター
2B ジェイソン・キプニス(インディアンズ)
2B ブライアン・ドージアー(ツインズ) *バティスタ故障のため代替選出
3B マニー・マチャド(オリオールズ)
3B ブロック・ホルト(レッドソックス)
3B マイク・ムースタカス(ロイヤルズ) *最後の一人として選出
SS ホゼ・イグレシアス(タイガース)
OF JD・マルティネス(タイガース)
OF ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ) *故障のため欠場
OF アダム・ジョーンズ(オリオールズ *ゴードン故障のためスターター
OF ブレット・ガードナー(ヤンキース) *ゴードン故障のため代替選出
DH プリンス・フィルダー(レンジャーズ)

P  クリス・セール(ホワイトソックス)
P  フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)
P  ソニー・グレイ(アスレチックス) *直前の試合登板のため欠場
P  クリス・アーチャー(レイズ)
P  ダラス・カイコ(アストロズ)
P  デビッド・プライス(タイガース)
P  ヘクター・サンティアゴ(エンジェルス) *グレイ欠場のため代替選出
P  デリン・ベタンセス(ヤンキース)
P  ブラッド・ボックスバーガー(レイズ)
P  ウェイド・デイビス(ロイヤルズ)
P  ケルビン・ヘレーラ(ロイヤルズ)
P  ザック・ブリットン(オリオールズ)
P  ダレン・オデイ(オリオールズ)
P  グレン・パーキンス(ツインズ)


ナ・リーグ

C  バスター・ポージー(ジャイアンツ)
1B ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
2B ディー・ゴードン(マーリンズ) *故障のため欠場
3B トッド・フレイジャー(レッズ)
SS ジョニー・ペラルタ(カージナルス)
OF ブライス・ハーパー(ナショナルズ)
OF マット・ホリデイ(カージナルス) *故障のため欠場
OF マイク・スタントン(マーリンズ) *故障のため欠場

C  ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
C  ヤスマニ・グランダル(ドジャース)
1B アンソニー・リゾー(カブス)
1B エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース)
2B DJ・ラメイヒュー(ロッキーズ) *ゴードン故障のためスターター
2B ジョー・パニック(ジャイアンツ)
3B ノーラン・アレナード(ロッキーズ)
3B クリス・ブライアント(カブス) *スタントン故障のため代替選出
SS トロイ・トゥロウィツキ(ロッキーズ) *ゴードン故障のため代替選出
SS ブランドン・クロフォード(ジャイアンツ)
OF アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ) *スタントン故障のためスターター
OF ジョク・ピダーソン(ドジャース) *ホリデイ故障のためスターター
OF AJ・ポロック(ダイヤモンドバックス)
OF ジャスティン・アップトン(パドレス)
OF ライアン・ブラウン(ブルワーズ) *ホリデイ故障のため代替選出

P  マディソン・バンガーナー(ジャイアンツ)
P  ゲリット・コール(パイレーツ)
P  AJ・バーネット(パイレーツ)
P  ザック・グレインキー(ドジャース)
P  ジェイコブ・デグローム(メッツ)
P  シェルビー・ミラー(ブレーブス)
P  マックス・シャーザー(ナショナルズ) *直前の試合に登板のため欠場
P  マイケル・ワカ(カージナルス)
P  カルロス・マルティネス(カージナルス) *最後の一人として選出
P  クレイトン・カーショウ(ドジャース) *シャーザーの代替選出
P  アロルディス・チャプマン(レッズ)
P  マーク・メランソン(パイレーツ)
P  ジョナサン・パペルボン(フィリーズ)
P  フランシスコ・ロドリゲス(ブルワーズ)
P  トレバー・ロゼンタール(カージナルス)


代替選手なども含めて今年のオールスター選手が発表されたが、投票数は2012年の記録を抜いて過去最高となった。またドナルドソンが2012年のジョシュ・ハミルトンを抜いて過去最高の得票数となった。ロースターで目立つのはロイヤルズから故障選手も含めて両リーグ最多の7人選ばれていること。スターターに限っては4人と昨季のワールドシリーズ出場チームの台頭を感じる。ナ・リーグ最多はカージナルスの6人で、ホリデイに関しては現在DL入りしているがギリギリまで復帰出場の可能性はあるということで保留になっている。しかし現時点では欠場の可能性が高いということで、その際はピダーソンがスターターになり、新たな代替出場選手が選ばれることになる可能性が高い。

*7/13追記
ホリデイの欠場が決定し、それに伴ってブラウンが新たに選出、ピダーソンはスターターに昇格した。加えて直前の試合に登板ということでシャーザーとグレイが欠場することになり、その代替としてカーショウとサンディアゴが選出された。

2015年7月10日金曜日

2015年後半戦 要注目選手10選

今季後半戦に好成績を残しそうな兆しを見せている要注目選手を10人紹介する。

①ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)
ルーキーイヤーから圧倒的な投球ぶりで新人王を獲得し、トミー・ジョン手術が決まった2年目も離脱まで変わらぬ好成績を残していた。長いリハビリから最近復帰したばかりだが、2試合で2勝 防御率2.08。投球内容を見る限りその力はしっかり戻っていると思われる。となると今季はある程度球数制限するなど無理はしないと思うがオールスター明けから圧倒的なパフォーマンスでリーグを席巻する可能性は高い。3年目の22歳ながら存在感はもはやリーグ有数のものだ。

②ランス・マッカラーズ(アストロズ)
先日の記事でも言及した21歳の新人投手。2012年一巡目の本格派で5月のデビュー以来制球にある程度の不安定感を残すもののパフォーマンスは新人離れしており、すでに11奪三振の1失点完投勝利を披露するなどはまった時はエース級の投球を見せてくれる。後半戦苦しむ可能性と同じくらいアストロズのエースとして君臨する可能性もある。

③クレイ・バックホルツ(レッドソックス)
2013年は離脱までサイ・ヤング賞級の活躍も昨季は防御率5点台の不振と年ごとに並があり、今季は序盤大量失点する試合も多く不調の年かと思われたが5月半ばから制球が安定するようになりそれに伴って長いイニングを少ない失点で投げ切ることが多くなった。先日今季初完投を110球で達成するなど投球スタイルに改善が見られるようになっており、後半戦サイ・ヤング賞候補にまでのぼりつめてもおかしくない。

④タイワン・ウォーカー(マリナーズ)
22歳の次代のエース候補は今季の数字を見る限りそのポテンシャルを活かせていないように見える。しかしながら6月以降を切り取ると先日の5失点した試合以外全てでQSを達成しており、制球力でも3四球以上の試合が皆無と非常に大きな改善が見られる。そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところであり、時たま本塁打をまとめて打たれるところ以外弱点が見られない。このままの投球を維持できるなら後半戦ではヘルナンデスと並ぶWエースを形成できるはずだ。

⑤カルロス・カラスコ(インディアンス)
昨季ブレイクした中堅投手で、今季は第二のクルーバーにと期待されたのだが中々ピリッとしない投球が続く。ただ詳しく投球内容を見ていくと少し運に見放されている感がある。被本塁打の多さを除けば昨季よりも内容が良く、その実力は本物だったことがうかがえる。数試合に一度炎上する傾向はまだ続いているのだが、後半戦に入ってしっかり結果がついてくる可能性は低くないだろう。

⑥ムーキー・ベッツ(レッドソックス)
マイナーで2年連続で好成績を残し昨季満を持してデビューし、その期待値に見合う好成績を残した。今季は開幕からしばらく不調が続いたものの、6月に入ってから一気に調子をあげてきた。コンタクト力が高いだけでなく長打力も向上しており、このまま夏場にかけて調子を維持していければ最終的には打率3割 15本塁打程度の数字は見込めるはずだ。

⑦アルバート・プホルス(エンジェルス)
6月に月間13本塁打というハイパフォーマンスを見せ、長打に関しては全盛期並のレベルに戻っているが打率はいまいち上がってこないプホルス。しかし実際はパワーだけでなくコンタクト率や選球眼も全盛期に近いレベルにまで戻っている。にもかかわらず打率が上がってこないのはあまりにも運に恵まれていないからだ。特にこの30日間でBABIPが1割台というのは異常事態と言える。最終的にはある程度の振り戻しがあると予想すれば長打の面だけでなく打率など打撃全般のスタッツがリーグトップクラスにまでなってもおかしくはない。

⑧アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
4月に酷い不振に陥ったもののそれ以降はしっかりと例年通りのパフォーマンスを維持してきている。気がつけばその数字はもうリーグトップクラスだが、例年通りここから終盤にかけてさらに調子を上げてくるだろう。そのため最終的には昨季並の数字になっていても全く驚かない。調子の上げ方次第では2012年級の成績を残してもおかしくはない。

⑨マイケル・ピネダ(ヤンキース)
昨季は不正投球でケチがついたが今季は奪三振率など昨季から大幅に向上させている。内容的にはリーグトップクラスのもので、この質の高さをイマイチ活かせていないのが今季の現状だ。しかしこのままの投球を続けていけばシーズン終盤には見合った数字に落ち着いてくるだろう。少なくともヤンキースのエースと呼べるだけの成績にはなっているはずだ。

⑩パトリック・コルビン(ダイヤモンドバックス)
トミー・ジョン手術で2014年を全休し、長いリハビリ生活から今月ようやく復帰したばかりのコルビン。若きエースとして期待されながら長期離脱し今季復帰というのはハービー、フェルナンデスらと同じパターンだが、しっかりリハビリに成功したのであれば後半からしっかりエースの投球を見せてくれるはずだ。まだまだ未知数の部分は多いが、後半戦最も注目の投手の一人だろう。

2015年7月9日木曜日

クレイトン・カーショウに復活ののろし

今年のオールスターメンバーがそれぞれ最後の一人を除いて発表されたが、そこに4年連続でオールスターに選出され、過去4年で3度のサイ・ヤング賞を獲得しているクレイトン・カーショウの名前はなかった。その代わりに最後の一人の候補者にはなってるのだが、彼ほどの投手がなぜそういう事態に陥っているのか。その理由はやはり序盤の不調にある。
不調といっても並の投手なら十分及第点という成績だったのだが、開幕からの二ヶ月で6回以上を自責点1以内に抑えた試合はわずか1試合、8回以上を投げた試合は1試合もなかった。序盤怪我で離脱した昨季を除けば、2011年から毎年6月までにはだいたい6試合くらいは6回以上1失点以内の試合があった。そういう点から見ても今季のカーショウの投球はあまりピリッとしない。QS率自体はそれほど悪くはないのだがしっかり0で抑えるというよりは毎試合2,3点くらいはとられるという状態が続いたのだ。それでも奪三振だけはリーグトップクラスの数字を残していたあたりは流石だが、同僚のグレインキーが点を与えない投球を続けていたのとは対照的に数字の見栄えは悪かった。
しかし当然カーショウはそれで終わる投手ではない。6月に入ってから状態をあげ、被本塁打こそ減らなかったが8回無失点の投球をするなどパフォーマンスは上がり調子になり、ついに今日の試合で今季初完封を無四球13奪三振でかざった。これで防御率2.82と今季初の2点台に突入しリーグ11位の好成績。勝敗こそ6勝6敗のタイだが、奪三振も2位以降に差をあけてのリーグ1位と、やっとカーショウらしい数字が整ってきた。この今季初完封は今後の弾みになると同時に、オールスター最後の一人投票にもいい影響を与えるだろう。成績もふさわしいものになり、是非とも5年連続のオールスター選出を達成してほしいものだ。
ちなみに今季のカーショウは内容的には最初からよく、現在xFIP2.07で両リーグでも抜けた1位だ。毎年後半戦にかけて調子を上げるため、これから後半戦にかけて運も上向いてくるのだとしたら最終的には例年通りのサイ・ヤング賞争いをしている可能性は高い。


2015年7月5日日曜日

アストロズの後半戦を支える二人の2012年ドラフト1巡目ルーキー

現在ア・リーグ最多の48勝をあげて首位を地区1位を突っ走っているヒューストン・アストロズ。近年のアストロズのドラフトなどを注視してきたファンにとっては、この快進撃は大きなドラフトというわけではない。下位に沈む中数年にかけてドラフト上位で有力選手を指名し、育ててきた結果がここにきてあらわれてきたわけだ。主力選手はドラフトして育ててきた選手やトレードで獲得した選手など様々だが、最大の特徴はやはり主力選手たちの若さだ。今季特に目立つのは打線の破壊力で、打率はリーグ13位ながら盗塁数と本塁打数は1位、得点は3位という極端さが売りだ。投手陣はリリーフが強固だが、先発投手陣にはカイコというエースはいるものの他がパッとせず安定感に欠ける。つまり打線、投手ともに爆発力はあるもののまだやや安定感に欠けるというのが今後のアストロズの改善点になる。しかしそこを改善してくれるかもしれない二人のルーキーが登場している。

一人は2012年1巡目全体1位指名のカルロス・コレア。史上初のプエルトリコ出身全体1位指名選手で、20歳の遊撃手はまさに今後チームの顔になっていく可能性が高い。メジャーデビュー後はその打撃力は大いに猛威を奮っており、24試合の出場で6本塁打、9二塁打に加え3安打以上した試合は5度とスターダムを駆け上がりつつある。四球をほとんど選んでいないなど改善の余地はあるが、数年後にはオールスターの常連として全米でも名の知れたトップ遊撃手として活躍しているかもしれない。




もう一人は21歳の先発投手ランス・マッカラーズ。彼はコレアと同じ2012年ドラフト1巡目で全体41指名の選手だ。5月にデビューすると9試合の先発で4勝2敗 防御率2.19とかなりの好成績をあげている。その日の制球の出来次第で大きく出来が変わってしまう不安定さはこれからの課題として、平均94mphの速球と切れ味するどい変化球を軸にして奪三振を多くとるスタイルはエースと呼ぶのにふさわしく、カイコを左のエースとするならマッカラーズは右のエースとなるポテンシャルがある。まだ21歳ということもあってこれからが非常に楽しみな逸材だ。

2015年7月4日土曜日

近年の新人王選手たちの明暗

ネフタリ・フェリースがレンジャーズからDFA、いわゆる戦力外を通告された。DL入りしていたマット・ハリソンのためにロースターに枠をあける必要があるための措置で、マイナーオプションを使い切っているフェリースはロースターから外されることによって今後ウェーバー、あるいはトレードによる移籍、そうでなければレンジャーズのマイナーにとどまることになるのだが、今回のケースでは他球団移籍になるだろう。
さて、フェリースと言えばレンジャーズの豪速球投手だったというだけでなく2010年に佐々木が持っていた新人最多セーブ記録を更新してア・リーグ新人王を獲得したことでも有名だ。まさにレンジャーズの全盛期でその後2011年まではクローザーとしてシーズンを過ごしたが翌2012年に先発転向、そして故障による長期離脱などで全てが狂い新人王を獲得した若きクローザーとは思えないほど急転直下でキャリアを転げ落ちた。復帰して30試合に登板した昨季も防御率などは好成績ではあったが全盛期には平均96mph前後だった速球が93mph台に落ち込むなどその能力低下は顕著だ。今季もクローザー候補ではあったものの不振と怪我でこのような結末に至ったわけだ。
このように輝かしいキャリアへの入り口とも言える新人王を獲得しながら、その後苦しみたった数年で存在感が薄くなってしまう選手は少なくない。逆にしっかりとスターにまで上り詰め数年に渡りトップ選手として君臨する選手もいる。

2005年 ヒューストン・ストリート(アスレチックス)  ライアン・ハワード(フィリーズ)
2006年 ジャスティン・バーランダー(タイガース)  ハンリー・ラミレス(マーリンズ)
2007年 ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)  ライアン・ブラウン(ブルワーズ)
2008年 エバン・ロンゴリア(レイズ)  ジオバニ・ソト(カブス)
2009年 アンドリュー・ベイリー(アスレチックス)  クリス・コグラン(マーリンズ)
2010年 ネフタリ・フェリース(レンジャーズ)  バスター・ポージー(ジャイアンツ)
2011年 ジェレミー・ヘリクソン(レイズ)  クレイグ・キンブレル(ブレーブス)
2012年 マイク・トラウト(エンジェルス)  ブライス・ハーパー(ナショナルズ)
2013年 ウィル・マイヤーズ(レイズ)  ホセ・フェルナンデス(マーリンズ)
2014年 ホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)  ジェイコブ・デグローム(メッツ)

上記は過去10年の新人王とその当時の所属チームだ。基本的には今でも各チームの主力選手として活躍している。20人中6人がMVP経験者で、2007年などは両者ともにMVPを獲得している。2012年も今季のハーパーを見る限り今後そうなる可能性は高い。だがやはり今はあまり活躍できていない選手も見受けられる。今回のフェリースに加えてこの2年ほどメジャーで投げていないベイリー、近年二番手捕手になってしまったソト、今ではかなり数字が悪化しているヘリクソンなどがそうだ。中にはコグランのように一度はリーグ最低レベルまで堕ちながら復活を果たしたものもいる。だがやはり新人王獲得者というのは基本的にその後は主力として活躍していくもので、今季も新人王候補になっているルーキーの中から今後のスターが生まれる可能性は高いだろう。
余談だが、この20選手中8選手がマーリンズ、レイズ、アスレチックスという3大ケチチームから輩出されており(マーリンズは近年大金を費やすことが多いが)、やはり回転の早い貧乏チームはルーキーが活躍することが多いということがよくわかる。

2015年7月1日水曜日

シーズン前半MVPは誰だ!?

シーズンも前半戦を終えたということで前半戦のMVPを選出したいと思う。候補選手は各
リーグそれぞれ3人ずつ。彼らはそのままシーズンMVPの有力候補ということになるだろう。なお、今回はチーム成績などは全く考慮していない。

ア・リーグ

☆マイク・トラウト(エンジェルス)
78試合 打率.303 20本塁打 43打点 出塁率.392 OPS.973 9盗塁
18二塁打 1三塁打 56得点 wOBA.407 fWAR4.3 rWAR4.8

今季はそれほど圧倒的な印象がないトラウトだが、やはりほぼ全ての数字がハイレベル。打率、出塁率はトラウトであることを考えると少し物足りないようにも思えるが、リーグ2位の20本塁打を放つなど昨季同様パワー面における成長は著しい。三振率も昨季に比べると改善されており、後は四球による出塁と盗塁がもう少し増えてくれれば文句なしといったところだろうか。過去2年連続でマイナスを記録した守備防御点なども今季はプラスに転じている。リーグ1位の数字がないなど、まだやれるだろうという感はあるが、やはりリーグ最高レベルのパフォーマンスであることには変わりなく、彼をア・リーグ前半のMVPとしたい。

◎ミゲル・カブレラ(タイガース)
74試合 打率.349 15本塁打 53打点 出塁率.453 OPS1.037 1盗塁
16二塁打 1三塁打 42得点 wOBA.436 fWAR3.5 rWAR3.8

相変わらず打撃だけが魅力の選手であるため総合的なパフォーマンスではトラウトに劣るが、打撃の質はリーグ最高。昨季は数字を落としこれから下降するのかと思われたが今季は復活していると見ていいだろう。本塁打に物足りなさは感じるが2011年に近い数字を出しており、現在ア・リーグ首位打者だ。打点でも2位につけており、二冠は狙える位置にいる。しかしBABIPも非常に高いため、後半戦に振り戻しで打率が落ちる可能性は高い。

◯ジェイソン・キプニス(インディアンス)
75試合 打率.346 6本塁打 33打点 出塁率.421 OPS.936 10盗塁
25二塁打 4三塁打 52得点 wOBA.402 fWAR4.6 rWAR4.8

4月かなりの不調に陥り、昨季同様今季も苦しむのかと思いきや5月に入ってから大爆発。6月は5月に比べると落ちたものの相変わらず高いパフォーマンスで打率は僅差でリーグ3位につけている。6本塁打と長打力はあまり発揮できないように見えるが二塁打は1位で三塁打も多い。今季は守備も良く、物足りないのは本塁打と盗塁くらいか。ただカブレラ同様BABIPが非常に高いのが気になるところだ。


ナ・リーグ

☆ブライス・ハーパー(ナショナルズ)
71試合 打率.340 24本塁打 58打点 出塁率.464 OPS1.177 3盗塁
17二塁打 1三塁打 53得点 wOBA.488 fWAR5.0 rWAR5.5

非常にハイレベルなナ・リーグだがその中でもハーパーはやはり頭一つ抜けていると言っていいだろう。その高すぎる期待値と比較され、この2年ほど物足りない数字に終わっていた史上最高の逸材がついにそのベールを脱いだという形だ。本塁打数は既にキャリアハイを記録しており、長打率とOPSは文句無しのレジェンド級。打撃三冠全てで4位以内に入っており、順調にいけば三冠王も狙える位置にいる。怪我で離脱することが少なくないのが玉に瑕だが、彼を前半戦MVPとすることに異論はないだろう。

◎ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
77試合 打率.354 20本塁打 65打点 出塁率.469 OPS1.108 15盗塁
17二塁打 1三塁打 55得点 wOBA.460 fWAR4.5 rWAR5.4

人によってはゴールドシュミットこそが前半戦MVPにふさわしいというだろう。打率、出塁率はリーグ1位、打撃3部門は全て5位以内でハーパー同様三冠王を狙える位置にいる。さらに特筆すべきは打撃だけでなく、一塁手ながら既に15盗塁を記録しているという点だ。三冠王だけでなくトリプルスリー達成の可能性もあるわけだが、そうなれば一塁手としては1999年のジェフ・バグウェル以来の偉業ということになる。守備力も高く、まさに弱点のない選手だ。ただこちらも例年に比べてBABIPが非常に高いことから振り戻しの可能性がある。

◯ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)
74試合 打率.265 27本塁打 67打点 出塁率.346 OPS.952 4盗塁
12二塁打 1三塁打 47得点 wOBA.398 fWAR3.7 rWAR3.8

打率こそ高くないもののやはり現在MLB最高のパワーヒッターは伊達ではない。本塁打は両リーグ1位でシーズンに換算すれば50本超えのペース。守備面での貢献度も高く、出塁率さえもう少し上げていければ文句無しだ。毎年のように離脱するが、残念ながら今年も骨折により長期離脱を強いられることになった。1〜2ヶ月の離脱が予想されているため50本塁打も絶望的だが、できるだけ早く復帰してなんとか40本塁打に到達したいところだ。

クリス・セールが8試合連続二桁奪三振でMLBタイ記録

長身、サイド気味のスリークォーターから投じられる豪速球とランディ・ジョンソンに似た特徴を持つことからデビュー当時からランディ二世との呼び声も高かったホワイトソックスのエースのクリス・セールが、そのランディをも超えてMLBタイ記録となる8試合連続二桁奪三振を達成した。1999年にペドロ・マルティネスが達成して以来の史上2人目の大記録だ。
今季のセールはあまり援護に恵まれておらず、序盤の不調も重なって勝ち星こそあまりパッとしないのだが内容は昨季同様非常によく現時点で141奪三振は両リーグ1位、奪三振率12.28も両リーグ1位だ。3年連続の200奪三振以上は既に射程圏内に入っているわけだが今季特に目立つのがこの二桁奪三振の多さ。ここまでの15試合中9試合で二桁奪三振、さらにその中で6試合が12奪三振以上だ。ただこの輝かしい記録の裏で少し気になるのは、奪三振の多いプレースタイルに加え長いイニングを投げるが故にここまでの8試合全てで110球以上投げてきている点だ。奪三振記録を意識すればするほどこの傾向は今後もついてまわるだろう。オールスターブレイクでうまく休養をとることができなければ、夏に入ってそのツケが回ってくるかもしれない。
現状セールの奪三振率は歴代7位と高い位置につけている。怪我なくこの調子を維持できればほとんどランディ・ジョンソンが独占しているこの奪三振率記録の上位に食い込むことができる。そうなればセールは名実共にランディ二世になるだろう。ちなみに現役投手で最も高い奪三振率は2013年にダルビッシュが記録した11.89だ。連続二桁奪三振記録も気になるところだが、奪三振率や奪三振数にも注目していきたい。